ジュリアン・エインズワース
- CV:花江夏樹
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤに登場する魔術師。
魔術師一族であるエインズワース家の現当主であり、平行世界における聖杯戦争のルールマスター。
- 略歴
- 『ドライ!!』以降に登場。平行世界を越えて取り戻した美遊を聖杯とするべく手を尽くす一方で、美遊の友人となったイリヤに興味を持ち接触する。
当初は概念置換により父であるダリウス・エインズワースとして行動していたが、互いの総力戦の中で『破戒すべき全ての符』の力で置換魔術が解け、本来の姿を現す。
その後はもう偽装の必要も無いと開き直り、黒化英霊を大量に召喚し、聖杯戦争を強引に進めようとする。
かつては「一義樹理庵」の名で穂群原学園に通っており同校の生徒会長を務めていた。
- 人物
- 穂群原学園の制服を身にまとった、凄まじく目つきの悪い少年。
マナの枯渇とガイアの法則の大転換により袋小路に陥った人類を救済するべく、「ガイアの法則が転換した新世界に人類を残す」という目的の下行動している。
自身を正義と認識し、「物語」「俺の神話」など上から目線で、目的の為には手段を選ばない酷薄な性格。
また、他人も人類も世界も自分の物語の為の「材料」と言い切り、人の心を弄ぶことに躊躇いを持たない等かなりの外道である。
- 能力
- エインズワース家の当主として、家伝の魔術である置換魔術を使いこなす。
平行世界の聖杯戦争における最重要アイテム「クラスカード」の創造・破壊も可能であり、限定展開・夢幻召喚した宝具を数多く行使する。
また、置換魔術の応用として自身の概念置換により、父ダリウスや衛宮士郎など特定の人物に「なる」こともできる。
ダリウスになっている間はエクスカリバーの通常攻撃を素手で受け止める等異常なまでの身体能力に変貌するが、置換魔術のためなのかダリウス個人の能力かは不明。
宝具
クラスカードを用いて、複数の宝具を使用する。 非常に高い性能を持っているが、ギルガメッシュをして「こんな宝具知らない」と言われており、謎も多い。
- 三〇一秒の永久氷宮(アプネイック・ビューティ)
- 巨大な氷の壁で遮断する結界宝具。内部は外気と遮断されているため、約5分で酸素が枯渇し窒息死する。
耐久性が高く、クロの『偽・偽・螺旋剣』の壊れた幻想でも貫けないほど。
- 黒玉皇に顔は無し(オーソリテリアン・パーソナリズム)
- 詳細は不明だが、周囲の全員が地面に倒れ、起き上がれなくなった。
バゼットの見立てでは重力操作でも精神操作でもなく、概念的な干渉とのこと。
- 両立する螺旋の右手(シャドウハンド・オブ・コード)
- 無数の黒い手で拘束する宝具。アサシンのカードによって使用された。
- 地臥す夜鷹の千年渓谷(そらはちよりちはそらへ)
- 巨大な岩山を召喚し、防壁とする宝具。
正確にはジュリアンが使用したのではなく痩身の黒化英霊が筆かペンのようなものを地面に突き立て発動させた。
登場作品と役柄
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
- 平行世界における聖杯戦争のルールマスターであり、敵陣営の黒幕。
人間関係
- 衛宮士郎(平行世界)
- 宿敵。美遊がこちらの世界にやってくる前は穂群原学園で生徒会長をしており、士郎とも友人同士だった。
- 世界を救おうとする自分の前に、一人を助ける為に立ち塞がる行為に対して怒りと苛立ちを見せている。。
- だが、彼が絡んでくることそのものに怒っていたり、邪魔者と見なしている割に殺せる状況でも殺さないことが幾度となくあったりと、彼に向ける感情は非常に複雑である模様。
- エリカ・エインズワース
- 妹。兄であり父として、唯一の味方として接する。
- アンジェリカ
- 部下。特別な感情は持っていなかったようで、敗北してカードを奪われたと見るや躊躇無く見捨てた。
- ベアトリス・フラワーチャイルド
- 部下。アンジェリカ同様特別な感情は持っていないが、ベアトリスの方はそれを知った上で心酔しているようである。
- ザカリー・エインズワース
- 父。第四次聖杯戦争で死亡した彼の精神を人形に置換する形で操り、士郎に嗾けた。
- ダリウス・エインズワース
- 同じ一族の人間。当初は概念置換によって彼になっていた。
- 言峰からは「ダリウスの息子」と評されているが、父親は上記のザカリーであるなど、不審な点が多い。
- 美遊・エーデルフェルト
- 世界を救う為の道具としか思っておらず、衛宮士郎を人質に取って無理矢理言うことを聞かせている。
- イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
- 敵ではなく物語の登場人物として見なし、美遊を追いつめる道具として利用しようとする。
- ギルガメッシュ
- 彼を初めとした英霊も道具としか思っていないため、カードと美遊を媒介に意志を具現化させたと見るや、即座に廃棄しようとした。
- 間桐桜
- 過去において同じ学校に通っていた後輩。
- 聖杯戦争が開始されるため彼女にサーヴァントカードを渡したが、士郎に対する心を見抜いていたのかギルガメッシュと偽ってどこにも繋がらない失敗作のカードを選択していた。
- 後に彼女と思しき黒い甲冑の少女が泥の中から現れるが、その際は壊れたような言動を繰り返す彼女を衛宮士郎のふりをしていいように操るという外道な行為をしていた。
- 間桐慎二
- 彼の人格を人形に置換する形で操り、裏切った桜と士郎の始末の為に差し向けた。
名台詞
ダリウス
- 「そう私が、美遊という生きた聖杯を見つけ、英霊の力の一端を引き出すカードを造り上げ、聖杯を完成させるための大儀式――聖杯戦争を興した」
「ああ、まったく……君からすれば私は、倒すべき魔王なんだろうね」 - イリヤと相対しての自己紹介。この台詞の中で自身を「倒すべき魔王」と称するなど、彼の言動は芝居がかったものが多い。
- 「外が騒がしいねぇ、失敗だったかな。防音だったらよかった」
「ああ、まったく失敗だ――」
「ますます寒くて堪らない」 - 上の台詞の後、自身の結界宝具『三〇一秒の永久氷宮』を評して。薄い部屋着にサンダル履きという格好のまま雪の屋外に出て凍えていた人が、氷の結界の中に閉じこもったりしてはいけない。
- 「いやいやまったくもって…」
「素ッッ晴らッ…しい!!! 平行世界に単身飛ばされ!!! 奇っ怪な魔術礼装と契約し!!! 自身が招いたカードの災厄をを回収する傍ら、初めての友情を知る!!! だが偽りの日常は終わりをつげ、また美遊 は私の元へ帰ってきた!!! 偶然と必然と運命が世界線を越えて紡いだ王道の物語 じゃないか!!!」
「私のカードを集めてくれてありがとうイリヤスフィール!! いやいや返してくれとは言わないよ!! 存分に使って我々と…」 - それまでのイリヤと美遊が過ごした日々を知って感動したかのように、凄まじい勢いで捲し立てる。異様な狂気を感じさせる台詞ではあるが、どうやら演技が含まれているらしく、途中でエリカから「ちょっとちがう、やりすぎだよ」と苦言を呈されている。
- 「あまり大声は出さない方がいいよ。この氷宮は外界からの力では絶対に破れない。だがその代償として氷宮内からは少しずつ酸素が失われていき、発動から三〇一秒で酸素濃度はゼロになる」
「だから…」
「酸素を無駄遣い…しちゃ……いけな……」 - 『三〇一秒の永久氷宮』の効果を説明……したはいいが、一番苦しいのは直前まで大声で演説をしていた自分自身であった。
- 「幕間は明けた。さあ、第六次聖杯戦争の再開だ」
- 美遊を追ってきたイリヤたちと、謎の存在である田中が、自身の作った聖杯戦争に「舞台入り」するのを歓迎して。
ジュリアン
- 「この手でお前を消す」
- ダリウスへの置換が剥がれ正体を現し、イリヤ達から奪った一枚目のキャスターのクラスカードを握り潰しながら述べた一言。
- 厳格そうな壮年からあどけない青年姿になった彼だが、その威圧感は父もかくやである。
- 「俺の神話にてめぇの役なんざねぇんだよ…」
- 幽閉から脱走し激闘の場に駆け付けた士郎に対し憎悪を込めて言い放つ。
- 「万にひとつ 両方を救う手があったとして…」
「世界と 美遊 それだけしか救えねぇんだよ…」 - 「争う意味が無い、皆を救いたいのは同じだし世界もミユも両方助かる道を一緒に探そう」と呼びかけるイリヤに対して。
- その顔は決意の中に哀しみを感じさせ、彼も彼で何かを悔やんでいると伺える。
- 「…ひとつ教えてやる 俺は『嘘』には寛容だ 何かを隠したい…偽りたいという明確な意志がそこにあるからだ
けどな…漠然と形だけ真似た何物にもなれねぇ『偽物』は嫌悪する ……以前までのお前の笑顔はそれだったんだよ
今日のニヤニヤ笑いは心底気色悪くはあるが… 空っぽじゃねぇだけ 万倍マシってことだ」 - 過ぎ去った過去、美遊と本当の兄妹になることを誓い、よく笑うようになった士郎に対して。
- ある意味、「衛宮士郎」という人間をこれ以上無く正確に捉えた言葉である。
メモ
- 「正義を志向する」「父の意志を継ぐ」「マイナーな魔術を極めた結果常軌を逸した域に至る」など、衛宮士郎と共通点が多い。
- 穂群原学園の生徒会長であり、魔術師の家系でかつては士郎と友人関係だったという、柳洞一成と間桐慎二の要素を併せ持っている。
- 置換魔術により当初は亡き父ダリウスへと自身を置換していたわけであるが、学生をしていた際に士郎のぎこちない笑顔が自然な笑顔になった事に対して「上っ面だけでは偽物」という旨を語っている等、エインズワースの置換魔術に重きを置く伝統故か、本物へ心から近付くことをこそ理想として掲げている様子が伺える。故に置換が剥がれた後でも彼のその振る舞いは「ダリウス・エインズワース」という思考を極力再現しており(稀に一人称が「俺」からダリウスの「私」になる)、「ジュリアン・エインズワース」という己の人格は置換魔術の影響か非常に希薄になっている可能性もある。さながら別世界の士郎が「正義の味方」という理想の末に摩耗していったように。
- 原典不明の強力な宝具を使用しているが、本人の言動から、「新世界の人類用の神話を現在進行形で作っており、その「神話」を原典とした宝具を召喚してるのでは?」と推測されている。
- この世全ての財を集めたはずのギルガメッシュが知らず、人類の英知そのものである『王の財宝』の中に存在していないという事実もそれを裏付けている。
- 冬木市を飲み込んだ広がる闇の事件が作中時間で五年前、父ダリウスの死去も五年前と明らかな繋がりを感じさせる。