概要
Fate/EXTRAシリーズにおける聖杯であり、一連の作品の舞台となるスーパーコンピューター。
月で発見された、人類外のテクノロジーによる太陽系最古の「古代遺物(アーティファクト)」。ムーンセルの本体は、全長三千キロメートルに及ぶフォトニック純結晶体[1]。
人類に発見されたのは西暦1973年。旧世界の魔術が途絶えた後、国連所属のウィザードが侵入に成功し、公式にムーンセルの存在が明らかにされた。
月の内部にあるエネルギー集積体であり、地表以外の月の全てが聖杯である。その構造・技術体系は、過去・現在はおろか未来においても解析不能と言われ、人類の思考形態では理解できない領域にある[2]。
ただ、何者がどうやって作ったかは理解できなくとも、ムーンセルが行っていること自体はやがて判明した。
その機能は、地球の誕生から全てを克明に観察・記録すること。地球上全ての生命を忠実にシミュレートし、確かな未来予測まで可能とする。
人類のデータベース。その生態、歴史から思想、魂までを記録した莫大なメモリー[3]。全地球の記録にして設計図。神の遺した自動書記装置。七つの階層からなる、七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)。
現存する人類のコンピューターをあらゆる規模で凌駕する演算装置。その処理能力は、現存するコンピューターが、石を並べて計算しているように思えるほどのもの。神の頭脳、神のキャンパスとも言われる。
技術レベルが向上し、月の内部を探知できるようになった知的生命体へ、次のステージへの移行、神に等しい能力を約束する禁断の箱である。
だがそう言ったモノはあまりに危険であるため、西欧財閥によって封印指定にされ、宇宙開発それ自体を人類社会から取り上げ、物理的接触を断たれたほど[4]。
ただし、例外となるのがウィザードと呼ばれる霊子ハッカー。物理的接触の代わりに、ムーンセルが地球を精査する路を通って魂で聖杯へと繋がる能力を持った者達。
聖杯は魂を、形而上の人の精神だけは観測できない。しかし知らねばならない。ゆえに自ら人間を招くのである。
通常のハッカーも手段があれば表層にアクセスすることは可能だが、魂を霊子化できる魔術師でなければSE.RA.PHは光としてしか認識できず、第二層以降へのアクセスもできない[5]。
ムーンセルの中枢
ムーンセルの中心核にして、その全て。
七つの階層に及ぶ月の内部は、その実、ムーンセルにとっては“追加メモリ”でしかなく、中枢こそが月を運営し、地球を観測し、過去と未来を収めた頭脳である。
運命を一覧する系統樹。情報のみで物理法則を書き換えるまで収束した光。
秒単位で枝分かれしていく運命を観測、演算し、光として閉じ込めた単眼の箱。何億光年もの光を閉じ込め、光によって稼働するこの結晶体。
無限の過去と現在を記録するほか、天文学的回数の「1分後の未来」のシミュレートを演算し続けている。「事象の書き換えすら可能になる」とされる[6]。
その改竄能力は過去に遡って、現代を望んだ世界に変換出来る程。無限とも言える膨大な未来の可能性を記録している中枢は、フォトニック深淵領域、事象選択樹、熾天の檻(アンジェリカケージ)などと呼ばれる。
そして、聖杯戦争に勝ち残った勝者のみが立ち入ることを許される絶対禁断領域。
ムーンセルの成り立ち
もともとは異星文明によって置かれた観測機。地球の生命の在り方を記録するだけの装置だったが、観測するのならば「見えない部分[7]」があってはならず、すべてを平等に、ありのままに記録する為に、観測機以上の性能を必要し、観測から監視、果てには星の運営すら把握する演算器にまで拡張し、観測機であったムーンセルは長い年月を経て、現在の機能を持つに至った。
規模が拡張すれば運営方針は複雑化していき、ムーンセルは多くの端末を作り、セクションごとに機能を管理する人工知能さえ作り出した[8]。
しかしその一方で、ムーンセルは自らに人工知能を搭載することだけは頑なに拒否した。これは、観測者であるムーンセルに知性があっては、物事の意味を観測者が決定してしまうことになり、ムーンセルはあくまで一つの眼として、絶対的な客観性を維持し続けた。
生まれていく知能らしきものを常に解体したことで、ムーンセルには善悪の思想も、未来への欲求も、さらには結末すらなく、神の残した自動書記として存在するだけでだった。
しかし、人間の精神活動を記録するために行われていた『月の聖杯戦争』と、その勝者である主人公の選択によって多少なりと、ムーンセルの在り方は変化した。
その広大な光子ネットワークを第二のフロンティアとして地球人類に提供。今後のSE.RA.PHは「人間を識るため」のものではなく、「人間が進化するため」の土壌となっていく。
そしてムーンセルはただ世界を提供するだけの、観測装置としての在り方は変えないまま、その歴史を記録していく。
SE.RA.PH
第三虚構世界。Serial Phantasm。
規模が巨大になったムーンセルが自身を運営するために作った“月を回す都市型エンジン”。
要はムーンセルが後から増築した追加エンジン、追加レイヤーである。細菌から人間に至るまで、何兆、何京もの生命の記憶が保存されている。
ムーンセル・オートマトンの表層世界。いわば電脳世界だが、スーパーコンピュータや有機ネットワークなどのものとはそれこそ桁が違う。
通常の電脳世界では英霊の再現をしようとすれば一体でも即座にリソースを使い果たしてシステムダウンするのだが、それが霊子虚構世界では100体以上が存在している。
そのうえ極めて精巧なNPCの作りこみや世界そのもののモデリングなども一般的な電脳世界の比ではない。
人間の視点ではムーンセルのネットワークは光としか認識できないが、魂を霊子化できる魔術師なら情報として知覚し、一ユニットとして参加することができる。故にこれにアクセスできるのは魔術師(ウィザード)だけ。
ムーンセル・オートマトンは自らに接触できる人々(=霊子ハッカー)に対してこれへのアクセスを許可した。これに入場する際にはあらゆる記憶が削除され、修正された記憶が返却される。
入場時に記憶を消され月海原学園の一生徒として日常を送るが、その中で四日間のタイムリミットまでに自我を呼び起こし自分を取り戻した者だけがマスターとして聖杯戦争本戦に参加する。
この予選通過者には本来の記憶が返却されるが、予選を通過できなかった者は精神の死を迎える。
腕が確かな霊子ハッカーならば侵入はたやすいが、脱出できるのは聖杯戦争に勝ち抜いたただ一人だけで、聖杯戦争のルール上敗北すると霊子化した魂ごとデリートされる。
人間を知るために行われた『月の聖杯戦争』も、このSE.RA.PHを利用して行われた。
しかしムーンセルに人間の善悪の基準は分からず、“公正な判断基準”として、生存競争によるふるい落としを選択した。
128人のマスターをSE.RA.PHに招いて聖杯を商品として競い合わせる。生存の手段も人間としての品質も問わず、ただ生き残れば“優れた人間”として評価する。
ほぼ全員が似たような容姿なのはアクセスに使用したアバターが似たようなものだからで、遠坂凛や間桐慎二がそれらと一線を画す容姿をしているのはカスタムアバターを使用しているため。カスタムアバターを使用できるのは特に腕のよい魔術師に限られる。中にはいわゆる3D酔いをするマスターもいる。SE.RA.PHはムーンセル内に点在し、中には既に旧型として廃棄されたものの、未だに崩壊していない独自領域もあったが、新SE.RA.PHになったことで点在していた領域は融合、今は衝突を繰り返しながら、『開かれた、ひとつの大きな世界』になろうとしている。
『Last Encore』ではSE.RA.PH崩壊から約1000年が経過した。西暦3020年において地上の人口は10万を切り、じき滅亡域に到達する。文明圏を維持することが人の証であると仮定すると、SE.RA.PHにいるマスターが最後の人類。つまりSE.RA.PHが崩壊すると人類は宇宙から消えることになる。
そのためなのか、人類に対する振る舞いも変質しており、従来は「アクセスしてきた存在を捕らえて逃がさない」だけのはずのものが、「少しでも適性のある人類は無差別に捕らえて逃がさない」という危険極まりないものになってしまっている。[9]
SE.RA.PHは本来人間観察のために作られたものであるが、やはりムーンセルは機械に過ぎず、管理するのみで人の内面までは理解しなかった。故に人間を招き入れて行動を記録したが、その際に生じた人間の事象に対する反応・感情を理解せず切り捨ててしまった。これによりSE.RA.PH最下層のさらに下には廃棄された人間の感情、憎念が溜まるようになった。
地上世界において死後の世界は物理的に存在しないか、観察不可能な物ものであったがSE.RA.PHにおいては量子的に実現し、そして1000年という時間を経て死者の憎念が亡霊の如くして歩き回る事例さえも出てきた[10]。
エリア
EXTRA
- アリーナ
- SE.RA.PHが用意したダンジョン。
「情報の海」ということから、現実の海をモチーフに作られていて、それぞれ二階層で構成されている。一の月想海第一層から七の月想海第二層まで、深海から海面に向けて構成されており、七の月想海第二層は海上に出ている。
なお日没はシステムに制御されているので、通常、探索中に陽が沈むことはない。
入り口は誰でも共通で、一階の奥の扉だが、転送されるアリーナは対戦者同士のみが共通のものでそれ以外は個別。
不適格なマスターを排除するためムーンセルが産み出したエネミーが徘徊しており、これを倒すことで経験値や霊子虚構世界で流通している通貨が入手できる。
アリーナそのものへのハッキングは規制されているが、アリーナにトラップを仕掛ける程度ならば規制されない。
データバグは一旦アリーナに転送され、消去待ち状態になり、アリーナ内に残された物は二日ほどで消去される。
- 決戦場
- 七つの海を模した、対戦相手との決着の場。二つの陣営が向き合って戦闘を行い、勝者は生きて次の戦いに移動し、敗者は攻性防壁によって生還の道を閉ざされ、空間ごと消滅させられる。世界を区切る攻性防壁は突破不可能の壁であり、これを無効化できるのは神霊クラスのサーヴァントのみとされる。
- 原則として、この決戦場以外でのマスター同士の戦闘は禁止されているが、破ってもペナルティを与えられるだけで聖杯戦争への参加権を失う訳ではない。やろうと思えば校舎内でもアリーナでも相手マスターを攻撃することは出来る。
- しかし、決戦場では以下の絶対的な法則が存在し、
- 1.サーヴァントはサーヴァントにしか攻撃できない。
- 2.マスターはサーヴァントとマスターに攻撃できる。
- ゲーム本編では主人公の性格や資質の問題から、これらの選択をする権利すら与えられていない。だがマスターは本来、コードキャストなどで相手に直接攻撃を行って決着をつける事も許されている。
- ただし、マスターが死亡して敗北が確定してもそのサーヴァントがすぐに消える訳ではない。月の聖杯戦争の勝敗基準は「どちらのサーヴァントが敵サーヴァントを倒したか」で決定するため、サーヴァントはマスターを失っても戦闘は可能であり、この状態で相手サーヴァントを倒すと勝者無しの“共倒れ”となる。
- ……尚、なんか地球からやってきた金髪の美女があっさり攻性防壁を無効化していたが、アレはもともとムーンセルとはまったく関係のない生命体なのでノーカン。
- アンジェリカケージ
- 七つの海の底に君臨する熾天の檻。月の中枢に位置し、外部からの知的生命体がムーンセルにアクセスする為の到達点とされる。
- 降下エレベーター
- 聖杯戦争において、六日間の猶予期間を終え、七日目を迎えたマスターたちを決戦場に送る装置。その在り方は教会のの懺悔室に似る。
- ファイヤーウォールで区切られた密室の中、マスターたちは最後の会話を交わす。
- お互いの過去、未来、思想、因縁、それらを再確認する最後の時間。
- 手を取り合う事のできない敵と味方。けれど、わかり合えたかもしれない関係。
- 数分後に戦いを開始する両者の心の揺らぎを、ムーンセルは観測する。
EXTRA CCC
- 旧校舎
- 『Fate/EXTRA CCC』における主人公達のホーム。悪性情報の漂う月の裏側における唯一の安全地帯。
- 月の裏側における唯一の安全地帯として復旧・利用されている。
- 遥か以前の聖杯戦争で使われていたが、老朽化したために廃棄されていたフリースペース。
- 旧校舎は悪性情報の海のただ中に浮かぶ潜水艦のようなもの。廃棄されたとはいえ聖杯戦争の会場だったので、数十人のサーヴァントを維持するだけの霊子リソースが残されていた。
- 保健室の桜はこのパワーソースを校舎を守るバリアとして使用することで校舎内の実数空間のルールを保っている。
- 余談だが、CCC開発当時、ゲームの舞台は“ノイズに侵されたEXTRA校舎”だったが、それでは新しさがない、という事でノスタルジックな旧校舎に変更された。
- サクラ迷宮
- 『Fate/EXTRA CCC』の舞台。月の裏側に出現した謎の構造体。
- 表の聖杯戦争のアリーナを模して造られたもので、定型を保つことが困難な虚数空間の中でも実数を保ち続けられる領域で、サクラ迷宮という名称は巨大な桜の樹に寄り添うように下へ下へと続いている事に由来する。
- 桜の樹とヨーロッパ風の建物が立ち並ぶ場所や廃墟のような場所、マスターをとらえて魔術回路を剥ぎ取る拷問部屋のような場所などさまざまなフロアがある。
- 生徒会では「サクラ迷宮という名称はあんまりなので」と代案もあげられたが、どれもが酷いものだった。
- 初期名称はサクラダンジョン。ダンジョンに突入する、攻略する、という響きが直接的でいやらしかったが、新ビジュアルの完成と共に没になった。
- CCCからちょっと淫靡さが減ったとのこと。
EXTELLA
- 娯楽に耽る千年魔京 Mare Luxuria:色欲の海
- 玉藻の前が治める平安京風エリア。桜並木や神宮など和のテイストが中心だがディスコのような場所も存在するカオスな領域。
- 咲き誇る薔薇の帝都 Mare Aurum:黄金の海
- ネロが治めるローマ風エリア。芸術家を自称するネロらしく煌びやかな雰囲気。エリザベートが勝手に作ったライブステージやガウェイン用集光セクターが存在する。
- 星海交わる混沌宮殿 Mare Origo:原初の海
- 崩壊した宮殿のような独特のエリア。トップサーヴァントの支配する原初と混沌の世界。
- 三人の王が聖杯問答をした庭園を模したエリアも存在する。
- かつて在りし運命の街 Mare Melum:災の海
- 他の聖杯戦争の可能性を再現したエリア。霊地にそびえたつ寺院と肉塊、そして新都市を思わせる高層ビルや、破壊されたコンテナの並ぶ湾岸エリアなどが立ち並ぶ。
- 未明領域・巨神霊廟 Mare Carcer:
Last Encore
- 焼却炉
- 辺獄の薔薇園。立ち入った生徒の半数は意味消失からの自殺に陥っている。廃棄物として捨てられたものの跡地。良くないもの、悪夢を見る場所として知られる。
- 構造帯そのものが破損しているためSE.RA.PHの清浄機能が働いておらず、ここに訪れた者は三層のレイヤーを同時に視る。
- 一つは元々用意された土台。廃墟。一つは予選参加者全員に見せていた共通幻想。学園。そして一つは来訪者が持ち込んだ原風景。トラウマ。
- ムーンマイルラダー
- 上昇し、七天の海の戦いへと導くもの。聖杯戦争に参加したマスターが、対戦相手であるマスターに勝利した時のみ下ろされるSE.RA.PHの基本原則。
- 下から上の階層へ上るにはこのラダーを使用する必要がある。傷を癒す効果もある。
- 余談ではあるが、下の階層に下りるだけならラダーは必要ではない。
- 新設海洋都市ケープ
- もともとはSE.RA.PHの七層を構成する第一階層だったが、SE.RA.PHの管理から解放された都市。間桐シンジにより、争いが起きないように一定の法律のもと都市行政によって管理されている。
- 聖杯戦争で1回戦を勝ち上がった間桐シンジだったが「何もせずに死ぬ」ことを嫌った彼は自分の意志で上に上がらず、チャクラ・ヴァルティンがSE.RA.PHの在り方を変えたことでこの階層にただ1人残っていた彼は自動的にフロアマスターとなり、残っていたリソースを好き勝手に使って第一階層を作り替えた。後に彼の片腕となる女性マスターが第三階層より逃げ延び、シンジの秘書となり、ケープはより完成した都市となった。以後、間桐シンジはかつての舞台であった旧校舎を住居とし、表だった都市運営は秘書となった女性マスターが行っていた。少女を中心にした治安部隊を組織したのはその女性マスターの趣味とおもわれる。
- セントラルタワーの政府に危険な電脳兵器であるサーヴァントを譲渡することにより市民登録となる。聖杯戦争を恐れたマスターたちは「第一階層だった」所に留まろうと皆サーヴァントを売り払っており、この階層で戦いを望む人間は存在しない。凛に言わせれば「臆病者たちのフロア」「死にたくない者たちの供託」と評されている。
- 聖杯戦争をやめたマスターたちを称えて年から年中祝っており、街には祭り、酒場には宴を開いている。サーヴァントを売ったマスターはマスター権を破棄する代わりに、無益な戦闘を強制されず一生遊んで暮らせる程の生活が保証されるが、やがて飽きてしまい引き篭もる者たちが殆ど。
- マスターの人口比率はほんの僅かしかいない程少ないが、全マスターを快適に過ごさせるためにNPCたちは都市のパーツとして働いて都市を稼働させてる。
- 売られたサーヴァントは令呪によって拘束・分解して都市運営のリソースとして有効活用するが、万が一に備えて見込みのあるサーヴァントは狂化を施して手駒として残している。
- 悔根の森
- 姿を見せない狙撃手の狩り場となった第二階層。
- 刻を告げる鐘楼が鳴り響いた時、迷い込んだマスターはその頭部を撃ち抜かれ、『決闘』に至る事もできず抹殺されてきた。
- 『停滞の海』から戦いに訪れたマスターたちは、入り口である「王城」を出た瞬間に狙撃され、森への撤退を余儀なくされた。
- マスターたちは狙撃手がいるであろう時計塔を目指し、その道半ばで狩人に倒されるか、時計塔に辿り着いた時、最後の罠によって殺された。
- 王城
- ラダー出現場所。第二階層入り口。
- 多くのマスターは狙撃手を倒す為に王城から離れたが、狙撃手はこの王城に身を潜ませていた。
- 刻を告げる鐘の音は、王城頂部から時計塔の鐘を狙って撃たれた跳弾の音である。
関連
- ヴィーナス・スタチュー
- 『Fate/EXTRA CCC』で各階層の最後に立ちふさがる少女像。センチネル化した少女の本体にして、迷宮の核。
本来なら物理干渉では破壊できない"世界の果て"。その内部はBBですら立ち入れない禁猟乙女領域。サクラ迷宮をすり抜けたところで最後にこの壁がある以上、主人公たちが何をしようが無駄なあがきにすぎないとBBは想定していた。
しかし心の専門家であるキアラの秘術によって『内部に飛び降りる』などという離れ技が実行され、無敵のセンチネルシステムは攻略可能な防壁に格落ちしてしまった。
ちなみに壁に埋め込まれた肥大化アバターはBBからのメモリ増築の結果。迷宮を自在に変革するためにはあれだけの改造が必要。
スタチューの中でセンチネルを倒し、心の淀みを振り払い、BBの支配から解放(接続を解除)されれば元の大きさの戻れる仕組み。
サーヴァントたちの心象世界にあるレリーフはこれとは違うもので、あれこそ深層にある"魂のカタチ"と思ってもらえばよい。
ゲーム内では"レリーフ"と呼ばれている。壁に囚われた少女、というコンセプトでデザインされた。開発初期での名称はショコラヴェールだった。
- NPC
- 聖杯戦争の運用および本戦前期間のための数合わせとして、ムーンセルがかつて地上に居た人間をモデルにして作成したAI。
- 聖杯戦争を円滑に進めるために作られた仮想生命。運営するための代理人。ムーンセルの蔵書の中から「かつて存在した何者か」をモデルに「再現」したもの。
- サーヴァントとは違いプログラミングされた仮想生命でしかなく、それぞれ
役割 があり、そこから逸脱することはできないが、役割が決まっているとはいえ独自の思考、人格が備わっている。 - NPCが生命としてリアルでなければ、NPCと接触するマスターたちの反応がリアルにならない。そう算出したムーンセルによって、NPCたちには人工知能が与えられた。
- ただし彼らの『人格』は一度きりのものであり、また、設定された人生観から逸脱する事はできない。NPCは聖杯戦争が終わればムーンセルに経験を没収され、身体・性能・人格を含めたすべてをリセットされ、次の聖杯戦争用の『装置』として再チューニングされる。
- そんなNPCたちにとってマスターたちは羨望の対象であり、また、嫌悪の対象でもある。人間の不合理性に振り回され、道具のように消費されていく自分たちの在り方に不満を訴えるNPCも少なくはないため。
- 命を与えられながらも、その命を否定されるもの。今そこに『有る』が、今そこに『無い』もの。そんな彼らの不満は鬱積し、一つの都市伝説を作った。輪廻転生とも呼べるメモリの使い回しの末、高い人間性、魂を獲得したものは上級AIに昇格させてもらえるというのだが、無論、そんな未来はない。仮にそんな事態が起きたとしても、ムーンセルにとってそれは意味のないバグに過ぎない。
- なお、主人公とヒロインのひとり・遠坂凛との奇妙な縁の始まりは、記憶も何も無いままに曖昧な状態になっている主人公 (EXTRA)に対し、それ故に凛が彼を「敵」と認識出来ずに、NPCと誤認し接触を図った事がきっかけである。
- 新SE.RA.PHになってからはそれぞれの生命権を認められ、役割はあるものの『マスターたちの戦いが終わったら全員廃棄処分』という一大リセットがなくなった。中には上昇機構のNPCもおり、人間性をもっと獲得してAIに昇格しよう、というものもいる。
- 新ローマや千年京でNPC立ちがこぞって商売を始めたのも、商売に目覚めたからではなく、夢を叶えるためにリソースを集めているが、玉藻の前によって容赦なく税金を搾り取られてしまう。
- 攻性プログラム
- アリーナやサクラ迷宮に存在した敵性プログラム。レガリアの力で軍勢として使役され、各勢力の主戦力として機能する。
- サーヴァント相手には通常の攻撃でもまとめて蹴散らされてしまうなど戦闘力は低いが、一部の上位種には有効打を与え得るだけの力を持ったものも居る。
- 自我や知能を持たないがためにどこまでも従順にして冷徹で尚且つ死を全く恐れず、兵士としては完璧な存在だと言える。
- サクラヴェール・グランデ
- ムーンセル中枢への到達を阻む最後の壁の名称。またの名を論理への挑戦。
- 初期案ではサクラヴェール・ディーバ。ディーバはゴディバに近いイントネーションで発音するらしく、ゴッデス・ディーバ。略してゴディバとなる。
- 流石に最後の最後でコメディにするのもどうか思い、グランデに変更されたらしい。
- サクラメント
- 月の裏側限定マネー。『EXTRA』における「PP」の名前をBBが勝手に変えてしまったモノ。円、を桜、に変えたようなもの。
- 名前の由来は「サクラ印の、元気になるサプリメント。略してサクラメント」らしい。
- 『Fate/EXTRA material』によると初期案では
貨幣 を管理する銀行頭取みたいなアルターエゴがいたが、製品版CCCには気配たりとも登場しない。
- シールド
- サクラ迷宮に点在する計測不可能の防壁。迷宮にされた少女たちの秘密を守る心の壁。
- SGと連動しており、秘密が明らかになればそれを守る意義を失い、消滅する。
- あまり壊し過ぎてもいけない。
- 上級AI
- 聖杯戦争を円滑に進めるために作られた仮想生命。
- 製造された経緯はNPCと同じだが、おり、こちらは一般NPCと同じ仮想生命ではあるが、上級AIには確固たる人権と人格、魂が与えられている。非常に高度な知性を持ち合わせ、その人格に従った判断も許容されている。
- 上級AIは製作コストが高いため、一度の聖杯戦争ではオールリセットされない。彼らは定番のキャラクターとして次の聖杯戦争に移行する。経験こそリセットされるが人格は次回以降も引き継がれる。
- マスターたちの監督役である言峰神父、マスターたちの健康管理を担う桜、校内の違法行為を監視する風紀委員、日常を演出するミス・タイガー、謎の黒豹マキジなどが確認されている。
- 中にはマスターを処罰する権限を持つシスターカレンなる上級AIもいるらしいが、主人公 (EXTRA)が参加した聖杯戦争には現れなかったようだ。
- また、上級AIは獲得した記録を自分から消去する事はできない。どれほど陰惨な記憶でも残し続け、ムーンセルに提出する事が彼らの大原則であり、存在意義。
- PP
- 月の裏側における(経済貨幣としての)魔力。魔力=メモリでルビをふると分かり易い。
- 電脳空間において、何かを作る、変える、動かすのに必要なもの。全体の総量は決まっているが、基本的に一箇所にたまる事はなく、流動してSE.RA.PHを回すもの。
- 『Fate/EXTRA CCC』ではBBが「名前が可愛くない」という理由で名称を勝手に「サクラメント」に変えてしまった。
- 捕食遊星ヴェルバー
- 一万四千年前に地球の先史文明を破壊しつくした遊星。ムーンセル・オートマトンが唯一「敵」と認識する存在。
- ムーンクランチ
- ムーンセルの魔力を使いレガリアをマスターがイメージする新たな鎧へと形態変化させる能力。
- ムーンドライブ
- レガリアを持たないサーヴァントたちを、ムーンセルの魔力を使い、ステータスをブーストアップさせる強化術式。
- 404光年
- ムーンセルが使用している術式。第七階層と中枢の境界線。
全長3.82205348×10^15Kmの空間と思わせて、実際は何百年かけても突破できない無限距離が作られており、中枢への無断侵入者を防いでいる。
聖杯戦争の勝者が現れた時は勝者を招くアリーナを、ムーンセルが中枢への架け橋として用意し、突破可能となる。
マテリアル曰く名称の由来は、光である疑似霊子の速さで突破しても404年かかりますよ、という警告と、そのアドレスは存在しません、という忠告が混ざったもの。
- レガリア
- 「王の指輪」とも言われる、月の聖杯戦争の勝者に与えられる勝利者の証。
- 「レガリアの王権は絶対」と言われる通り、マスターを持たない他のサーヴァントを従える力を持つ他、ムーンセルのシステム更新に必要だが、不慮の事故で分割され、ネロと玉藻の前が所有した状態になっている。
- それ自体が圧倒的な魔力を秘めており、『さんぽけ ~三国志大戦ぽけっと~』とのコラボイベントでは主要キャラクター達が三国志の世界へ飛ばされた結果レガリアも「玉璽」となって流れ着き、現地の董卓が使用した結果凄まじい力を手に入れた[11]。
人物
- 主人公 (EXTRA)
- NPCが何らかの故障(エラー)によって自我を獲得した存在。他のNPC同様、過去の人物の「再現」。
- トワイス・H・ピースマン
- 「トワイス・ピースマン」という人物を模したNPCが、生前の記憶(正確に言えばデータのオリジナルの記憶)を取り戻してマスターとなったイレギュラーな存在。
- 言峰綺礼 (EXTRA)、間桐桜 (EXTRA)、藤村大河、カレン・オルテンシア
- ムーンセルが過去に生きた人間の中から再現した上級AI。
言及作品
メモ
脚注
- ↑ 光そのものを閉じ込める事が出来る鉱物。光そのものを記録媒体や回路として使える
- ↑ 『EXTRA Material』でも、「物質に頼る人類の文明とは形式が違いすぎるため、言語体系、技術では理解できない」
- ↑ より踏む込むと、全ての生命、全ての生態、生命の誕生、進化、人類の発生、文明の拡大、歴史、思想、魂まで及んでいる。
- ↑ 尤も、物理的な侵入方法が存在しない以上、月にロケットを飛ばしたところで、アクセスすることは不可能であるが。
- ↑ 旧世界の魔術師(メイガス)も瞑想の一環としてムーンセル内部にコンタクトしていたという。
- ↑ 厳密には膨大なシミュレーションサンプルの中から望む未来に確実に至れる方法を提示できるということ。
- ↑ ハイゼンベルグの不確定性。観測者が観る事で事象を決定させる。観ていない部分は確定しない。
- ↑ これが後に『月の聖杯戦争』におけるNPC、上級AIなどに利用される。
- ↑ 『Fate/Grand Order』においてBBが「地球人類の総数が3%を切ったらディストピア管理モードに移行する」と物騒な事を言っていたが、本当にそうなった可能性もある。
- ↑ なおこの時ハクノはラニに亡霊が誰のことを指すのかを質問したが、彼女は何も答えようとしなかった。
- ↑ 具体的に言うと、サーヴァント級数人がかりで「少々有利」レベルで、アルテラが『涙の星、軍神の剣』を全力で叩き込んでようやく玉璽が剥がれて本体は無傷だった程。