ジャンヌ・ダルク
ルーラー
- 真名:ジャンヌ・ダルク
- 身長:159cm/体重:44kg
- スリーサイズ:B85/W59/H86
- 属性:秩序・善
- CV:坂本真綾
聖杯大戦を監督し、正しく導くために行動する、大聖杯に召喚された「裁定者」のサーヴァント。
- 略歴
- 真名はフランスの百年戦争の英雄、カトリックの聖女ジャンヌ・ダルク。オルレアンの乙女(ラ・ピュセル)と呼ばれた救国の英雄である。
フランスの学生寮で、レティシアという少女に憑依するイレギュラーな形で召喚された。マスターが存在しない聖杯戦争の管理者として、トゥリファスの小さな教会に滞在する。
- 人物
- 信心深く清廉で善良な少女。二つの人格が統合しているため、フランス人の少女の記憶も大部分持ち合わせている。中立のサーヴァントとして振る舞うときは規律を第一とし、たとえ身に危険が迫るときも公明正大であろうとする高潔な精神を持つ。
元々教養とは無縁の生涯を送ってきたため、聖杯から与えられる知識と憑依した少女が持つ知識以外のことについてはあまり知り得ない。また、農家の娘であったからか、かつては食欲の塊のような野卑な兵士たちにも引けを取らなかったほどの健啖家である。
- 能力
- 武器は「旗」。
ルーラーのサーヴァントは聖杯戦争を管轄する絶対的な特権を有しており、魔術に関わりのない部外者を巻き込むなどの規律に違反する者には注意を促し、場合によってはペナルティを与えることもある。
その任を遂行するための能力を多数備えており、自身の半径十キロ圏内に及ぶ強力な索敵能力と聖水を用いたサーヴァントの探索機能はアサシンの『気配遮断』さえも完全に無効化する。またクラススキル『真名看破』によって、「聖杯戦争」に参加している全てのサーヴァントの真名、能力、宝具の詳細を知る事が出来る。更には各サーヴァントに対し、2回までの令呪の行使が可能。クラス別スキル『聖人』において現界時に選択できる4つの能力のうち“聖骸布の作成”を所持している。
彼女自身のスキルとしては非常に高ランクの『カリスマ』を有し、『聖人』と併せることで暗示の魔術などを用いずとも、自らの言葉を第三者に信じさせることが出来る。
聖杯戦争に参加しているサーヴァント達に聖杯から与えられる知識も、ルーラーに関する情報は厳重に秘匿されており、その存在には謎が多い。
他方、生者である少女の体に憑依して現界しているため、通常のサーヴァントのような霊体化は不可能。また、宿主となる少女の肉体に負担を与えないよう、食事や睡眠を必要とするなどの制限を受けてもいる。おまけに、普通の人間の肉体に宿っているためその保護に多くのエネルギーを必要とし、「サーヴァント」として活動している間はやたらとカロリーを消費しているので、物凄くお腹が減るペースが速い。
宝具
- 我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)
- 由来:聖女ジャンヌ・ダルクが常に先陣を切って走りながら掲げ、付き従う兵士達を鼓舞した旗。
EXランクという規格外の対魔力を物理的霊的問わず、宝具を含むあらゆる種別の攻撃に対する守りに変換する。
作中では赤のバーサーカーの、地形を変え、ミレニア城塞を半壊せしめた程の破壊力を持つ『疵獣の咆吼』の一撃を受け流し、黒のアサシンの『解体聖母』の完全開放を不意打ちで受けてなお、その呪いの大半を吸収するなどの活躍を見せている。
強力な防御宝具だが、攻撃を防いだ代償は旗に損傷となって蓄積されるようで、赤のアサシンの空中庭園からの迎撃術式を防いだことで、旗自体が少しずつ裂け始めている。
この宝具は本編に先駆けてTYPE-MOON公式のエイプリール企画で登場(ネタバレ防止のため伏字だった)。セイバーの「約束された勝利の剣」さえもいなした。
企画段階で登場した宝具
- 紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)
- 特攻宝具。"主よ、この身を委ねます"という辞世の句を発動の呪文とし、炎を発現させる聖剣。
ジャンヌが迎えた最後を攻撃的に解釈した概念結晶武装で、固有結界の亜種であり、心象風景を剣として結晶化したもの。この剣は「英霊ジャンヌ・ダルク」そのものであり、宝具を発現させると戦闘後、ルーラーは消滅する。
登場作品と役柄
- Fate/Apocrypha
- 中立のサーヴァント・ルーラーとして召喚されるが、やがて戦争の裏に存在する陰謀に気付く。
- Fate/Zero
- キャスターの回想に登場。
- BD版特典の「お願い!アインツベルン相談室」においてもキャスターの口から語られる。
- Fate/Grand Order
- 主要人物の一人。PVで多くの英霊達に呼びかけており、キービジュアルから登場。
- コハエース
- 『Zero』または『Apocrypha』関連の話題でたまに登場。すっかりクトゥルー系の容貌に変わり果てたジルにもこれといって動じない。
- 路地裏さつき ヒロイン十二宮編
- 2013年のエイプリルフール企画。なんと露出度の高い魔法少女コスチュームで登場、その名も「神風魔法少女ジャンヌ」。
- コンセプトは「キュアでピースで真っ黄色」。「まだキャラが固まっていないので好き放題できる」との名目で語尾に犬の鳴き声を付けるなどの圧倒的あざとさと計算高さを誇り、相対した弓塚さつき達を戦慄させた。更に公開中公式HPの彼女の紹介イラストまでこの姿に変更されていた。なお、当該回のシナリオもイラストも『Apocrypha』の作者・東出氏と挿絵担当の近衛氏がそのまま執筆している。公式が病気。
- 魔女として処刑された彼女が魔法少女になるのはどうかと思うが、ガチでヒロインを狙ってきているピンクに対抗するために形振り構っていられないという事情もあるようだ。
- カプセルさーばんと
- さーばんとの一匹「ジャンヌダルク」として登場する。
人間関係
- ジーク
- 黒のセイバー脱落の真相を確かめるために探していた。
黒の陣営で魔力供給源として使い捨てられているホムンクルスたちを救出せんとする彼と、同じくマスター以外からの魔力供給を問題視していた彼女との間で目的が一致し、行動を共にすることになる。
聖杯大戦の被害者として、保護対象とみなしている。年長者ぶろうとしているが、腹ペコで倒れたところを助けてもらったり、数学の勉強を教えてもらうことになったりと、イマイチ威厳を保てていない。
- 黒のライダー
- ジークを助けようとするアストルフォとルーラーの間で目的が一致している。
一方、彼の理性の蒸発した性格を「何をするかわからない」と危険視してもいる。
なお、ルーラーはアストルフォの真名は把握しているが、彼のステータスの性別欄が悪戯書きによって塗りつぶされているせいで彼の事を一貫して「貴女」や「彼女」と呼んでいる。その為、ジークを巡る恋のライバル(?)となっている。
- 赤のアーチャー
- 子供の怨霊の集合体である黒のアサシンを「救えない」と断じて消滅させようとしたルーラーに対して、子供の守護者たらんとする赤のアーチャーから一方的な敵愾心を抱かれた。以後、憎しみを持って付け狙われている。
- レティシア
- 憑依したフランス人の少女。聖杯大戦以外の知識は彼女のものがベースとなっている。
極めて感受性が強く、信仰心に篤かったせいか、自身に宿った聖女の人格をごく自然に受け入れた。
やや男性恐怖症気味で、ジークとの距離感に影響することもある。 - アルマ・ペトレシア
- 下宿させてもらった教会のシスター。
純朴で神の愛以外に必要なものは存在しないような女性・・・・・・かと思いきや、実は聖堂教会から派遣されたユグドミレニア一族への監視役。ジャンヌの正体にも当初から気づいていた。
- ジル・ド・レェ
- かつて共に轡を並べ、戦場を駆け抜けた戦友。彼が神に絶望し、多くの子供達の命を奪った事を嘆いた。
名台詞
Fate/Apocrypha
- 「―――主よ、この身を委ねます―――」
- 生前の最後の言葉。
弾効され、罵倒され、責め苦を受けてもなお、彼女の心にはただ祈りしかなかった。
- 「私のような農家の子女でも教育を受けられる。……良い世の中です。」
「……さっぱり分かりません。」 - 聖杯は現世で活動するのに必要な知識は授けてくれるが、教科書の中身までは教えてくれない。
悪戦苦闘の予感を覚えながらも、真面目な彼女は数学の教科書という強力な敵に立ち向かう。
- 「――それこそ愚かです。主は我々を見捨ててなどいませんよ。
いや、そもそも主は誰一人として見捨てていらっしゃらない。ただ、何も出来ないだけです。
祈ることも、供物を捧げることも、全ては己のためではなく主の為の行いでしょう。
主の嘆きを、主の悲しみを癒すために我々は祈るのです。そう、私は確かに――
“主の嘆きを聞いたのです”」 - 黒のランサーの「神にすら見捨てられたお前に願いが無い訳がない」という言葉への静かな反論。
- 「すいません、ついでに背負って下さい。お腹が空いて、一歩も動けません……」
- 「お腹が空くことが、これほど辛いとは思いませんでした。あの、そろそろ食べられるなら木の根を齧ってもいいとすら思えてきたのですが、どうしましょう」
- 黒の陣営との会談の後、探していたジークに会って彼の願いを果たしに行こうとした矢先にへたりこんでこの台詞。
特に後者の台詞はかなり本気らしく、三十分もしないうちに本気で木の根を齧り始めるだろうと聞いていたジークに思わせた。 - 人間に憑依する形での現界や自身の燃費という理由で仕方が無いとはいえ、それまで見せていた毅然とした聖女の姿は欠片もない。
- 「な、な、な、ななななななななななななな何を言いだすんですかいきなり!?」
「こ、子供っ!子供って!子供って!こ、子供は天からの授かり物ですし聖杯戦争中にそんなことを考えるなんて破廉恥極まりないと申しますかそもそも相手が………って違う!ああああもう落ち着け私!」 - ジークから「あなたは、妊娠できるのか?」と質問されて大パニックになる。はっきり言ってセクハラ以外の何物でもない質問であり、聖女の威厳が完全に吹っ飛んでしまっている。
- 「あの……まさか……ジーク君は、私を妊娠させたいんですか……?」
- 意趣返しとばかりに、逆セクハラ。しかもこの時のジャンヌは、恋する乙女そのものだった。
- ルーラー「アーチャー、あなたも英霊として理解しているはずです。その子らは救えない。彼らが生きるということは、仲間を増やすという意味に他ならない。そもそも、その子ら自体――――安らかな場所に魂を帰還させることが慈愛です。」
- アタランテ「何が慈愛なものかッ!!救うことが聖女の役割だ!オルレアンの乙女、戦場で剣を抜かず、旗を振ったは何が為だ!殺さない為だろう!その手を血塗れにしない為に―――」
- ルーラー「―――そう思いますか、“赤”のアーチャー」「剣を使わなかったから、私の手が血に塗れていない?まさか。―――私はあの戦いに加担した。戦うと決めた。その瞬間から血に塗れたも同然です。甘く見ないで下さい。彼女たちを滅ぼすことに、躊躇いはない!」
- アタランテ「ならば、ならば。貴様は聖女ではない……!」
- ルーラー「いかにもその通りです、“赤”のアーチャー。誰もが私を聖女と呼ぶ、けれど他ならぬこの私だけがそう思ったことは一度もないのです。」「此処は彼女たちの記憶の世界、残留思念が生み出した幻影に過ぎません。永遠にこの曖昧な世界で苦しませ続けるつもりですか!?さぁ、そこを退いてください。」
- ジャック・ザ・リッパーの本体である怨霊達を浄化しようとするジャンヌと、それを防がんとするアタランテ。どちらにも譲れない想いがあるゆえ、両者は決定的に道を違える事となる。
- “主の恵みは深く、慈しみは
永久 に絶えず” - “あなたは人なき荒野に住まい、生きるべき場所に至る道も知らず”
- “餓え、渇き、魂は衰えていく”
- “
彼 の名を口にし、救われよ。生きるべき場所へと導く者の名を” - “渇いた魂を満ち足らし、餓えた魂を良き物で満たす”
- “深い闇の中、苦しみと
鉄 に縛られし者に救いあれ” - “今、枷を壊し、深い闇から救い出される”
- “罪に汚れた行いを病み、不義を悩む者には救いあれ”
- “正しき者には喜びの歌を、不義の者には沈黙を”
- “―――
去りゆく魂に安らぎあれ ” - 洗礼詠唱。怨霊に与えられるものは救いではなく消滅のみ。
- 「飛行機ではなくて戦略爆撃機……ううむ、いずれにせよ破壊力のある兵器が必要なのですが……
- ミサイル……バンカーバスター……
- いえ、不遜な名称ですがいっそ『神の杖』あたりを……」
- 『虚栄の空中庭園』への突入に、近代兵器の使用を検討するのはいいのだが……。
- 『神の杖』とは、アメリカ軍が核兵器に代わる戦略兵器として開発しているとされる宇宙兵器である。タングステン、チタン、ウランを用いた金属棒に小型推進ロケットを取り付け、高度1,000kmの低軌道上に配備した宇宙プラットホームから発射し、地上へ向けて投下するというもの。
- 落下中の速度は約マッハ9.5にも達し、その運動エネルギーが生み出す破壊は極めて大規模かつ甚大で、核爆弾に匹敵するだけではなく、地下数百メートルにある目標すら破壊可能だとされている。地球全域を攻撃する事が可能とされ、即応性や命中率も高い上に電磁波を放出しない特性から探知する事が難しく、迎撃は極めて困難だという。
- 現実では「金属棒の重量からは計算された威力は発揮されない」、「金属棒が大気との摩擦熱で融解してしまう」などの反論から実現性を疑う声も存在する。なお神の杖のような大量破壊兵器を宇宙へ配備するのは国連が定めた「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(通称・宇宙条約)」の平和利用の原則によって禁止されている。
- ……はずなのだが、型月世界では現物が作られているだけでなく、実戦配備されているらしい。
- 実際に使ったら不遜どころの騒ぎではない。ルーラーが提案した過激な戦術にフィオレは「大胆ですね」と顔を引き攣らせ、この呟きを聞いたゴルドは「世界を終わらせる気か・・・」と絶句していた。
- 「ああ、ライダーですか。上がったのなら、交代して戴けないでしょうか――――――」
- 洗面所で手を洗っている所をシャワーから上がったライダーと出くわし・・・・・その瞬間、世界が静止した(または歴史が動いた)。
- 「分からなかったんですよ!!」
- 「……確かにサーヴァントの中には、能力を隠蔽する術や能力を持っている者もいます。でも、イタズラするのは前代未聞ですよ……一体何をどうやったらこんなことやれるんですか………いえ、やれるやれないはともかく普通やらないですよ……もう……」
- ようやく黒のライダーが男性である事を認識したジャンヌ。それにしても、風呂上りに全裸を見られるのは普通は逆なんだが・・・・・・なお、サーヴァントのステータスをマスターは「Apocrypha」の3巻と4巻の巻頭カラーに掲載された各サーヴァントのデータ表のように認識している事がこのやり取りで判明した。
その他
- 「ふふ……あざといですか?あざといですって?
最高の褒め言葉です、ワン!」 - エイプリルフール企画『路地裏さつき』にて。神風魔法少女ジャンヌ、降臨。
可愛過ぎて、旦那が見たら発狂すること間違いなし。
ただ番外編でキャラが崩壊するのはお決まりだが、まだ一巻しか出ていないのに早すぎやしないだろうか?
メモ
- キャラクターデザイン原案は武内崇氏。設定制作を担当したのは奈須きのこ氏。
- ジルがセイバーをジャンヌと勘違いした事から、よく彼女もセイバーと似たような顔だと思われがちだが、武内氏によるとデザイン自体は特にセイバーを意識していないとの事。
また外見の共通点も金髪白人という事のみでセイバーとはあまり似ていないと語られている。彼が勘違いしたのは顔ではなく、その雰囲気による所が大きい模様。 - 武内氏お気に入りのキャラクター。
武内氏の彼女への入れ込みようは凄まじく、最初の頃の打ち合わせ中「ジャンヌは女子高生ってよくない?」が氏の口癖であったらしい。これを聞いた奈須氏を含むTYPE-MOONのスタッフからは「何を言っているんだこいつは」と正気を疑われてしまう。
結局その願いは周囲から「いや、気持ちはわかるけど落ち着け」と抑えられてしまうが、抑圧された反動からか、『Zero』のアンケート企画描きおろしイラストで「マスター・アルトリア」が爆誕。奈須氏曰く、ダメだしされた怨念から生まれたイラストであるという。
武内氏の「ジャンヌを女子高生にする」という野望は藻屑と消えたかと思われていたが、この話を聞いた東出氏により「女子高生に憑依して現界する」という離れ業を用い、武内氏の願望は達成されることとなった。 - 『聖人』の能力は召喚された時に“秘蹟の効果上昇”、“HP自動回復”、“カリスマを1ランクアップ”、“聖骸布の作成が可能”から、ひとつ選択される。
- 「ルーラー」のクラスに選ばれる詳細な条件は現段階では不明。資格の一つに「現世に何の望みも持たないこと」が挙げられている。
- 『空の境界』で霊長の抑止力の話を聞いた黒桐幹也が、彼女も何かに後押しされた結果ではないだろうかと連想している。
- かつて轡を並べたジル・ドレェは、努力しても署名ができる程度にしか読み書きが上達せずに悩んでいた彼女を「それだけ書ければ充分でしょう」と大いに笑って励ましたという。
………救国のためにジャンヌと共に戦っていた彼は輝いていた。 - ルール違反に厳格なように見えるが、止むを得ない事情が有る場合は許容することもある。
聖杯戦争は一都市で行うものであるため、トゥリファスから離れたシギショアラに駐屯している赤のサーヴァント達はルール違反をしていると言える。だが、トゥリファスはユグドミレニア一族の管理地であって隠れ潜める場所が非常に少ないことを考慮すれば、彼らの戦略も致し方の無いものとして許容している。- また、ジークに対しては、少なくともレティシアの人格はおそらく慕情を抱いており、竜告令呪の性質を知って自身の持つ令呪二画を譲渡するなど、ルーラーの職務から逸脱するレベルでの肩入れを行っている。
- 彼女の「ルーラー」としての方針は、聖杯大戦による人的被害や公共物の大規模な破壊だけでなく、宝具による自然破壊にまで気を使っている。
結局、黒のアサシンやらシロウによって大分被害は出てしまったが。 - 唯の田舎娘だった筈な割にはそのステータスはかなりハイスペック。知名度補正もその英霊の全盛期まで押し上げる効果しかないので、聖杯大戦参加者に容易に拘束、または殺害されないための防御手段としてこの数値になったクラス「ルーラー」特有の恩恵か、もしくはTYPE-MOON世界の彼女は素でこれ程の能力を誇るかのどちらかだと思われる。
まあ、どこぞのパン屋の娘が並の魔術師の100倍の魔力を持つ事もあるので、この世界では充分有り得る事である。また抑止力に後押しされていたのも一因かもしれない。 - 『Zero』に僅かながらも登場したため、TYPE-MOON10周年人気投票では(当時はまだ設定のみだった)『Apocrypha』キャラの中では唯一投票が可能となっており、数秒しか出番がなかったことを考えれば大健闘と言ってもよい55位という順位を獲得している。
- もっとも戦闘機パイロットの小林が71位になっていたりするので、『Zero』アニメの放送直後という時期によるものも大きかったのだろう。
- 『Apocrypha』における腹ペコ枠。霊体化できないことと言い、どうしても彼女との共通項が出てしまうようだ。更にかなりのうっかりキャラである事も3巻で判明する。
- 『Fate/Grand Order』のPVで遂に担当声優が坂本真綾氏であると発表された。TYPE-MOONでは両儀式役で有名。
『Apocrypha』でのステータス
クラス | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | 備考 |
ルーラー | B | B | A | A | C | A++ | 企画段階 |
保有スキル:対魔力:EX、啓示:?、カリスマ:?、聖人:?
話題まとめ
- 信仰心厚き少女
- 1412年頃に生まれ、12歳の頃、大天使ミシェル、聖カトリーヌ、聖マルグリットからフランス王太子を助けよという啓示を授かったといわれる。
しかし現代ではノーベル賞受賞学者にも認められたルルドの泉等の「神の奇跡」は説明のしようがないので「幻聴じゃないか?」などと研究者には言われてしまっている。哀れ…。一方で、明晰な頭脳を有していたことが文献から明らかになっている。 - 王太子シャルル7世の信頼を得たジャンヌは、フランス軍を導いてイギリスに追いつめられていたフランスを逆転へと導いた。
- 悲劇的な最期
- イギリス側に捕縛され、異端審問にかけられた彼女は、農家の娘でありながら素晴らしい答弁でイギリス側を圧倒した。
そのためイギリス側は最終的に、彼女が文盲であったことを利用して、背教者であることを認めたという書類を、裁判の宣誓記述書と偽って彼女にサインさせた。 - 彼女が火刑に処されたのは、遺体が残らないために最後の審判で生き返ることができない、キリスト教徒にとって最も苛烈な刑罰のためである(キリスト教徒の遺体は土葬が普通)。
また、彼女が高温と酸欠で窒息死したのち、一度火は遠ざけられ、裸体を群集にさらされるという屈辱も受けた(魔女は両性有具だとされていたため)。
そして燃やされたのち、灰は土に決して返さないという意味で、川に流されたとされている。
敬愛する相手がこんな目に遭わされたら、ジルじゃなくたって世界や神に絶望するだろう。- 尤も彼女自身は最初からこの結末を覚悟しており、無念も後悔も無いと語っている。誰もに愚か者と罵られ、虐げられるのならせめて自分自身だけは裏切らない。彼女の胸にあったのはそんな高潔な想いであったという。
- シェイクスピアから史劇で、彼女の想いを嘲り笑うような余りに酷い扱いをされている。これも当時の時代背景によるものではあるのだが……詳しくは彼の項目にて。
- 過激だった聖処女
- 『Apocrypha』では活発な少女という設定だが、史実の彼女はかなりの強硬派だったらしい。
ランスでの戴冠式後、現状維持を望んだシャルル王や貴族たちに反対してあくまでパリ攻略を主張し、捕虜となったイングランドの騎士たちは容赦なく殺害したとも伝えられている(当時は身代金との交換が普通)。
戦場での戦いぶりも凄まじく、大砲の集中投入や夜襲・奇襲・朝駆けも当たり前(当時は戦端は昼間に開き、日没と共に矛を収めるのが普通)で、勝利の為にはあらゆる手段を用いた。
農民出身の彼女に政治的な考えや貴族社会の常識が欠けていたのは仕方のないことだが、この苛烈さは王宮内における彼女の孤立を深め、自身が捕虜となった際に身代金惜しさから見捨てられるという末路を招くこととなる。
だがシロウの企みを阻止するためとはいえ戦略爆撃機やミサイル、しまいには『神の杖』を空中庭園めがけてぶっ放す事を考えたり、Fateのジャンヌもかなり過激である事が分かってしまった。平然と提案する辺り、生前の過激なやり方は全く変わっていないらしい……。- それほどセイバーに似ているわけではないとされる彼女だが、「一度は国を救いながら、最後には人心が離れて非業の死を遂げる」「勝利のためならば手段は選ばなかった」という点は共通している。
- 史実では旗持ちに過ぎなかった彼女が(企画段階の設定ではあるものの)セイバー適性を持っているのも、自ら兵の先頭に立つ戦乙女というイメージを託されているからかもしれない。似たようなイメージが先行しがちと言えば、源義経もあげられる。
- 聖人の認定は数十年以上かかることもザラとはいえ、ジャンヌ・ダルクの列聖は死後五百年近く経ってからであり、際立って長い。
元は一地方の英雄に過ぎなかった彼女だが、フランス革命以後、王家に代わる国威発揚の象徴として美化され祀り上げられた。特にナポレオンは無名に近かったジャンヌの宣伝を積極的に行っており、フランス各地にジャンヌの銅像を作らせた。彼女自身は王党派だったが、平民出身というのが共和党にとって都合が良かったためである。強大化したフランスと彼女の知名度をバチカンも無視できなくなり、政治的判断から聖人に加えられた。
聖女としてのイメージと史実の彼女に大きな乖離があるのはこのためである。 - 第二次世界大戦でも新ナチス派のビシー政権とシャルル・ド・ゴール率いる自由フランス軍の双方がプロパガンダに利用しており、生前のみならず死後も時の政治に利用されつづけられている。
- 東出氏は彼女の人物設定で大変苦労したらしい。
「信仰心」を強調すると、史実通りの過激な狂信者としての面が出てきてしまい、夢見がちな乙女にし過ぎると、シェイクスピアに馬鹿にされ続けたキャラクターに非常に近いものとなってしまう。
また過去の作品の登場人物と密接な関係を持ち、「抑止力」とも関係がある彼女の人物設定は慎重に行わなければならない、という配慮もあったと思われる。
もっとも、「アインツベルン相談室」ではジルのギョロ目を目潰しをして元に戻していたそうだから、見た目によらず過激だったようである。
- 遅咲きの聖人
- フランスの聖女として世界的知名度を誇るジャンヌ・ダルクだが、聖人として認定されたのが極めて遅かったことでも有名である。
1431年5月30日に処刑された後、聖人の地位につく「列聖」を受けたのが1920年5月16日と、彼女の死から489年が経過してようやく聖人と認められた。
信仰に命を捧げる殉教者であったジャンヌだが、生前の経緯によるものかその復権は遅れに遅れ、最終的に20世紀に入ってからの聖人入りという苦労人であった。
- 竹筆日記にて
- 『Fate/Zero』放送時、奈須きのこ氏は自身のブログである竹箒日記にて、ジャンヌ・ダルクについて以下のように語っている。
「ジャンヌダルクの最期はもう悲惨なんて言葉で表せないぐらいのもので、異端裁判から処刑までの間、あらゆる陵辱が行われ、彼女から尊厳も奇跡を奪いつくしたと言われています。
「神の声を聞いたのは嘘だったと言え」
ただ一言、そう口にすれば解放される―――その状況で彼女がどこまで信仰的純潔を守り通せたかは諸説様々ですが、どうあれ、救国の乙女はこの上なく無惨な方法で処刑されます。
その過程で精神を病み、廃人になっていてもおかしくはない。むしろ狂ってしまった方が救われたかもしれない。救国の乙女に与えられた報酬は、そんな暗いものだったのです。」
- この話が『Fate/Apocrypha』の彼女にどれほど影響しているかについては不明である。
- 3人のジャンヌ
- 英仏百年戦争でジャンヌと言えば一般的にはジャンヌ・ダルクの事を指すが、実は彼女以外にもパンティエーヴル女伯ジャンヌと、モンフォール伯妃ジャンヌという2人の「ジャンヌ」が百年戦争初期に関わっている。この2人はブルターニュ地方の継承問題で激しく対立し、両者の対決は「2人のジャンヌの戦い」とまで言われた。特にモンフォール伯妃は女傑として名高く、拠点としていたエンヌボンが包囲された時は自ら騎士団を率いて包囲網を突破し、ブレストから援軍を引き連れて再び包囲網を破ってエンヌボンに入城するというジャンヌ・ダルクに劣らない武勇伝が残されている。
- 最終的にモンフォール伯妃の息子ジャン4世がブルターニュ公の地位についた事で一応の決着をつけたが、この戦いではモンフォール伯妃をイギリスが援助していた為、イギリス軍がフランスに上陸する口実を与える事となってしまう。