ジャック・ザ・リッパー (Apocrypha)

アサシン (Apocrypha・黒)

  • 真名:ジャック・ザ・リッパー
  • 身長:150cm / 体重:45kg
  • スリーサイズ:B69/W49/H71
  • 属性:混沌・悪
  • イメージカラー:ブラッドレッド
  • 特技:解剖
  • 好きなもの:六導玲霞 / 苦手なもの:世界
  • 天敵:スコットランドヤード
  • CV:丹下桜
  • キャラクターデザイン(オンラインゲーム版『Apocrypha』企画段階):真田茸人
  • 設定制作:東出祐一郎

暗殺者」のクラスのサーヴァント聖杯大戦において、六導玲霞と契約した。肌の露出が多い衣装を纏った、短めの銀髪にアイスブルーの瞳の少女。

略歴
彼女を召喚しようとしていたユグドミレニアの魔術師・相良豹馬は、人血で描いた魔法陣のみを用いた召喚が失敗したため、人血の魔法陣に加えて触媒であるナイフによる玲霞の殺害を加え、二度目の儀式で召喚に成功した。しかし召喚成功の直前に彼の呼びかけよりも玲霞の『死にたくない』という願いに強く惹かれ、彼女のサーヴァントとして現界する。
豹馬から令呪を宿した腕と下顎を切り落とし、玲霞への令呪の移し変えが終了後殺害。正式に彼女をマスターとして行動を開始し、魔力補給のために裏路地で女性を襲う暴漢やマフィアなどの悪人を殺戮しながら、聖杯大戦の地に向かう。
「黒」も「赤」も自分の願いの邪魔になるため最初から敵と見做しており、シギショアラで獅子劫のバックアップとして魔術協会から派遣されていた魔術師達というより良い餌を見つけ彼らを皆殺しにする。これによって異常を感知し、自らを囮として現れた獅子劫と赤のセイバーとの戦闘に突入する。
黒のアーチャーの介入後、セイバーとの戦闘から離脱。受けた傷を修復した後、シロウ達の攻勢に便乗する形で戦線に乱入し、ユグドミレニアのホムンクルス達を捕食して魔力補給を行い、戦線に参加した。
大聖杯がシロウ達に奪われた後、まず弱ったユグドミレニア側から片付ける事を決める。街に潜伏していた魔術師達を拷問してミレニア城塞への潜入方法を聞き出し、サーヴァント達が自分を探しに出払った隙を突き、強襲を仕掛ける。宝具の霧を展開しフィオレを仕留めようとするが、狙いに気づいて戻ってきたアーチャーに阻まれ、ジークの攻撃を受けて撤退。
再度攻撃は危険すぎる為、どうするべきか思案に暮れていたが、玲霞の提案した策でジークとルーラーを分断する。ルーラーを始末するため街で攫った一般人の子供に自分を構成する悪霊を憑依させ、懐からの奇襲で隙を作らせた上で完璧なタイミングで「解体聖母」を発動させるが、規格外の呪詛耐性に阻まれ失敗し、戦闘になる。
怨霊を憑依させた子供たちを利用してルーラーとジークを追い詰めるが、アーチャーの援護を受けたルーラーが放った強烈な一撃で戦闘不能になるまでのダメージを受ける。危機を察した玲霞が令呪を使用してその場は逃れたが、撤退の最中に現れた赤のアーチャーに玲霞を殺害されてしまう。
必死に呼びかけるが、玲霞はアサシンの生存を僅かでも上げるために令呪を使用して事切れ、悲しみ茫然としていた所に赤のアーチャーが放った矢を心臓に受ける。だがマスターを失ったことでサーヴァント『切り裂きジャック』という軛から解き放たれて変質し、赤のアーチャー、巻き込まれたジークとルーラーを内的世界に取り込み、彼らに自分たちが生まれた、正義も悪も無くただシステムとして生命が消費される「地獄」を見せる。
救いを求め続けるが、彼らが生きる事は仲間を増やし続ける事を意味し、ルーラーとの問答の末に浄化を受け入れ、消滅。「黒のサーヴァント」4人目の脱落者となった。
だが赤のアーチャーを取り込んだ際に憑依していた一部が残留。赤のアーチャーが彼女達を受け入れてしまったことでその怒りと憎しみに同調し、ルーラーへの殺意に駆り立てる。
人物
性格は純粋にして残酷。あどけない口調ながら頭の回転は速く、理性はあるが精神的に破綻している。他者の悪意に対しては残酷に応じるが、好意には脆い。露出度の高い衣装を着ているが恥ずかしがりで、昼間は出歩こうとしない。一人称は「わたしたち」。
英霊になる前は数万以上の見捨てられた子供たち・ホワイトチャペルで堕胎され生まれることすら拒まれた胎児達の怨念が集合して生まれた怨霊。この怨霊が母を求め起こした連続殺人事件の犯人として冠された名前が“ジャック・ザ・リッパー”である。
つまり、人間ではないもののジャック・ザ・リッパー本人。後に犯行が魔性の者によるものと気づいた魔術師によって消滅させられたが、その後も残り続けた噂や伝承により反英雄と化した。しかし「ジャック・ザ・リッパー」という概念はあらゆる噂と伝聞と推測がない交ぜとなった今、全てが真実で全てが嘘であるために「誰でもあって、誰でもない。誰でもなくて、誰でもある」無限に等しい可能性を組み込まれた存在となっている。
そのため、もはや彼女たちがジャック・ザ・リッパーの伝説に取り込まれたのか、伝説を取り込んでしまったのかすら定かではなくジャック・ザ・リッパーの可能性の一つと化している。また群体で一個体の「ジャック・ザ・リッパー」を形成しているため、一人一人には名前もなく、世界に個体としての存在が認められていない。
強烈な胎内回帰願望と母親に対する憧れを持っており、玲霞のことは『マスター』と『おかあさん』が重なったような不思議な発音で呼び、慕っている。
好物は玲霞が作ってくれるハンバーグ。最初は一緒に食事をしようという玲霞の提案に戸惑っていたが、ルーマニアに来てからもまた作ってくれるよう頼んでいて、とても気に入っている。
一番嫌いなのが医者なのは、彼らが『彼女達』を殺し続けたからで、当時、彼女達の犯行が医者の仕業とされた事を喜んでいたという。
魔術師ではない玲霞からの魔力供給は望めないため、人の魂を食らうことで魔力を補給する。それも、彼女の属性が混沌・悪であるため、同質の魂、つまり悪人の魂のほうが美味で消化がいいらしい。
アサシンは然程魔力消費の激しいサーヴァントではないのだが、ステータス低下を避けるためか、かなり頻繁に食事を行っている。また魂を食うだけでなく、美味とは感じないが血も吸うことができる。そのため、吸血種の定義に合致する。
能力
ジャック・ザ・リッパーの知名度の高さもあってか図抜けて優秀なサーヴァント。ソウルイーターとしての効率が極めてよく、マスターに魔力を供給する能力がなくとも殺害を繰り返すことで一線級の戦闘力を保持できる。
主武装として、六本のナイフを腰に装備するほか、太股のポーチに投擲用の黒い医療用ナイフ(スカルペス)などを収納している。
アサシンのクラス別能力として「気配遮断」を持つが、『攻撃態勢に移るとランクが低下する』という欠点が夜は確実に先手を取ることができるスキル「霧夜の殺人」によって補われているため、完璧な奇襲を可能としている。
さらに、対戦終了の瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から彼女の能力、真名、外見的特徴などの情報が消失する特殊スキル「情報抹消」を持つ。このスキルは対戦が白昼堂々であっても効果は変わらず、これに対抗するには現場に残された証拠から論理と分析によって正体を導かなければならない。これら三つのスキルが互いに長所を生かし合っているため彼女は非常に強力なアサシンとなっている。
元々人間ですらない真性の「魔」であるため身体能力は非常に高く、その動きは人間を超越しており、他のサーヴァントの霊核を喰って自分を強化する。また自分の幼い外見が相手の油断や戸惑いを誘うことを熟知しており、「暗殺者」としての技術を本能的に非常に高い水準で発揮している。
「外科手術」の技能も会得しており、自身は勿論マスターの治療を行うことができる。だがその出来はミミズが這ったような縫い方で、120年前の技術でもあるため見た目は保障されない。この能力の応用で、彼女は魔術の心得が無くとも令呪の転写を行うことが出来る。
自分を構成する怨霊を分離し、子供に憑依させて操る能力を持つ。憑依された人間は共通して腕が黒く変色する。
操られた子供は魔力の籠もったメスを振るって攻撃を行うが、所詮は低級霊でしかなく除霊の技能を持っていれば浄化する事も容易く、脅威としての度合いは低い。だがアサシンは大量の子供に憑依させることで「兵力」としてではなく、「動く人質」として活用しており、相手の性格や方針によれば大きな足枷として使える。
その反面、悪霊の集合体であるため教会の「洗礼詠唱」による浄化は最大の鬼門。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アサシン 六導玲霞 C C A C E C 気配遮断:A+ 霧夜の殺人:A
情報抹消:B
精神汚染:C
外科手術:E
主人公 (Grand Order) C C A C E C 精神汚染:C
情報抹消:B
外科手術:E

宝具

暗黒霧都(ザ・ミスト)
ランク:C
種別:結界宝具
レンジ:1~10
最大捕捉:50人
由来:産業革命の後の1850年代、ロンドンを襲った膨大な煤煙によって引き起こされた硫酸の霧による大災害。
霧の結界を張る結界宝具。骨董品のようなランタンから発生させるのだが、発生させたスモッグ自体も宝具である。このスモッグには指向性があり、霧の中にいる誰に効果を与え、誰に効果を与えないかは使用者が選択できる。
強酸性のスモッグであり、呼吸するだけで肺を焼き、目を開くだけで眼球を爛れさせる。魔術師ならばダメージを受け続け、一般人ならば数分以内に死亡する。英霊ならばダメージを受けないが、敏捷がワンランク低下する。
最大で街一つ包み込めるほどの規模となり、霧によって方向感覚が失われる上に強力な幻惑効果があるため、脱出にはBランク以上の直感、あるいは何らかの魔術行使が必要になる。
解体聖母(マリア・ザ・リッパー)
ランク:D~B
種別:対人宝具
レンジ:1~10
最大捕捉:1人
由来:霧の夜に娼婦を惨殺した、正体不明の殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」の逸話。
通常はランクDの4本のナイフだが、条件を揃える事で当時ロンドンの貧民街に8万人いたという娼婦達が生活のために切り捨てた子供たちの怨念が上乗せされ、凶悪な効果を発揮する。
条件とは『対象が女性(雌)である』『霧が出ている』『夜である』の三つ。このうち『霧』は自身の宝具『暗黒霧都』で代用する事が可能なため、聖杯戦争における戦いでは1つ目の条件以外は容易に満たすことができる。
これを全て揃った状態で使用すると対象の霊核・心臓を始めとした、生命維持に必要な器官を蘇生すらできない程に破壊した状態で問答無用で体外に弾き出し、血液を喪失させ、結果的に解体された死体にする。“殺人”が最初に到着し、次に“死亡”が続き、最後に“理屈”が大きく遅れて訪れる。
条件が揃っていない場合は単純なダメージを与えるのみだが、条件が一つ揃うごとに威力が跳ね上がっていく。またアサシンを構成する怨霊が等しく持つ胎内回帰願望により、相手が宝具で正体を隠しても性別を看破することが可能で、より正確に使用する事ができる。
相手が女性限定とはいえ、迎撃も回避も抵抗も無意味で物理的な防御では防げない高威力攻撃を遠距離から与えることができ、なおかつスキル「情報抹消」により事前に対処を行うことも不可能という強力無比な宝具。ただし、威力こそ高いもののこの宝具による攻撃は呪いへの耐性で防ぐことができるため、サーヴァントに使用する場合は相手が近現代の英霊でない限り威力通りのダメージを与えることが難しい。魔術的に最高のマスターを得て、3つの条件を揃え、ようやくハサンたちが使用する『ザバーニーヤ』の平均値に匹敵するだけのダメージを与えることができる。

登場作品

Fate/Apocrypha
「黒」のサーヴァントとして登場。
ちびちゅき!
こどもの日に、柏餅を大量に食べている。
ちびアサの遊び相手を探していたアサ子から「あの娘なんか気が合いそうよ」と評されており、ちびアサの反応も悪くない。
カプセルさーばんと
さーばんとの一匹。
コスト:120 / 戦闘力:E / 突破力:E / 移動力:A++ / 体力:D / 忍耐力:D / リキャスト:A+
Fate/Grand Order
アサシンのサーヴァントとして参戦予定。イラストレーターは近衛乙嗣。

人間関係

Fate/Apocrypha

六導玲霞
マスター。彼女との相性は最高クラスで、親子のような関係を結んでいる。
相良豹馬
召喚者。だが、玲霞の願いの方が遥かに強く、マスターの敵として処分した。
ジーク
撤退を行う直前に思わぬ反撃を受ける。それによって彼に激しい怒りを抱き、ジークも同胞を殺されたことから明確に彼女の事を敵視している。
最後の瞬間に世界の醜さを彼に教え、大きな命題を突きつける。
赤のセイバー
相性の悪い敵。
彼女が有する最恐宝具が最も効果を発揮する「女性」だが、「霧夜の殺人」によって先手自体は取れるが「直感」によって防がれ、『暗黒霧都』の効果も高い対魔力と直感によって軽減され、「魔力放出」の赤雷によって散らされてしまう。
一度、狙って仕留められなかった事を根に持っており、疲弊した時を狙って『食べる』つもりでいた。
ルーラー
相性が最悪な相手。
ルーラーを聖杯を求めて参加したサーヴァントと誤解して、始末しようと自分から姿を現してしまったのが作中における彼女の最大の失敗と言える。
宝具の条件である女性だが、ルーラーはサーヴァント中最強の呪詛に対する耐性を持った英霊であり、さらに聖旗を持つため「解体聖母」を万全の態勢で発動させても仕留めきれない。追い打ちをかけるように、鬼門である洗礼詠唱の使い手である。
性格的にも相容れず、「救えない存在」として心の痛みに耐えながら浄化され、聖杯戦争の表舞台からの退場を余儀なくされる。
黒のアーチャー
面識はないが、二回も隙を狙った狙撃を受けて重傷を負わされており、どうにも相性の悪い人物。
赤のアーチャー
おかあさんを目の前で殺した女。
彼女が受け入れてしまったために、怨霊達は完全には浄化されず、憎しみの感情だけが残留し、同調したアーチャーと共に暴走するという最悪の事態を引き起こす。

その他

バーサーカー (fake)
同じ「ジャック・ザ・リッパー」の名を持つ、全く別の存在。「バーサーカー」のクラスでジャックを召喚すると彼が現れる。

名台詞

――生きたいよね?
――生きたい。
―――うん、分かったよ。契約しよう、おかあさんマスター
生きているという実感が霧のように薄い玲霞。生きていた、と言えるかどうかすら定かではないジャック。
二人は運命的な出会いを果たす。
「ごめんね、おかあさん。ごめんね、ごめんね、ごめんね。
 でも、かえりたいの。
 かえりたいの、かえりたいの、かえりたいの―――」
悲しげに哭きながら、彼女は哀れな犠牲者を解体し、血の臭いが漂う欠片に頬を寄せ涙する。
「此よりは地獄。“わたしたち”は炎、雨、力――」
宝具『解体聖母』発動。
現代に再現される、霧の夜の「殺人事件」。
「世界は――とても、醜くて。
 わたしたちはそのことを知っている。 それでもまだ、生きていたい?」
人間に幻想を抱いていたジークに奈落の果てを見せて。
この問いは世界を知らぬ少年の胸にこの上なく致命的な傷を残し、彼は思い悩むことになる。

メモ

  • キャラクターデザイン原案は真田茸人。設定制作を担当したのは東出祐一郎氏。
  • Fate/strange fakeにも同じ真名のサーヴァント「バーサーカー」が登場するが、全く別の存在。『fake』のジャックは「狂気の象徴」、『Apocrypha』のジャックは「数万以上の見捨てられた子供たちの怨念」である。
  • バーサーカーとしての適正も持っており、そのクラスで召喚された場合、常に宝具で身を隠しながら、魔力があるものを片っ端に解体して食らう「霧の怪物」となる。だが『TYPE-MOONエース9』掲載のFateシリーズ作品作家鼎談において、成田良悟氏と東出祐一郎氏の間ですり合わせが行われ、「バーサーカーのクラスで召喚すると『fake』の方のジャックが出てきて、アサシンで召喚すると『Apocrypha』のジャックが出てくる」ということになった。
    • 後に「ジャック・ザ・リッパー」という存在が無限の可能性を持つ存在であることが明らかになった。
  • 「解体聖母」が最大の効果を発揮する「女性」は、赤の陣営のアサシンアーチャーセイバー、黒の陣営のセレニケフィオレバーサーカー、中立陣営のルーラーの計7名。
    ただし、発動にはある程度の時間が必要なのか、彼女達と実際に対峙しても、「夜」の条件がある事も含めて絶対勝利出来る訳ではない(事実、赤のセイバーもフィオレも暗黒霧都の影響下に陥りながら生還している)。
  • 主人公ジークとは、最終的な敵であるシロウ以上に対照的なキャラクター。
    3巻解説で『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』の作者・桜井光は「触れる者達にさえ眩しささえ感じさせながら成長していくジークと、苦痛と死を撒く邪そのものでありながら無邪気なまでに寄り添う母と共に歩むジャック。幼さという共通点を持ちながら、相反して並び立つ両者。一方は数多くの想いや仲間たちと共に、もう一方はただ一つの母だけを傍らに。生き残るのは、果たしてどちらの純粋さか」と2人を対比したコメントを寄せている。
  • サーヴァントが自らの意思で令呪で自害を命じられる前にマスターから令呪を奪い殺害するという行為は、シリーズを通しても前代未聞。
    • これまでにも、別のマスター本来のマスターから令呪を奪ったり、サーヴァントがマスターを殺害という事態は存在したが、前者はマスターが騙し討ちに遭ったという背景があったり、後者は令呪を使わせてから殺害しているため、サーヴァントが令呪を使われる前にマスターを殺害したというケースは彼女が初めてである。
  • 彼女が起こした殺人事件は日本でもルーマニアでも、一般に報道されている。
    彼女の持つ「情報抹消」もあって、キャスター (第四次)の様に現場に魔術の痕跡を残したり、多くの一般人に目撃されたり、白昼堂々行動したりということはないため魔術協会・聖堂協会共に彼女の犯行に気づいていなかった。
    結局、協会がサーヴァントの仕業と考え始めたのはシギショアラに派遣された魔術師達が皆殺しにされたという報道がされ、「ジャック・ザ・リッパー、ルーマニアで復活」と大々的に報道されてしまった後であった。
    しかし一般的な感性では、「被害者が皆鋭利な刃物で心臓を抜き取られており、被害者は十人以上で同じ場所に居たのにも関らず、極めて犯行時間が短かったため、証拠はおろか目撃者すら存在しない」事件は異常というしかない。
    殺害方法は余りに残忍なため省かれているものの、一般の報道でもこの事件の詳細は伝えられており、一切のフォローがされていない。
    にも関わらずこの動きの遅さは致命的である。ユグドミレニアの反乱と聖杯大戦で混乱していたのもあるのだろうが……。

話題まとめ

『ジャック・ザ・リッパー』
記録にある「ジャック・ザ・リッパー」による犯行と断言できる殺人事件は五件しかない。しかし当時の倫敦では大量殺戮や猟奇殺人が頻繁に起こっていたため、実際の被害者の数は現在でも分っていない。
断定の根拠は「売春婦の臓器が外科手術のように切除されていた」ということだけであるため、未遂や五体切断なども仮定すれば推定されていた被害者の候補は20人にも及ぶといわれている。
ロンドンスモッグ事件
産業革命によって工業力が飛躍的に向上したイギリスだが、同時に公害という新たな社会問題が発生するようになる。中でもスモッグの被害は深刻で、多くの犠牲者を出してきたが、具体的な対策は何も取られなかった。
1950年12月に発生したスモッグはかつてないほど大規模なもので、1ヶ月余りで2万人以上の死者を出す大惨事となった。

関連商品

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