ジャンヌ・ダルク

2015年11月11日 (水) 21:10時点におけるカリス (トーク | 投稿記録)による版

ルーラー

  • 真名:ジャンヌ・ダルク
  • 身長:159cm / 体重:44kg
  • 出典:史実
  • 地域:フランス
  • スリーサイズ:B85/W59/H86
  • 属性:秩序・善
  • 性別:女性
  • イメージカラー:焔色
  • 特技:旗振り
  • 好きなもの:祈り / 苦手なもの:勉強全般
  • 天敵:ジル・ド・レェ(キャスターVer)
  • キャラクターデザイン:武内崇
  • 設定制作(企画段階):奈須きのこ
  • 設定制作(小説Apocrypha・GrandOrder):東出祐一郎
  • CV:坂本真綾

聖杯大戦を監督し、正しく導くために行動する、大聖杯に召喚された「裁定者」のサーヴァント

略歴
フランスの百年戦争で知られるカトリックの聖女。オルレアンの乙女(ラ・ピュセル)と呼ばれた救国の英雄である。
フランスの学生寮で、レティシアという少女に憑依するイレギュラーな形で召喚された。マスターが存在しない聖杯戦争の管理者として、トゥリファスの小さな教会に滞在する。
『Fate/Grand Order』では、一章の舞台、AD.1431の自分が死んだ直後のフランスに召喚される。どういう理由か聖杯戦争の知識を与えられず、能力も低下した状態で現界した。状況に戸惑いながらも、もう一人のジャンヌ・ダルクが引き起こした邪竜百年戦争を終結させ、フランスを今一度救うべく、主人公たちと共に戦う。
人物
信心深く清廉で善良な少女。二つの人格が統合しているため、フランス人の少女の記憶も大部分持ち合わせている。中立のサーヴァントとして振る舞うときは規律を第一とし、たとえ身に危険が迫るときも公明正大であろうとする高潔な精神を持つ。
元々教養とは無縁の生涯を送ってきたため、聖杯から与えられる知識と憑依した少女が持つ知識以外のことについてはあまり知り得ない。また、農家の娘であったからか、かつては食欲の塊のような野卑な兵士たちにも引けを取らなかったほどの健啖家である。
能力
武器は「旗」。
ルーラーのサーヴァントは聖杯戦争を管轄する絶対的な特権を有しており、魔術に関わりのない部外者を巻き込むなどの規律に違反する者には注意を促し、場合によってはペナルティを与えることもある。
その任を遂行するための能力を多数備えており、自身の半径十キロ圏内に及ぶ強力な索敵能力と聖水を用いたサーヴァントの探索機能はアサシンの『気配遮断』さえも完全に無効化する。またクラススキル『真名看破』によって、「聖杯戦争」に参加している全てのサーヴァントの真名、能力、宝具の詳細を知る事が出来る。更には各サーヴァントに対し、2回までの令呪の行使が可能。クラス別スキル『聖人』において現界時に選択できる4つの能力のうち“聖骸布の作成”を所持している。
彼女自身のスキルとしては非常に高ランクの『カリスマ』を有し、『聖人』と併せることで暗示の魔術などを用いずとも、自らの言葉を第三者に信じさせることが出来る。
聖杯戦争に参加しているサーヴァント達に聖杯から与えられる知識も、ルーラーに関する情報は厳重に秘匿されており、その存在には謎が多い。
他方、生者である少女の体に憑依して現界しているため、通常のサーヴァントのような霊体化は不可能。また、宿主となる少女の肉体に負担を与えないよう、食事や睡眠を必要とするなどの制限を受けてもいる。おまけに、普通の人間の肉体に宿っているためその保護に多くのエネルギーを必要とし、「サーヴァント」として活動している間はやたらとカロリーを消費しているので、物凄くお腹が減るペースが速い。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ルーラー - B B A A C A++ 対魔力:EX
真名看破:B
神明裁決:A
啓示:A
カリスマ:C
聖人:B
主人公 (Grand Order) B B A A C A++ 対魔力:EX 啓示:A
真名看破:B
神明裁決:A

宝具

我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)
ランク:A
種別:結界宝具
レンジ:1~10
最大捕捉:???
由来:聖女ジャンヌ・ダルクが常に先陣を切って走りながら掲げ、付き従う兵士達を鼓舞した旗。
天使の祝福によって味方を守護する結界宝具。EXランクという規格外の対魔力を物理的霊的問わず、宝具を含むあらゆる種別の攻撃に対する守りに変換する。
ただし、使用中は一切の攻撃が不可能。また、攻撃を防いだ代償は旗に損傷となって蓄積され、濫用すれば最終的には使用不能になってしまう。
作中では赤のバーサーカーの、地形を変え、ミレニア城塞を半壊せしめた程の破壊力を持つ『疵獣の咆吼』の一撃を受け流し、黒のアサシンの『解体聖母』の完全開放を不意打ちで受けてなお、その呪いの大半を吸収するなどの活躍を見せた。
また、本編に先駆けてTYPE-MOON公式のエイプリール企画で登場(ネタバレ防止のため伏字だった)した際には、セイバーの「約束された勝利の剣」さえもいなした。
ちなみにもっぱら攻撃に活用されており、『Grand Order』においては実際に槍のように突いたり殴ったりするところを見られる。使用法を抗議されるたびに「穂先に槍がついています。つまりこの旗で殴れよという啓示でしょう」と弁明しているとか。やめてさしあげろ。
紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)
ランク:C(発現前) / EX(発現後)
種別:特攻宝具
レンジ:???
最大捕捉:???
“主よ、この身を委ねます”という辞世の句を発動の呪文とし、炎を発現させる聖剣。
ジャンヌが迎えた最期を攻撃的に解釈した概念結晶武装。固有結界の亜種で、自身の心象風景を剣として結晶化したもの。
己の生命と引き換えに生み出す焔が敵対するあらゆる者を燃やし尽くす。使用の際は、柄ではなく、刀身を握りしめるようにして発動させる。
この剣は「英霊ジャンヌ・ダルク」そのものであり、使用後、彼女自身は消滅する。
EXなのは彼女が打ち砕くべき、と思ったものしか打ち砕けないという、単純な破壊力では計測が出来ない特性故。
その威力は聖杯と接続したシロウの捨て身の攻撃ですらも相殺することは能わず、大聖杯の八割以上を破壊した。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
中立のサーヴァント・ルーラーとして召喚されるが、やがて戦争の裏に存在する陰謀に気付く。
Fate/Zero
キャスターの回想に登場。
BD版特典の「お願い!アインツベルン相談室」においてもキャスターの口から語られる。それによれば、飛び出しがちなキャスターの眼球を目潰しで諌めていたらしい。
コハエース
『Zero』または『Apocrypha』関連の話題でたまに登場。すっかりクトゥルー系の容貌に変わり果てたジルにもこれといって動じない。
路地裏さつき ヒロイン十二宮編
2013年のエイプリルフール企画。なんと露出度の高い魔法少女コスチュームで登場、その名も「神風魔法少女ジャンヌ」。
コンセプトは「キュアでピースで真っ黄色」。「まだキャラが固まっていないので好き放題できる」との名目で語尾に犬の鳴き声を付けるなどの圧倒的あざとさと計算高さを誇り、相対した弓塚さつき達を戦慄させた。更に公開中公式HPの彼女の紹介イラストまでこの姿に変更されていた。なお、当該回のシナリオもイラストも『Apocrypha』の作者・東出氏と挿絵担当の近衛氏がそのまま執筆している。公式が病気。
魔女として処刑された彼女が魔法少女になるのはどうかと思うが、ガチでヒロインを狙ってきているピンクに対抗するために形振り構っていられないという事情もあるようだ。
Tmitter2015
2015年のエイプリルフール企画。英霊休暇を活用して日本をエンジョイする。
だが、そのはっちゃけ行為の数々がとある人物の堪忍袋の緒を切れさせるハメになる。
カプセルさーばんと
さーばんとの一匹「ジャンヌダルク」として登場する。自分の周囲に存在する敵を自軍に加える、という特殊なユニット。ギルガメッシュだろうがヘラクレスだろうが彼女の前に出すと簡単に裏切り、こちらに向かってくる。幸い、使ってくるのはジャンヌ本人だけだが、拠点前に召喚して能力を効果的に使ってくるので警戒が必要。
また敵マスター「ジャンヌ」としても登場。英霊休暇を使って冬木市にバカンスに来ており、圧倒的存在感と知名度を隠す為に変装をしているらしい。
コスト:800 / 戦闘力:- / 突破力:- / 移動力:- / 体力:C / 忍耐力:- / リキャスト:C
ちびちゅき!
所属不明。相変わらず数学が苦手で、テスト勉強では苦労している模様。
Fate/Grand Order 
ルーラーのサーヴァントとして参戦。レア度は最高位のSSR(☆5)。イラストレーターは武内崇。
ストーリーでは第一章のキーキャラクターとして登場。

人間関係

Fate/Apocrypha

ジーク
黒のセイバー脱落の真相を確かめるために探していた。
黒の陣営で魔力供給源として使い捨てられているホムンクルスたちを救出せんとする彼と、同じくマスター以外からの魔力供給を問題視していた彼女との間で目的が一致し、行動を共にすることになる。
聖杯大戦の被害者として、保護対象とみなしている。年長者ぶろうとしているが、腹ペコで倒れたところを助けてもらったり、数学の勉強を教えてもらうことになったりと、イマイチ威厳を保てていない。
黒のライダー
ジークを助けようとするアストルフォとルーラーの間で目的が一致している。一方、彼の理性の蒸発した性格を「何をするかわからない」と危険視してもいる。
なお、ルーラーはアストルフォの真名は把握しているが、彼のステータスの性別欄が悪戯書きによって塗りつぶされているせいで彼の事を一貫して「貴女」や「彼女」と呼んでいる。その為、ジークを巡る恋のライバル(?)となっている。
赤のアーチャー
子供の怨霊の集合体である黒のアサシンを「救えない」と断じて消滅させようとしたルーラーに対して、子供の守護者たらんとする赤のアーチャーから一方的な敵愾心を抱かれた。以後、憎しみを持って付け狙われている。
レティシア
憑依したフランス人の少女。聖杯大戦以外の知識は彼女のものがベースとなっている。
極めて感受性が強く、信仰心に篤かったせいか、自身に宿った聖女の人格をごく自然に受け入れた。
やや男性恐怖症気味で、ジークとの距離感に影響することもある。
アルマ・ペトレシア
下宿させてもらった教会のシスター。
純朴で神の愛以外に必要なものは存在しないような女性……かと思いきや、実は聖堂教会から派遣されたユグドミレニア一族への監視役。ジャンヌの正体にも当初から気づいていた。
シロウ・コトミネ
彼の野望の最大の障害と見なされており、一方的に敵視されている。
彼女を確実に抹殺するために、赤のランサーを刺客として送り込んだ。

Fate/Grand Order

ジャンヌ・オルタ
もう一人のジャンヌ・ダルク。ジャンヌ自身の暗黒面なのか、それとも……。
マリー・アントワネット
第一章で共闘する。フランスを愛する者同士意気投合し、友人に。
ジークフリート
第一章で邪竜ファヴニールに対抗する手段として、彼に掛けられた呪いの除去を行った。また、彼を所持していると「ジーク君」に触れるマイルーム会話が聞ける。
メフィストフェレス
キャラクエ「我が神はここにありて」において『別の何者か』に召喚された彼と対峙している。

生前

ジル・ド・レェ
かつて共に轡を並べ、戦場を駆け抜けた戦友。彼が神に絶望し、多くの子供達の命を奪った事を嘆いた。
ピエール・コーション
彼女を火刑に処したフランスの異端尋問官。
『Fate/Grand Order』にて端役で登場。
一説には「男装するな」と誓わせておいてその日のうちに牢屋に粗野な男達を番につけ彼女を襲わせ、女のままではまた襲われると思った彼女が再度男装したことで異端としたとされる。
シャルル七世
敬愛し、共にフランスを救うよう謁見で呼びかけたフランス国王。
ジャンヌの助力により戴冠したが、敵であるブルゴーニュとの和平を望んだことで袂を分かち、彼女を見捨てることになる。

その他

フランチェスカ
何故か「聖杯戦争ごと凌辱したい」という歪んだ感情を向けられている。
過去の聖杯戦争で関係を持ったのか、生前に面識があったのかは不明。
JKジャンヌ
2015年のエイプリルフール企画にて、度重なるキャラ崩壊やピンク髪ディスを行い、「ジャンヌの人気を下げた」と本体(Apocrypha)は激怒、強制的に吸収した。

名台詞

Fate/Apocrypha

「―――主よ、この身を委ねます―――」
生前の最後の言葉。
弾効され、罵倒され、責め苦を受けてもなお、彼女の心にはただ祈りしかなかった。
「私のような農家の子女でも教育を受けられる。……良い世の中です。」
「……さっぱり分かりません。」
聖杯は現世で活動するのに必要な知識は授けてくれるが、教科書の中身までは教えてくれない。
悪戦苦闘の予感を覚えながらも、真面目な彼女は数学の教科書という強力な敵に立ち向かう。
「――それこそ愚かです。主は我々を見捨ててなどいませんよ。
 いや、そもそも主は誰一人として見捨てていらっしゃらない。ただ、何も出来ないだけです。
 祈ることも、供物を捧げることも、全ては己のためではなく主の為の行いでしょう。
 主の嘆きを、主の悲しみを癒すために我々は祈るのです。そう、私は確かに――
 “主の嘆きを聞いたのです”」
黒のランサーの「神にすら見捨てられたお前に願いが無い訳がない」という言葉への静かな反論。
「すいません、ついでに背負って下さい。お腹が空いて、一歩も動けません……」
「お腹が空くことが、これほど辛いとは思いませんでした。あの、そろそろ食べられるなら木の根を齧ってもいいとすら思えてきたのですが、どうしましょう」
黒の陣営との会談の後、探していたジークに会って彼の願いを果たしに行こうとした矢先にへたりこんでこの台詞。特に後者の台詞はかなり本気らしく、三十分もしないうちに本気で木の根を齧り始めるだろうと聞いていたジークに思わせた。
人間に憑依する形での現界や自身の燃費という理由で仕方が無いとはいえ、それまで見せていた毅然とした聖女の姿は欠片もない。
「な、な、な、ななななななななななななな何を言いだすんですかいきなり!?」
「こ、子供っ!子供って!子供って!こ、子供は天からの授かり物ですし聖杯戦争中にそんなことを考えるなんて破廉恥極まりないと申しますかそもそも相手が………って違う!ああああもう落ち着け私!」
ジークから「あなたは、妊娠できるのか?」と質問されて大パニックになる。はっきり言ってセクハラ以外の何物でもない質問であり、聖女の威厳が完全に吹っ飛んでしまっている。
「あの……まさか……ジーク君は、私を妊娠させたいんですか……?」
意趣返しとばかりに、逆セクハラ。しかもこの時のジャンヌは、恋する乙女そのものだった。
ルーラー「アーチャー、あなたも英霊として理解しているはずです。その子らは救えない。彼らが生きるということは、仲間を増やすという意味に他ならない。そもそも、その子ら自体――――安らかな場所に魂を帰還させることが慈愛です。」
アタランテ「何が慈愛なものかッ!!救うことが聖女の役割だ!オルレアンの乙女、戦場で剣を抜かず、旗を振ったは何が為だ!殺さない為だろう!その手を血塗れにしない為に―――」
ルーラー「―――そう思いますか、“赤”のアーチャー」
ルーラー「剣を使わなかったから、私の手が血に塗れていない?まさか。―――私はあの戦いに加担した。戦うと決めた。その瞬間から血に塗れたも同然です。甘く見ないで下さい。彼女たちを滅ぼすことに、躊躇いはない!」
アタランテ「ならば、ならば。貴様は聖女ではない……!」
ルーラー「いかにもその通りです、“赤”のアーチャー。誰もが私を聖女と呼ぶ、けれど他ならぬこの私だけがそう思ったことは一度もないのです。」
ルーラー「此処は彼女たちの記憶の世界、残留思念が生み出した幻影に過ぎません。永遠にこの曖昧な世界で苦しませ続けるつもりですか!?さぁ、そこを退いてください。」
ジャック・ザ・リッパーの本体である怨霊達を浄化しようとするジャンヌと、それを防がんとするアタランテ。どちらにも譲れない想いがあるゆえ、両者は決定的に道を違える事となる。
“主の恵みは深く、慈しみは永久とこしえに絶えず”
“あなたは人なき荒野に住まい、生きるべき場所に至る道も知らず”
“餓え、渇き、魂は衰えていく”
の名を口にし、救われよ。生きるべき場所へと導く者の名を”
“渇いた魂を満ち足らし、餓えた魂を良き物で満たす”
“深い闇の中、苦しみとくろがねに縛られし者に救いあれ”
“今、枷を壊し、深い闇から救い出される”
“罪に汚れた行いを病み、不義を悩む者には救いあれ”
“正しき者には喜びの歌を、不義の者には沈黙を”
“―――去りゆく魂に安らぎあれパクス・エクセウンティブス
洗礼詠唱。怨霊に与えられるものは救いではなく消滅のみ。
「飛行機ではなくて戦略爆撃機……ううむ、いずれにせよ破壊力のある兵器が必要なのですが……
 ミサイル……バンカーバスター……
 いえ、不遜な名称ですがいっそ『神の杖』あたりを……」
『虚栄の空中庭園』への突入に、近代兵器の使用を検討するのはいいのだが……。
『神の杖』とは、アメリカ軍が核兵器に代わる戦略兵器として開発しているとされる宇宙兵器である。タングステン、チタン、ウランを用いた金属棒に小型推進ロケットを取り付け、高度1,000kmの低軌道上に配備した宇宙プラットホームから発射し、地上へ向けて投下するというもの。
落下中の速度は約マッハ9.5にも達し、その運動エネルギーが生み出す破壊は極めて大規模かつ甚大で、核爆弾に匹敵するだけではなく、地下数百メートルにある目標すら破壊可能だとされている。地球全域を攻撃する事が可能とされ、即応性や命中率も高い上に電磁波を放出しない特性から探知する事が難しく、迎撃は極めて困難だという。
現実では「金属棒の重量からは計算された威力は発揮されない」、「金属棒が大気との摩擦熱で融解してしまう」などの反論から実現性を疑う声も存在する。なお神の杖のような大量破壊兵器を宇宙へ配備するのは国連が定めた「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(通称・宇宙条約)」の平和利用の原則によって禁止されている。
……はずなのだが、型月世界では現物が作られているだけでなく、実戦配備されているらしい。
実際に使ったら不遜どころの騒ぎではない。ルーラーが提案した過激な戦術にフィオレは「大胆ですね」と顔を引き攣らせ、この呟きを聞いたゴルドは「世界を終わらせる気か…」と絶句していた。
「ああ、ライダーですか。上がったのなら、交代して戴けないでしょうか――――――」
洗面所で手を洗っている所をシャワーから上がったライダーと出くわし……その瞬間、世界が静止した(または歴史が動いた)。
「分からなかったんですよ!!」
「……確かにサーヴァントの中には、能力を隠蔽する術や能力を持っている者もいます。でも、イタズラするのは前代未聞ですよ……一体何をどうやったらこんなことやれるんですか………いえ、やれるやれないはともかく普通やらないですよ……もう……」
ようやく黒のライダー男性である事を認識したジャンヌ。それにしても、風呂上りに全裸を見られるのは普通は逆なんだが……。
「―――悲しい、英雄ひとですね」
己を殺すため、魔獣と化し憎悪すら彼方に追いやってしまった純潔の狩人を悲しんだ一言…。
裁定者ルーラーを、舐めるなアタランテ……!!」
両手で己の首を締め付けている魔獣が抱く剥き出しの憎悪を、一点の曇りもなく、真正面から叩き潰す。たちまちの内に、魔獣の両手は引き剥がされた。
“私が殺した!”
“私が殺した。私がこの手で選び、この言葉で唆し、彼を殺したのだ!”
“人殺し。どうして死ぬ気で止めなかった!彼に嫌われてもいいと、悲しまれてもいいと、心を凍らせて彼を拒絶しなかった!”
“嘘つき、嘘つき、嘘つき!私は彼の死を知っていたはずなのに!こうなることを、ここに至ることを知っていたはずなのに……!”
赤のキャスターから己がジークを殺すのだと指摘された直後に黒のセイバーの消滅をルーラーとしての能力で感じ取りジークもまた死んだと思い、全く呆気なく、別れも告げられず、目を逸らし続けた結果に慟哭する。
「違う!違います!彼の死は、世界に必要だったんじゃない!
 私の責任、私が背負わなければならないものだ!」
シロウとジルがジークを死なせた償いとして人類の救済を指し示すも、彼女はもう少しで彼の死を何かに押しつけそうになっていた自分を振り切り、立ち上がって声を限りに叫ぶ。
「天草四郎時貞。貴方の行為は人類ひとへの不信だ。
 これまで積み重ねてきた全てを台無しにするものだ。
 何故なら数千年もの間、人は悪と戦い続けてきた。
 幾度敗北してもなお諦めず、善良なる者たちの犠牲を乗り越えて、此処までやってきた!」
痛みを堪えて―――人間らしく、二本の足で大地を踏みしめる。最愛の少年の視線を背中に感じながら、完璧な救済を掲げるもう一人のルーラーに断言する。
「ジル、私たちは死者サーヴァントです。
 死者が生者を導くなど、まして人類の救済など烏滸がましいにも程がある。
 止めましょう、ジル。
 私たちを礎にして、人は少しづつではあるが前に進んでいる。それで良しとするべきです」
嘗ての盟友に死者が生者の世界に干渉すべきではないと諭しながらも、神の裏切りを憎み、堕ちた英雄である彼ですら、人類救済という夢を愛おしく思っていることに彼女は妙に嬉しかった。
「償いを人類の救済に求めるのは止めなさい、ジル!
 貴方の罪は貴方だけのもの。償えないとしても、その絶望はやはり貴方だけのもの。
 貴方は他者にその悪の償いを押しつけるのですか!?
 私も貴方も罪人つみびとであり、犠牲となった者たちに償う方法など存在しない!
 その苦悩を、その絶望を抱え続けるしかない。
 やり直しはできない、だがわずかではありますが、頽れた生者に肩を貸すことはできる。それが英霊であり、それが我々の精一杯なのです」
己の贖罪をシロウの人類救済に求めようとするジルの胸ぐらを掴んでの叱声。歯痒い気持ちであることは理解しつつも、それでもやはり、あらゆる面で人類の平均を上回っている自分たちが、総体としての人類を導こうなどと考えてはならないと諭す。
「神は全てを許すでしょうし、貴方が殺した子供たちは全てを許さないでしょう。
 その罪、その罪悪感、それは永遠に背負うべき罰です。
 ……大丈夫です、肩は貸して上げます」
上記の台詞の後、「自分は、許されないのか」と問うジルに対する答え。罰が拭い去れる日など、永劫訪れず。己を罪人と憎みながら、それでもなお英霊として世界を救う―――。それが、彼らに与えられた罰であり、救いだった。

Fate/Grand Order

「主よ。今一度、この旗を救国の―――いえ、救世の為に振るいます」
「サーヴァント・ルーラー、召喚に応じ参上した。……ですがマスター。調停者ルーラーのクラスですら、もはや一介の英霊にすぎないのです」
「秩序は燃え尽きた。多くの意味が消失した。わたしたちの未来は、たった一秒で奪われた」
「聞け、この領域に集いし一騎当千、万夫不倒の英霊たちよ!本来相容れぬ敵同士、本来交わらぬ時代の者であっても、今は互いに背中を預けよ!」
「我が真名はジャンヌ・ダルク。主の御名のもとに、貴公らの盾となろう!」
「貴方の戦いは、人類史を遡る長い旅路」
「ですか悲観する事はありません。貴方には無数の出会いが待っている」
「この惑星ほしのすべてが、聖杯戦争という戦場になっていても」
「この地上のすべてが、とうに失われた廃墟になっていても」
「その行く末に、無数の強敵が立ちはだかっても」
「結末はまだ、誰の手にも渡っていない」
「さあ―――戦いを始めましょう、マスター」
トレーラーのナレーション。未来を取り戻す物語が始まる。
「我が旗よ、我が同胞を守りたまえ! 『我が神はここにありてリュミノジテ・エテルネッル』!」
宝具発動。聖女の掲げし旗は同胞を守護する力をもたらす。
「ジーク君がどうかしましたか? まさか、またトラブルに巻き込まれているのでは……」
ジークフリートとの特殊会話。どうやらジークのことをはっきり記憶しているようだ。
「――夢を見ている。――“彼女”が楽しいとわらっている。」
「悪を殺すことは悪を踏みにじることは、とても正しいこと。」
「だからたのしい。だから嗤える。」
「――ああ。私にあんな感情ものはない。――それでも。」
「あれは、もしかすると。得難い“何か”ではないのだろうか。」
「そんな、愚かなことを考えてしまう自分がいた。」
キャラクエでの台詞。何かに悩んでる様な……。

カプセルさーばんと

「『ドッキリ!!極東の地に聖女降臨!!』なんて見出しが明日の朝刊に踊ってもいけませんしね」
「こう見えても、私、世界的超有名英霊『ジャンヌ・ダルク』ですし?」
JK仕様なのは身分を隠すための変装で今回はルーラー特典の有給を使い極東を旅行していた。
「黒のライダー……」
「突撃隣のピンク髪!」
アストルフォ召喚時の台詞。前者は他のApocrypha系のさばを召喚した時と比べて露骨にテンションが低く、後者の台詞はテンション高く、とても楽しそうに叫んでいる。乙女心は複雑な様子。
「ぐぬぬ……」
「ほら!見てくださいこの旗、すごい宝具なんですから!」
「ジルなんかこれ振るだけで敵陣めがけてフランスBASARAしちゃうぐらいテンションあがってもうタイヘンだったんです!」
対シロウ。フランスの偉人と言ったら私でしょうと言ったらシロウにナポレオンは知ってると言われたので凄さをアピールする。
「ルーラーとかぶっちゃけ罰ゲームみたいなものですし、私もたまには聖杯とか取り合ってみたかったんです!」
7年後、士郎に土蔵で召喚されたジャンヌ。アポクリファの彼女からは想像もできない「ルーラー≒罰ゲーム」発言が飛び出す。
確かに「ルーラー」は聖杯を勝ち取る権利がないのに聖杯戦争に参加させられる損な役回りなので、罰ゲームといえば罰ゲームかもしれない。
もっとも、その反面全サーヴァントに対して令呪を持っていたりスキル「真名看破」を持っていたりと色々と恵まれているのだが……
「見てください、この生涯に一度ぐらいしか使えない紅蓮の……、あっコレ自爆宝具でした!!(てへっ)」
同上。昔会ったとき宝具がなんか地味、剣からビームとかの方がわかりやすいと言われたので派手なのを持ってきたらしい。
使い勝手は最悪だが。
「え? ルーラーとかいらない? ご安心ください」
「私ほら、剣も持ってますし、ただのバターナイフでも+10ぐらいの性能にできますし、たぶんセイバーでいけますよね?」
7年後、凜に召喚されたジャンヌ。アーチャーと同じく家具を破壊しながら偉そうな格好でのたまう。
確かに彼女はステータス的にセイバーの適性を持っている。いちおう剣の宝具も持っていることだし、固有スキル「聖人」のチートぶりもあいまって優秀なサーヴァントになれるかもしれない。
ただ、どこぞの湖の騎士と違っていくら彼女でもバターナイフで戦うのは無理がある。そもそもバターナイフ+10ってイロモノ武器にしか思えないのですが。

その他

「ふふ……あざといですか?あざといですって?
 最高の褒め言葉です、ワン!」
エイプリルフール企画『路地裏さつき』にて。神風魔法少女ジャンヌ、降臨。
「他の女性キャラならいいんです。
 セミラミスとか。ジャックとか。
 でも……でも、あのピンクには負けられない!
 乙女として、決して負けられない理由があるのです、うワーン……っ!
彼女がキャラを崩壊させてまで必死にヒロインの座を死守しようとする理由。
正直それもどうかと思わせる濃い面子だが、確かにに負けるよりは遥かにマシかもしれない。
「『そういうのいいですから』」
2015年エイプリルフール企画にて、乱行の見苦しい言い訳を続けるJKジャンヌに対する座の本体からの一言。
これだけ取り出すと普通の台詞だが、同じ時系列上でとあるシリアスイベントが行われていたため、同じタイムライン上に並べると最悪の茶々入れになってしまう。
このせいでジャンヌを担当した中の人が散々に突っ込まれるハメになった。(もしかしたら確信犯かもしれないが)
「カルピスが無料で飲み放題とは、極東のホテルは素晴らしいですね、ネットも繋ぎ放題、宿泊料も超お安いですし。」
同上。聖処女よ、それはホテルではありません。ネカフェです。
「だから似てないっていってんでしょ!!聞いてんですか、ウロブチィいいいい!!」
ぐだぐだオーダーにて。ドヤ顔で登場するも、「またセイバーか」とディスられた事にキレて青セイバーの首を締め上げる。一応、本編の第一章で魂が似てると称された。というか、勘違いでストーキングされた青セイバーはむしろ被害者である。

メモ

  • キャラクターデザイン原案は武内崇氏。設定制作を担当したのは奈須きのこ氏。
  • ジルセイバーをジャンヌと勘違いした事から、よく彼女もセイバーと似たような顔だと思われがちだが、武内氏によるとデザイン自体は特にセイバーを意識していないとの事。
    また外見の共通点も金髪白人という事のみでセイバーとはあまり似ていないと語られている。彼が勘違いしたのは顔ではなく、その雰囲気による所が大きい模様。
    • 実際セイバーと同じ顔である赤セイバーモードレッドは一目で別人だと認識されている。
    • エイプリルフール企画では一連のセイバー系ヒロインとしてカウントされてはいるが、弓塚さつきとリーズバイフェからは本家セイバーとは別に似てないと発言されている。そして最大の違いは、やはり女性らしさというか、母性の大きさというか……つまるところ、ジャンヌの方には夢とロマンがつまっているのである。実にあざとい。
  • 武内氏お気に入りのキャラクター。
    武内氏の彼女への入れ込みようは凄まじく、最初の頃の打ち合わせ中「ジャンヌは女子高生ってよくない?」が氏の口癖であったらしい。これを聞いた奈須氏を含むTYPE-MOONのスタッフからは「何を言っているんだこいつは」と正気を疑われてしまう。
    結局その願いは周囲から「いや、気持ちはわかるけど落ち着け」と抑えられてしまうが、抑圧された反動からか、『Zero』のアンケート企画描きおろしイラストで「マスター・アルトリア」が爆誕。奈須氏曰く、ダメだしされた怨念から生まれたイラストであるという。
    武内氏の「ジャンヌを女子高生にする」という野望は藻屑と消えたかと思われていたが、この話を聞いた東出氏により「女子高生に憑依して現界する」という離れ業を用い、武内氏の願望は達成されることとなった。
  • 『聖人』の能力は召喚された時に“秘蹟の効果上昇”、“HP自動回復”、“カリスマを1ランクアップ”、“聖骸布の作成が可能”から、ひとつ選択される。
  • 「ルーラー」のクラスに選ばれる詳細な条件は現段階では不明。資格の一つに「現世に何の望みも持たないこと」が挙げられている。
  • 空の境界』で霊長の抑止力の話を聞いた黒桐幹也が、彼女も何かに後押しされた結果ではないだろうかと連想している。
    • なお、あくまでも彼の推測であり、彼女が実際に抑止力の後押しを受けていた証拠はない。そもそも、以下にも述べられているが、「侵略されかけていたフランスを救う」という行為を、人類の存続を願う無意識である抑止力が後押しする理由が(直接的には)ない。
  • かつて轡を並べたジル・ド・レェは、努力しても署名ができる程度にしか読み書きが上達せずに悩んでいた彼女を「それだけ書ければ充分でしょう」と大いに笑って励ましたという。
    ………救国のためにジャンヌと共に戦っていた彼は輝いていた。
  • ルール違反に厳格なように見えるが、止むを得ない事情が有る場合は許容することもある。
    聖杯戦争は一都市で行うものであるため、トゥリファスから離れたシギショアラに駐屯している赤のサーヴァント達はルール違反をしていると言える。だが、トゥリファスはユグドミレニア一族の管理地であって隠れ潜める場所が非常に少ないことを考慮すれば、彼らの戦略も致し方の無いものとして許容している。
    • また、ジークに対しては、少なくともレティシアの人格はおそらく慕情を抱いており、竜告令呪の性質を知って自身の持つ令呪二画を譲渡するなど、ルーラーの職務から逸脱するレベルでの肩入れを行っている。
  • 彼女の「ルーラー」としての方針は、聖杯大戦による人的被害や公共物の大規模な破壊だけでなく、宝具による自然破壊にまで気を使っている。
    結局、黒のアサシンやらシロウによって大分被害は出てしまったが。
  • 唯の田舎娘だった筈な割にはそのステータスはかなりハイスペック。知名度補正もその英霊の全盛期まで押し上げる効果しかないので、聖杯大戦参加者に容易に拘束、または殺害されないための防御手段としてこの数値になったクラス「ルーラー」特有の恩恵か、もしくはTYPE-MOON世界の彼女は素でこれ程の能力を誇るかのどちらかだと思われる。
    まあ、どこぞのパン屋の娘が並の魔術師の100倍の魔力を持つ事もあるので、この世界では充分有り得る事である。また抑止力に後押しされていた可能性もある。
  • 『Zero』に僅かながらも登場したため、TYPE-MOON10周年人気投票では(当時はまだ設定のみだった)『Apocrypha』キャラの中では唯一投票が可能となっており、数秒しか出番がなかったことを考えれば大健闘と言ってもよい55位という順位を獲得している。
    • もっとも戦闘機パイロットの小林が71位になっていたりするので、『Zero』アニメの放送直後という時期によるものも大きかったのだろう。
  • 『Apocrypha』における腹ペコ枠。霊体化できないことと言い、どうしても彼女との共通項が出てしまうようだ。更にかなりのうっかりキャラである事も3巻で判明する。

話題まとめ

信仰心厚き少女
1412年頃に生まれ、12歳の頃、大天使ミシェル、聖カトリーヌ、聖マルグリットからフランス王太子を助けよという啓示を授かったといわれる。しかし現代ではノーベル賞受賞学者にも認められたルルドの泉等の「神の奇跡」は説明のしようがないので「幻聴じゃないか?」などと研究者には言われてしまっている。哀れ……。一方で、明晰な頭脳を有していたことが文献から明らかになっている。
王太子シャルル7世の信頼を得たジャンヌは、フランス軍を導いてイギリスに追いつめられていたフランスを逆転へと導いた。
悲劇的な最期
イギリス側に捕縛され、異端審問にかけられた彼女は、農家の娘でありながら素晴らしい答弁でイギリス側を圧倒した。そのためイギリス側は最終的に、彼女が文盲であったことを利用して、背教者であることを認めたという書類を、裁判の宣誓記述書と偽って彼女にサインさせた。
彼女が火刑に処されたのは、遺体が残らないために最後の審判で生き返ることができない、キリスト教徒にとって最も苛烈な刑罰のためである(キリスト教徒の遺体は土葬が普通)。また、彼女が高温と酸欠で窒息死したのち、一度火は遠ざけられ、裸体を群集にさらされるという屈辱も受けた(魔女は両性有具だとされていたため)。そして燃やされたのち、灰は土に決して返さないという意味で、川に流されたとされている。敬愛する相手がこんな目に遭わされたら、ジルじゃなくたって世界や神に絶望するだろう。
尤も彼女自身は最初からこの結末を覚悟しており、無念も後悔も無いと語っている。誰もに愚か者と罵られ、虐げられるのならせめて自分自身だけは裏切らない。彼女の胸にあったのはそんな高潔な想いであったという。
また、シェイクスピアからは史劇で、彼女の想いを嘲り笑うような余りに酷い扱いをされている。これも当時の時代背景によるものではあるのだが……詳しくは彼の項目にて。
過激だった聖処女
『Apocrypha』では活発な少女という設定だが、史実の彼女はかなりの強硬派だったらしい。
ランスでの戴冠式後、現状維持を望んだシャルル王や貴族たちに反対してあくまでパリ攻略を主張し、捕虜となったイングランドの騎士たちは容赦なく殺害したとも伝えられている(当時は身代金との交換が普通)。戦場での戦いぶりも凄まじく、大砲の集中投入や夜襲・奇襲・朝駆けも当たり前(当時は戦端は昼間に開き、日没と共に矛を収めるのが普通)で、勝利の為にはあらゆる手段を用いた。
農民出身の彼女に政治的な考えや貴族社会の常識が欠けていたのは仕方のないことだが、この苛烈さは王宮内における彼女の孤立を深め、自身が捕虜となった際に身代金惜しさから見捨てられるという末路を招くこととなる。だがシロウの企みを阻止するためとはいえ戦略爆撃機やミサイル、しまいには『神の杖』を空中庭園めがけてぶっ放す事を考えたり、Fateのジャンヌもかなり過激である事が分かってしまった。平然と提案する辺り、生前の過激なやり方は全く変わっていないらしい……。
また、東出氏は彼女の人物設定で大変苦労したらしい。「信仰心」を強調すると、史実通りの過激な狂信者としての面が出てきてしまい、夢見がちな乙女にし過ぎると、シェイクスピアに馬鹿にされ続けたキャラクターに非常に近いものとなってしまう。また過去の作品の登場人物と密接な関係を持ち、「抑止力」とも関係がある彼女の人物設定は慎重に行わなければならない、という配慮もあったと思われる。もっとも、「アインツベルン相談室」ではジルのギョロ目を目潰しをして元に戻していたそうだから、見た目によらず過激だったようであるが。
それほどセイバーに似ているわけではないとされる彼女だが、「一度は国を救いながら、最後には人心が離れて非業の死を遂げる」「勝利のためならば手段は選ばなかった」という点は共通している。
史実では旗持ちに過ぎなかった彼女が(企画段階の設定ではあるものの)セイバー適性を持っているのも、自ら兵の先頭に立つ戦乙女というイメージを託されているからかもしれない。似たようなイメージが先行しがちと言えば、源義経もあげられる。
聖人の認定は数十年以上かかることもザラとはいえ、ジャンヌ・ダルクの列聖は死後五百年近く経ってからであり、際立って長い。元は一地方の英雄に過ぎなかった彼女だが、フランス革命以後、王家に代わる国威発揚の象徴として美化され祀り上げられた。特にナポレオンは無名に近かったジャンヌの宣伝を積極的に行っており、フランス各地にジャンヌの銅像を作らせた。彼女自身は王党派だったが、平民出身というのが共和党にとって都合が良かったためである。強大化したフランスと彼女の知名度をバチカンも無視できなくなり、政治的判断から聖人に加えられた。聖女としてのイメージと史実の彼女に大きな乖離があるのはこのためである。
第二次世界大戦でも新ナチス派のビシー政権とシャルル・ド・ゴール率いる自由フランス軍の双方がプロパガンダに利用しており、生前のみならず死後も時の政治に利用されつづけられている。
遅咲きの聖人
フランスの聖女として世界的知名度を誇るジャンヌ・ダルクだが、聖人として認定されたのが極めて遅かったことでも有名である。1431年5月30日に処刑された後、聖人の地位につく「列聖」を受けたのが1920年5月16日と、彼女の死から489年が経過してようやく聖人と認められた。信仰に命を捧げる殉教者であったジャンヌだが、生前の経緯によるものかその復権は遅れに遅れ、最終的に20世紀に入ってからの聖人入りという苦労人であった。
竹筆日記にて
『Fate/Zero』放送時、奈須きのこ氏は自身のブログである竹箒日記にて、ジャンヌ・ダルクについて以下のように語っている。
「ジャンヌダルクの最期はもう悲惨なんて言葉で表せないぐらいのもので、異端裁判から処刑までの間、あらゆる陵辱が行われ、彼女から尊厳も奇跡を奪いつくしたと言われています。
「神の声を聞いたのは嘘だったと言え」
ただ一言、そう口にすれば解放される―――その状況で彼女がどこまで信仰的純潔を守り通せたかは諸説様々ですが、どうあれ、救国の乙女はこの上なく無惨な方法で処刑されます。
その過程で精神を病み、廃人になっていてもおかしくはない。むしろ狂ってしまった方が救われたかもしれない。救国の乙女に与えられた報酬は、そんな暗いものだったのです。」
この話が『Fate/Apocrypha』の彼女にどれほど影響しているかについては不明である。
3人のジャンヌ
英仏百年戦争でジャンヌと言えば一般的にはジャンヌ・ダルクの事を指すが、実は彼女以外にもパンティエーヴル女伯ジャンヌと、モンフォール伯妃ジャンヌという2人の「ジャンヌ」が百年戦争初期に関わっている。この2人はブルターニュ地方の継承問題で激しく対立し、両者の対決は「2人のジャンヌの戦い」とまで言われた。特にモンフォール伯妃は女傑として名高く、拠点としていたエンヌボンが包囲された時は自ら騎士団を率いて包囲網を突破し、ブレストから援軍を引き連れて再び包囲網を破ってエンヌボンに入城するというジャンヌ・ダルクに劣らない武勇伝が残されている。
最終的にモンフォール伯妃の息子ジャン4世がブルターニュ公の地位についた事で一応の決着をつけたが、この戦いではモンフォール伯妃をイギリスが援助していた為、イギリス軍がフランスに上陸する口実を与える事となってしまう。
「中の人」関係
担当声優の坂本真綾氏は、『Apocrypha』がメディアミックスされていない状態で、『Fate/Grand Order』にて初めて発表された。TYPE-MOONでは両儀式役で有名。
坂本氏は朗読活劇レチタ・カルダ「ジャンヌ・ダルク」にて語り手としてジャンヌの生涯を演じているほか、レベルファイブより発売されたPSP用ゲーム『JEANNE D'ARC』でもジャンヌ・ダルク役を演じている。ジャンヌ役になにかと縁がある声優であり、そういう意味でもぴったりな配役と言えるかもしれない。
『Fate/Grand Order』では同氏が主題歌「色彩」を歌っている。

商品情報

リンク