「ウィリアム・シェイクスピア」の版間の差分

 
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== キャスター (Apocrypha・赤) ==
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{{サーヴァント概要
*真名:シェイクスピア
+
| タイトル = 赤のキャスター
*身長:180cm/体重:75kg
+
| 真名 = ウィリアム・シェイクスピア
*属性:中立・中庸
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| 外国語表記 = William Shakespeare
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| 初登場作品 = [[Fate/Apocrypha]]
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| 声優 = 稲田徹
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| 演者 =
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| 身長 = 180cm
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| 体重 = 75kg
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| 誕生日 =
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| 血液型 =
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| 出典 = 史実
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| 地域 = イングランド
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| 属性 = 中立・中庸
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| 副属性 = 人
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| 性別 = 男性
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| スリーサイズ =
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| 一人称 = 吾輩
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| 二人称 = あなた
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| 三人称 = 彼/彼女
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| イメージカラー = ゴールデンイエロー
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| サーヴァント階位 =
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| 特技 = 不朽のベストセラー作品の執筆
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| 好きな物 = 非凡、逸脱、突出、拍手喝采、言葉と文字
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| 苦手な物 = 平凡、平穏、凡庸、ブーイング
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| 天敵 = スランプ
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| デザイン = 近衛乙嗣<br>倉花千夏(原案)
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| 設定作成 =  
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;Apocrypha
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:賀東招二
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;Grand Order
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:東出祐一郎<br>賀東招二
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| レア度 = ☆2
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}}
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== 概要 ==
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「[[キャスター|魔術師]]」の[[サーヴァント]]。
  
[[クラス (キャスター)|魔術師]]」のクラスの[[サーヴァント]][[聖杯戦争|聖杯大戦]]において、赤の陣営に属する。<br>中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を身に纏った伊達男。
+
; 略歴
 +
: 『[[Fate/Apocrypha]]』では聖杯大戦において赤のサーヴァントとして召喚される。本来の召喚者であるマスターではなく[[天草四郎時貞|シロウ]]達に与し、彼らの野望を知りながら協力しているが、自らの「物語」への欲から[[スパルタクス|バーサーカー]]にミレニア城塞の在り処を教え、暴走させるトラブルメーカーでもある。
 +
: ユグドミレニア攻撃の際はシロウの援護に努め、[[フランケンシュタイン|黒のバーサーカー]]の足止めを行う。大聖杯奪取後は、空中庭園内部に「工房」という名の個人的な書斎を作り、ひたすら執筆活動に明け暮れる。
 +
:『[[Fate/Grand Order]]』の第四特異点『[[死界魔霧都市 ロンドン]]』では西暦1888年のロンドンに出現した魔霧から召喚され、一応、居合わせた主人公達に付く(基本的に[[ヘンリー・ジキル&ハイド〔アサシン〕|ジキル]]のアパルトメントに籠り、戦闘に参加したのは時計塔の探索時のみ)。
 +
:終局特異点『[[冠位時間神殿 ソロモン]]』では冠位時間神殿に召喚され、他のサーヴァント達と共にⅣの座を統括する[[バルバトス|管制塔バルバトス]]と交戦する。
 +
; 人物
 +
: 中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を身に纏った伊達男。
 +
:『物語』至上主義者で、たとえどのような手段をとっても最高の『物語』を目撃することを至上の目的としている。そのため善悪になど興味は無く、シロウ達の理想が多くの命を踏み躙るものであっても一向に構わない。彼にとっては世界は驚天動地の『物語』でなければならず、面白い物語を作るためならば味方を死地に追いやるような事も平気でやってのける。
 +
: しかしその行動自体に悪意は無く、悲劇であれ、喜劇であれ、あくまでも物語を紡ぐ非凡な存在を心から愛しているが故の行動である。そのため良くも悪くも当事者意識に乏しく、視点が作者的で俯瞰的。戦闘能力が皆無な自身が舞台に立つ事は徹底して避けている事もあってその発言はいつでも他人事であり、それ故にハイリスク・ハイリターンな戦いや非凡で優れた才能などを無責任に味方に強いたり、その癖自分は何もせずに観客気分で高みの見物や解説に回ったり、真剣な雰囲気の相手にわざわざ心境を聞いたり煽ったりするなど、敵味方問わず相手を苛立たせたり呆れさせるような無神経な言動がかなり多い。
 +
: 自己顕示欲が強い典型的なナルシストで、台詞に自作を引用しながら仰々しい話し方でひたすら喋り倒し、自分で買ってきた自著をシロウに薦めるほど。また劇作家だっただけに、セリフに作劇の用語を用いたりもする。反転した状態ではそれをしなくなるものの、それ以外は反転による影響や変化が特にない。これは彼がひたすら人間が織り成す紋様を見る事だけを考えて行動しているためであり、決して物事の善悪に則って行動している訳ではないからである。
 +
: 一方でつまらない『物語』を強く嫌悪しており、『物語』を壊しかねない存在を全力で排除しようとする。また、行動や思考、思想が単純で容易に操れるような平凡な人物も忌み嫌っている。
 +
; 能力
 +
: 「キャスター」でありながら[[魔術|魔術師]]ではなく、工房や礼装を作成することは勿論、使い魔を使役して情報収集することなど一切出来ない。戦闘能力もまるで無く、一見すると何の役にも立たない無能なサーヴァントでしかない。
 +
: しかし固有[[スキル (サーヴァント)|スキル]]『エンチャント』を持ち、物品に強力な機能を付与することが可能。これは魔力による物ではなく、文豪・シェイクスピアが魂を篭めてその物品についての文章を書く事によって、その物品を『概念武装』に仕上げると言う特異なスキル。道端の石ころにすら必殺の概念を所有させる事ができ、曰くのある(文章を書ける)物品ならば宝具にすら昇華する事が可能。シロウの所有する「とある剣豪が所有していた日本刀」三池典太三世はこのスキルによってCランク宝具となった。
 +
: また『自己保存』によってマスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができるが、裏を返せば本人は全然戦わないというものであり、通常の聖杯戦争で召喚された場合もっぱら戦うのはマスターとなっている。
 +
: いざ戦闘となった場合は「劇団」と呼ばれる幻影を呼び出す魔術を操り、対象を混乱させる。召喚された人物は対象者と全く見分けがつかないが、キャスターの意向次第でその人物が本来行う筈のない言動をさせることが出来る。また召喚された者は誰かに殺されない限り多少の事では消滅せず、断末魔の悲鳴すら上げる。幻影の正体は木の人形のような物が対象者に化けたものらしく、消滅時には木屑が残る。ルーラーとして「真名看破」のスキルを保持しているシロウとの連携によって、相手の親しい人や因縁のある人物、トラウマの元となった者を呼び出し、ピンポイントで心の隙を突く悪辣な精神攻撃と化しており、[[フランケンシュタイン|黒のバーサーカー]]に対しては、彼女の創造者であった[[ヴィクター・フランケンシュタイン]]を召喚して時間稼ぎに用いた。
 +
: 『Fate/Grand Order』の亜種特異点Ⅰ『[[悪性隔絶魔境 新宿]]』では舞台となった新宿自体が空想に近くなっていた為、より直接的に戦闘能力を持った実体「創作幻想」を作成し、戦力として使用させられていた。
  
;略歴
+
:;「リア王」
:真名はウィリアム・シェイクスピア。16世紀に登場した、歴史的にも名高い劇作家。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、引退するまでの約20年間に「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」の四大悲劇をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」、「お気に召すまま」など数多くの傑作を残した。<br>聖杯大戦において赤のサーヴァントとして召喚される。本来の召喚者であるマスターではなく[[シロウ・コトミネ|シロウ]]達に与し、彼らの野望を知りながら協力しているが、自らの「物語」への欲から[[バーサーカー (Apocrypha・赤)|バーサーカー]]にミレニア城塞の在り処を教え、暴走させるトラブルメーカーでもある。<br>ユグドミレニア攻撃の際はシロウの援護に努め、[[バーサーカー (Apocrypha・黒)|黒のバーサーカー]]の足止めを行う。大聖杯奪取後は、空中庭園内部に「工房」という名の個人的な書斎を作り、ひたすら執筆活動に明け暮れる。
+
::彼が作り出した創作幻想の一つ。外見は、王冠を被って肩に道化師を乗せたスプリガン。
 +
::初期にロールアウトしたことと戦力として優秀だったため、量産させられた。
 +
:;「ロミオとジュリエット」
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::彼が作り出した創作幻想の一つ。体が融合した男女の姿をしており、[[燕青|新宿のアサシン]]との決戦では創造された試作品の一体が投入された。
 +
::触れた物を融解して取り込むというおぞましい能力を持つが、周囲を無差別に巻き込む欠点がある。
 +
::エネミーとしては、ピンク色をしたヒュージゴースト。
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:;「マクベス」
 +
::彼が作り出した創作幻想の一つ。外見は[[ラーマ]][[シャドウサーヴァント]]という、上記2つと比較すると非常に雑なもので、バレル防衛に投入された。
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::ロールアウトされたのが最終盤だったことと、気合いを入れて作りすぎると本物の英霊マクベスのほうが来かねなかったために意図的に手を抜いた結果らしい。
  
;人物
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== ステータス ==
:一人称は「吾輩」。『物語』至上主義者で、たとえどのような手段をとっても最高の『物語』を目撃することを至上の目的としている。<br>そのため善悪になど興味は無く、シロウ達の理想が多くの命を踏み躙るものであっても一向に構わない。彼にとっては世界は驚天動地の『物語』でなけれなならず、そのためなら平気で味方を死地に追いやる。<br>ただその行動に悪意は無く、物語を紡ぐ非凡な存在を心から愛しているが故。そのため当事者意識に乏しく、視点が作者的。他人事ゆえにハイリスク・ハイリターンな戦いを好み、自分自身は観客気分で見物に回ったり、心境をいちいち聞いたりして味方も敵も苛立たせる。<br>自己顕示欲が強い典型的なナルシストで、台詞に自作を引用すること奇妙な話し方で喋り、自分で買ってきた自著をシロウに薦めるほど。また劇作家だっただけに、セリフに作劇の用語を用いたりする。<br>一方でつまらない『物語』を強く嫌悪しており、『物語』を壊しかねない存在を全力で排除しようとする。
+
{| class="wikitable" style="text-align:center"
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|-
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! クラス !! マスター !!  筋力 !! 耐久 !! 敏捷 !! 魔力 !! 幸運 !! 宝具 !! [[スキル (サーヴァント)|クラス別能力]] !! [[スキル (サーヴァント)|保有スキル]] !! 備考
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|-
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| rowspan="2"|[[キャスター]] || [[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]] || E || E || D || C++ || B || C+ || 陣地作成:C<br />道具作成:- || エンチャント:A<br />自己保存:B || style="text-align:left"|
 +
|-
 +
| [[主人公 (Grand Order)]] || E || E || D || C++ || B || C+ || 陣地作成:C<br />道具作成:- || エンチャント:A<br />自己保存:B<br />国王一座:C || style="text-align:left"|
 +
|}
  
;能力
+
== [[宝具]] ==
:「キャスター」でありながら[[魔術|魔術師]]ではなく、工房や礼装を作成することは勿論、使い魔を使役して情報収集することなど一切出来ない。戦闘能力もまるで無く、一見すると最低最弱のサーヴァントでしかない。<br>しかし固有[[スキル (サーヴァント)|スキル]]『エンチャント』を持ち、物品に強力な機能を付与することが可能。これは魔力による物ではなく、文豪・シェイクスピアが魂を篭めてその物品についての文章を書く事によって、その物品を『概念武装』に仕上げると言う特異なスキル。道端の石ころにすら必殺の概念を所有させる事ができ、曰くのある(文章を書ける)物品ならば宝具にすら昇華する事が可能。シロウの所有する「とある剣豪が所有していた日本刀」はこのスキルによってCランク宝具となった。<br>また『自己保存』によってマスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。つまり、本人は全然戦わない。
+
; 開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)
 +
: ランク:B<br />種別:対人宝具<br />レンジ:1~30<br />最大捕捉:1人
 +
: シェイクスピアが発動する究極劇。発動した状況によってその効果は異なるものとなる。
 +
: 世界改変型宝具。世界を閉塞させ、脚本を産み出し、物語を強制させる。敵味方関係なく、彼は対象者を自作劇の登場人物に仕立て上げ、その上で対象者に難題を突きつける。
 +
: 対象者の精神に働きかけ、「英雄には悔恨の過去を」「反英雄には自身が失墜した瞬間を」と、その人生において精神的に最も打撃を加えられる場面を再現し、誰もが内側に抱えているトラウマを暴き出し、シェイクスピアの言葉によって嘲り、弾劾することであらゆる英傑心をへし折る対心宝具。
 +
: 成功すれば、対象を完全無防備な状態にするバッドステータス「放心」が付与される。その強制力は固有結界にも匹敵し、あらゆる攻撃を無効化する抵抗力を持つルーラーですら逃れることはできない。ただし発動中は幕が下りるまで肉体的なダメージや苦痛を与えることはできない。
 +
: 単体での戦力としては[[ジャンヌ・ダルク|ルーラー]]曰く「三流宝具」の評の通りだが、シロウと組んだときにはこの宝具を以てそのルーラーに完勝している。
 +
: 企画段階では効果が全く異なり「『結果』を改竄する本の宝具」だった。時間を巻き戻すことで目の前で起きた事象を一定回数までやり直しが可能で、何度戦っても敵わない相手には無力だが倒せる可能性がある相手には有効。使用には「NON SANZ DROICT(無権に非ず)」の詠唱が必要。
 +
: しかし「物語の展開的にあまり意味を持たない」「企画段階『Apocrypha』で設定が作られてから小説版『Apocrypha』までの間に魔法使い([[蒼崎青子]]のことと思われる)が登場した」という理由で没となり、効果が後述の『国王一座』のアップグレード版に変更された。
 +
:「ファースト・フォリオ」とはシェイクスピアが手掛けた戯曲をまとめて出版した最初の作品集のことである。
 +
:『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃[Lv]&低確率でスタン状態を付与(1ターン)<オーバーチャージで確率アップ>」という効果のBuster宝具。
 +
:強化クエスト2クリアでB+ランクに上昇し、宝具威力倍率とスタン付与確率が上昇する。
 +
:演出としては、作り出した多数の「物語の演者」達の幻影を直接相手に突撃させるというモーションになっている。
  
== [[宝具]] ==
+
=== 企画段階での宝具 ===
;国王一座(ザ・グローブ)
+
; 国王一座(ザ・グローブ)
:由来:ジェームズ一世が提唱したシェイクスピアの劇団。<br>出現した役者が自在に姿を変え、対象を謀る。<br>相手のよく知る人物を演じることもできるが、魔術の心得がある者は抵抗を試みる機会がある。<br>本来なら相手の真名を把握していない限り、有効活用することのできない宝具だが、ルーラーとして「真名看破」のスキルを保持しているシロウとの連携によって、相手の親しい人や因縁のある人物、トラウマの元となった者を呼び出し、ピンポイントで心の隙を突く悪辣な精神攻撃宝具と化している。<br>[[バーサーカー (Apocrypha・黒)|黒のバーサーカー]]に対しては、彼女の創造者であった[[ヴィクター・フランケンシュタイン]]を召喚し、時間稼ぎに用いた。<br>召喚された人物は対象者と全く見分けがつかないが、キャスターの意向で、その人物が本来行う筈のない言動をさせることが出来る。<br>また召喚された者は誰かに殺されない限り、多少の事では消滅せず、断末魔の悲鳴すら上げる。<br>幻影の正体は木の人形のような物が対象者に化けたものらしく、消滅時には木屑が残る。
+
: 由来:ジェームズ一世が提唱したシェイクスピアの劇団。
 +
: 出現した役者が自在に姿を変え、対象を謀る。相手のよく知る人物を演じることもできるが、魔術の心得がある者は抵抗を試みる機会がある。
 +
: 企画段階では「宝具」として扱われ真名も存在したが、小説版では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』の能力が『国王一座』のアップグレード版に変更されたため、登場しない。
 +
: 『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』のミニチュア魔術のスキルとなった。宝具と異なり魔力の消費は然程ではない。
 +
 
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== 真名:ウィリアム・シェイクスピア ==
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:ウィリアム・シェイクスピア。劇作家であり俳優。英国が世界に誇る文豪。
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:彼は卓越した人間観察眼からなる繊細な内面の心理描写により、四大悲劇をはじめに数多くの傑作を執筆し、英文学史上において名声は留まるところを知らなかった。<br>当時の先輩劇作家から「成り上がりのカラス」と罵倒されるほどにはやっかまれていたが、彼の半生は謎に包まれていた。
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:ともあれ、彼が数々の著作を興したことは紛れもない事実であり、それが近代・現代におけるおおよそ全ての「物語」に影響に及ぼしたのだ。<br>何せ、シェイクスピアの名、彼が記した物語、そしてその名言の数々は、時代を越えて世界中に知れ渡っているのだから。
  
;開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)
+
=== 関連 ===
:ランク:B<br>種別:対人宝具<br>レンジ:1~30<br>最大捕捉:1人
+
;155番目のソネット
:『結果』を改ざんする本。目の前で起きた事象を、一定回数までやり直せる。
+
:『Fate/Grand Order』にて、マスターからバレンタインチョコを貰った事でインスピレーションが沸き、即興で書き上げたソネット(十四行詩)。
:何度戦っても敵わない相手には無力だが、倒せる可能性がある相手には有効。「NON SANZ DROICT(無権に非ず)」の詠唱がいる。
+
:マスターへの照れくさくなるような賛美に満ちており、巻末にはサインまで入っている。
 +
:テキストでは「シェイクスピアが生きていることが周知なら数億の価値があるかもしれない」と述べられているが、彼の作品集の初版本の落札価格が'''4億7000万円'''、彼のサイン「だけ」の落札価格が'''4億3000万円'''。
 +
:「特定個人に向けた愛に満ちた未発表作品」ということを考えれば、確かに数億「ドル」の値段がついてもおかしくないであろう。
  
 
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
;[[Fate/Apocrypha]]
+
===Fateシリーズ===
:「赤」のサーヴァントとして登場。
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; [[Fate/Apocrypha]]
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: 「赤」のサーヴァントとして登場。
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; [[Fate/Grand Order]]
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: ゲーム開始時から実装されている。
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: 第四特異点では魔霧の影響で召喚されたはぐれサーヴァントとして登場する。
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===Fate関連作品===
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; [[Fate/Grand Order 英霊食聞録]]
 +
: 第1話に登場。イギリスジョークをぶちかましたお詫びに、紅茶を淹れて振舞った。
 +
 
 +
;[[Fate/Grand Order フロム ロストベルト]]
 +
:最終話にて、第四特異点のメンバーとして登場。
 +
 
 +
===その他===
 +
; [[ちびちゅき!]]
 +
: おそらく教師役。[[殺生院キアラ]]に依頼され、初等部のテストの文章題を官能小説にするという暴挙をやらかしかける。
  
 
== 人間関係 ==
 
== 人間関係 ==
;[[シロウ・コトミネ]]
+
=== Fate/Apocrypha ===
:「マスター」と呼び、彼の物語を描くために積極的に協力している。彼を召喚した元々のマスターは不明。
+
; [[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]]
 +
: 「マスター」と呼び、彼の物語を描くために積極的に協力している。
 +
: 『Grand Order』では全く初めましてに感じられないとして、彼に喜劇を勧めている。ただし、背中からざっくりされそうなので悲劇は勧めていない。
 +
; [[セミラミス|赤のアサシン]]
 +
: 一応同志。彼女には宮廷道化師のような態度で接しているが、敬う気持ちはあまり見受けられず、一方のアサシンからもあまり信用はされていない。だが、シロウと最も近いサーヴァント二騎と言う事で、彼らが会話するシーンは多い。
 +
: アニメ版では彼女の恋心を指摘する役も彼になっており、自著と絡めて大仰に煽りまくっていた。
 +
; [[アタランテ|赤のアーチャー]]
 +
: 自由奔放に振る舞う彼が戦闘代行者であるサーヴァントとして余りに無能かつ無自覚な事に呆れ果てており、加えて性格的にもかなり相性が悪いため、「汝の頭がおかしいのは知っている」と冷たい事を言われている。当然、戦力としてカウントされていない。
 +
; [[カルナ|赤のランサー]]
 +
: ランサーは彼の非常に特殊な性癖を持った心を何度か分析し、容赦のないコメントを送っている。
 +
: だがそれに動じることはなく、いつもの仰々しい態度を変えない。
 +
; [[スパルタクス|赤のバーサーカー]]
 +
: より面白い物語を求めて彼にミレニア城塞の在処を教え、その暴走を加速させる。
 +
; [[ジャンヌ・ダルク|ルーラー]]
 +
: 「'''哀れで狂った田舎娘'''」。英国だの仏国だの歴史的なことは彼にとってはどうでも良く、最早含むところもないが、『最高の物語』の邪魔をする彼女は容赦せず潰そうと考えている。
 +
: 一応、生前に著作で彼女を散々悪し様に描いたことに関しては、多少悪いことをしたと思ってはいる模様。
 +
:『Grand Order』では、マイルームボイスで彼女にサンドバッグにされかけていた。
 +
; [[ジーン・ラム]]
 +
: 漫画版で正式決定した本来の赤のキャスターのマスター。
  
;[[アサシン (Apocrypha・赤)|アサシン]]
+
=== Fate/Grand Order ===
:一応、同志。彼女には宮廷道化師のような態度で接しているが、敬う気持ちはあまり見受けられず、一方のアサシンからもあまり信用はされていない。だが、シロウと最も近いサーヴァント二騎と言う事で、彼らが会話するシーンは多い。
+
;[[主人公 (Grand Order)]]
;[[アーチャー (Apocrypha・赤)|アーチャー]]
+
:マスター。
:彼が戦闘代行者であるサーヴァントとして、余りに無能である上に性格的にもかなり相性が悪いため、「汝の頭がおかしいのは知っている」と冷たい事を言われるている。また戦力としてもカウントされていない。
+
:ダ・ヴィンチによると、彼/彼女をこよなく賞賛するのは、彼/彼女を通して素晴らしい物語が描けると信じているから。
;[[ランサー (Apocrypha・赤)|ランサー]]
+
;[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]]
:ランサーは彼が非常に特殊な性癖のある人物であるためか、何度か彼の心を分析し、容赦のないコメントを送っている。<br>だが何度コメントされても動じず、いつもの仰々しい態度を変えない。
+
:彼の肉体を「若すぎでは?」と感じてはいるものの、肉体に関わらず締切は迫ってくるのであまり気にはしていない。
;[[バーサーカー (Apocrypha・赤)|バーサーカー]]
+
:第四特異点では同じ作家としてディスカッションをしながら、事件のあらましを書き綴ってゆく。
:より面白い物語を求め、彼にミレニア城塞が何処にあるのかを教え、その暴走を加速させる。
+
:亜種特異点Ⅰでも終盤に共演し、それぞれの宝具を同時使用することで[[ジェームズ・モリアーティ|黒幕]]を追い詰める決定的な一手とした。
 +
;[[ガイウス・ユリウス・カエサル]]
 +
:自著『ジュリアス・シーザー』で主役として登場させた。もっとも「死んでからが本番な感じで書いた」とやや辛辣。
 +
;[[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕]]
 +
:2017年のバレンタインイベントにて「自分の顔そっくりのチョコを渡せば嫌がらせになる」と大嘘をついて主人公へのプレゼントを作らせる。
 +
:なお、後で嘘がバレて捕まって火あぶりにされた模様。
 +
;[[ジェームズ・モリアーティ]]
 +
:亜種特異点Ⅰでの召喚主。
 +
:拘束されて拷問を受けながら強制的に「創作幻想」を作らされていたが、[[巌窟王 エドモン・ダンテス]]の手引きによって主人公達に解放され、盛大に意趣返しを行った。
 +
;[[クレオパトラ]]
 +
:自著『アントニーとクレオパトラ』で主役として登場させる。
 +
;[[紫式部]]
 +
:2019年のバレンタインイベントにて共演。
 +
:お近づきになるべく、彼女の好きな日本の古典を読み漁っていた。もっとも、下世話な下心ではなく「日本最古の女性の小説家」ということで彼女のエピソードや私生活の話を聞きたいという<del>ある意味もっと下世話な</del>動機であったが。
 +
:なお彼女が後に作った図書館については「アホみたいに長い名前」と辛辣。
 +
;[[アルトリア・ペンドラゴン〔ランサー〕]]
 +
:『Fate/Grand Order 英霊食聞録』にて、同郷の英雄ということとジョークで弄ったお詫びに紅茶を淹れて振る舞った。
 +
;[[オベロン]]
 +
:自著『夏の夜の夢』で主要登場人物として登場させる。
 +
:が、その描写のせいで洒落にならないほどの影響を受けたことから相当な恨みを買っており、毒入りのファンレターを送られかかっている。
 +
:彼としてもお互い様のようで、[[シバの女王]]の幕間の物語『三匹のジンのレポート』では彼への債権を全部買い取った彼女に「肉や血を含めた五体差し押さえ」を提案したり自分名義の借用書(偽造)を紛れ込ませたりと嫌がらせをしている。
 +
;[[ジーク (Grand Order)|ジーク]]
 +
:とある聖杯戦争で縁のあった相手。
 +
:あまりに盛りまくったような経歴に興味津々で、元魔王とかさらに経歴を盛ろうと画策している。
 +
;[[シラノ・ド・ベルジュラック]]
 +
:彼が作ってしまった演劇特異点に行けなかったことに文句を言いつつも、演劇特異点の影響でカルデアに演劇ブームが訪れたために自分も人気になったため、それはそれで良しとしていた。
  
;[[ルーラー]]
+
== 名台詞 ==
:'''哀れで狂った田舎娘'''」。<br>英国だの仏国だの歴史的なことは彼にとってはどうでも良く、最早含むところもないが、『最高の物語』の邪魔をする彼女は容赦せず潰そうと考えている。
+
===Fate/Apocrypha===
 +
; 『―――<ruby><rb>馬だ</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引け</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引いてきたら王国をくれてやるぞ</rb><rt>My_kingdom_for_a_horse</rt></ruby>!』
 +
: 初登場時のセリフ。'''彼のセリフは大体この調子で、頻繁に自作のセリフが引用されている。'''ここの出典は「リチャードⅢ世」で、強欲で滑稽な支配者リチャードⅢ世の最後の台詞。
 +
: 恐らくバーサーカーが暴走を始めたという、緊急事態が発生した事を暗示する意味で、このセリフを選んだのだと思われる。
  
== 名台詞 ==
+
; 「トラブルメーカー、またはトリックスターとも言うようですぞ、吾輩のような男は」
;『―――<ruby><rb>馬だ</rb><rt>A_horse</rt></ruby><br> <ruby><rb>馬を引け</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引いてきたら王国をくれてやるぞ</rb><rt>My_kingdom_for_a_horse</rt></ruby>!』
+
: [[セミラミス|アサシン]]にバーサーカーを暴走させたことを責められても、馬耳東風。自覚があっても全く反省していない。
:初登場時のセリフ。彼のセリフは大体この調子で、頻繁に自作のセリフが引用されている。出典は「リチャードⅢ世」から。強欲で滑稽な支配者リチャードⅢ世の最後の台詞。<br>恐らくバーサーカーが暴走を始めたという、緊急事態が発生した事を暗示する意味で、このセリフを選んだのだと思われる。
+
 
 +
; 「ははは、これは手厳しい。しかし世のキャスターが皆、吾輩のように優れた文筆家ということはないでしょうな!」
 +
: 赤のアサシンに痛いところを突かれながらも、平然とこう切り返す。
 +
: 自画自賛しつつキャスターにこういった人種のものは少ないと語るが、さて、同時期に登場したキャスターに創作家が増えてきていたのは偶然か否か。
 +
 
 +
; 「大して盛り上がりもしない場面を無理矢理に引っ張ろうとするのは、愚作の特徴ですからな!」
 +
: アニメ版で、撤退を指示したシロウに対して。メタ的に様々な方面に突き刺さりそうな危険な台詞である。
 +
 
 +
; 「おお、なるほどなるほど! それでは愛しく憎悪しているであろう彼に会わせてあげましょう!<br />『<ruby><rb>人間の一生は彷徨い歩く影法師</rb><rt>Lifes but a walking shadow</rt></ruby>、<ruby><rb>哀れな役者に過ぎぬ</rb><rt>a poor player</rt></ruby>。<br> <ruby><rb>己の出番の時は</rb><rt>That struts and</rt></ruby><ruby><rb>舞台の上でふんぞり返って喚くだけ</rb><rt>frets his hour upon the stage</rt></ruby>!』」
 +
: 宝具『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』。悪辣なる虚構の劇場が幕を開ける。
 +
 
 +
;「あれが聖杯……! 良い! あれは良すぎる!<br> 素晴らしい! 素晴らしい、素晴らしい、素晴らしいッ!!<br> ここから、吾輩ですらも感じ取れるあの圧倒的な魔力!<br> 飛び込み溺れ、一体化したいとさえ願う! その癖、あの剥き出しの人体のような醜さ!<br> まさに『<RUBY><RB>綺麗は汚く、汚いは綺麗</RB><RT>Fair is foul and foul is fair</RT></RUBY>!』」
 +
:大聖杯の輝きを目にして発した歓喜の叫び。出典は「マクベス」の登場人物である魔女の台詞から。
 +
:彼の自作を引用する喋り方も相まって、最早、狂気すら感じられる。
 +
 
 +
;「それは無論、“面白そうだから”に決まっているではありませんか!<br> 何しろ人類救済ですよ、誰かを救いたいなどという矮小なものではない。全人類、この世界に住む六十億の救済。<br> しかも彼はただの聖人などではない。善行を積み、祈るだけで救われようとした面白味のない連中とは訳が違う!<br> 彼は戦い、そして敗北し――無残に全てを奪われた!<br> そう彼は全てを恨んでいる筈です! 三万七千人を皆殺しにした統治者を! それをただ見過ごした人々も!<br> だが彼は恨まない! そればかりか、彼らすら救済の対象だ!<br> 全人類を救うという事は、そういうことでしょう。それも彼も理解している!<br> その苦悩、その煩悶、何たる悲劇!<br> それ故――彼はひどく面白い。<br> ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!」
 +
:何故シロウに手を貸すのか問われて。<br>「ただ面白いからマスターに手を貸し、その思想自体には何の興味も無く、『物語』こそ全てに優先される」と言い切る。<br>英霊として気高くもなく、立派な振る舞いであると呼べず、どちらかというと「信念」より妄執に近い。だが紛れもない本心からの言葉であり、それに至れば誰もが認めざるを得ない。
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 +
;「――何を視たのです? 何を知覚したのです?<br> 愚かなこと。何を視ようと、それは最早<RUBY><RB>過去の残骸に過ぎませぬ</RB><RT>・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>。<br> 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」
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:何も知らぬはずの道化の言葉は、これ以上ないほどに[[アタランテ|純潔の狩人]]の心底を抉り出し彼女を憤激させた。
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 +
;「受け入れましょう、必要とあらば。『<RUBY><RB>逆境こそが人に与える最高の教訓なり</RB><RT>Sweet are the uses of adversity</RT></RUBY>。<RUBY><RB>それは蟇の如く醜く毒があり</RB><RT>Which like the toad,ugly and venomous,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>しかして心に貴重な宝石を結ぶ</RB><RT>Wears yet a precious jewel in his head</RT></RUBY>』ですからな」
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:悲劇を書くことを令呪で禁じられたことを嘆くも、シロウから「悲劇を書くつもりかと問われれば嘘をつかざるを得ないだろう」と指摘され、道化は大仰に嘆息して、肩を竦めた。
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:出典は「お気に召すまま」の登場人物である弟に追放された公爵の台詞から。半ば自棄になったような文句。
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;「宮廷道化師と致しましては、精一杯に生存理由を主張したいところですな。<br> 我が本、我が書物は<RUBY><RB>必ず</RB><RT>・・</RT></RUBY>不完全でありますが、それ故に美しい物語であると請け合いますぞ」
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:アサシンから自身の書く本が自分達に益しないと判明すれば生かしておく理由はないと恫喝されながら、<RUBY><RB>道化</RB><RT>キャスター</RT></RUBY>は平然と"<RUBY><RB>不完全</RB><RT>・・・</RT></RUBY>"とのたまう。
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;「アッシリアの女帝よ、それは当然でしょう。完全な存在、完全な人間、秩序と論理のみで構築された完全な物語など―――<RUBY><RB>クソ面白くもない</RB><RT>・・・・・・・・</RT></RUBY>!<br> "<RUBY><RB>若葉の日々</RB><RT>My salad days,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>何とも青臭い若気の至り</RB><RT>When I was greenin judgement,cold in blood</RT></RUBY>"! 吾輩の物語は不完全故に美しく、不完全故に純正の娯楽です。<br> 失敗は死? 構いませんとも! しくじる確率があり、償わなければならない! <RUBY><RB>だからこそ</RB><RT>・・・・・</RT></RUBY>、吾輩は奮起して傑作を書き上げましょう」
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:上記の返答に対し完全ではないのかと問われて、物書きとしての道化の矜持が、これでもかと無駄にあふれている。因みに出典は「アントニーとクレオパトラ」の[[クレオパトラ]]の台詞から。
 +
 
 +
;「では、一つの問い掛けをお許し頂きたい。女帝殿、貴女はどちらがよろしいのでしょう?<br> 我らのマスターの悲願が達成される方がいいのか、それとも<RUBY><RB>彼の悲願を踏みにじる方が楽しいのか</RB><RT>・・・・・・・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>」
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;「……おや」<br>「そのような上っ面だけの答えなど! アサシンよ、破滅を見たいのか見たくないのか。さあ、お答えを!」
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:シロウのいない、この時に女帝の本音を吐き出させるべく吐かれた虚を衝いた問い掛け。これに女帝は達成に決まっていると答えるが、それで納得して引き下がる道化では当然ない。
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:女帝の取り繕った答えを道化は是とせず、二度言葉の刃を突きつける。現在生き残っているサーヴァントの中で間違いなく最弱である彼は、しかして何者をも恐れない。女帝もこれを、彼ならではの真剣な問答であると認識した。
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 +
;「ふむふむ、なるほど……。ご存知ありませんかな?<br> 古来、その焦がれるような想いをして"恋"というのです!<br>『<RUBY><RB>望んで得た恋は素晴らしい</RB><RT>Love sought is good,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>だが望まずして堕ちた恋はさらに良い</RB><RT> but given unsought is better.</RT></RUBY>』<br> これは受けますぞ!女帝の恋物語、うん間違いなく受ける!」
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:アニメ版で追加された台詞。上記の問いに対し真摯に答えた女帝の心底と本質をこの上なく抉り取った発言。
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:さらに茶目っ気までも加味した結果、女帝の逆鱗に触れ、危うく己の舌で死刑宣告書に署名しかけた。出典は「十二夜」の登場人物である伯爵令嬢オリヴィアの台詞から。
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;「初めまして、片田舎の狂人娘! いやこれは失礼、ついいつもの調子が出てしまった。<br> 然様、吾輩が"赤"のキャスターです。どうです、落胆しましたか?<br>『<RUBY><RB>だがジャンヌ・ダルクよ。この天地の狭間においては我々の哲学など思いもよらぬことがある</RB><RT>There are more things in heaven and earth, Joan of Arc. Than are dreamt of in your philosophy.</RT></RUBY>!』」
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:生前あれだけ論った聖処女との初対面。芝居がかった口調で相変わらず好き勝手にのたまう。「ハムレット」の主人公ハムレットの親友・臣下であるホレーショへの台詞が元ネタ。
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;「条件一、心情の問題。<br>『<RUBY><RB>忘恩の人間より恐ろしい怪物はいない</RB><RT>O,see the monstrousness of man When he looks out in an ungrateful shape!</RT></RUBY>』と言うように、吾輩は"赤"の側で禄を<RUBY><RB>食</RB><RT>は</RT></RUBY>んでおります。<br> 吾輩、ダンディぶりでは"赤"の側でも一、二を争う自信がありますし―――知性なき怪物になどなりたくもない!」<br>「そして条件二、娯楽の問題。<br>『<RUBY><RB>詩人の瞳は天恵を得て回転し</RB><RT>The poet`s eye,in fine frenzy rollings,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>天から地、地から天と広く見渡す</RB><RT>Doth glance from heaven to Earth,from Earth to heaven.</RT></RUBY>』我が目はただいま絶好調!<br> まさに<RUBY><RB>霊感</RB><RT>スピリッツ</RT></RUBY>を得た<RUBY><RB>創作者</RB><RT>クリエイター</RT></RUBY>。つまり、今この瞬間この一時が愉快極まる!」<br>「そして最後に条件三、戦力の問題。<br> 我々の戦力は、貴女が想像するより遥かに、遥かに絶望的なのですよ。<br> 貴女は急ぎに急いでやってきたが間に合わなかった。いや、恐らくはどれほど急いでもその分必ず間に合わなかった![[アキレウス]]と亀のようなもの。<br> そして間に合わなかった以上、貴女は此処で―――――――死ぬ」
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:サーヴァントとしての力の差から降伏を申し出られるキャスターだが、逆に降伏の条件三つをそちらが満たしていないと突っ撥ね、大胆にも聖女に死を宣告した。
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:しかし、第二、第三の条件はまだしも、一番初めの条件に至っては、自身を召喚したマスターを退屈とのたまって放逐し、「面白いから」とシロウに乗り換えた時点ではっきりいって目も当てられない。というより、この道化は"恩"なんてもので動く玉では断じてない。少なくともサーヴァントとしては、どこぞの[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|毒舌童話作家]]に言わせれば一点たりともくれてやれない失格者であろう。
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:出典は上から順に「アテネのタイモン」のタイモンの台詞と、「夏の夜の夢」の登場人物であるアテネの公爵シーシュースの台詞、そして『アキレウスと亀』のパラドックス。
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;「さあ、我が宝具の幕開けだ! 席に座れ! 煙草は止めろ! 写真撮影お断り! 野卑な罵声は真っ平御免!<br> 世界は我が手、我が舞台! 開演を此処に―――万雷の喝采を!」
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:この世界を閉塞させ、<RUBY><RB>脚本</RB><RT>ちつじょ</RT></RUBY>を産み出し、<RUBY><RB>物語</RB><RT>みちすじ</RT></RUBY>を強制させる。悪辣な舞台宝具が、聖女に牙を剥く。
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;「そして貴女は、彼を利用せざるを得なかった。<br> 何故なら、彼のサーヴァントとしての力こそが、我々に対抗するのに必要だったからだ!<br> そう、あのホムンクルスを此処に辿り着かせたのは彼の選択ではない!<br> 貴女が選択したのだ、<RUBY><RB>貴女が彼を殺すのだ</RB><RT>・・・・・・・・・</RT></RUBY>!」
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:道化の<RUBY><RB>短剣</RB><RT>ことば</RT></RUBY>は、狙い違わず聖女の心臓を容赦なく貫く。
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;「さあ、この舞台劇の<RUBY><RB>分類</RB><RT>ジャンル</RT></RUBY>が決まったぞ!<br> <RUBY><RB>喜劇</RB><RT>コメディ</RT></RUBY>だ! なあ、聖女よ! ようこそ人殺しの世界へ!<br> 一度としてその手を汚さなかった貴女が最初に選んだ犠牲者は、貴女を心から慕う少年だったとは!」<br>「道化の時間はこれにて終了、<RUBY><RB>救済</RB><RT>おわり</RT></RUBY>の支度が整いました。<br> ―――これより我がマスター、天草四郎時貞の再臨です」
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:高らかに告げる、反道徳の勝利宣言。聖女の慟哭を生前の史劇以上に煽り嘲り貶める。
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:そしてその直後、一もう一つの喜劇が凱歌を上げる。
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;「<RUBY><RB>彼女は小娘です</RB><RT>・・・・・・・</RT></RUBY>。聖女のように振る舞い、聖女として己を律して、聖女の力を行使してもなお、彼女はありきたりの少女に過ぎない。<br> 聖女のように振る舞うあまり、彼女は<RUBY><RB>自分自身</RB><RT>ジャンヌ・ダルク</RT></RUBY>を置き去りにした。<br> まあ、無理からぬことでしょう。サーヴァントとして召喚される際に必要なのは、ダルク家の娘として過ごした十七年ではなく、故国の英雄として走り抜けた二年です」
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:大聖杯から凱旋したシロウに語った聖女の本質。というか自分でズタボロにしておきながら、かなり恥知らずな物言いではある。
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;「ははははは! <RUBY><RB>終わりだ</RB><RT>ジ・エンド</RT></RUBY>! これで終わりだ! 完結した! 完結したぞ!<br> 彼等の物語は素晴らしい結末を迎えた!<br> これが、我輩の新作である!」
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;「ああ、だがしかし――主役は我輩が演じたかったなぁ!」
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:邪竜の飛翔が全ての終わりを告げ、崩れ行く空中庭園の中、稀代の劇作家は己の物語を一心不乱に書き上げ、終止符を打った。
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:その胸に去来するのは、かつて役者を目指し、挫折した過去であろうか。
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=== Fate/Grand Order ===
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====戦闘====
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;「さて、それでは執筆を開始します。残り二人、頑張ってください」<br/> 「いま吾輩は執筆で忙しいのですけれど? 戦えとか、そんなこと言われても」
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:戦闘開始時の台詞。戦場においてもマイペースで飄々とした態度を崩さない。
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;「タンマ! せめて結末を書かせて…おくれ」 <br/>「まだ…締切には間に合う…ぐふっ、はず……」
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:戦闘不能時。流石に慌てふためいているようだ。
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;「勝利を獲得しましたぞ! では、記念に詩を作りましょう」 <br/>「勝利ですな。ところで敗北者の方々、今のお気持ちを聞かせてもらいたい」
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:戦闘終了時。「そういうこと」をするのは初登場時から示唆されていたが、ウザいことこの上ない。
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====マイルーム====
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;「嫌いなものなど言うまでもない! 凡人をこそ吾輩は忌み嫌う。彼らはアントニーに容易く操作される人々だからです!」
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:マイルーム会話「嫌いなもの」。
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:ここで言及されているアントニーとは、彼自身の著作である『アントニーとクレオパトラ』のメインキャストである政治家アントニー(アントニウス)であろう。
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 +
;「さあ! 王国が貴方を待っていますぞ、マスター! 馬を引いて差し上げよう」
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:マイルーム会話「イベント開催」。
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 +
;「貴方の物語が、幸せな結末を迎えられますように!<br> どれほどの悲劇でも、あなたの歩みが力強くありますように!<br> 喜劇であれば、最後に誰もが拍手喝采できる喜劇でありますように!」
 +
:マイルーム会話「絆Lv5」。[[Fate/Grand Order|人理修復という特大の『物語』]]の主人公たるマスターへ贈る言葉。
 +
:肩こりの解消を頼もうとしていた初期からするともの凄い変化である。
 +
 
 +
====幕間の物語====
 +
;「ほう! そうきましたか! 元来それは人生において悩み苦しむことは全て、所詮は夢の中の出来事に過ぎないという儚い無常の意。<br/> しかし、しかし貴方は違いますな。貴方は違う意味を見出している。<br/> 夢とは希望。希望とは勇気と決断によって手向けられるもの。<br/> ならば、この場で戦うは自明の理。貴方たち自身が、夢であるのだから!」
 +
:幕間の物語『カーテンコール』にて、無意味な戦いをするのかという問いに「我らは、夢と同じものだ」と返した場合。
 +
:主人公の台詞を含めた元ネタは、「テンペスト」から。
  
;「トラブルメーカー、またはトリックスターとも言うようですぞ、<br> 吾輩のような男は」
+
;「ふふふ、やはりそうきましたか! その通り、まったくその通りですよマスター!<br/> 悪魔の囁き、合理的な結論、有無を言わさぬ正論、そういったものは全て。『くそくらえ』で片付けてしまっていいのです!<br/> 何故なら、それは正論に名を借りた邪悪。邪悪を理論という名の上塗りで誤魔化そうとする卑怯な企み。<br/> やってしまえばいいのです!」
:[[アサシン (Apocrypha・赤)|アサシン]]にバーサーカーを暴走させたことを責められても、馬耳東風。<br>自覚があっても全く反省していない。
+
:同上。無意味な戦いをするのかという問いに「哲学なんか、くそくらえ」と返した場合。
 +
:主人公の台詞を含めた元ネタは、「ロミオとジュリエット」から。
  
;「ははは、これは手厳しい。しかし世のキャスターが皆、吾輩のように優れた文筆家ということはないでしょうな!」
+
====イベント====
:赤のアサシンに痛いところを突かれながらも、平然とこう切り返す。<br>自画自賛しつつキャスターにこういった人種のものは少ないと語るが、メタ的には「魔術師」のサーヴァントに文筆家出身のものが多くなっている現実がある。
+
;「おやおや、一体どのような悪夢をご覧になったのですかな?<br/> “<ruby><rb>獰猛な虎が温和な鹿を爪で引き裂く</rb><rt>the tiger now hath seized the gentle hind.</rt></ruby>”夢でしょうか?」
 +
:『チョコレート・レディの空騒ぎ』にて悪夢から覚めた主人公に対して。だいたい夢に出てきた[[清姫]]のせいだが。
 +
:台詞の元ネタは「リチャードⅢ世」から。
  
;「おお、なるほどなるほど!それでは愛しく憎悪しているであろう彼に会わせてあげましょう!<br>『<RUBY><RB>人間の一生は彷徨い歩く影法師</RB><RT>Lifes but a walking shadow</RT></RUBY><RUBY><RB>哀れな役者に過ぎぬ</RB><RT>a poor player</RT></RUBY><br> <RUBY><RB>己の出番の時は</RB><RT>That struts and</RT></RUBY>、<RUBY><RB>舞台の上でふんぞり返って喚くだけ</RB><RT>frets his hour upon the stage</RT></RUBY>!』
+
;「ともかく大半の男子サーヴァントはチョコを貰うアテもなく、チベットスナギツネの如き目で世界を睥睨しております。<br/> まあ、気にしてはいない男らしい男子サーヴァントもいることにはいるのですが、そこはそれ。<br/> “<ruby><rb>嫉妬とは緑の目をした怪物であり、人の心を食物にして玩弄する</rb><rt>It (Jealosy) is the green-eyed monster whici doth mock The meat it feeds on.</rt></ruby><br/> ……というやつです」
:宝具、『国王一座』解放。<br>悪辣なる虚構の劇場。
+
:同上。これを聞いた主人公は「自分が配れば喜ぶだろうか?」と考え、チョコを作ろうと行動した。
 +
:台詞は「オセロ」から。
  
;「あれが聖杯……! 良い! あれは良すぎる!<br> 素晴らしい! 素晴らしい、素晴らしい、素晴らしいッ!!<br> ここから、吾輩ですらも感じ取れるあの圧倒的な魔力!<br> 飛び込み溺れ、一体化したいとさえ願う! その癖、あの剥き出しの人体のような醜さ!<br> まさに『<RUBY><RB>綺麗は汚く、汚いは綺麗</RB><RT>Fair is foul and foul is fair</RT></RUBY>!』」
+
;「大体この手の御仁はバレンタインデーになるとブッ壊れる。これエンターテイメントの王道ですな。<br/> “<ruby><rb>ぶっちゃけるとご子息は頭がイカれてますぞ</rb><rt>I will be brief : your noble son is mad.</rt></ruby>”的なアレです」
:大聖杯の輝きを目にして発した歓喜の叫び。<br>彼の自作を引用する喋り方も相まって、最早、狂気すら感じられる。
+
:同上。[[エドワード・ティーチ|黒髭]]が[[スパルタクス]]とともにバレンタインを潰そうとする様を「ハムレット」の一台詞になぞらえている。
  
;「それは無論、“面白そうだから”に決まっているではありませんか!<br> 何しろ人類救済ですよ、誰かを救いたいなどという矮小なものではない。全人類、この世界に住む六十億の救済。<br> しかも彼はただの聖人などではない。善行を積み、祈るだけで救われようとした面白味のない連中とは訳が違う!<br> 彼は戦い、そして敗北し――無残に全てを奪われた!<br> そう彼は全てを恨んでいる筈です! 三万七千人を皆殺しにした統治者を! それをただ見過ごした人々も!<br> だが彼は恨まない!そればかりか、彼らすら救済の対象だ!<br> 全人類を救うという事は、そういうことでしょう。それも彼も理解している!<br> その苦悩、その煩悶、何たる悲劇!<br> それ故――彼はひどく面白い。<br> ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!」
+
;「……あー、なるほど。あの方ですか。<br/> 憂い顔で『良かれと思って……』といっておけばいいんじゃねえの、と思ってる感じの。<br/> “<ruby><rb>微笑み、微笑み、微笑む大悪党</rb><rt>That one may smile, and smile, and be a villain.</rt></ruby>”というあの方」
:何故シロウに手を貸すのか問われて。<br>「ただ面白いからマスターに手を貸し、その思想自体には何の興味も無く、『物語』こそ全てに優先される」と言い切る。<br>英霊として気高くもなく、立派な振る舞いであると呼べず、どちらかというと「信念」より妄執に近い。だが紛れもない本心からの言葉であり、ここまでの領域に至ると誰もが認めざるを得ない。
+
:同上。黒幕の手駒として現れた[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]がその人物の人となりを語って。同じく「ハムレット」より引用。
  
== メモ ==
+
;「マスター、お気をつけ下さい。 そも、魔術師というのは作家の〆切みたいなもの。<br> うっかり信用すると一杯食わされるというアレです!<br> 我々にとって金曜の夕方までに提出とは即ち月曜の朝までオッケー、やりようによっては夜でも可!」
*キャラクターデザインは倉花千夏氏。設定制作を担当したのは賀東招二氏。
+
:同上。その黒幕である[[ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス|パラケルスス]]と対面して。確かに([[沙条愛歌|原因]]があるとは言え)[[玲瓏館美沙夜|うっかり信用した結果、一杯食わされた人物]]もいるので……。
*筆者泣かせなキャラクター。東出氏によれば「描写がものすごく大変」で、シーン毎に合っている名言を必死になって漁らなければならず、既存の翻訳をそのまま使うわけにもいかないので、原文を引っ張り出してそれっぽく独自訳をしているとのこと。
+
:なお、主人公からは選択肢によっては「言っていて恥ずかしくないんですか?」とぶった切られる。
**奈須氏も、「他のキャラクターだと一行で済むところが、三行に膨らんでしまう」とコメントしており、作者と原作者から苦言を呈されている。
+
:台詞の元ネタは『チョコレート・レディの空騒ぎ』を執筆した東出氏の体験談である。ゲーム制作時代はディレクターも兼任してたので氏はとても苦労していたそうな……<ref group = "出">[https://twitter.com/higashide_yu/status/697803558939291648 東出祐一郎 Twitter2016年2月11日7:25]</ref>。
*サーヴァントとしてはかなり特異な立ち位置だったが、『[[Fate/EXTRA CCC]]』で同じようなスタイルの[[キャスター (CCC・青)|童話作家]]が登場。また、僅かに先行して『[[Fate/strange fake]]』にも似たタイプの[[キャスター (fake)|小説家]]が登場している。
 
  
各マスターごとのステータス
+
;「幼子におじ様と呼ばれた瞬間の甘美と、「あ、ヤベえ年取った」感はたまりませんな、マスター!」
 +
:同上。[[ナーサリー・ライム|ナーサリー]]に「おじ様」と呼ばれた際の台詞。親戚の集まりでおじさん呼ばわりされる感覚と似たようなモノだろうか……。
  
{| class="wikitable"
+
;「色褪せぬ永遠の夏を留めておくことはできても、享楽を永遠とするには代償が必要なのです。<br/> “<ruby><rb>悲報が訪れる時は、軍団で押し寄せてくる</rb><rt>When sorrows come, they come not single spies. But in battalions.</rt></ruby>”と相場が決まっておりますので」<br>「――そう、甘いお菓子、甘い紅茶、それらを代償として、君は――――――――。<br/> 虫歯になります」
|-
+
:同上。お茶会をなおも続けようとするナーサリーに対してシェイクスピアは残酷な真実を突きつける。これも「ハムレット」からの引用。
| マスター || 筋力 || 耐久 || 敏捷 || 魔力 || 幸運 || 宝具 || 備考
+
:虫歯になると耐え難い苦痛が襲うという事実にナーサリーは追い詰められ、最終的に召喚された[[フェルグス・マック・ロイ|歯医者]]によって退散したのであった。
|-
 
| 企画段階 || E || E || D || C++ || B || C+ ||
 
|-
 
| シロウ || E || E || D || C++ || B || C+ ||
 
|-
 
|}
 
  
[[スキル (サーヴァント)|保有スキル]]:陣地作成:C、道具作成:-、エンチェント:A、自己保存:B
+
== メモ ==
 +
*筆者泣かせなキャラクター。東出氏によれば「描写がものすごく大変」で、シーン毎に合っている名言を必死になって漁らなければならず、かといって既存の翻訳をそのまま使うわけにもいかないので、原文を引っ張り出してそれっぽく独自訳をしているとのこと。その後Apocrypha/materialでも「'''会話シーンは毎回後回しにする程頭の痛い代物'''」とコメントしており、極めて扱いづらく、台詞回しに限界があるキャラであることが示唆されている。
 +
**奈須氏も、「他のキャラクターだと''一行で済むところが、三行に膨らんでしまう''」と苦言を呈している。
 +
*サーヴァントとしてはかなり特異な立ち位置だったが、『[[Fate/EXTRA CCC]]』で同じようなスタイルの[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|童話作家]]が登場。また、僅かに先行して『[[Fate/strange fake]]』にも似たタイプの[[アレクサンドル・デュマ・ペール|小説家]]が登場している。
 +
* 『Fate/Grand Order』で開催されたイベント「ネロ祭 ~勝ち抜け熱闘コロシアム~」予選初級にて、アンデルセンと[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|アマデウス]]とともに「サロン・ド・キャスター」を結成して参戦。その際の名義は「働く男」。「働かない男」名義であったアンデルセンと比べると、確かに作家としては熱心すぎる程に働く男である。
 +
**[[アレクサンドル・デュマ・ペール|デュマ]]が本作に実装されていたら「たまたま居合わせた男」名義であったアマデウスではなく作家繋がりでその三人だったかもしれない。
 +
*アンデルセンとデュマがそれぞれ現代に適応し、パソコン等の電子機器を普通に扱っているのに対して、シェイクスピアはタイプライターすらまともに扱えないという機械音痴の側面がある。
 +
**『Fate/Grand Order』の絆礼装「すごく便利」ではタイプライターを使用しているが、興が乗って全力で執筆した結果タイプライターの方が耐えきれずに壊れてしまった<ref group = "注">テキスト上で壊れたのはEのキーであったが、シャーロック・ホームズシリーズでも指摘されているように英語ではEの文字を最も良く使うため、真っ先に壊れるとしたらこのキーである。</ref>ので、機械苦手というより耐久性の高い年代物のほうが好みなのかもしれないが。
 +
*『Fate/Grand Order』の最終再臨画像では黒を基調とした衣服で非常に胡散臭く、ポーズもこちらを向いて座っている悪の黒幕然としたものになる。主人公にもとある事件への関与を疑われた際「お前の最終再臨を知っている」と突っ込まれていた。
 +
**後に亜種特異点Ⅰで召喚された時は反転していたため、この姿になっている。とは言うものの、元々中立・中庸であるために''自著から引用する口癖が鳴りを潜めただけ''で普段とはほとんど変わっていなかった(興味が移ったら平然と裏切ろうとする所も含めて)。
 +
*『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』によるバッドステータス「放心」は、1ターン行動不能になる状態異常「スタン」を付与するという形で再現されている。
 +
*『Apocrypha』でジーン・ラムが彼を召喚した理由は定かではないが、作者はあとがきで(本命はマクベスのような)彼の物語の登場人物を召喚するつもりだったのかもしれないと推察している。
  
 
== 話題まとめ ==
 
== 話題まとめ ==
;謎の劇作家
+
; 謎の劇作家
:
+
: 高名な劇作家であるにも関わらず、手紙や日記はおろか、自筆原稿すら存在しておらず、学歴にも不自然な点が多々ある為、様々な別人説が流布している。一番有名なのは、同時代の哲学者フランシス・ベーコンや、彼と同じく劇作家として名を馳せたクリストファー・マーロウのペンネーム説であろう。『Fate/Grand Order』のプロフィールでも''有名な作家でありながら、その半生は謎に包まれている。''と記述されている。
*高名な劇作家であるにも関わらず、手紙や日記はおろか、自筆原稿すら存在しておらず、学歴にも不自然な点が多々ある為、様々な別人説が流布している。一番有名なのは、同時代の哲学者フランシス・ベーコンや、彼と同じく劇作家として名を馳せたクリストファー・マーロウのペンネーム説であろう。
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 +
; 彼の描いた「魔女ジャンヌ・ダルク」
 +
: 彼は初期に作った史劇『ヘンリー六世 第1部』で、[[ジャンヌ・ダルク]]を魔女・売女として描いている。
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: この作品の彼女は自分が神に選ばれた神聖な存在であると喚き、高貴な生まれであり羊飼いの娘ではないと主張し、処刑される寸前までイングランドへの呪詛を叫び続け、妊娠していながら聖処女を自称するなど徹底的に異端者の淫婦として描かれている。
 +
: シェイクスピアに限らず、15世紀以降の入手可能な英語の文献ではジャンヌ・ダルクは同様に描写されているが、このような扱いをされたのはジャンヌがイングランドの敵だったからである。当時アルマダの海戦で[[フランシス・ドレイク]]がスペイン無敵艦隊を破り、イングランドの愛国心は頂点に達していた。この愛国心が観客の史劇への関心を高めることになり、史劇の内容もその時勢に合うものが選ばれていた。
 +
: そういった時代背景が存在する中で彼の描いた「魔女」ジャンヌ・ダルクは特に有名で、その描写からは悪意すら感じられる。何の因果か、聖杯大戦にはルーラーとしてジャンヌが召喚されており、彼女に対し宝具で[[ジル・ド・レェ]]を召喚、トラウマを抉るというえげつない攻撃を行った。『Grand Order』ではジャンヌからこのことを根に持たれており、マイルーム会話で釘を刺されている。
 +
: 『Grand Order』2017年バレンタインイベントでは、[[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕|黒い方のジャンヌ]]に対しても大嘘を吹き込みおちょくっている。……後でバレてきっちり報復はされたようだが。
 +
; ファーストフォリオ
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: 2016年4月に新たな本物のファーストフォリオが発見された。これで確認されている数は234冊になっている。
 +
: またファーストフォリオに載っていない、シェイクスピアが執筆したか怪しく定かではない作品群を「シェイクスピア外典(Shakespeare '''Apocrypha''')」と呼ぶ。
 +
 
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== 脚注 ==
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===注釈===
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<references group = "注"/>
  
;彼の描いた「魔女ジャンヌ・ダルク」
+
===出典===
:
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<references group = "出"/>
*彼は初期に作った史劇『ヘンリー六世 第1部』で、[[ルーラー|ジャンヌ・ダルク]]を魔女・売女として描いている。<br>この作品の彼女は自分が神に選ばれた神聖な存在であると喚き、高貴な生まれであり羊飼いの娘ではないと主張し、処刑される寸前までイングランドへの呪詛を叫び続け、妊娠していながら聖処女を自称するなど徹底的に異端者の淫婦として描かれている。<br>シェイクスピアに限らず、15世紀以降の入手可能な英語の文献ではジャンヌ・ダルクは同様に描写されている。このような扱いをされたのはジャンヌがイングランドの敵だったからである。<br>当時アルマダの海戦で[[ライダー (EXTRA)|フランシス・ドレイク]]がスペイン無敵艦隊を破り、イングランドの愛国心は頂点に達していた。この愛国心が観客の史劇への関心を高めることになり、史劇の内容もその時勢に合うものが選ばれていた。<br>そういった時代背景が存在するが、彼の描いた「魔女」ジャンヌ・ダルクは特に有名で、その描写からは悪意すら感じられる。何の因果か、聖杯大戦にはルーラーとしてジャンヌが召喚されており、死後、徹底的に侮辱し売女扱いした彼女にどう関わってくるのだろうか。
 
  
 
== リンク ==
 
== リンク ==
*[[登場人物]]
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* [[登場人物]]
*[[サーヴァント]]
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* [[サーヴァント]]
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{{DEFAULTSORT:ういりあむ しえいくすひあ}}
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[[Category:ちびちゅき!]]
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[[Category:TYPE-MOON エイプリルフール企画]]

2024年8月26日 (月) 12:52時点における最新版

赤のキャスター
真名 ウィリアム・シェイクスピア
外国語表記 William Shakespeare
性別 男性
身長 180cm
体重 75kg
特技 不朽のベストセラー作品の執筆
好きな物 非凡、逸脱、突出、拍手喝采、言葉と文字
苦手な物 平凡、平穏、凡庸、ブーイング
天敵 スランプ
出典 史実
地域 イングランド
属性 中立・中庸
副属性
一人称 吾輩
二人称 あなた
三人称 彼/彼女
声優 稲田徹
デザイン 近衛乙嗣
倉花千夏(原案)
設定作成
Apocrypha
賀東招二
Grand Order
東出祐一郎
賀東招二
イメージカラー ゴールデンイエロー
レア度 ☆2
初登場作品 Fate/Apocrypha
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概要編集

魔術師」のサーヴァント

略歴
Fate/Apocrypha』では聖杯大戦において赤のサーヴァントとして召喚される。本来の召喚者であるマスターではなくシロウ達に与し、彼らの野望を知りながら協力しているが、自らの「物語」への欲からバーサーカーにミレニア城塞の在り処を教え、暴走させるトラブルメーカーでもある。
ユグドミレニア攻撃の際はシロウの援護に努め、黒のバーサーカーの足止めを行う。大聖杯奪取後は、空中庭園内部に「工房」という名の個人的な書斎を作り、ひたすら執筆活動に明け暮れる。
Fate/Grand Order』の第四特異点『死界魔霧都市 ロンドン』では西暦1888年のロンドンに出現した魔霧から召喚され、一応、居合わせた主人公達に付く(基本的にジキルのアパルトメントに籠り、戦闘に参加したのは時計塔の探索時のみ)。
終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚され、他のサーヴァント達と共にⅣの座を統括する管制塔バルバトスと交戦する。
人物
中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を身に纏った伊達男。
『物語』至上主義者で、たとえどのような手段をとっても最高の『物語』を目撃することを至上の目的としている。そのため善悪になど興味は無く、シロウ達の理想が多くの命を踏み躙るものであっても一向に構わない。彼にとっては世界は驚天動地の『物語』でなければならず、面白い物語を作るためならば味方を死地に追いやるような事も平気でやってのける。
しかしその行動自体に悪意は無く、悲劇であれ、喜劇であれ、あくまでも物語を紡ぐ非凡な存在を心から愛しているが故の行動である。そのため良くも悪くも当事者意識に乏しく、視点が作者的で俯瞰的。戦闘能力が皆無な自身が舞台に立つ事は徹底して避けている事もあってその発言はいつでも他人事であり、それ故にハイリスク・ハイリターンな戦いや非凡で優れた才能などを無責任に味方に強いたり、その癖自分は何もせずに観客気分で高みの見物や解説に回ったり、真剣な雰囲気の相手にわざわざ心境を聞いたり煽ったりするなど、敵味方問わず相手を苛立たせたり呆れさせるような無神経な言動がかなり多い。
自己顕示欲が強い典型的なナルシストで、台詞に自作を引用しながら仰々しい話し方でひたすら喋り倒し、自分で買ってきた自著をシロウに薦めるほど。また劇作家だっただけに、セリフに作劇の用語を用いたりもする。反転した状態ではそれをしなくなるものの、それ以外は反転による影響や変化が特にない。これは彼がひたすら人間が織り成す紋様を見る事だけを考えて行動しているためであり、決して物事の善悪に則って行動している訳ではないからである。
一方でつまらない『物語』を強く嫌悪しており、『物語』を壊しかねない存在を全力で排除しようとする。また、行動や思考、思想が単純で容易に操れるような平凡な人物も忌み嫌っている。
能力
「キャスター」でありながら魔術師ではなく、工房や礼装を作成することは勿論、使い魔を使役して情報収集することなど一切出来ない。戦闘能力もまるで無く、一見すると何の役にも立たない無能なサーヴァントでしかない。
しかし固有スキル『エンチャント』を持ち、物品に強力な機能を付与することが可能。これは魔力による物ではなく、文豪・シェイクスピアが魂を篭めてその物品についての文章を書く事によって、その物品を『概念武装』に仕上げると言う特異なスキル。道端の石ころにすら必殺の概念を所有させる事ができ、曰くのある(文章を書ける)物品ならば宝具にすら昇華する事が可能。シロウの所有する「とある剣豪が所有していた日本刀」三池典太三世はこのスキルによってCランク宝具となった。
また『自己保存』によってマスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができるが、裏を返せば本人は全然戦わないというものであり、通常の聖杯戦争で召喚された場合もっぱら戦うのはマスターとなっている。
いざ戦闘となった場合は「劇団」と呼ばれる幻影を呼び出す魔術を操り、対象を混乱させる。召喚された人物は対象者と全く見分けがつかないが、キャスターの意向次第でその人物が本来行う筈のない言動をさせることが出来る。また召喚された者は誰かに殺されない限り多少の事では消滅せず、断末魔の悲鳴すら上げる。幻影の正体は木の人形のような物が対象者に化けたものらしく、消滅時には木屑が残る。ルーラーとして「真名看破」のスキルを保持しているシロウとの連携によって、相手の親しい人や因縁のある人物、トラウマの元となった者を呼び出し、ピンポイントで心の隙を突く悪辣な精神攻撃と化しており、黒のバーサーカーに対しては、彼女の創造者であったヴィクター・フランケンシュタインを召喚して時間稼ぎに用いた。
『Fate/Grand Order』の亜種特異点Ⅰ『悪性隔絶魔境 新宿』では舞台となった新宿自体が空想に近くなっていた為、より直接的に戦闘能力を持った実体「創作幻想」を作成し、戦力として使用させられていた。
「リア王」
彼が作り出した創作幻想の一つ。外見は、王冠を被って肩に道化師を乗せたスプリガン。
初期にロールアウトしたことと戦力として優秀だったため、量産させられた。
「ロミオとジュリエット」
彼が作り出した創作幻想の一つ。体が融合した男女の姿をしており、新宿のアサシンとの決戦では創造された試作品の一体が投入された。
触れた物を融解して取り込むというおぞましい能力を持つが、周囲を無差別に巻き込む欠点がある。
エネミーとしては、ピンク色をしたヒュージゴースト。
「マクベス」
彼が作り出した創作幻想の一つ。外見はラーマシャドウサーヴァントという、上記2つと比較すると非常に雑なもので、バレル防衛に投入された。
ロールアウトされたのが最終盤だったことと、気合いを入れて作りすぎると本物の英霊マクベスのほうが来かねなかったために意図的に手を抜いた結果らしい。

ステータス編集

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
キャスター シロウ・コトミネ E E D C++ B C+ 陣地作成:C
道具作成:-
エンチャント:A
自己保存:B
主人公 (Grand Order) E E D C++ B C+ 陣地作成:C
道具作成:-
エンチャント:A
自己保存:B
国王一座:C

宝具編集

開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1~30
最大捕捉:1人
シェイクスピアが発動する究極劇。発動した状況によってその効果は異なるものとなる。
世界改変型宝具。世界を閉塞させ、脚本を産み出し、物語を強制させる。敵味方関係なく、彼は対象者を自作劇の登場人物に仕立て上げ、その上で対象者に難題を突きつける。
対象者の精神に働きかけ、「英雄には悔恨の過去を」「反英雄には自身が失墜した瞬間を」と、その人生において精神的に最も打撃を加えられる場面を再現し、誰もが内側に抱えているトラウマを暴き出し、シェイクスピアの言葉によって嘲り、弾劾することであらゆる英傑心をへし折る対心宝具。
成功すれば、対象を完全無防備な状態にするバッドステータス「放心」が付与される。その強制力は固有結界にも匹敵し、あらゆる攻撃を無効化する抵抗力を持つルーラーですら逃れることはできない。ただし発動中は幕が下りるまで肉体的なダメージや苦痛を与えることはできない。
単体での戦力としてはルーラー曰く「三流宝具」の評の通りだが、シロウと組んだときにはこの宝具を以てそのルーラーに完勝している。
企画段階では効果が全く異なり「『結果』を改竄する本の宝具」だった。時間を巻き戻すことで目の前で起きた事象を一定回数までやり直しが可能で、何度戦っても敵わない相手には無力だが倒せる可能性がある相手には有効。使用には「NON SANZ DROICT(無権に非ず)」の詠唱が必要。
しかし「物語の展開的にあまり意味を持たない」「企画段階『Apocrypha』で設定が作られてから小説版『Apocrypha』までの間に魔法使い(蒼崎青子のことと思われる)が登場した」という理由で没となり、効果が後述の『国王一座』のアップグレード版に変更された。
「ファースト・フォリオ」とはシェイクスピアが手掛けた戯曲をまとめて出版した最初の作品集のことである。
『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃[Lv]&低確率でスタン状態を付与(1ターン)<オーバーチャージで確率アップ>」という効果のBuster宝具。
強化クエスト2クリアでB+ランクに上昇し、宝具威力倍率とスタン付与確率が上昇する。
演出としては、作り出した多数の「物語の演者」達の幻影を直接相手に突撃させるというモーションになっている。

企画段階での宝具編集

国王一座(ザ・グローブ)
由来:ジェームズ一世が提唱したシェイクスピアの劇団。
出現した役者が自在に姿を変え、対象を謀る。相手のよく知る人物を演じることもできるが、魔術の心得がある者は抵抗を試みる機会がある。
企画段階では「宝具」として扱われ真名も存在したが、小説版では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』の能力が『国王一座』のアップグレード版に変更されたため、登場しない。
『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』のミニチュア魔術のスキルとなった。宝具と異なり魔力の消費は然程ではない。

真名:ウィリアム・シェイクスピア編集

ウィリアム・シェイクスピア。劇作家であり俳優。英国が世界に誇る文豪。
彼は卓越した人間観察眼からなる繊細な内面の心理描写により、四大悲劇をはじめに数多くの傑作を執筆し、英文学史上において名声は留まるところを知らなかった。
当時の先輩劇作家から「成り上がりのカラス」と罵倒されるほどにはやっかまれていたが、彼の半生は謎に包まれていた。
ともあれ、彼が数々の著作を興したことは紛れもない事実であり、それが近代・現代におけるおおよそ全ての「物語」に影響に及ぼしたのだ。
何せ、シェイクスピアの名、彼が記した物語、そしてその名言の数々は、時代を越えて世界中に知れ渡っているのだから。

関連編集

155番目のソネット
『Fate/Grand Order』にて、マスターからバレンタインチョコを貰った事でインスピレーションが沸き、即興で書き上げたソネット(十四行詩)。
マスターへの照れくさくなるような賛美に満ちており、巻末にはサインまで入っている。
テキストでは「シェイクスピアが生きていることが周知なら数億の価値があるかもしれない」と述べられているが、彼の作品集の初版本の落札価格が4億7000万円、彼のサイン「だけ」の落札価格が4億3000万円
「特定個人に向けた愛に満ちた未発表作品」ということを考えれば、確かに数億「ドル」の値段がついてもおかしくないであろう。

登場作品と役柄編集

Fateシリーズ編集

Fate/Apocrypha
「赤」のサーヴァントとして登場。
Fate/Grand Order
ゲーム開始時から実装されている。
第四特異点では魔霧の影響で召喚されたはぐれサーヴァントとして登場する。

Fate関連作品編集

Fate/Grand Order 英霊食聞録
第1話に登場。イギリスジョークをぶちかましたお詫びに、紅茶を淹れて振舞った。
Fate/Grand Order フロム ロストベルト
最終話にて、第四特異点のメンバーとして登場。

その他編集

ちびちゅき!
おそらく教師役。殺生院キアラに依頼され、初等部のテストの文章題を官能小説にするという暴挙をやらかしかける。

人間関係編集

Fate/Apocrypha編集

シロウ・コトミネ
「マスター」と呼び、彼の物語を描くために積極的に協力している。
『Grand Order』では全く初めましてに感じられないとして、彼に喜劇を勧めている。ただし、背中からざっくりされそうなので悲劇は勧めていない。
赤のアサシン
一応同志。彼女には宮廷道化師のような態度で接しているが、敬う気持ちはあまり見受けられず、一方のアサシンからもあまり信用はされていない。だが、シロウと最も近いサーヴァント二騎と言う事で、彼らが会話するシーンは多い。
アニメ版では彼女の恋心を指摘する役も彼になっており、自著と絡めて大仰に煽りまくっていた。
赤のアーチャー
自由奔放に振る舞う彼が戦闘代行者であるサーヴァントとして余りに無能かつ無自覚な事に呆れ果てており、加えて性格的にもかなり相性が悪いため、「汝の頭がおかしいのは知っている」と冷たい事を言われている。当然、戦力としてカウントされていない。
赤のランサー
ランサーは彼の非常に特殊な性癖を持った心を何度か分析し、容赦のないコメントを送っている。
だがそれに動じることはなく、いつもの仰々しい態度を変えない。
赤のバーサーカー
より面白い物語を求めて彼にミレニア城塞の在処を教え、その暴走を加速させる。
ルーラー
哀れで狂った田舎娘」。英国だの仏国だの歴史的なことは彼にとってはどうでも良く、最早含むところもないが、『最高の物語』の邪魔をする彼女は容赦せず潰そうと考えている。
一応、生前に著作で彼女を散々悪し様に描いたことに関しては、多少悪いことをしたと思ってはいる模様。
『Grand Order』では、マイルームボイスで彼女にサンドバッグにされかけていた。
ジーン・ラム
漫画版で正式決定した本来の赤のキャスターのマスター。

Fate/Grand Order編集

主人公 (Grand Order)
マスター。
ダ・ヴィンチによると、彼/彼女をこよなく賞賛するのは、彼/彼女を通して素晴らしい物語が描けると信じているから。
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
彼の肉体を「若すぎでは?」と感じてはいるものの、肉体に関わらず締切は迫ってくるのであまり気にはしていない。
第四特異点では同じ作家としてディスカッションをしながら、事件のあらましを書き綴ってゆく。
亜種特異点Ⅰでも終盤に共演し、それぞれの宝具を同時使用することで黒幕を追い詰める決定的な一手とした。
ガイウス・ユリウス・カエサル
自著『ジュリアス・シーザー』で主役として登場させた。もっとも「死んでからが本番な感じで書いた」とやや辛辣。
ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕
2017年のバレンタインイベントにて「自分の顔そっくりのチョコを渡せば嫌がらせになる」と大嘘をついて主人公へのプレゼントを作らせる。
なお、後で嘘がバレて捕まって火あぶりにされた模様。
ジェームズ・モリアーティ
亜種特異点Ⅰでの召喚主。
拘束されて拷問を受けながら強制的に「創作幻想」を作らされていたが、巌窟王 エドモン・ダンテスの手引きによって主人公達に解放され、盛大に意趣返しを行った。
クレオパトラ
自著『アントニーとクレオパトラ』で主役として登場させる。
紫式部
2019年のバレンタインイベントにて共演。
お近づきになるべく、彼女の好きな日本の古典を読み漁っていた。もっとも、下世話な下心ではなく「日本最古の女性の小説家」ということで彼女のエピソードや私生活の話を聞きたいというある意味もっと下世話な動機であったが。
なお彼女が後に作った図書館については「アホみたいに長い名前」と辛辣。
アルトリア・ペンドラゴン〔ランサー〕
『Fate/Grand Order 英霊食聞録』にて、同郷の英雄ということとジョークで弄ったお詫びに紅茶を淹れて振る舞った。
オベロン
自著『夏の夜の夢』で主要登場人物として登場させる。
が、その描写のせいで洒落にならないほどの影響を受けたことから相当な恨みを買っており、毒入りのファンレターを送られかかっている。
彼としてもお互い様のようで、シバの女王の幕間の物語『三匹のジンのレポート』では彼への債権を全部買い取った彼女に「肉や血を含めた五体差し押さえ」を提案したり自分名義の借用書(偽造)を紛れ込ませたりと嫌がらせをしている。
ジーク
とある聖杯戦争で縁のあった相手。
あまりに盛りまくったような経歴に興味津々で、元魔王とかさらに経歴を盛ろうと画策している。
シラノ・ド・ベルジュラック
彼が作ってしまった演劇特異点に行けなかったことに文句を言いつつも、演劇特異点の影響でカルデアに演劇ブームが訪れたために自分も人気になったため、それはそれで良しとしていた。

名台詞編集

Fate/Apocrypha編集

『―――馬だA_horse
 馬を引けA_horse
 馬を引いてきたら王国をくれてやるぞMy_kingdom_for_a_horse!』
初登場時のセリフ。彼のセリフは大体この調子で、頻繁に自作のセリフが引用されている。ここの出典は「リチャードⅢ世」で、強欲で滑稽な支配者リチャードⅢ世の最後の台詞。
恐らくバーサーカーが暴走を始めたという、緊急事態が発生した事を暗示する意味で、このセリフを選んだのだと思われる。
「トラブルメーカー、またはトリックスターとも言うようですぞ、吾輩のような男は」
アサシンにバーサーカーを暴走させたことを責められても、馬耳東風。自覚があっても全く反省していない。
「ははは、これは手厳しい。しかし世のキャスターが皆、吾輩のように優れた文筆家ということはないでしょうな!」
赤のアサシンに痛いところを突かれながらも、平然とこう切り返す。
自画自賛しつつキャスターにこういった人種のものは少ないと語るが、さて、同時期に登場したキャスターに創作家が増えてきていたのは偶然か否か。
「大して盛り上がりもしない場面を無理矢理に引っ張ろうとするのは、愚作の特徴ですからな!」
アニメ版で、撤退を指示したシロウに対して。メタ的に様々な方面に突き刺さりそうな危険な台詞である。
「おお、なるほどなるほど! それでは愛しく憎悪しているであろう彼に会わせてあげましょう!
人間の一生は彷徨い歩く影法師Lifes but a walking shadow哀れな役者に過ぎぬa poor player
 己の出番の時はThat struts and舞台の上でふんぞり返って喚くだけfrets his hour upon the stage!』」
宝具『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』。悪辣なる虚構の劇場が幕を開ける。
「あれが聖杯……! 良い! あれは良すぎる!
 素晴らしい! 素晴らしい、素晴らしい、素晴らしいッ!!
 ここから、吾輩ですらも感じ取れるあの圧倒的な魔力!
 飛び込み溺れ、一体化したいとさえ願う! その癖、あの剥き出しの人体のような醜さ!
 まさに『綺麗は汚く、汚いは綺麗Fair is foul and foul is fair!』」
大聖杯の輝きを目にして発した歓喜の叫び。出典は「マクベス」の登場人物である魔女の台詞から。
彼の自作を引用する喋り方も相まって、最早、狂気すら感じられる。
「それは無論、“面白そうだから”に決まっているではありませんか!
 何しろ人類救済ですよ、誰かを救いたいなどという矮小なものではない。全人類、この世界に住む六十億の救済。
 しかも彼はただの聖人などではない。善行を積み、祈るだけで救われようとした面白味のない連中とは訳が違う!
 彼は戦い、そして敗北し――無残に全てを奪われた!
 そう彼は全てを恨んでいる筈です! 三万七千人を皆殺しにした統治者を! それをただ見過ごした人々も!
 だが彼は恨まない! そればかりか、彼らすら救済の対象だ!
 全人類を救うという事は、そういうことでしょう。それも彼も理解している!
 その苦悩、その煩悶、何たる悲劇!
 それ故――彼はひどく面白い。
 ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!」
何故シロウに手を貸すのか問われて。
「ただ面白いからマスターに手を貸し、その思想自体には何の興味も無く、『物語』こそ全てに優先される」と言い切る。
英霊として気高くもなく、立派な振る舞いであると呼べず、どちらかというと「信念」より妄執に近い。だが紛れもない本心からの言葉であり、それに至れば誰もが認めざるを得ない。
「――何を視たのです? 何を知覚したのです?
 愚かなこと。何を視ようと、それは最早過去の残骸に過ぎませぬ・・・・・・・・・・・
 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」
何も知らぬはずの道化の言葉は、これ以上ないほどに純潔の狩人の心底を抉り出し彼女を憤激させた。
「受け入れましょう、必要とあらば。『逆境こそが人に与える最高の教訓なりSweet are the uses of adversityそれは蟇の如く醜く毒がありWhich like the toad,ugly and venomous,しかして心に貴重な宝石を結ぶWears yet a precious jewel in his head』ですからな」
悲劇を書くことを令呪で禁じられたことを嘆くも、シロウから「悲劇を書くつもりかと問われれば嘘をつかざるを得ないだろう」と指摘され、道化は大仰に嘆息して、肩を竦めた。
出典は「お気に召すまま」の登場人物である弟に追放された公爵の台詞から。半ば自棄になったような文句。
「宮廷道化師と致しましては、精一杯に生存理由を主張したいところですな。
 我が本、我が書物は必ず・・不完全でありますが、それ故に美しい物語であると請け合いますぞ」
アサシンから自身の書く本が自分達に益しないと判明すれば生かしておく理由はないと恫喝されながら、道化キャスターは平然と"不完全・・・"とのたまう。
「アッシリアの女帝よ、それは当然でしょう。完全な存在、完全な人間、秩序と論理のみで構築された完全な物語など―――クソ面白くもない・・・・・・・・
 "若葉の日々My salad days,何とも青臭い若気の至りWhen I was greenin judgement,cold in blood"! 吾輩の物語は不完全故に美しく、不完全故に純正の娯楽です。
 失敗は死? 構いませんとも! しくじる確率があり、償わなければならない! だからこそ・・・・・、吾輩は奮起して傑作を書き上げましょう」
上記の返答に対し完全ではないのかと問われて、物書きとしての道化の矜持が、これでもかと無駄にあふれている。因みに出典は「アントニーとクレオパトラ」のクレオパトラの台詞から。
「では、一つの問い掛けをお許し頂きたい。女帝殿、貴女はどちらがよろしいのでしょう?
 我らのマスターの悲願が達成される方がいいのか、それとも彼の悲願を踏みにじる方が楽しいのか・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……おや」
「そのような上っ面だけの答えなど! アサシンよ、破滅を見たいのか見たくないのか。さあ、お答えを!」
シロウのいない、この時に女帝の本音を吐き出させるべく吐かれた虚を衝いた問い掛け。これに女帝は達成に決まっていると答えるが、それで納得して引き下がる道化では当然ない。
女帝の取り繕った答えを道化は是とせず、二度言葉の刃を突きつける。現在生き残っているサーヴァントの中で間違いなく最弱である彼は、しかして何者をも恐れない。女帝もこれを、彼ならではの真剣な問答であると認識した。
「ふむふむ、なるほど……。ご存知ありませんかな?
 古来、その焦がれるような想いをして"恋"というのです!
望んで得た恋は素晴らしいLove sought is good,だが望まずして堕ちた恋はさらに良い but given unsought is better.
 これは受けますぞ!女帝の恋物語、うん間違いなく受ける!」
アニメ版で追加された台詞。上記の問いに対し真摯に答えた女帝の心底と本質をこの上なく抉り取った発言。
さらに茶目っ気までも加味した結果、女帝の逆鱗に触れ、危うく己の舌で死刑宣告書に署名しかけた。出典は「十二夜」の登場人物である伯爵令嬢オリヴィアの台詞から。
「初めまして、片田舎の狂人娘! いやこれは失礼、ついいつもの調子が出てしまった。
 然様、吾輩が"赤"のキャスターです。どうです、落胆しましたか?
だがジャンヌ・ダルクよ。この天地の狭間においては我々の哲学など思いもよらぬことがあるThere are more things in heaven and earth, Joan of Arc. Than are dreamt of in your philosophy.!』」
生前あれだけ論った聖処女との初対面。芝居がかった口調で相変わらず好き勝手にのたまう。「ハムレット」の主人公ハムレットの親友・臣下であるホレーショへの台詞が元ネタ。
「条件一、心情の問題。
忘恩の人間より恐ろしい怪物はいないO,see the monstrousness of man When he looks out in an ungrateful shape!』と言うように、吾輩は"赤"の側で禄をんでおります。
 吾輩、ダンディぶりでは"赤"の側でも一、二を争う自信がありますし―――知性なき怪物になどなりたくもない!」
「そして条件二、娯楽の問題。
詩人の瞳は天恵を得て回転しThe poet`s eye,in fine frenzy rollings,天から地、地から天と広く見渡すDoth glance from heaven to Earth,from Earth to heaven.』我が目はただいま絶好調!
 まさに霊感スピリッツを得た創作者クリエイター。つまり、今この瞬間この一時が愉快極まる!」
「そして最後に条件三、戦力の問題。
 我々の戦力は、貴女が想像するより遥かに、遥かに絶望的なのですよ。
 貴女は急ぎに急いでやってきたが間に合わなかった。いや、恐らくはどれほど急いでもその分必ず間に合わなかった!アキレウスと亀のようなもの。
 そして間に合わなかった以上、貴女は此処で―――――――死ぬ」
サーヴァントとしての力の差から降伏を申し出られるキャスターだが、逆に降伏の条件三つをそちらが満たしていないと突っ撥ね、大胆にも聖女に死を宣告した。
しかし、第二、第三の条件はまだしも、一番初めの条件に至っては、自身を召喚したマスターを退屈とのたまって放逐し、「面白いから」とシロウに乗り換えた時点ではっきりいって目も当てられない。というより、この道化は"恩"なんてもので動く玉では断じてない。少なくともサーヴァントとしては、どこぞの毒舌童話作家に言わせれば一点たりともくれてやれない失格者であろう。
出典は上から順に「アテネのタイモン」のタイモンの台詞と、「夏の夜の夢」の登場人物であるアテネの公爵シーシュースの台詞、そして『アキレウスと亀』のパラドックス。
「さあ、我が宝具の幕開けだ! 席に座れ! 煙草は止めろ! 写真撮影お断り! 野卑な罵声は真っ平御免!
 世界は我が手、我が舞台! 開演を此処に―――万雷の喝采を!」
この世界を閉塞させ、脚本ちつじょを産み出し、物語みちすじを強制させる。悪辣な舞台宝具が、聖女に牙を剥く。
「そして貴女は、彼を利用せざるを得なかった。
 何故なら、彼のサーヴァントとしての力こそが、我々に対抗するのに必要だったからだ!
 そう、あのホムンクルスを此処に辿り着かせたのは彼の選択ではない!
 貴女が選択したのだ、貴女が彼を殺すのだ・・・・・・・・・!」
道化の短剣ことばは、狙い違わず聖女の心臓を容赦なく貫く。
「さあ、この舞台劇の分類ジャンルが決まったぞ!
 喜劇コメディだ! なあ、聖女よ! ようこそ人殺しの世界へ!
 一度としてその手を汚さなかった貴女が最初に選んだ犠牲者は、貴女を心から慕う少年だったとは!」
「道化の時間はこれにて終了、救済おわりの支度が整いました。
 ―――これより我がマスター、天草四郎時貞の再臨です」
高らかに告げる、反道徳の勝利宣言。聖女の慟哭を生前の史劇以上に煽り嘲り貶める。
そしてその直後、一もう一つの喜劇が凱歌を上げる。
彼女は小娘です・・・・・・・。聖女のように振る舞い、聖女として己を律して、聖女の力を行使してもなお、彼女はありきたりの少女に過ぎない。
 聖女のように振る舞うあまり、彼女は自分自身ジャンヌ・ダルクを置き去りにした。
 まあ、無理からぬことでしょう。サーヴァントとして召喚される際に必要なのは、ダルク家の娘として過ごした十七年ではなく、故国の英雄として走り抜けた二年です」
大聖杯から凱旋したシロウに語った聖女の本質。というか自分でズタボロにしておきながら、かなり恥知らずな物言いではある。
「ははははは! 終わりだジ・エンド! これで終わりだ! 完結した! 完結したぞ!
 彼等の物語は素晴らしい結末を迎えた!
 これが、我輩の新作である!」
「ああ、だがしかし――主役は我輩が演じたかったなぁ!」
邪竜の飛翔が全ての終わりを告げ、崩れ行く空中庭園の中、稀代の劇作家は己の物語を一心不乱に書き上げ、終止符を打った。
その胸に去来するのは、かつて役者を目指し、挫折した過去であろうか。

Fate/Grand Order編集

戦闘編集

「さて、それでは執筆を開始します。残り二人、頑張ってください」
「いま吾輩は執筆で忙しいのですけれど? 戦えとか、そんなこと言われても」
戦闘開始時の台詞。戦場においてもマイペースで飄々とした態度を崩さない。
「タンマ! せめて結末を書かせて…おくれ」
「まだ…締切には間に合う…ぐふっ、はず……」
戦闘不能時。流石に慌てふためいているようだ。
「勝利を獲得しましたぞ! では、記念に詩を作りましょう」
「勝利ですな。ところで敗北者の方々、今のお気持ちを聞かせてもらいたい」
戦闘終了時。「そういうこと」をするのは初登場時から示唆されていたが、ウザいことこの上ない。

マイルーム編集

「嫌いなものなど言うまでもない! 凡人をこそ吾輩は忌み嫌う。彼らはアントニーに容易く操作される人々だからです!」
マイルーム会話「嫌いなもの」。
ここで言及されているアントニーとは、彼自身の著作である『アントニーとクレオパトラ』のメインキャストである政治家アントニー(アントニウス)であろう。
「さあ! 王国が貴方を待っていますぞ、マスター! 馬を引いて差し上げよう」
マイルーム会話「イベント開催」。
「貴方の物語が、幸せな結末を迎えられますように!
 どれほどの悲劇でも、あなたの歩みが力強くありますように!
 喜劇であれば、最後に誰もが拍手喝采できる喜劇でありますように!」
マイルーム会話「絆Lv5」。人理修復という特大の『物語』の主人公たるマスターへ贈る言葉。
肩こりの解消を頼もうとしていた初期からするともの凄い変化である。

幕間の物語編集

「ほう! そうきましたか! 元来それは人生において悩み苦しむことは全て、所詮は夢の中の出来事に過ぎないという儚い無常の意。
 しかし、しかし貴方は違いますな。貴方は違う意味を見出している。
 夢とは希望。希望とは勇気と決断によって手向けられるもの。
 ならば、この場で戦うは自明の理。貴方たち自身が、夢であるのだから!」
幕間の物語『カーテンコール』にて、無意味な戦いをするのかという問いに「我らは、夢と同じものだ」と返した場合。
主人公の台詞を含めた元ネタは、「テンペスト」から。
「ふふふ、やはりそうきましたか! その通り、まったくその通りですよマスター!
 悪魔の囁き、合理的な結論、有無を言わさぬ正論、そういったものは全て。『くそくらえ』で片付けてしまっていいのです!
 何故なら、それは正論に名を借りた邪悪。邪悪を理論という名の上塗りで誤魔化そうとする卑怯な企み。
 やってしまえばいいのです!」
同上。無意味な戦いをするのかという問いに「哲学なんか、くそくらえ」と返した場合。
主人公の台詞を含めた元ネタは、「ロミオとジュリエット」から。

イベント編集

「おやおや、一体どのような悪夢をご覧になったのですかな?
 “獰猛な虎が温和な鹿を爪で引き裂くthe tiger now hath seized the gentle hind.”夢でしょうか?」
『チョコレート・レディの空騒ぎ』にて悪夢から覚めた主人公に対して。だいたい夢に出てきた清姫のせいだが。
台詞の元ネタは「リチャードⅢ世」から。
「ともかく大半の男子サーヴァントはチョコを貰うアテもなく、チベットスナギツネの如き目で世界を睥睨しております。
 まあ、気にしてはいない男らしい男子サーヴァントもいることにはいるのですが、そこはそれ。
 “嫉妬とは緑の目をした怪物であり、人の心を食物にして玩弄するIt (Jealosy) is the green-eyed monster whici doth mock The meat it feeds on.
 ……というやつです」
同上。これを聞いた主人公は「自分が配れば喜ぶだろうか?」と考え、チョコを作ろうと行動した。
台詞は「オセロ」から。
「大体この手の御仁はバレンタインデーになるとブッ壊れる。これエンターテイメントの王道ですな。
 “ぶっちゃけるとご子息は頭がイカれてますぞI will be brief : your noble son is mad.”的なアレです」
同上。黒髭スパルタクスとともにバレンタインを潰そうとする様を「ハムレット」の一台詞になぞらえている。
「……あー、なるほど。あの方ですか。
 憂い顔で『良かれと思って……』といっておけばいいんじゃねえの、と思ってる感じの。
 “微笑み、微笑み、微笑む大悪党That one may smile, and smile, and be a villain.”というあの方」
同上。黒幕の手駒として現れたカエサルがその人物の人となりを語って。同じく「ハムレット」より引用。
「マスター、お気をつけ下さい。 そも、魔術師というのは作家の〆切みたいなもの。
 うっかり信用すると一杯食わされるというアレです!
 我々にとって金曜の夕方までに提出とは即ち月曜の朝までオッケー、やりようによっては夜でも可!」
同上。その黒幕であるパラケルススと対面して。確かに(原因があるとは言え)うっかり信用した結果、一杯食わされた人物もいるので……。
なお、主人公からは選択肢によっては「言っていて恥ずかしくないんですか?」とぶった切られる。
台詞の元ネタは『チョコレート・レディの空騒ぎ』を執筆した東出氏の体験談である。ゲーム制作時代はディレクターも兼任してたので氏はとても苦労していたそうな……[出 1]
「幼子におじ様と呼ばれた瞬間の甘美と、「あ、ヤベえ年取った」感はたまりませんな、マスター!」
同上。ナーサリーに「おじ様」と呼ばれた際の台詞。親戚の集まりでおじさん呼ばわりされる感覚と似たようなモノだろうか……。
「色褪せぬ永遠の夏を留めておくことはできても、享楽を永遠とするには代償が必要なのです。
 “悲報が訪れる時は、軍団で押し寄せてくるWhen sorrows come, they come not single spies. But in battalions.”と相場が決まっておりますので」
「――そう、甘いお菓子、甘い紅茶、それらを代償として、君は――――――――。
 虫歯になります」
同上。お茶会をなおも続けようとするナーサリーに対してシェイクスピアは残酷な真実を突きつける。これも「ハムレット」からの引用。
虫歯になると耐え難い苦痛が襲うという事実にナーサリーは追い詰められ、最終的に召喚された歯医者によって退散したのであった。

メモ編集

  • 筆者泣かせなキャラクター。東出氏によれば「描写がものすごく大変」で、シーン毎に合っている名言を必死になって漁らなければならず、かといって既存の翻訳をそのまま使うわけにもいかないので、原文を引っ張り出してそれっぽく独自訳をしているとのこと。その後Apocrypha/materialでも「会話シーンは毎回後回しにする程頭の痛い代物」とコメントしており、極めて扱いづらく、台詞回しに限界があるキャラであることが示唆されている。
    • 奈須氏も、「他のキャラクターだと一行で済むところが、三行に膨らんでしまう」と苦言を呈している。
  • サーヴァントとしてはかなり特異な立ち位置だったが、『Fate/EXTRA CCC』で同じようなスタイルの童話作家が登場。また、僅かに先行して『Fate/strange fake』にも似たタイプの小説家が登場している。
  • 『Fate/Grand Order』で開催されたイベント「ネロ祭 ~勝ち抜け熱闘コロシアム~」予選初級にて、アンデルセンとアマデウスとともに「サロン・ド・キャスター」を結成して参戦。その際の名義は「働く男」。「働かない男」名義であったアンデルセンと比べると、確かに作家としては熱心すぎる程に働く男である。
    • デュマが本作に実装されていたら「たまたま居合わせた男」名義であったアマデウスではなく作家繋がりでその三人だったかもしれない。
  • アンデルセンとデュマがそれぞれ現代に適応し、パソコン等の電子機器を普通に扱っているのに対して、シェイクスピアはタイプライターすらまともに扱えないという機械音痴の側面がある。
    • 『Fate/Grand Order』の絆礼装「すごく便利」ではタイプライターを使用しているが、興が乗って全力で執筆した結果タイプライターの方が耐えきれずに壊れてしまった[注 1]ので、機械苦手というより耐久性の高い年代物のほうが好みなのかもしれないが。
  • 『Fate/Grand Order』の最終再臨画像では黒を基調とした衣服で非常に胡散臭く、ポーズもこちらを向いて座っている悪の黒幕然としたものになる。主人公にもとある事件への関与を疑われた際「お前の最終再臨を知っている」と突っ込まれていた。
    • 後に亜種特異点Ⅰで召喚された時は反転していたため、この姿になっている。とは言うものの、元々中立・中庸であるために自著から引用する口癖が鳴りを潜めただけで普段とはほとんど変わっていなかった(興味が移ったら平然と裏切ろうとする所も含めて)。
  • 『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』によるバッドステータス「放心」は、1ターン行動不能になる状態異常「スタン」を付与するという形で再現されている。
  • 『Apocrypha』でジーン・ラムが彼を召喚した理由は定かではないが、作者はあとがきで(本命はマクベスのような)彼の物語の登場人物を召喚するつもりだったのかもしれないと推察している。

話題まとめ編集

謎の劇作家
高名な劇作家であるにも関わらず、手紙や日記はおろか、自筆原稿すら存在しておらず、学歴にも不自然な点が多々ある為、様々な別人説が流布している。一番有名なのは、同時代の哲学者フランシス・ベーコンや、彼と同じく劇作家として名を馳せたクリストファー・マーロウのペンネーム説であろう。『Fate/Grand Order』のプロフィールでも有名な作家でありながら、その半生は謎に包まれている。と記述されている。
彼の描いた「魔女ジャンヌ・ダルク」
彼は初期に作った史劇『ヘンリー六世 第1部』で、ジャンヌ・ダルクを魔女・売女として描いている。
この作品の彼女は自分が神に選ばれた神聖な存在であると喚き、高貴な生まれであり羊飼いの娘ではないと主張し、処刑される寸前までイングランドへの呪詛を叫び続け、妊娠していながら聖処女を自称するなど徹底的に異端者の淫婦として描かれている。
シェイクスピアに限らず、15世紀以降の入手可能な英語の文献ではジャンヌ・ダルクは同様に描写されているが、このような扱いをされたのはジャンヌがイングランドの敵だったからである。当時アルマダの海戦でフランシス・ドレイクがスペイン無敵艦隊を破り、イングランドの愛国心は頂点に達していた。この愛国心が観客の史劇への関心を高めることになり、史劇の内容もその時勢に合うものが選ばれていた。
そういった時代背景が存在する中で彼の描いた「魔女」ジャンヌ・ダルクは特に有名で、その描写からは悪意すら感じられる。何の因果か、聖杯大戦にはルーラーとしてジャンヌが召喚されており、彼女に対し宝具でジル・ド・レェを召喚、トラウマを抉るというえげつない攻撃を行った。『Grand Order』ではジャンヌからこのことを根に持たれており、マイルーム会話で釘を刺されている。
『Grand Order』2017年バレンタインイベントでは、黒い方のジャンヌに対しても大嘘を吹き込みおちょくっている。……後でバレてきっちり報復はされたようだが。
ファーストフォリオ
2016年4月に新たな本物のファーストフォリオが発見された。これで確認されている数は234冊になっている。
またファーストフォリオに載っていない、シェイクスピアが執筆したか怪しく定かではない作品群を「シェイクスピア外典(Shakespeare Apocrypha)」と呼ぶ。

脚注編集

注釈編集

  1. テキスト上で壊れたのはEのキーであったが、シャーロック・ホームズシリーズでも指摘されているように英語ではEの文字を最も良く使うため、真っ先に壊れるとしたらこのキーである。

出典編集

リンク編集