Fate/Prototype
『Fate/stay night』の原典にあたる通称「旧Fate」のリメイク。
『stay night』とはもちろんのこと、「旧Fate」とも一部設定が異なる。
『カーニバル・ファンタズム3rd Season』に特典映像として「synopsis」(要約・概要)が収録され、設定資料集「Prototype material」が付属。
また、設定資料集+対談+アンソロの書籍『Fate/Prototype Tribute Phantasm』が発売された。
登場人物
- 沙条綾香
- 主人公。聖杯戦争のマスター階梯は最下位の「第七位・権天使」。過去の出来事によりコンプレックスを抱えている。
- セイバー (Prototype)
- (CV:櫻井孝宏)
綾香のサーヴァント。真名はアーサー。サーヴァント階位は最高の第一階位。「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」はCランク宝具の風の魔術で隠している。前回の聖杯戦争で故国救済の願いから脱却しており、綾香のために戦っている。
バーサーカーに敗北して一時的にマスター権を奪われる。
筋力B 耐久A 敏捷B 魔力E 幸運C 宝具C(EX)
- 玲瓏館美沙夜
- (CV:斎藤千和)
マスター階梯「第二位・智天使」の実力ある魔術師で、ランサーのマスター。綾香の素質を認めて彼女をライバル視する。猟犬を使い魔に用いる。前回の聖杯戦争で聖杯でなければ解けない呪いをかけられている。
中盤に呪いが全身に回って屍人となってしまい、自分を殺してくれる事をランサーと綾香に求める。 - ランサー (Prototype)
- (CV:中井和哉)
真名はクー・フーリン。第4階位。動物使いでもあり、マスターの使い魔と相性は良い。切り札のゲイ・ボルクは美沙夜の家に封印しており、普通の槍を使っている。美沙夜のサーヴァントだったが彼女が呪いで屍人へと堕天してしまい、彼女の願いである自身の殺害を果たすために、セイバーを失った綾香と再契約した。
筋力A 耐久C 敏捷A+ 魔力B 幸運D 宝具B
- アーチャー (Prototype)
- (CV:中村悠一)
真名はギルガメッシュ。第3階位。サーヴァント階位が下なのが気に入らず、セイバーを付け狙う(バーサーカーは理性と引き換えなので容認)。
戦闘では二刀流で戦いつつ、入れ墨である「王律鍵バヴ=イル」によって宝物庫から宝具を放つなどの戦法を使用する。そして2本の剣を組み合わせた弓で矢を放つようになっており、アーチャーのクラスが強調されている。切り札である終末剣エンキは水を呼ぶ剣で、発動後の日数経過で強力になっていく。七日経過したエンキは衛星軌道上に展開することで、ノアの洪水の原型「ナピシュテムの大波」を引き起こせる。
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力A 幸運B 宝具EX - アーチャーのマスター
- 長髪でメガネの男性。高層ビルのオーナー兼社長。マスター階梯は「第五位・力天使」。左貌に令呪があり髪で隠れている。
- ライダー (Prototype)
- (CV:宮野真守)
真名はペルセウス。第5階位。数多くの宝具を持つ。非業の死を遂げた英雄が召喚されることが基本の聖杯戦争において、マスターの望みで「幸せに生涯を閉じた英雄」として召喚された。
「synopsis」ではマスターは既に死去。普段は人間の振りをして綾香と同じ学校に通い、サーヴァントとして戦う時は仮面(この仮面がマスター無しでも現界を支えている)を被って素顔を隠している。
筋力D+ 耐久E+ 敏捷B+ 魔力B+ 幸運A+ 宝具ABCDE - ライダーのマスター
- (CV:緒方恵美)
外見年齢10歳程の少年。マスター階梯は「第三位・座天使」。前回の聖杯戦争でビーストの犠牲になり、医療機械と魔術で補われてマスター候補として命を保たされてきた。生身は上半身のみで、手足は腐り、脈動だけ苦痛を味わう生きた屍。ライダー召喚の負荷により7日後に死亡。
- サンクレイド・ファーン
- (CV:子安武人)
聖堂教会・第八秘蹟に所属する僧侶でテンプル騎士団から派遣された異端審問員。バーサーカーのマスター。本来のマスターを殺害してマスター権を奪った。公式上は人を殺しすぎて処罰されたことになっていて、名前は買ったアメリカ国籍の偽名。綾香に異常なまでの執着心を見せる。
平和主義者を騙るが、東洋人を蔑む人種差別主義者。今回の第一階梯のマスターと目されたが、魔術師ではないため実際は七位以下の番外だった。令呪は舌にある。 - バーサーカー
- 第2階位。
- キャスター
- ライダーと因縁を持つサーヴァント。夜の学校を異界化させセイバーと戦うが、ライダーに妨害される。
- 沙条愛歌
- 綾香の姉で、かつてのセイバーのマスター。前回のマスター階梯「第一位・熾天使」。
- ビースト
- 愛歌が召喚しようとしている第8のサーヴァント。多くの人間の欲望という悪意が溜め込まれた大聖杯から呼ばれる高位の存在。666の数字を持つ黙示録の獣。
- 綾香の父
- (CV:東地宏樹)
綾香の記憶では、綾香を「平凡」「凡人」呼ばわりしていた。また大聖杯に生贄をささげたりセイバーに愛歌を殺させるなどの凶行におよび狂死。綾香の過去の記憶に混乱があるため、愛歌の言葉や行動も父の物として記憶されている。 - 美沙夜の父
- 美沙夜に呪いをかけた、と思われていた。綾香の父とは旧知の仲だった。
メモ
- 旧Fateは、10年以上前に奈須きのこが高校生時代に書かれたもの。旧Fateを書いたきっかけは、石川賢の漫画版『魔界転生』を読んで、自分も魔界転生を書きたいと思ったから。「Fate」=「TYPE-MOON版魔界転生」とのこと。
話題まとめ
- 「旧Fate」から『stay night』への変更点など
- 玲廓館美沙夜
- 主人公のライバルであり、彼女のキャラデザインが、遠坂凛の原型となった。凛の性格は蒼崎青子の系譜であるが、美沙夜の性格はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトに近いとされている。
- 旧セイバーから、セイバー他へ
- 『Fate/stay night』では女性だが、「旧Fate」では男性。
『stay night』製作の都合上、主人公を男性にする必要があり、どうにかそれができないかと悩んでいたところに武内崇氏から出されたのが、「女性の騎士王」案。奈須氏に、「コイツ、俺のセイバーを女にしやがった」と言わしめたらしい。
性格はシニカルで、男性サーヴァントと女性マスター、という関係も含めて、これらの要素はアーチャーと遠坂凛に引き継がれた。
ブラック化したセイバーのデザインが『stay night』のギルガメッシュのデザインの元になっただけあって、「Character material」で公開された容姿は『stay night』のギルガメッシュに近い。
『Prototype』にあたってはリデザインされ、『stay night』のセイバーの面影を持つ容姿となっている。
- 旧アーチャーから、アーチャーとギルガメッシュへ
- 『Fate/stay night』のアーチャーは新規に作られたキャラクターであり、ここでいう旧アーチャーとはギルガメッシュのことを指す。2本の剣で戦う、というスタイルがかろうじて『stay night』のアーチャーに受け継がれた程度。
黄金の鎧を着ていてマスターが神父なのは「旧Fate」と同じ。『stay night』におけるギルガメッシュのデザインは、旧セイバー(黒化した旧セイバー)から流れてきたものと言われる(『stay night』の鎧デザインは武内氏ではなくこやま氏)。
- 旧ライダーから、ライダーへ
- 『Fate/stay night』では女性だが、「旧Fate」では男性。真名はテセウス。『stay night』制作にあたり初期の頃は真名がペルセウスの予定だった。その頃はまだマスターも「旧Fate」と同じく死亡済みという設定だった。
しかし「美少女ゲーム的に女性キャラが少ない」ということで、男性サーヴァントの中で性別を女性にしても唯一問題がなかったため設定変更されて現在に至る。
なお、『stay night』版男性ライダーのデザインは、美綴綾子に流用されている。
- 旧ランサーから、ランサーへ
- 性格・能力等にほとんど変更点はない。容姿は『stay night』では青いボディスーツ風だが、『synopsis』ではがっしりとした体格をしており、容貌も精悍な面持ちとなっている他、鎧を装備している。
最初に主人公を襲うサーヴァント、という立ち位置は『stay night』に引き継がれているが、『Prototype』ではそのままマスターの美沙夜共々、主人公のライバル的ポジションになったらしい。しかし『stay night』ではアーチャーが新規に登場したため、そちらのライバルの立場へシフトした。
- 旧バーサーカー&マスターから、バーサーカー&イリヤスフィール・フォン・アインツベルンへ
- 旧バーサーカーの真名もヘラクレスであり、変更されていない。
旧バーサーカーも宝具の名称は「十二の試練」であったが、能力は違い、蘇生魔術ではなく「11回の戦闘までは絶対に負けない」という概念だった。自分以外6人しかいない聖杯戦争では無敵と思われたが、旧アーチャーが「絶対に生き残る」という概念で応戦、旧バーサーカーは負けなかったけど死んでしまった、という結末だったらしい。
また、『stay night』では「十二の試練」の能力の一部である「Aランク未満の攻撃は無効化する」という効果は、「旧Fate」では「神性」のスキルで表されていた。
イリヤの設定は、聖杯戦争の在り方が「旧Fate」と『stay night』でほぼ別物であるため、こちらもほぼ別物に差し替えられていると思われる。
- 旧キャスター&マスターから、キャスター&葛木宗一郎へ
- マスターが前衛、サーヴァントが後衛、というスタイルは「旧Fate」の頃から。マスターが魔術師ではない一般人で教師、という点も引き継いでいる。旧キャスターの真名もメディアであり、変更されていない。
『stay night』ではキャスターは別の魔術師に召喚された後に葛木をマスターにしているが、旧キャスターは最初から一般人のマスターに召喚されたらしい。旧キャスター的には「ハズレ」を引いたと一端は嘆き、全部自分でやろうとしたが、得意な事は何? と問うて返ってきたのが「人殺し」と。一緒に戦ってみたら意外とイケる、と考え直したとかなんとか。「旧Fate」では教師ではあるが、生粋の格闘家だった。
パートナーが殺人者という設定は『stay night』と『Zero』共通のモチーフとなっている他、一般人に召喚された設定は『Zero』に流用されている。
- 旧アサシンから、アサシンへ
- ほぼ変更点はない。真名は佐々木小次郎で、マスターも旧キャスター。「旧Fate」では容姿が「魔界医師メフィスト」のような系統の妖しさのある性別を超越した超絶美系キャラだった。また佐々木小次郎が実在して宮本武蔵とも決闘した本人の英霊という設定だった。
なぜ佐々木小次郎がキャスティングされたかというと、『魔界転生』へのオマージュらしい。Fateを書くきっかけになった『魔界転生』は「実在した」剣豪が転生して闘う物語のため、ライバルの宮本武蔵は登場するが小次郎は登場しない(できない)。『Fate』=『TYPE-MOON版魔界転生』だからこそのキャラと言える。
- 生徒会長から、柳洞一成へ
- 「旧Fate」では中盤以降に魔術師サイドに関わっていくが、『stay night』では完全に一般人。
- 令呪
- 基本設定は同じだが、『stay night』の令呪が幾何学的な模様であるのと異なり、『synopsis』の令呪は天使の羽根がモチーフとなっている。ただし、サンクレイドの令呪のみ悪魔の翼のようなデザインとなっている。
- 聖杯戦争
- 教会の実力者(枢機卿の1人)が模倣聖杯を持ち出して、魔術師協会に正式に依頼して行われているもの。
- 聖杯
- 魔術師たちには「根源」に至ることができる願望器と売り込まれているが、真の目的は英霊以上の高位存在を召喚する為の道具となっている。聖杯にはサーヴァントの魂だけでなく、人々の想念が溜め込まれる。しかし人間の想念は欲望の悪意が多いため枢機卿が望んだ結果にはならなかった。
- 「旧Fate」から『Prototype』への変更点、『Prototype』では不明な点など
- セイバー
- 「旧Fate」ではアーチャーに敗北して消滅、バーサーカーのマスターがブラック化したセイバーを再召喚、ランサーと仮契約した綾香と戦って正純化する。『Prototype』ではバーサーカーに敗北して沙条綾香の命を盾にマスター権を奪われる。
- ライダー
- 「旧Fate」ではテセウス。『Prototype』ではペルセウス。
- ライダーのマスター
- 「旧Fate」では女性。『Prototype』では少年。
- アーチャーのマスター
- 「旧Fate」では神父で、葛木と同じ孤児院出身。『Prototype』では社長でビルオーナー。
- キャスターのマスター
- 「旧Fate」では神父(アーチャーのマスター)と同じ孤児院出身で格闘家タイプの撲殺教師(葛木)。『Prototype』では不明。
- キャスター
- 「旧Fate」ではメディア。『Prototype』では不明。
- アサシン
- 「旧Fate」では佐々木小次郎。『Prototype』では不明。
- バーサーカーのマスター
- 「旧Fate」では能面のヤツ。『Prototype』では本来のマスターは死亡済みで不明。神父であるサンクレイドが殺害してマスターになっている。
- バーサーカー
- 「旧Fate」ではヘラクレス。『Prototype』では不明。
- ラスボス
- 「旧Fate」ではセイヴァー(Extraに流用されたのはクラスだけで中身は違ったらしい)。『Prototype』ではビースト。