アキレウス

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赤のライダー
真名 アキレウス
外国語表記 Achilles
性別 男性
身長 185cm
体重 97kg
特技 英雄に必要なスキル全て
好きな物 勝利と美女の微笑み
苦手な物 運命
天敵 ヘクトールペンテシレイア
出典 ギリシャ神話
地域 ギリシャ
属性 秩序・中庸
一人称
二人称 テメェ/アンタ/貴様
三人称 彼 など
声優 古川慎
デザイン 近衛乙嗣
設定作成 東出祐一郎
イメージカラー 白緑
レア度 ☆5
初登場作品 Fate/Apocrypha
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概要

騎兵」のサーヴァント

略歴
Fate/Apocrypha』では聖杯大戦において赤のサーヴァントとして現界した。彼のマスターはシロウ・コトミネ達によって召喚される前から傀儡と化しており、以後、マスターとの「仲介人」を名乗るシロウの思惑で行動することになってしまった。
アーチャーの援護に向かった際、迎撃に現れた黒のセイバー黒のバーサーカーと戦闘を行う。そこで自分の身体に傷をつけられる謎の弓兵による狙撃を受け、彼を最大の好敵手と見定め、一時撤退する。
黒と赤の決戦では先陣を切り、猛進するが再び弓兵の攻撃を受け、誘いに乗って向かった先で黒のアーチャーとして正体を現したかつての恩師と再会する事となる。大きな衝撃を受けるも彼の叱咤で戦意を取り戻し、歓喜と共に一進一退の死闘を繰り広げるが、バーサーカーの暴走によって戦闘は中断する。その後、吸血鬼と化した黒のランサー討伐のためルーラーの命によって黒の陣営と共闘、その末に自分たちのマスターがシロウに傀儡とされていたことを知る事となる。
憤慨し槍を突きつけたが、シロウの目的を聞かされ、また黒のアーチャーとの決着と自らの願いを叶える為、マスターとは認めぬまでも一旦は矛を収める。その後、暇潰しも兼ねてシロウが申し込んだ手合せで、自分に終始圧倒されながらも最後まで屈しなかった彼の意志と愚直さを見て、僅かながらも感銘を受け、「生前の未練」についての問答を通してシロウを正式にマスターとして認めた。
最後の決戦では黒のアーチャーとついに決着の時を迎える。宝具『宙駆ける星の穂先』によって互いの武器を捨てた素手による決闘を挑み、壮絶な死闘の末に勝利を収める。しかし、彼が消滅間際に放った宝具によって弱点である踵を射抜かれ、不死と7割の敏捷性を喪失する。それでもなお黒の陣営を相手取るには十分な力を有していたが、魔獣に変貌した赤のアーチャーの姿を目にしたことで、彼女の異変を察しつつも自身の都合を優先して止められなかった己の愚かさを悔い、黒の陣営との戦闘を放棄。師と交わした約束に従って自身の『盾』を黒のライダーに与え彼らを助けた後、暴走するアーチャーを止めるべく戦いに赴く。満身創痍の状態でありながらカリュドンの魔獣に成り果てた赤のアーチャーと渡り合い、捨て身で魔獣化を解除し、致命の一撃を与えた。今わの際、正気を取り戻した彼女を抱きながら、共に消滅していった。
人物
銀の軽鎧を纏った美丈夫。気に入らなければ王の命令であろうと公然と無視する奔放な青年。世界にただ一人の友と愛する女たちがいればただそれだけで満足とし、散り様でさえ陽気を忘れない勇者。
傍ら、義に篤く卑怯な振る舞いを嫌い、討ち果たされた友のためなら万軍を敵に回しても見事敵将を討つほどの豪傑である。聖杯大戦では自身の願いの為に最終的にマスター換えを受けいれたものの裏切り行為自体は嫌っており、本来のマスターに対して「例え顔を会わせてなくても主であるマスターを裏切りなどご免」と語る。
敵と認めた者は徹底的に打ちのめす苛烈な気性だが、一度味方、あるいは『良い奴』と認めた者には甘さを見せる、良い意味でも悪い意味でも『英雄らしい』人物。豪放磊落な一方、乱暴狼藉な英雄ではなく、父ペレウスに似て穏健を善しとする根の甘さを持った青年でもある。
強敵との力を尽くした戦いを好み、破格の不死性を誇るものの、彼にとってはそれすらも寧ろ破られる方が好ましく感じており、自らを傷付けられる好敵手と戦う事を熱望している。
聖杯への願いは生前と変わらず『英雄として振る舞う事』。過去の戦いや神に背き破滅した事など生前の出来事に対する未練はないが、現世でやってみたい事は山ほどあるので、「第二の生」にも興味がない訳ではない。だが彼にとっては、母に誓った「英雄として生き、英雄として死ぬこと」が人生の大前提となっている。
能力
伝承通りヘラクレスと遜色ない実力者。オリンポスの神々の加護によって、彼の身体は『神性』または神造兵装を持たない者の攻撃では疵の一つも付けられず、例えA+ランクの対軍宝具の直撃ですら余裕で耐えることが出来る。また高ランクの『勇猛』スキルを持ち、精神干渉は一切通じない。
優秀な師に師事し幾多の戦場を駆け抜けた彼の戦士としての技量はギリシャ神話でも一・二を争い、数多の英雄の中でも最高峰に位置する。白兵戦においては「英雄殺しの槍」を主武装に、神速・神域の槍捌きと体術をもって敵を圧倒するため、「騎兵」クラスにも関わらず戦力の重点を宝具に置く他のライダーと異なり『槍兵』として召喚されてもなんらおかしくない実力を持つ。それ以外に、腰に差した剣を槍と併用することもある。
騎馬を召喚していない状態では伝承の通りに圧倒的な敏捷性を見せる。その速度は瞬間移動にも等しいレベルであり、有史以来の全人類、その頂点に位置するとされ、最速の英霊としての飛び抜けた速力を誇る。それ故に視界に入る全ての光景は彼の間合いであり、距離など関係なく一瞬で間合いを詰め攻撃を繰り出せるとされる。攻撃速度や体捌きも同様であり、不死身の特性とあいまって黒のセイバーとバーサーカーを同時に相手取っていた。1対1ではその攻撃はケイローンをしてすら捕捉不可能で、師としての経験や未来予知レベルの心眼を合わせた推測によりようやく渡り合えているほど。
事実上、一定以上の『神性』または神造兵装を持たない者はほぼ勝ち目がなく、もし黒の陣営に『神性』を有する黒のアーチャーがいなければ、その時点で赤の陣営の勝利が確定していたとされている。それに加えて超一級の戦闘力を併せ持つため、ランサーに匹敵する赤の陣営最強の大英雄と評されている。
但し、彼の致命的な弱点である踵を打ち抜かれると、不死性と速度の七割は消滅してしまうほか、治癒は極めて困難であり、余程の術でもなければ完全に走力を取り戻す方法はない[出 1]

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ライダー シロウ・コトミネ B+ A A+ C D A+ 対魔力:C
騎乗:A+
戦闘続行:A
勇猛:A+
女神の寵愛:B
神性:C
主人公 (Grand Order) 対魔力:C
騎乗:A+
神性:C
戦闘続行:A
勇猛:A+
女神の寵愛:B
彗星走法:A+
勇者の不凋花:B
宙駆ける星の穂先:B+

宝具

疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)
ランク:A
種別:対軍宝具
レンジ:2~60
最大捕捉:50人
由来:アキレウスが戦場で駆ったと言われる三頭立ての戦車。
海神ポセイドンから賜った不死の二頭の神馬「クサントス」と「バリオス」、エーエティオーンの都市を襲撃した際に奪った名馬「ペーダソス」からなる戦車。指笛を吹くと空間が裂け、そこから戦車が召喚される。
速度の向上に比例して相手に追加ダメージを与える特性があり、ただ疾駆するだけで戦場を蹂躙し、削岩機の如き勢いで敵陣を粉砕し、天を翔ける。最高速度となると、大型ジャンボ機ですら瞬時に解体する威力になる。
しかしアキレウスの宝具の中でも最も魔力消費量が激しく、この宝具を使用した場合は下手をすればアキレウスの他にもう1体サーヴァントを召喚した場合と同程度の魔力を必要とする。
「クサントス」と「バリオス」は本来は正真正銘の「不死」だが、サーヴァントの宝具として召喚された状態では不死ではなくなり、「少なくともサーヴァントクラスの頑丈さを有する程度」となった[出 2]
『Grand Order』では「自身のQuickカード性能をアップ[注 1][注 2]&敵全体に強力な攻撃」という効果のQuick宝具。
クサントス
海神ポセイドンから賜った神馬。さる女神から人語を理解し、三頭の中で唯一喋る。
ライダーの指示には忠実で戦闘中に意見もする。喋り方は丁寧だがアキレウスが危機的に陥ると楽しそうに喋りだすという地味に嫌な性格。
主が不利な状況に追い込まれる可能性があるのを敢えて黙っていたり、追及されても「ブヒヒヒ」と非常に卑しい笑い方で対応する。なので、アキレウスからは槍の石突で制裁を加えられている。
バリオス
海神ポセイドンから賜った神馬。制裁を加えられて無様な悲鳴を上げるクサントスを呆れた目で見ている。
ペーダソス
稀代の俊足を誇る名馬だが、神馬ではない。
決戦でケイローンの一撃を脳天に受け、霊核を破壊されたことで消滅した。
彗星走法(ドロメウス・コメーテース)
ランク:A+
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:「あらゆる時代の、あらゆる英雄の中で、最も迅い」というアキレウスの伝説。
『疾風怒濤の不死戦車』から降り立つことで起動する常時発動型の宝具。「あらゆる時代のあらゆる英雄の中で、もっとも迅い」という伝説が具現化したもの。
広大な戦場を一呼吸で駆け抜け、フィールド上に障害物があっても速度は鈍らない。その速度はもはや瞬間移動にも等しく、視界に入っている光景全てが間合いとされるほど。弱点であるアキレス腱が露出してしまうが、アキレウスの速度を捕捉できる英霊は数少ない。
アキレウスの急所である踵を貫かれた場合、速度は七割ほど減少する。
『Grand Order』では「自身のQuickカード性能、およびクリティカル威力をアップ[注 3]」という効果のスキルとして登場。
勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)
ランク:B
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:アキレウスの母である女神テティスが彼に与えた不死の肉体。
踵を除く全身に不死の祝福がかかっており、如何なる攻撃を受けても無効化する。だが一定ランク以上の『神性』を持つ相手には、この効果が無効化されてしまう。『神性』がアキレウスと同等以上のCランク以上であれば無効化でき、それ以下の『神性』ではダメージが削減される。神性がDランクでは75%まで、Eランクならば50%までダメージ削減される[出 3]。その他、神造兵装による攻撃ならば『神性』を持たない者でも通じる。その際のダメージ数値は神造兵装のランクによって変動する。
また伝承に伝わる通り、急所である「踵」には効果がない。踵は『勇者の不凋花』と『彗星走法』の楔でもあり、踵が貫かれた場合、この二つの宝具は消滅する。実は踵の治癒は可能ではあるが極めて困難で、よほどの術でなければ完全な走力を取り戻すことはできない。さらに悪意や敵意を含む攻撃には有効だが、吸血行為のような、攻撃ではなく『友愛』を示す行動には作用しないという弱点も存在する。
更に真偽は不明だが、 アニメ版『Apocrypha』において神殺しの武器ならば傷つけられる事を示唆するようなアキレウスの発言があったため、いわゆる〔神性〕特効攻撃でもこの耐性を貫通できる可能性が推測されている。こういった特攻が例外になるケースは、アキレウスに限らず存在し、Aランク以下の魔術は全て無効化するアルトリアの対魔力も「竜そのものの絶大な魔力が対魔力の源。だが、竜という特性故に、竜退治の逸話を持つ存在が苦手で、仮に竜殺しの魔術を使用されたら対魔力が十全に発揮されない」とされており、「勇者の不凋花」も女神からの祝福という特性故に神殺しに対しては十全に性能が発揮されないのかもしれない。
『Grand Order』では「自身に無敵状態を付与[注 4]&自身の防御力をアップ[注 5]」という効果のスキルとして登場。
宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)
ランク:B+
種別:対人宝具
レンジ:2~10
最大捕捉:1人
由来:師のケイローンが作ったアキレウス愛用の槍。
ケイローンが作った青銅とトネリコの槍。だが、アキレウスはこの槍を用いてケイローンすらも知らない独自の能力を編み出した。その能力は「闘技場」。突き立てた槍を基点として空間そのものを切り取る形で、闇の壁に包まれた特殊な空間を作り出す、固有結界と似て非なる大魔術である。ちなみに魔術原理的には『招き蕩う黄金劇場』とほぼ同一である[出 4]
この空間の効果は「一対一で敵と公平に戦うこと」、ただそれだけ。この空間内では神の加護は働かず、第三者は無論、幸運すらも介入させず、時間も静止している。「まぐれ」すらも起こり得ない、究極の実力勝負。この空間内ではあらゆる加護や魔術、宝具に至るまで使用不能となるが、武器の使用は可能。治癒能力があろうとも通常と異なり負傷は治らず、蘇生系のスキルや宝具も効果を発揮せず、敗者は現実に戻っても死亡する[出 4]
この効果はアキレウス自身にも適用され、ここでは『勇者の不凋花』の不死は働かなくなる。あくまで相手と「公平」に戦うための領域であり、必ずしもアキレウスにとって有利になるとは限らない。つまるところ、この闘技場の効果とは、ただ己の培った武技・実力のみで相手を打ち斃す「公平無私の一騎打ち」の強制である。極めて単純でそれゆえに堅牢な空間であり、アキレウスはこの空間が破られないことに絶対の自信を持っている[出 4]
しかし制約も存在し、アマゾネスの女王・ペンテシレイアをこの槍で殺害したことがトラウマとなっており、女性相手には使用不可能。また、アキレウスの性格上、彼にとって一対一で戦うに値しない程度の相手にはそもそも使おうとはせず、相手が決闘を望まなかった場合にも無理に使用はしないという。使いどころが限られた宝具[出 4]であり、公正な決闘をするための一種の舞台装置と言える。
元々はトロイア戦争の宿敵・大英雄ヘクトールが、女神の加護を受けたアキレウスと戦うことを避けて逃げ回っていたため、彼と公平に決着をつけるために作り出したものである。ここでの決闘によって、ヘクトールを打ち破っている。
持ち主の手元に飛んで戻る機能もある他、アキレウスがランサーとして召喚された場合は上記の特殊能力に加えて『必滅の黄薔薇』と酷似した敵に与えた傷の治癒を不可能にする効果が付与される[出 4]
蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)
ランク:A+
種別:結界宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:アキレウスの母である女神テティスが息子のために作らせた鍛冶神ヘパイストス製の盾。
鍛冶神ヘパイストスによって造られた神造兵装。アキレウスの切り札であり、彼が生きた世界の全てを表した大盾。全面に渡って凄まじいまでの精緻な意匠が施されている。
真名解放することで盾に刻み込まれた極小の世界が展開され、一つの“世界そのもの”で攻撃を防ぐ結界宝具。
この盾に挑むということは、即ち世界を相手取るということであり、発動させれば対人・対軍・対城・対国・対神宝具にすら至るまで、ほぼ全ての攻撃を防ぎ切る。ただし、その性質上、対界宝具だけは苦手とする[出 5]
双方の同意と契約の上でアキレウスから黒のライダーへと託され、彼の手によって赤のランサーが放った『日輪よ、死に随え』を防ぐために使用された。神すら滅ぼす赤のランサーの槍も、“世界”そのものは殺すことができず、槍を完全に阻んで防ぎ切り、アストルフォとジークを守り抜いた。その後の決着の際には既に砕け、消えていた。
またアキレウス自身が使用した場合のみ、この盾を「攻撃」に転用できる。宝具を展開した後、突撃することによってその極小世界で相手を押し潰すというものであるが、ヘパイストスも想定外の使用法であるそうな[出 5]

真名:アキレウス

ギリシャ神話屈指の知名度を誇る英雄。
その生は疾風の如く駆け抜けるものであり、同時に英雄と呼ばれるに相応しい輝きを帯びていた。
英雄叙事詩『イリアス』において「駿足のアキレウス」と讃えられ、英雄ペレウスと女神テティスを両親に持つ、トロイア戦争最強の戦士。
かのヘラクレスと比肩し得る世界的規模の知名度を誇る大英雄だが、それとは裏腹にアキレウスが活躍した時期は比較的短いモノであり、その活躍も殆どがトロイア戦争にのみ刻まれている。
彼は人生の岐路を幼少時に突きつけられた。戦争で華々しい活躍を遂げた英雄として死ぬか、平凡な人間として長く生きていくか。母テティスに問われた際、アキレウスは迷わず前者を選択した。
女神テティス、英雄ペーレウスの間に生まれたアキレウスは、幼い頃からその運命を定められていた、と言える。
そんな彼を案じた母テティスは、彼を不死身の神々に連なる者とすべく、彼の全身を神聖な火で炙り、不純な人間の血を蒸発させようとした(一説には冥界の川にその身を浸したともされる)。
しかしそれは、人間としてのアキレウスを滅ぼす行為であるとも同義であり、父であるペーレウスは断固としてアキレウスを完全な不死にすることに反対した。
女神テティスは故郷へ帰り、英雄ペーレウスは考えた末に、アキレウスを賢者ケイローンに預け、養育を願った。
ケイローンは友人でもあったペーレウスの頼みを快く引き受け、アキレウスはギリシャ屈指の名教師であるケイローンから英雄としての教育を受けることになったのだ。
数年後、立派に成長したアキレウスは参加を乞われたトロイア戦争に意気揚々と出発した。
―――無論、彼はその先に悲劇が待つことを知らなかったが、たとえ知っていたとしてもその歩みを止めることはできなかっただろう。
トロイア戦争とはヘクトールの弟パリスがメネラウスの妻ヘレネーを強奪したことに端を発する戦争である。
ヘレネーを巡って英雄や王たちが争いかけた際、彼らは「ヘレネーが攫われるようなことがあれば、必ず救援にかけつける」との誓いを立てた。
……が、当時幼かったアキレウスは特にその誓いに関係はなかった。
彼は「ペーレウスの子息が参加せねば戦いに勝てない」と予言されたことにより、アカイア軍によってスカウトされた。
盟友パトロクロスと妻との出会い、実戦と宿命のライバル、ヘクトールとの出会い、それらの全てを喜びとして、アキレウスはその足で人生を駆け抜けたのである。

関連

アキレス腱
人体の踵にある急所であり、転じて「強者が持つ弱点」を指す言葉。アキレス腱、という人体の名称は不死身の肉体を持つアキレウス唯一の弱点であった、という伝説の名残。生前において、唯一不死でなかった踵をパリスに射抜かれたことで弱体化し、その後さらに心臓を射抜かれて戦死した逸話から。その逸話ゆえに人体の一部に彼の名が記されているため、アキレウスは数多の英雄の中でも十指に入ると評される程の圧倒的な知名度を誇る。
そしてサーヴァントとして召喚されたアキレウスの踵は、不死性を保持する宝具『勇者の不凋花』と最速を謳われる宝具『彗星走法』の楔にもなっており、撃ち抜かれるとこの2つの効果は消失してしまう。
ただし、踵を撃ち抜かれたら即死する訳でも無力化する訳でもなく、あくまで弱体化するだけである。そして元が非常にハイスペックな英霊であるため、弱体化しても強いものは強い。
実際、Apocryphaでは黒のアーチャーの宝具を踵に食らったあとに、暴走する赤のアーチャーと互角以上に渡り合っており、FGO内でのプロフィールでも『踵を貫かれて心臓を抉られるとしばらく大暴れした後に死ぬ。弱点とは。』とある。
要するに弱点ではあるが必勝の攻略法ではなく、むしろ他のサーヴァントと同等の勝負に持ち込むまでの条件程度にすぎない。そしてそこまでしてもまだ「しばらく大暴れ」するだけの余力が残る様子。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Apocrypha
「赤」のサーヴァントとして登場。
Fate/Grand Order
アレキサンダーの幕間の物語で先行登場。後に2018年の『Fate/Apocrypha』とのコラボイベントに合わせて実装。豊富な宝具を保有スキルとして表現している手法が取られたサーヴァントの一人。

その他

ちびちゅき!
期末試験のクイズ対決にて師匠と激闘を繰り広げるがボロ負け。後に小等部の体育教師になる。

人間関係

Fate/Apocrypha

赤のアーチャー
「姐さん」と呼び、非常に親しい関係。
同郷という事もあり、隙あらば口説いているが、いつも素っ気無く扱われている。先にどちらが先陣を切るか揉める事もあるが、互いに人柄と実力を信頼し合っている。
赤のランサー
彼をインド神話屈指の大英雄と評し、その実力と品格、そして如何なる嘘をも見抜く見識も含め非常に高く評価し敬意を払っている。
それ故に手を抜いて相手をすると大英雄である彼への侮辱になってしまうという考えから、軽い手合わせをしようとは思わず、斬り合う時は殺し合う時と定めている。
赤のアサシン
傲慢かつ不遜で信用ならない上に、元々王族を毛嫌いしている彼との相性は最悪。チーム戦の「聖杯大戦」ではなく、バトルロワイヤルである「聖杯戦争」ならば真っ先に彼女を殺そうとするだろうと言われるほど。
後にシロウをマスターと認めたことでお互いに態度を多少は軟化させるが、今度は彼女がシロウにご執心である事を弄るようになる。
シロウ・コトミネ
一応協力してはいるが、不穏な気配を感じ取っており、全く信用していなかった。
後に試合と問答を通して彼の覚悟の程を認め、マスターと正式に認める。
黒のアーチャー
「先生」と呼ぶ(明確に敵と認識できている場合のみ「黒のアーチャー」と呼ぶ)。かつての恩師であり、9年もの間、それも多感な少年時代を共に過ごした父であり、兄であり、親友でもあるような存在。
正体を知った時、戦意を喪失しかけるほどの衝撃に襲われるが、当の相手から叱咤されたことで気を取り直す。
決戦を控えて幾度と無く脳内で彼との戦闘をシミュレートするも、何回やっても「負ける」もしくは「勝つのに時間がかかりすぎる」という結論に至り、『宙駆ける星の穂先』の異空間内での殴り合いを提案した。アーチャーの側でもかつての弟子を赤のサーヴァントとして召喚するという運命の悪戯を苦々しく思っていたが、自陣営のサーヴァントで彼を倒せるのは自分だけと悟り、己とマスターの願いを叶えるためにも手加減などはせず、正体を明かした後は全力で戦いに応じている。また、せめて倒すならば自分の手でという心からか、乱戦中にも助言を与え、吸血鬼化した黒のランサーに眷属とされそうな所を助けるなど、度々手を貸している[注 6]
一方で決戦の時は『宙駆ける星の穂先』の決闘に応じる代わりに『蒼天囲みし小世界』の譲渡に関する何らかの頼みを行い、死の間際に警戒を解いたアキレウスを宝具で不意打ちする、など黒のアーチャーとしての役割を重視する側面も見せる。
キャビィク・ペンテル
漫画版で正式決定した本来の赤のライダーのマスター。

Fate/Grand Order

ジーク (Grand Order)
コラボイベントにて共演。聖杯大戦では一切絡むことが無かったが、コラボイベントでは大聖杯を奪おうとする敵に対抗すべくジークが苦渋の決断でケイローンと共にサーヴァントとして召喚させた。
宝具を使用できるようになった敵の攻撃に対応できるようケイローンに特訓を指示された際、彼の生徒として突貫コースによる特訓を受けさせられたときのトラウマを思い出し、ジークに「死ぬなよ」と激励を送っている。
彼の性格については「悲観的だ」と苦言を呈する。
モードレッド
同じく聖杯大戦では絡む機会のなかったサーヴァント。同じ好戦的な性格から、モードレッドが協力を渋っていた際に挑発を行い一触即発になりかけた。
空中庭園にて大聖杯の前で黒幕と対峙した際に彼の提案を英雄としての矜持から退けた際にモードレッドからも同意を得るが、そのときに彼女から「にんじん」と呼ばれてしまう。
ヘラクレス
兄弟弟子。ケイローンが死ぬ原因を作ったことに思うところがあるのか、必死に「今は味方」と自分に言い聞かせている。
一方それはそれとして、同じギリシャを代表する英雄同士競ってみたい願望があるようで、主人公に比べ合いをねだったりしている。

生前

パトロクロス
かつての親友。彼がヘクトールに討たれたことを深く嘆いたアキレウスは彼の敵討ちを決意。アガメムノーンから莫大な恩賞を約束されても再出撃を拒んでいたアキレウスがついに立ち上がったことで、トロイア戦争の戦局は大きく動くこととなる。
その怒りようは凄まじく、ヘクトール曰く「バーサーカーそのもので、とても会話が通じるような状態ではなかった」とのこと。
ヘクトール
戦士にして将軍、そして軍師であり政治家であり王族であったトロイアの皇子。
アカイア軍は彼一人の存在によって数年以上もトロイアを攻めきれなかったと言ってもよく、アキレウスが一騎打ちにて討ち取るまでアカイア軍を苦しめ続けた。
倒したヘクトールの死骸を戦車で引きずり回し辱めた愚かで不寛容な振る舞いでアポロンの不興を買ったアキレウスは、再三の制止にも関わらず逃げ崩れるトロイア軍を誅戮した。
策略や政治力まで駆使したチキン戦法には「もう二度と戦いたくない」と嫌がっており、次にまみえる際には数を集めて逃げられないように囲んでフルボッコにしようと虎視眈々と準備している。
ペンテシレイア
ヘクトールを討ってしばらくの後、トロイアを救うべく差し向けられたアマゾネスの女王。
アキレウスは顔を隠した彼女の素顔に好奇心を持ち、一騎打ちで勝利した後、兜を剥ぎその神々しいほど美しい顔を見た。
それと引き換えにペンテシレイアから受けた「アキレウスの槍はいつかアキレウスが愛しく思った誰かを穿つ」という呪いは聖杯大戦の第二の生にて成就することになる。
アキレウスとしては彼女を侮辱するつもりも「美しい」というつもりも毛頭なかったようであるが、兜の下の彼女の顔があまりにも美しかったために言葉を漏らしてしまったとか。
パリス
ヘクトールの弟でトロイア戦争の発端を作った男。弓の名手。
アキレウスの愚挙により怒り狂ったアポロンの加護を受け、アキレウスにとって唯一の弱点である踵を射抜き、次いで心臓を射て不死身の英雄を倒した。
『Fate/Grand Order』では召喚された彼が天真爛漫な少年期だったためいろいろと毒気を抜かれて対応に困っている。
オデュッセウス
同じアカイア軍の英雄。
母の計略により辺境の島に隠れ住んでいた所へ、アガメムノン王の命令により迎えにやって来た。
この時アキレウスは女の格好をし女官の振りをして匿われていたのだが、商人に扮して現れたオデュッセウスが装飾品と一緒に持ち込んでいた槍や剣にばかり目を向けていたため、早々に見抜かれてしまった。
アイアス
トロイア戦争でアキレウスとともに戦った英雄。大アイアスと小アイアスがいるが、どちらも碌な最期を迎えてはいない。
大アイアスの盾が、Fateシリーズではエミヤが使用することで知られる『熾天覆う七つの円環』である。そして同時に大アイアスの父がアキレウスの父ペレウスの兄弟に当たるため、血縁上は従兄弟になる。
アガメムノン
全ギリシャの王にしてトロイアを攻めたアカイア勢の総司令官。
叙事詩「イリアス」は彼とアキレウスが激しく対立する場面から始まる。アキレウスの王族嫌いはこれが原因であろう。

名台詞

Fate/Apocrypha

「――来い。
 真の英雄、真の戦士というものをその身に刻んでやろう。」
黒のセイバー黒のバーサーカーとの対峙。彼の不遜な挑発に二騎は殺意を露わにするが、微風のように受け流し、更なる挑発を口にする。
「ハハ、ハハハハハ! 素晴らしい! 素晴らしいぞ、黒のアーチャー!
 お前は俺を傷つけ、殺すことができるのか!
 ならば、俺とお前の戦いは宿命であるッ!
 おお、オリンポスの神々よ。この戦いに栄光と名誉を与え給え!」
謎の弓兵の攻撃を受けて。
傷つけられたことに対する屈辱などなく、自身に匹敵する好敵手の存在に抑えきれない喜びを表す。
だがこの時、彼は神々の悪辣さを忘却していた……。
「応、是非頼む。」
キャスターが先陣を共に切る彼とアーチャーに出した、「初めての共同作業として、愛の詩を送ろうか」という提案に対して。
喜びに顔を輝かせる彼に対してアーチャーの方はというと……。結果、失恋する男の切ない詩が生み出された。
「あ――――――なた、は。」
追い詰めた先で知った、好敵手の衝撃的な正体。
愕然とする彼に対し師は厳しい言葉で撥ね付け、ただ「戦え」と言外に告げる。
「あのな。ランサーと軽く打ち合えってのが無理なんだよ。
 一度打ち合ったが最後、俺達は勝って殺すまでやり合うぞ。」
「インド屈指の英雄に、五分の力なんてのが失礼千万だ。
 アイツと打ち合う時は、殺し合う時と決めている。」
シロウが提案した「ランサーとの試合」について。「施しの英雄」に戦場で殺し、殺される戦士として最大の敬意を払う。
会話したこともなく性格も正反対な両者だが、言葉を交わさずとも生粋の戦士として互いに通じる物を感じていた。
「俺が駆け抜けた俺の人生だ。手前が勝手に解釈すりゃいいさ。ただまぁ―――」
「喜劇にしてくれ。読んだ人間が、馬鹿馬鹿しいと笑ってくれるような。実際、踵だけが人間のままでそこを射抜かれて死んだなんて、馬鹿馬鹿しいにも程がある!」
キャスターから「いつかあなたの物語を書くとしたら、喜劇か悲劇か」と問われて。この答えに稀代の劇作家は、いつもの笑みを消して真摯な態度で「畏まりました」と頷く。
余談だが、彼が著作した劇でアキレウスが登場する『トロイラスとクレシダ』は悲劇に属する。
「感謝します。先生。
 この力は、この技は全て貴方のお陰です。」
黒のアーチャーと一騎打ちを挑み、辛くも勝利した後に。敵対することを決めてからは以前の師弟としての関係を極力抑え、今までの敵に見せてきたような不遜で挑戦的な口調を使ってきた。しかし、念願だった尊敬する師との一騎打ちを果たし勝利した後に発した言葉は、自らに武芸を授け、鍛え上げてくれた恩師に対する圧倒的な感謝の気持ちだった。
「先生……ずるいぞ、あんた……。」
決闘の条件に自らの願いを一つ叶える。その約束に従い、黒の陣営に自らの宝具を貸し出す約束を取り付けたのち、倒れ伏す自分を敵でなく師として見ているアキレウスの「甘さ」を突き、宝具で彼の踵を撃ち抜き不死性を奪った黒のアーチャー。その後アキレウスの激昂を聞き届ける間もなく、墜落した戦闘機と共に消滅していった。師の最期を見届けたアキレウスは敗北しながらも最後まで自分を手玉にとっていった師に複雑な面持ちで呟やいた。
「いいやどかねえ。
 魔性に堕ちた者を討つのは、英雄の役割だ。」
「姐さん。あんたは道を踏み外しちまった。
 あんたはどっかで進まずに、戻るべきだったんだ。」
「俺はいつもそうだ。大事だと分かっているはずのことをおざなりにしちまう。
 後悔ばかりだな。でも、今度は―――」
ルーラーへの憎しみに囚われ、魔獣へとその身を堕とした赤のアーチャーに向かって。彼女の変調に気づきながらもそれを問いただすことをせず、自分の戦いにのみ目を向けてきた結果、彼女の暴走を止められなかったことに生前と何も変わらぬ自分の愚かさを後悔しながら彼女の前に立ちはだかった。
「アタランテ―――!!」
激戦の末、見出した活路を一直線に突き進み、自分に降り注ぐ矢を意に介さず赤のアーチャーへ必殺の槍を突き立てた。その直後に上空から降り注いだ漆黒の矢に自らも貫かれる。
「それでも俺は、あんたが堕ちるのを止めたかったんだ。」
魔獣の皮を引きはがし、正気に戻った赤のアーチャーの独白に対して。理性では自分のやっていることは子供たちにとって何の救いにもならないと分かっていながら、どうしようもない怒りをルーラーにぶつけることしかできなった彼女の世界に対する絶望の声に、それでも彼女の在り方を尊ぶアキレウスはたとえ自分の身を投げ出そうともその生き様を守り通そうとした。
「姐さん。あんたとあんたの夢は美しかった。
 何より、自分自身が報われない夢であると知りながら、それでも挑み続けるあんた自身が。」
アタランテの最期を看取ったアキレウスは、自分の愛した女性の生き様を胸に刻みながら自らも運命を共にした。

Fate/Grand Order

戦闘

「さて……俺の前に立ちはだかったって事は、負けたいって事だよな? アンタ」
「よし、縁が結ばれた。殺し合おうじゃないか……なぁっ!!」
戦闘開始時。好戦的で圧倒的な自信をもって相手を挑発する。
「ヒュー(口笛)! さぁ、立ち塞がってみろ! 我が戦車は星のように、容赦なくおまえ達を轢き潰す! ――もう遅い!『疾風怒濤の不死戦車トロイアス・トラゴーイディア』!!」
「クサントス! バリオス! ペーダソス! 行くぞ! 命懸けで突っ走れ! 我が命は流星の如く!『疾風怒濤の不死戦車トロイアス・トラゴーイディア』!! ハッハー!」
宝具解放。天翔ける戦車とともに、流星の如き超速を以って敵陣を蹂躙する。

マイルーム

「いいサーヴァントを引き当てたぜ、アンタ! ってな訳でライダーのサーヴァント、アキレウスだ。
 ……そうそう、踵が弱点でお馴染みの英霊さ。ま、俺の踵を捉えるなんて、誰にでもできることじゃあねえけどな!
 人類最速の足、伊達じゃあないぜ?」
召喚時の台詞。英雄としての圧倒的な自信を感じさせる言葉。
「どーも生前から、上司だ王だってのは苦手なんだよなぁ……先天的に合わないんだ。相手も自然とそうなるから、本当に始末におけない。」
「ま、おまえさんが俺をどう使おうが勝手だが……俺ぁやりたくない事は『ノー』って言うぜ?
 どうしてもって言うんなら……令呪でも使うこったな。」
マイルーム会話「会話2」「会話3」。英雄らしくあるという意思のもと、気に入らないことは例え王が相手でも譲らなかったアキレウス。ここでも気に入らないことには従わないという意思を見せる。
しかしアキレウス自身も伝承ではアイギナ島の王アイアコスの孫で、父ぺレウスもプティアの王とされている。
「…っははははははは! まぁ、おまえさんの指示はスカッとしててやりがいがある。よし、次は何をする?」
「マスターか…ま、なんつーのか、アレだな…いつも感謝してる。ありがとな。
 アンタの為なら、命を捨てても惜しくはねぇ。」
マイルーム会話「絆Lv3」「絆Lv4」。
気に入らないことには従わないアキレウスだが、マスターの指示はそんな彼にとって気持ちがいいもので、マスターのためなら命も惜しくないと言うほど信頼している。
「っと…我がマスター。俺はアンタに忠誠を誓った身だ。生前も死後も、これほど戦士でない誰かに背中を預けられると思った事はない。
 正しいと信じられるってことが、これほど素晴らしいとはな。ってな訳で、これからもよろしくだ。」
マイルーム会話「絆Lv5」。
強すぎる自己のため、基本的に権力者など、自分より上位の立場にいる相手とは折り合いが悪いアキレウスが、忠誠を誓うほどの信頼をマスターに寄せる。
「げ……先生いるのか。あ、いやーその、味方ならいいんだ。うん……いや、一度戦ったんだよ。
 あの人、ガンガン殴ってくるわ、関節バッキバキ極めるわ……思い出すだけで悪夢だ。」
マイルーム会話「ケイローン」。
聖杯大戦では初めに動揺しながらも、師と戦える機会に歓喜を見せていたが、師の容赦ない攻撃には決して小さくないトラウマを刻まれた模様。
「お、ヘラクレスか。大丈夫、味方、味方・味方……!
 いやしかし、一度くらいは闘って見るのもいいんじゃないかって俺ぁ思うんだがダメか? ……ダメ? ちぇー。」
マイルーム会話「ヘラクレス」。
自分と同等の実力と知名度を誇る英雄に戦ってみたいという欲求が出るも、マスターに却下される。
「アタランテの姐さんかぁ……なに、いいさ。今はああして笑えている。それだけで俺は十分に満足だ。マスター……感謝してるぜ。」
マイルーム会話「アタランテ」。
聖杯大戦では、魔性に堕ちた彼女を救うため一騎打ちで彼女を討ち取る形で食い止めた。カルデアで再会した彼女が穏やかに笑っている姿を見てマスターへの感謝を告げる。
「あー、ペンテシレイアもいるのか。うん、「詫びのためなら殺されてもいい」とは思っていたが……マスターが守れなくなるからダメだな。
 今の俺はサーヴァント……悪いが、敵対するならまた殺すし、味方になるんなら……背中を預けるさ。」
マイルーム会話「ペンテシレイア」。
生前彼女を殺した時の自身の行動にトラウマがあるためか、本編では思わず片言になるほどの動揺を見せたが、マイルームでは彼女に対し謝意を抱きながらも、マスターのためサーヴァントとして振る舞う覚悟を見せている。
…ただし、そのセリフが彼女にとっては不誠実であることには気付いていない。
「ヘクトールか……ま、味方になるならいい。敵に回すと厄介だからな。
 俺からは手を出したりしな……ッ、ぁ痛った! ……ッ、ヘクトォール! てめ石ブツけやがったなー!
 よしもう一度一騎討ちだ! 逃げるなよぉ! 槍が外れるからぁ!!」
マイルーム会話「ヘクトール」。
生前一騎打ちを仕掛け打ち破った相手であり、彼の逃げ回りながらの戦法に苦戦させられた。味方であると自分に言い聞かせるも、彼に石をぶつけられ怒り心頭で彼を追い回す。
しかしアキレウスの宝具の性質上、神性のないヘクトールに敵意がある場合は痛みを感じないので、ヘクトールからしたら友愛の印かもしれない。

イベント

(突貫コースだ……。絶対に突貫コースだ……。)
コラボイベントにてジークに対し、敵サーヴァントの宝具の瞬間の察知を夜までにできるよう鍛えるとケイローンが宣言したときの反応。
八歳のころに突貫最速で勇者になりたいと言ったがために、ケイローンから突貫コースでの修行で、24時間ケイローンの攻撃を回避し続けるという特大の無茶ぶりをさせられてしまう。
「狭い洞窟の中、百本の矢を打ちまくられる」という体験は、いかにアキレウスといえど八歳の時点ではあまりに過酷であり、決して小さくないトラウマを刻み付けた。
「おい、管理者……じゃねえ。ジーク。」
ジーク「?」
「……死ぬな……死ぬなよ……?」
ジーク「……ああ、もちろんだ。(次の夜も)乗り越えてみせる。」
「おう!」
上記の記憶を思い出し、ジークに激励を送るアキレウス。ジークは次の夜も乗り越えるという意図で返事をしたが、間違いなく認識にズレが生じている。
「……。……。
 ハイ、シッテマス。
 え、嘘。まさか敵側にいるとか? いないよね? え? カルデアで召喚する可能性がある?
 ア、ウン。 ダイジョウブデス……ハイ……。」
コラボイベントで主人公から、アマゾネスの女王を知っているかと聞かれての反応。大丈夫と言いつつ表情が虚ろになっており、トラウマレベルで苦手になっているのが明らかである。
「おう、俺の先生にやれないことはない。何しろ大賢者だからな!」
モードレッド「……十字懸垂一時間とかできるか?」
「できるできる。片手一本指立て伏せも楽勝。」
アタランテ「悪代官の頭に載せた林檎を矢で射抜けるか?」
「欠伸しながらでもできるね。ついでに悪代官も射抜ける。」
アストルフォ「指を鳴らしただけで真空波的なもの出せる?」
「出せる出せる。もう何でもスパスパぶった切れる。」
ジークフリート「無呼吸全力でどの程度動けるのだろうか。」
「相手が倒れるまでなら無限大だな!」
ジャック「おかあさんだったりする?」
「子育ては得意中の得意だ!」
フラン「ウー?(雷で蘇ったりできる?)」
「よく分からんが何とかなる!」
コラボイベントでミレニア城塞の庭でピクニックをしているときにケイローンが作ったサンドイッチを食べて、モードレッドが「ムカつくくらい何でもできる」とぼやいたときの反応。
聖杯大戦では敵同士としてあまり師弟としての関係が描かれなかった反面、このコラボイベントでは聖杯大戦時の戦いがサーヴァント達には記録としてしかないため、二人の師弟としての関係が見られる。特にこの場面はアキレウスが尊敬する師を素直に自慢するという数少ないシーンである。
しかしアストルフォとジークフリートはともかく、何を言っているかよくわかっていないフランにまでできると断言するのは安請け合いが過ぎるのではないだろうか? そしてケイローン本人にも「適当言わないように」とツッコまれた。
「ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。悪いが断る。」
「そりゃ簡単だ、テメェに従うのは英雄らしくねえからだよ。
 人生は駆け抜けるもの・・・・・・・・・・。途中で転んじまっても、駆けたことに変わりはねえ。
 再現体だろうが、サーヴァントだろうが、俺が俺である限り―――
 英雄らしからぬ真似はごめんだ。」
コラボイベントにて黒幕であるダーニックの自分に協力すればサーヴァントとして外の世界にて顕現させるという提案を退けての一言。
英雄らしく生きることを信念とする彼にとって、英雄らしからぬ行為は、例え命を失うこととなっても絶対に行わないことである。
ニンジン!?
上記の発言をモードレッドに支持された際に彼女から言われたあだ名に対して。さすがに生前においてもそんなことを言われたのは初めてだったのだろう。

ちびちゅき!

「いい機会だぜ。俺は知略でもアンタを超えて見せる」
「余裕ぶっこきやがって…! くそっアキレス腱がもう限界に…!!!」
ちびちゅき!』での師弟対決。間違えるたびに傾斜のきつくなる滑り台の上でのクイズ対決なのだが、師匠の滑り台がほぼ傾斜無しなのに対し、アキレウスの滑り台の傾斜は既に90度以上。
それでもなお手足を伸ばして踏ん張り続けるものの、唯一最大の弱点が悲鳴を上げていた…。

メモ

  • 小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人で、東出氏原案のキャラクター。
  • 彼の父ペレウスはアタランテと「アルゴナウタイ」と「カリュドーンの猪狩り」に共に参加した旧知の仲で、彼が彼女の事を「姐さん」と呼ぶのは親しみの他に、父と共に冒険をした人物に対する敬意も含まれていると思われる。
  • 母ティティスは海の神ネレウスの眷属・ネレイデスの乙女で、その美貌から主神ゼウスも彼女を狙っていたが「必ず父より優れた子を産む」という予言を知ってあっさり諦めた。ある意味遠坂葵の原典である。
  • 母ティティスが彼を不死の体にした方法は、作品中では「神聖の炎で炙り、人間としての血を蒸発させる」というものであったが、一般的に知られる伝説では「冥府に流れる忘却の川(レテ)の水に浸す」パターンであることが多い。
    この場合、赤子の足首を掴んで川に突っ込んだために踵の一部が不死性を得ず残ってしまったという、いわばうっかりミスの結果があの弱点であり、作中で語られる「父ペレウスがアキレウスの人間の部分を全て失くすことを惜しんだため」という理由に比べると微妙に格好悪い。
  • かの大英雄カルナと同等の戦力評価は伊達でなく「神性」または神造兵装を保有してないサーヴァントでは実質彼に勝つ事は限りなく不可能に近いとされる程で、ライダーの真名を聞いたカウレスも弱点の踵があるにも関わらず黒のサーヴァントでケイローンが居なかったら黒陣営の敗北は確定していたと評している。
    • 尤も好敵手との戦いを求める彼にとって神性を持たない者との戦いにはあまり執着はしておらず、自らを傷つけられる者との戦いを優先している。自身を傷つけられるアーチャーの存在を知った際は歓喜で身を震わせて再戦を宣言したり、赤陣営と黒陣営との全面戦争の際にも積極的にアーチャーと戦おうとしている。態々、ダメージを与えうる存在と戦おうとしているので戦略的には不死性を活かしているとは言い難かったりする。
    • なお、神性(あるいは神性をスキルで取得できる)または神造兵装を持つサーヴァント、つまりアキレウスに傷を負わせることができるサーヴァントは、2016年6月現在約140人ほど存在するサーヴァントのうち30余名程度(明確に断定し辛いのも含まれる為)とされる。とはいえ、これらの数は総合的な話であって、実際の戦場ならばサーヴァント召喚の時点で決まってしまう様なものであり、当人が『宙駆ける星の穂先』を使わない限りに高い確率で戦況が詰んでしまう可能性も否めないほど。
  • 『彗星走法』によって最速と謳われるほどの速さを持つ彼だが、敏捷はA+と珍しくもないどころか師匠ケイローンにさえ表記上では追いつかれている。描写としての異常性から見ると、恐らくスペック上の敏捷と『彗星走法』を加えた実際の速さは異なるのではないかと思われる。
    • 2部5章で踵を射ぬかれた状態で音速(時速1225㎞~)で動いていることから、万全の状態だと約時速4083km~になり音速の3倍(時速3675km)より速いことになる。エミヤの腕を移植したことで身体能力が強化された衛宮士郎が時速50km、グレゴリー・ラスプーチンが時速90km、クー・フーリンの最高速度が時速194km(空想読本)、ヘシアン・ロボの速力とアルトリア・ペンドラゴンの駆るモータード・キュイラッシェが時速200km、キングゥの飛行速度が時速500km、ベルレフォーン最高速度が時速400~500km、アルトリアの令呪による跳躍が音速の6倍(空想読本)。
  • 『Fate/Apocrypha material』によれば黒のライダーが「蒼天囲みし小世界」を使用できたのは、アキレウスが他人に宝具を貸した逸話があることと、黒のライダー自身も他人と宝具を貸し借りした逸話を数多く持っていたことで、双方宝具をやり取りすることができるだけの条件が揃っていたからという理由がある。
    • アキレウスはトロイア戦争において、ギリシア軍の総大将アガメムノーンと揉めたことで出陣を拒否。代わりに出陣しようとした親友パトロクロスに鎧を貸し与えたという逸話を持つ。アキレウスが他人と宝具をやり取りしたという例の一つ。
  • 伝承の中には、メディアの4人目の夫だったという説も存在する。
  • アキレウスの恋愛関係に関する逸話には、一子を設けたテイダメイアやアガメムノンとの悶着の要因になった愛妾ブリセイアの他に、アポロンの神殿で出会ったポリュクセネ王女との悲恋や、その弟で自らを殺すと予言されたトロイラス王子に、彼を討ち取る刹那の瞬間心を奪われてしまった。といったものも存在する。ちなみにこの二人はヘクトールとパリスの弟妹である。[注 7]
  • 親友のパトロクロスとは同性愛の関係にあったとする説もかなり有名。元々はとある作家がアキレウスにマイナスイメージを持たせるため戯曲の中でこんな風に書かれたのだが、考案自体は古代ギリシャ時代からあったとされている。ちなみにこの戯曲を書いた人物こそ、言わずと知れたかの劇作家ウィリアム・シェイクスピアである。
  • イスカンダルは彼が主人公である『イリアス』の大ファンである。
    史実では元々、イスカンダルの母方にあたるエペイロスのモロッソイ王家はアキレウスの子ネオプトレモスとトロイの王女の末裔を自称しており、幼い頃から英雄譚に憧れて育った彼は師アリストテレスから贈られた『イリアス』を片時も手放さず、東方出征の折には往路で立ち寄ったトロイ遺跡でアキレウスの墓に詣でたり、親友ヘファイスティオンをパトロクロス、自らをアキレウスとしてロールプレイに興じたりしたという。
    虚淵氏曰く、「人類史最初のオタクセレブ」。
  • ライダー以外にもランサーバーサーカーシールダーのクラスとしても召喚可能。クラスが変わる度に宝具のラインナップも微妙に変化し、例えばランサーとして召喚された場合はライダーの宝具である『疾風怒濤の不死戦車』が失われる代わりに『宙駆ける星の穂先』にHP削減効果が付与される[出 1]。東出氏によるとこの場合、神速で走り回りながら神速でこの槍を振り回してくるので、どちらにせよ手が付けられないとか[出 4]
    • バーサーカーとして召喚された場合は生前での死体を引きずり回す行為を平然と行うとのこと。
  • 東出氏によると、伝承から宝具に使える逸話を真面目に拾うと膨大な数になってしまうので、不死性と俊足をスキルに回して宝具を3つに絞る予定だったらしい。奈須氏に宝具候補のリストを見せて相談したところ、「彼くらいの大英雄ならばいっそ5つ位持たせてしまおう」と意見を貰い、今の形になったとの事[出 1]。それでも宝具候補にあった黄金聖衣みたいな鎧は出せなかったらしい。
    • ちなみに、ギリシャで召喚された場合、この黄金聖衣みたいな鎧が宝具として追加されるとのこと。オミットされた槍の不治の呪いを含めれば、合計7つ分という異常に豊富な宝具を所有することになる。その様は奈須・東出両氏から「宝具山盛りの超強力サーヴァント」「ウルトラハイスペックサーヴァント」と評される程だが、当然ながら魔力消費も尋常でないほど激しく、本来の聖杯戦争なら即魔力切れで、彼を真っ当に扱えるならば間違いなく超一流のマスターであるという[出 1]聖杯大戦という舞台であったからこそ、彼の実力が発揮できたと言える[出 1]
      • 『Fate/Grand Order』霊基再臨第三段階で見られるセイントグラフではこの黄金聖衣みたいな鎧と思わしきものを身につけている。
    • この鎧はパトロクロスを打ち倒したへクトールが戦利品として持ち帰りアポロンが彼用に仕立て上げ、彼の鎧となったものか、あるいは鎧が奪われた故にヘファイストスから与えられた新しい鎧の二着目のどちらかだと思われる。
  • FGO Fes「Fate/Apocrypha」 stage day2 Premium Talk Show+Liveのトークによると、アニメ第4話のアキレウスの口笛は古川氏が吹けないという事でケイローン役の武内氏が代役で吹いたらしい。
    • ただし、指笛に関してはアニメの収録現場では吹ける人がいなかったのでSE(効果音)となっている。FGOの宝具演出の指笛もSE(効果音)。[注 8]
  • 一部の人からはカラーリングがオレンジと緑だからかにんじんと揶揄されることがある。
    • 実際、イラスト担当の近衛乙嗣氏のデザイン開発のコードネームが「にんじん君」であったことがマテリアルで判明した。
      • そしてスペシャルイベント『Fate/Apocrypha Inheritance of Glory』でこのネタが取り上げられたのか、モードレッドから「ニンジンみたいなヤツ」と言われてしまった。
  • 死んだこと自体に未練がないとされるアキレウス。だが実は「オデュッセイア」の作中に冥府で死後のアキレウスが登場するのだが、その時に登場する彼は「英雄として死ぬよりもつまらない人生ながらも生きた方がマシ」と設定とは正反対の事をオデュッセウスにぶっちゃけていたりする。
    • ただしこれは死んだ直後の話である為に、死後千年単位立ってから徐々に考え方が変わっていった可能性があるので矛盾してるとは言えないだろう。更にこの時期は一人息子や妻も居たのでなおさらである。ある意味アキレウスにもそういう時期があったという人間臭さを示すエピソードとも言える。
  • 生前、色々なことをしでかしてまうアキレウス。そのエピソードの中でヘクトールの死体を戦車で引きずったというのが有名だが、当時のギリシャでは「倒した将の死体から鎧を奪い、その死体を戦車で引きずる」という風習があり、所謂日本の晒し首のようなものの為、実はアキレウスの暴挙の中で一番擁護出来る事案だったりする。何故、作中アキレウスだけ実行することになったかというと、本来であれば将が討たれたら味方が戦闘そっちのけで死体を守り死体引きずりまで至らない為である。例え決闘であろうと死体を辱しめられないように立ち合い人が存在する。しかし、ヘクトールは孤立した状態でアキレウスと決闘することになり(ヘクトール本人は気づいていない)、死体を守る者が誰もいなかったことからアキレウスが実行出来てしまったという悲劇である。
    • かくいうヘクトールもパトロクスを討ち取った際にこの風習に習い、同じことをしようとしていた。しかし、死体を取り返されてしまった為、鎧を奪うところまででとどまっている。

話題まとめ

脚注

注釈

  1. 1ターン
  2. オーバーチャージで効果UP
  3. 3ターン
  4. 2回5ターン
  5. 3ターン
  6. これは不死身で神性以外の攻撃に傷つかない吸血鬼が誕生することを阻止するための合理的な行動であるところも含まれている[1]
  7. トロイラスに至っては、太陽神アポロンと王妃ヘカベーの息子とする説もある。
  8. 第31回「Fate/Apocrypha Radio トゥリファス!」より

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 『Fate/Apocrypha matelial』152-153ページ「赤のライダー」より。
  2. 『Fate/Apocrypha matelial』178ページ「疾風怒濤の不死戦車」より。
  3. 『Fate/Apocrypha matelial』156ページ「勇者の不凋花」より。
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 『Fate/Apocrypha matelial』176ページ「宙駆ける星の穂先」より。
  5. 5.0 5.1 『Fate/Apocrypha matelial』153-154ページ「蒼天囲みし小世界」より。

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