使い魔

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使い魔

魔術師の従者。主人である魔術師に代わって雑事を代行するモノの総称。

呼び方は「使い魔」とひとくくりにされているが、性能や在り方は様々である。

分身

本来使い魔とは、魔術師の分身であり、魔術師を象徴する「紋章」のような存在である。
研究のため工房から出るのを厭う魔術師に代わって、時に他者との交渉などで魔術師の代理人たるを勤めるもの。(ゆえに「紋章」)
代理を勤めるにあたって当然、知性を持ち、またその知性は本体である魔術師を再現したものでなければならない。
ただし、使用目的が単なるメッセンジャーであれば、それ用の道具を相手に送れば済む話である。使い魔の使用はその場限りではなくもっと多岐に渡るので、ただ単に「本体である魔術師の思考を再現」するだけでは上等とは言えない。
状況に応じて魔術師の考えを忠実に再現しながらも、「思考の方向性が異なる自分自身」——魔術の研究において別の視点を提供し、本体の思考の死角を指摘する、教師であると共に反面教師であることも求められる、独立した意志を持つ魔術師の一部。それが魔術師の分身たる使い魔である。

分身たる使い魔は、基本的に、人間霊(亡霊)、小動物の遺骸、魔術師の身体の一部(魔術回路を含む髪や血、眼球など)をかけあわせて作られる。
人間霊を用いるのは、ゼロから人間の思考の全てを再現する知性を作るのは手間がかかるため。魔術回路を分けるのは、本体と分身との肉体的繋がりと、エネルギーである魔力の供給のため。そして小動物であるのは、稼動させるためのエネルギーの効率上の理由である。(生きた人間を用いれば魔術回路以外の大部分の問題がクリアできるが、それは当然外道の手段である)
魔術師から分け与えられた魔術回路を持つため、使い魔は魔術師の魔術を行使できもする、「少し能力の劣る自分自身の予備」とも言える存在になる。中には、自分が死んだ時のための新たな身体として使い魔を用意している魔術師もいる。
ただし基本的に、魔術を使う機能はあっても、使い魔は魔力を自ら生成する機能を持たないため、魔術師からの魔力供給が不可欠。また、使い魔の生命維持には魔術師の魔力が必要であるため、魔術の行使の有無にかかわらず、常の魔力供給は不可欠である。(例外はある)
魔術師からの魔力供給なくしては存在を維持することは叶わず、魔術師が死亡すれば使い魔も(身に貯えた魔力が尽きれば)死亡する。基本的に、主人を持たない「はぐれ使い魔」というものは存在しない。

ちなみに、人間霊を用いてそれを新しい命として復活させている様が「死者蘇生」のように見えるが、死者蘇生は魔法の域である。ここで行われているのは、あくまで擬似生命体の創造にとどまる。

道具

分身のような汎用性はなく、主に特定の機能に特化したモノ。言うなれば魔術で作られたロボット。
分身である使い魔は基本的に主人の能力を超えることはないが、道具としての使い魔は機能を限定することで状況によっては主人以上の働きをするモノもある。
伝言や届け物といったお手伝い程度から、索敵や結界の展開、戦闘行為など、用途によって機能は様々。
分身たる使い魔は基本的に生命体(擬似生命体)だが、道具である使い魔は必ずしも生命体である必要はなく、文字通りの器物である場合もある。
特定の機能に特化・限定しているため、知性は作る手間に見合わない余分な機能であるので、備えない場合が多い。が、中には特例として、人間互換に順ずる高い知性を持つモノもある。
使い魔の常として主人との何らかの繋がりはあるものだが、場合によっては分身のように主人と共に滅びることをせず、主人を失った後も別の主人が再利用できるモノもある。

協力者

魔術師が己の手で作り上げるのではなく、契約などの何らかの手段で一時的な主従関係・協力関係にある存在。
一から作る手間は省けるが、主人の思い通りに動かない場合が起こりうるといったデメリットも内包する。
魔術師が己の手で作り上げた使い魔は基本的に主人の劣化コピーだが、協力者はその限りではない。モノによっては主人を遥かに超える存在である場合もある。ただしその分だけ、主人の思惑を外れる可能性は上がってしまう。

メモ

  • 人形使いの魔術師が使う自動人形(オートマタ)、特に魔術戦に耐えうるような戦闘用の自動人形は、今ではその魔術系統が廃れてしまっているため、作ることができないとされている。今は人形で戦闘用のものを作るより、普通の使い魔に同程度の機能を持たせた方が効率的らしい。
    そういった戦闘に使える人形は十七世紀以前に作られたものでなければダメで、希少価値がついており、高値で売買されているとか。
    ……が、蒼崎橙子はそのレベルの人形を作る技術を有している。

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