ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア

2015年7月8日 (水) 22:10時点におけるPEN (トーク | 投稿記録)による版 (→‎メモ)

ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア

  • スペル:Gordes Musik Yggdmillennia
  • 誕生日:1月1日/血液型:AB型
  • 身長:168cm/体重:98kg

ユグドミレニア一族の錬金術師黒のセイバーのマスター。36歳。

略歴
かつてアインツベルンに並ぶと称された錬金術の名家・ムジーク家の後継者である肥満体の中年男性。没落してもなお血筋に固執する頑迷かつ傲慢な人物で、一族の盟主であるダーニックを除き同胞達にも高圧的に振舞う。
しかし、魔術師としては優秀で、魔力パスの分割というシステム干渉の技術を一族に提供している。
真名の露呈を恐れる余り、セイバーとのコミュニケーションを早々に打ち切ってしまったため齟齬が大きく、令呪の無駄打ちなど愚策を繰り返してしまう。そしてジークの捕縛に回されるが、彼の思わぬ抵抗に逆上し、殺害するつもりで暴行を加える。ライダーに糾され、考え直したセイバーがそれを制止しようとするが、それでも怒りは収まらず、見かねたセイバーに気絶させられてしまう。
その後、セイバー消失という責によって最後に残った令呪をキャスターに移し替えさせられ、聖杯大戦から脱落。その後はしばらく屈辱と恐怖、自分の愚かさへの自覚から、酒を呷りセイバーへの恨み言や後悔をしながら、酒に逃避して引き籠って過ごしていた。
大聖杯が奪われた後、ホムンクルス達を救いにミレニア城塞へと戻ってきたジーク達と遭遇。怒りとセイバーへの悔恨の念をぶつけるが、ライダーに過ちを指摘されて己の失策を認め、ホムンクルス達の解放に承諾した。そしてホムンクルス達の醜態を見かねて彼らの治療を行い、対話を通して遂に迷いと後悔から完全に吹っ切れ、リーダー格にトゥールという名前を与える。
黒のアサシンの襲撃の際は、ジークに穢れを遮断する効果を持った「アラクネの布」を提供し、彼のサポートを行う。それ以降も同盟側として聖杯戦争への参加を継続し、最終局面に臨む。
人物
傲慢な上に、非常にヒステリックかつ小心者で、自己顕示欲が強いという非常に問題の多い性格をしている。両親からムジーク家がかつて如何に優れた錬金術師の大家だったのかを教え込まれた彼は、36歳になっても現実と夢想の区別が出来ず、「名門であった」という誇りだけが立派に成長してしまっている。
また相手によって態度を変える姑息な人物で、ランサーには臣下のような態度で接している。ルーラーに対しても紳士のような態度で懐柔を図るが、あっさり拒絶された際には、不愉快そうな態度を隠さなくなる。
実はそういった考えや態度が正しくないというのは彼自身、良く分かっていた。だが自ら変革する気力もなく、敷かれたレールを走り、祖父母や両親が自分にそうしたようにムジーク家の再興も息子に押し付けるつもりだった。
サーヴァントに対する態度も同様で、実際のところ良くも悪くもそこまでサーヴァントを見下しておらず、反抗したセイバーに対して激昂してしまったのも、コミニケーションを断ったことで自分が彼を道具として見るのと同じように彼に道具として見られていたことを知った恐ろしさ、恥辱、悲しさから。もし、セイバーが自分をマスターとして、冷たいあるいは怒気を含んだ視線で見ていたなら怯えて彼の考えを承知していたと自己分析している。
自らの愚かしさと情けなさ、聖杯大戦への参加資格を失った無常感から、フィオレカウレスのようにサーヴァントを道具ではなく、一人の英雄として認識していれば、提案に乗っていれば失敗しなかったのではないか、と後悔の念を感じていた。
生来の捻くれ者であるため、届かぬ星に手を伸ばすような行為も当然の事として映るらしく、天と地ほどの差を付けられたアインツベルンに「いつか追いついてみせる」と宣言するなど、夢や希望を最後の瞬間まで諦めない不屈の意志を持った人物でもある。またユグドミレニアの敗色が濃くなってきても(行き場所がないという理由もあるだろうが)最後まで聖杯戦争から逃げず、フィオレの補佐やホムンクルス達の世話を行うなど意外と義理堅い人物である事も分かった。
いい意味でも、悪い意味でも、彼は「人間らしい」のである。
能力
高度な錬金術を習得している。優秀な魔術師であり、戦闘中でもサーヴァントへの治癒魔術を行使することが可能で、数時間に及ぶ戦いでも継続してサーヴァントを行使できる。自身も『変成鉄腕』という錬金術による組成変換を使った戦闘用の魔術を習得しており、鉄拳による重いパンチを放つ。実はフィオレに次ぐユグドミレニアの後継者候補であり、魔術師としての能力は決して低くない。
ホムンクルス達の製作者なだけにその見識は非常に優れており、専門的な知識と適切な治療法で彼らの命を救っている。
ただ聖杯戦争のマスターとしての適正は微妙で、赤のライダーとの戦闘中にセイバーに口煩く無謀な指示を飛ばしたり、セイバーだけ送り込めばいいのに現場に出て来るなど、指揮官としての能力は極めて低い。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「黒」のマスターとして登場。

人間関係

セイバー
サーヴァント。真名の露呈を恐れる余り、口を開くことを禁じてしまう。その威容に内心怯えながらも、「たかが使い魔」と侮っていた。
ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア
一族の盟主。他者に高圧的に振舞う彼でも、一族の頂点に立つダーニックに逆らえるはずも無く、命令に従っている。ダーニックは彼の魔力パスの分割という功績は認めていたが、度重なる失敗に愛想が尽きかけており、「盆暗」と面と向かって罵るようになってきている。
ジーク
ダーニックから捕獲の命令を受けていたが、抵抗を受けた怒りと、それまでの溜まっていたストレスが爆発し、鉄拳による暴行を加えて瀕死の重傷を負わせる。同盟を結んでからは葛藤の末に吹っ切れたので、お互いに関係が改善され、彼のサポート役となる。
フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
ユグドミレニアの現当主。彼女と後継者争いをするつもりはさらさらなく、大人しく従っている。
フィオレの方は「ゴルドおじ様」と呼んでいる。だが飲んだくれて昼間から寝るなど、ゴルドの余りにだらしない生活習慣に頭を痛めている。またゴルドが度々無責任な発現や困ったことを言い出すので、その時は微笑みながら割とセメントな対応をとる。
カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
彼はパソコンなど魔術師に似つかわしくない最新技術に通じているカウレスの事を嘲っているが、カウレスの方は令呪の使い方の反面教師としてゴルドの事を引き合いに出しており、何とも思っていない。後に共にフィオレの補佐役となる。
トゥール
当初は使い捨ての道具と看做していたが、彼女達を解放してからは調整に奔走したり、一人一人に名前を付けるなどして関係を改善している。ただし、彼女達からはあまり敬意を祓われておらず、弄られている。

名台詞

「出て来い、赤のマスターよ!
 魔術協会の狗め、このゴルド・ムジーク・ユグドミレニアが相手をしてやる!
 見ているのだろう? 見ているのだろう!?」
黒のセイバーと赤のランサーが死闘を繰り広げていた時、ただ見ているだけの自分を恥じて、虚勢を張るために発せられたセリフ。返答は無く、その場にいるサーヴァント達はもちろん、監視しているであろうダーニックやシロウ達も一切反応しなかった。余りに滑稽で、彼の人物像が最も分かりやすいセリフ。
「ふざけるなッ!!ホムンクルス如きが……!この私を!この私を殺そうとするなんて!
 有り得ない!
 有り得ない、有り得ない有り得ないッ!!」
ホムンクルスに抵抗され、半狂乱になった際のセリフ。軋んだ金属のようなけたたましい声をあげ、魔術師としての誇りや上品さという鍍金が完全に剥がれている。ダーニックの命令すら完全に頭から吹き飛んでおり、捕獲するべきホムンクルスを殺害するつもりで暴行を加える。
「何故だセイバー! 何故自決など! それもたかだかホムンクルスのために!
 戦いが嫌だというなら、お前は最早英雄ではない!
 私のサーヴァントだったことが、それほど不満だったのか!? 答えろ、ジークフリート!」
「私が悪かったのか? だが混乱していたのだ、混沌とした状況だったのだ!
 しかし、悪いなら悪いと言ってくれれば、私だって譲歩した!
 わた、私は――!」
ホムンクルス達を救いに来たジークと出会って。ジークをセイバーと重ね、胸の中に渦巻いていた怒りや悲しみ、後悔の念をぶつける。
「今だってそうだっ。 だが、くそ。
 お前だって、掃除のやり方が下手糞な人間がいれば是正したくなるだろう! それと同じだ!
 掃除機で風呂の掃除をする莫迦を見たら、誰だってストレスが溜まる!」
ホムンクルス達の拙い治療を見すごせず、手助けしたことをトゥールから問われて。
この行動は人間愛に目覚めた訳ではなく、ベテランの職人が新人のレンチをひったくり「黙って見てろ」と言い出すのと同じような行為であった。
だがこの些細な事を切っ掛けに、ゴルドの再起は始まる。そう、ツンデレ属性が開眼した瞬間であった。
「何がよろしく頼む、だ。
 こんな簡単なこともできんクセに、生きようなどと思うのが間違いなのだ、お前たちは」
助けたホムンクルス達に感謝されて。尊大さはそのまま、嫌味ももちろん忘れない。
このセリフを聞いたホムンクルス達は救世主の登場に感謝すると共に、呼吸器をつけて寝かされている者も含めてこの救世主を「殴りたい」と思っていた。
「……だが、私は間違っていたんだろうな」
彼の思惑も理想からも大きくかけ離れた方向へ進んで行く聖杯大戦。自らが使い捨てるために造ったはずのホムンクルスとの会話の中、彼は己の心情を洗いざらい吐露し、ついに自らの過ちを受け容れる。
「――フン。だが、どうせあいつらはこれから数百年は新たな大聖杯に掛かりきりだ。
 その間に、我らムジーク家が今度こそ追いついてみせるさ」
かつて比肩したアインツベルン。大聖杯を失って大きく衰退したとはいえ、未だその技術力はムジーク家と隔絶しており、追いつくにはゴルドの後に奇跡的な才能を持った人物が三代続けて生まれなければならない。最早夢物語と言っていい領域の話だが、ゴルドは諦めずに天上の星を追い続ける。
「……やはり、私の取った作戦方針は間違っていなかったかもしれない」
セイバーとコミュニケーションを取らなかった事を反省するが、直後にライダーがセイバーの真名を盛大にぶちかましてしまった事に呆れてしまう。味方にあんなのがいたのでは、迂闊に秘密は喋れない。
「あー、私はその、体力的に無理がある気がするな」
アサシンに対する囮作戦を手放しに称賛したところ、フィオレに「ではゴルドおじ様、囮になって下さいますか?」とニッコリ微笑まれて。
そしてチラッチラッとカウレスを見るゴルドさん。やっぱり人間はそう簡単に変われない物である。
「この聖女は世界を終わらせる気か……」
『虚栄の空中庭園』への突入作戦を検討する中で、ルーラーが呟いた兵器の数々と彼女の過激な性質に絶句する。実は近代兵器にも明るい事が伺える。

メモ

  • 彼がユグドミレニアに提供した魔力パスの分割という技術は、平行世界の聖杯戦争に参加したケイネスの物とおおよそは同じ。ただゴルドの技術は他五人のユグドミレニアのマスター達にも使えるため、ケイネスの物より大幅に汎用性が増している。欠点は魔力供給用のホムンクルスの製造に整った設備と莫大な資金が必要とされる事だが、供給もとの負担を全く無視して運用できるため、この技術に関してだけならばゴルドに軍配が上がる。
  • 東出氏によれば、実は1巻で退場する予定だったらしい。氏曰く、「彼は1巻で黒のセイバーに殴られた時、死んじゃう予定だったんですよ。実際、そのシーンを一度書いたんですけど…ゴルドが可哀想だったという以上に、セイバーが酷過ぎるなと(笑)」。
  • アインツベルンとムジークの関係は続いており、ダーニックは彼が入手した触媒は、アインツベルンを頼って手に入れた物であろうと推測している。
    ただ魔力供給用のホムンクルスはアインツベルンの技術を盗用して作られたものであり、ダーニックの推測が本当だったとしたら、なんとも厚顔無恥な話である。
  • 奈須氏によれば、「愛すべきダメ人間枠」のキャラクター。そのダメっぷりは間桐慎二並で、マスターとしてはシリーズ最低クラスの人物。Fateルートの慎二ですら意外に戦術を考えていたため、ゴルドの無謀振りが際立ってしまった。だが三巻で解放されたホムンクルスたちが身体の調整に難儀しているのを見ていられず手を貸すなど、まさかのツンデレ親父として再起を果たす。
    確かに言い訳しようもない位マスターとしては適性が低く、性格にも困ったところがあるが、その性根は腐っておらず最初のセイバーに命じた「喋るな」という命令も相手に不満が有れば取り消す考えも持っていた。
    ちなみに、この「全てを失ってから本気を出す漢」という役回りは、『CCC』のシンジやガトーを彷彿させる。
    • ファンからの愛称は「ゴルドさん」。間抜けで無能で傲慢で慢心しがちで、おまけに太った中年男という誰得なキャラクターだが、境遇の不遇さやある種の愛嬌がある憎めないキャラ性が受けて『Apocrypha』随一のネタキャラとして定着した。
      • ちなみに日本人が「ゴルド」と聞くと黄金(ゴールド)をイメージして高貴な雰囲気に見えるかもしれないが、恐らく彼の名の由来はスペイン語の「gordo(太った、肥満体の)」である。
    • 一時公式に稼働している作品の中で「最低のマスター」という不名誉な称号を得てしまったが、後にもっと酷いマスターが現れた。
  • 東出氏に「コンスコンづらですぐ死にそう」と評されている。「コンスコン」とは、TVアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン(主人公たちから見て敵サイドの勢力)軍人の名前で、確かにゴルドと似ている。主人公、アムロ・レイの乗るガンダム相手に3分持たずに全滅に近い損害を受けて戦死しているキャラであり、すぐに死にそうと言われるのも頷ける。
    • ただコンスコンの場合は相手が悪かった(この時期の主人公は桁外れに強かった)だけであり、強力な敵に対して戦力の集中投入を行うと言う適切な指揮をとっている。令呪の浪費という聖杯戦争における最悪の悪手を打ったゴルドほど無能な人物ではない。
  • 実は既婚者であり息子がいるが、彼とソックリな冷めきった瞳をしているという。魔術刻印の移植が既に可能な年齢らしい。

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