Fate/strange Fake

2013年10月17日 (木) 00:47時点におけるMA0 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎登場人物)

Fate/strange fake

著者、成田良悟。
架空のゲームのキャラメイキング前の序章という形で、第五次聖杯戦争から数年後、別の街で起こる擬似聖杯戦争を描く『Fate/stay night』スピンアウト小説。
元々は成田氏が自身のウェブサイトに掲載したエイプリルフール企画『Fake/states night』だった。
だが、後に『TYPE-MOONエース』Vol.2に別冊付録として加筆収録され、正式な外伝作品となった。

登場人物

プレイヤー
架空ゲームの主人公。欠けている「剣士のサーヴァント」を補完する存在。
年齢は10代後半から20代半ば。性別は男かもしれないし、女かもしれない。魔術師でも超能力者でもない。
かつて日本の冬木市に住んでいたが、何かから逃げた末にアメリカに辿りつく。ラスベガスにて「白い髪と白い肌の美女」と出会い、5つの令呪を押し付けられる。令呪を得た3日後、スノーフィールドに旅行者として現れる。
体中に分散して5画の令呪を持ち、令呪を消費することで一時的に英霊を呼び出すことができる。召喚するサーヴァントはペルセウス、ヒュドラ、イアソン、スカサハ、スキュラなど十数種類の中から5体を選択できる。
ただし召喚時間は1つの令呪につき30分程度で、宝具などで魔力を過剰に消費すればその時間はさらに短くなり、逆に魔力を補充すれば延長される。またこの範囲内でさえあれば、1つの令呪で5体のサーヴァントを6分間ずつ召喚することや、まとめて同時に召喚することも可能である。
「エレベーターのある建物に入れない」「時折、血塗れの女の子の幻影を見る」という制約を持ち、『Fate/hollow ataraxia』冒頭の怪談話に登場したA氏と同一人物であるような描写がされている。
ティーネ・チェルク
スノーフィールドの原住民たちを束ねる少女。スノーフィールドの霊脈を利用した魔術を使える。
アーチャーのマスターだった魔術師を召喚直後に殺害、代理マスターとなる。
英雄王に対しては、使い魔たるサーヴァントなどではなく力ある英霊として、真摯に敬意を払う。
アーチャー
冬木聖杯戦争にも現れたかの英雄王。召喚された直後はこの戦争を「紛い物」と断じて戯れ程度にあしらうつもりでいたが、唯一無二の友が参戦したことを感じとったため、珍しく本気モードとなる。
まだ幼さの残るティーネに対しては、傲岸ながらも鷹揚に接する。
フラット・エスカルドス
バーサーカーのマスター。ロード・エルメロイII世の最古参にあたる弟子。類希なる魔術の才能を持つが、その性格は壊滅的なまでに魔術師向きではない。
勘違いで師から貰い受けた模造品の聖遺物を用い、白昼堂々、街の広場の中心にて、祭壇も呪文も用いずにサーヴァントを召喚してのける。
バーサーカー
切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の謎から生まれた伝説が英霊と化した存在。バーサーカーのクラスを得ながらも、元から狂気の象徴であるため「狂化」の補正と打ち消し合い、一周回って正気を保った紳士的な性格となっている。
聖杯への望みは「実在した切り裂きジャックの正体を知る」こと。
ジェスター・カルトゥーレ
アサシンのマスター。『六連男装』の異名を持ち、概念核を入れ替えることで六種類の魂を自在に使い分けることが出来る死徒
世の中に退屈しており、聖杯の力で蜘蛛でも起こして世界を滅ぼそうかと考えていたが、召喚直後に自分を殺害したアサシンの過去に触れ、彼女の美しさと純粋な信仰心、苛烈なまでの修身と報われぬ生涯を知って執着し、どこまでも追い求める。
アサシン
黒いローブを纏った「美しき暗殺者」。その正体は19人目の「山の翁」ハサン・サッバーハになれなかった少女。
女性ながらその狂的な信仰心によって、過去のハサンたちが修めた18の奇跡「ザバーニーヤ」を全て模倣し会得したほどの才と熱意を見せたが、新たな業を造る才はに乏しく、またその異常なまでの修身が同じ神を信じる教団の者たちにまで恐れられたことから、その代のハサンには選ばれなかった。
狂おしいまでに神を信じ、神に背く者、敵対する者には一切の容赦をしない。聖杯よりの知識を得てすぐに異端たる魔術師のジェスターを殺害、歴代の山の翁達を惑わせた「聖杯戦争そのもの」を破壊するために行動する。
警察署長
キャスターのマスターにして、スノーヴェルク市の警察署長。警察官としての部下であり、魔術師としての弟子である「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」を率いる。
キャスター
劇作家アレクサンドル・デュマ。スノーフィールド市の警察署長によって召喚された。
ざっくばらんな性格で食事や女性など豪遊を好み、マスターを兄弟と呼ぶ。アレンジ力に長けており、盗作騒動の逸話から“本物を越える贋物を作成する”能力を持ち、英雄王に対抗するため「伝説を上回る伝説を生み出す」能力を求めて呼び出される。
純粋な戦闘力は低く、マスターと素手で戦った場合マスターが勝つと言われている。本来の仕事は「英雄を生み出す事」であるが、「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」のために贋作の宝具作成とその「昇華」をマスターに命じられている。
聖杯にかける願いは特に持っておらず、聖杯戦争の過程と結末におけるドラマを求めている。
二十八人の怪物(クラン・カラティン)
キャスター製の宝具を与えられた28人の魔術師兼警察官の集団のコードネーム。クー・フーリンと戦ったケルト神話の28人合体戦士クラン・カラティンから命名。
剣、弓、盾、槍、鎖、鎌、棍、金色の火縄銃のようなもの、などなど与えられた宝具は様々。
繰丘椿
スノーフィールド中央病院で眠り続ける10歳の少女。魔術師である両親に植え付けられた『細菌』型の蟲に脳の機能を阻害され、1年以上もの昏睡状態にある。
無意識のうちに「夢の中に現実を投影する」魔術を行使しており、精巧に再現された無人のスノーフィールドでライダーと出会った。
ライダー
椿の夢の中に召喚されたサーヴァント。
その正体は「病」という災厄そのもの。風に、水に、鳥に、人に乗り、世界に拡がって多くの命を刈り取ってきた存在であることと、『ヨハネの黙示録』において「ペイルライダー」という象徴的な名と擬似的な人格を与えられたことにより、正しくは英霊などではないにも関わらず、ライダーのクラスに据えられる。
人間を病魔に感染させ、思い通りに動き、喋る生きた人形へと変えることが出来る。
銀狼(名前無し)
エジプトの『神』を喚ぶための召喚触媒として製造された合成獣。そのため厳密には狼ではない。
寿命と引き換えに、並の魔術師を遥かに凌ぐ質・量の魔術回路を組み込まれている。創造主である魔術師に追い詰められ、処分されようとした瞬間、『生きる』という本能に従った叫び声のみで魔術を行使、早急にサーヴァントの顕現を望む聖杯に応える形で簡易的な儀式を完遂し、ランサーを召喚した。
ランサー
英雄王の唯一無二の親友、エルキドゥ。
飾り気のない簡素な服装に、男とも女とも取れる柔らかく優美な風貌で、その端整さは人間というより人形に近い。温和な性格だが、狼を虐待した創造主を一睨みで追い払うほどの迫力をも持ち合わせる。
かつての友と再び見える事に歓喜している。
ランガル
魔術協会から、偽りの聖杯戦争を調査するために派遣された人形使い。自らは現地に赴かず、動作の不自然さを誤魔化すために、老人の姿をした人形を操り諜報を行う。
自らの人形を弟子ファルデウスとともにアメリカのスノーフィールドに送り込むが、ファルデウスの部隊によって破壊され、ファルデウスの「宣伝」を協会に伝えることとなった。
古い価値観に凝り固まっており、新興国であるアメリカに魔術師の悲願たる聖杯が降霊しようとしている事を好ましく思っていない。
ファルデウス
ランガルに弟子入りして協会に潜り込んでいたアメリカ政府の魔術師。全ての準備が整ったと見るや、師であるランガルを裏切り殺害した。
今まで共にいたランガルが本体ではなく人形であることに気付いていて、人形への暴露を通して協会に偽りの聖杯戦争を宣伝する。正体を現してからは武装した兵士の部隊を率い、この聖杯戦争の監督役的な立ち回りをしている。
ロード・エルメロイII世
時計塔の講師。フラットの師であり、彼に(そのつもりはなかったが)サーヴァント召喚の触媒を渡す。
繰丘夫妻
繰丘椿の両親。間桐の魔術を模倣して細菌に応用、痛みを伴う肉体改造によって椿の魔力回路を増幅させるがうまく調整できず昏睡状態にしてしまう。
ファルデウスらと協力関係にあり、偽りの聖杯戦争においては秦の始皇帝を召喚する算段で、宝具としても有用な聖遺物を触媒に用意していたが、ライダーの力により昏倒させられ、椿が思い描く通りの理想の両親を演じる死した人形と化す。
合成獣を製造した魔術師
合成獣を触媒に、聖杯戦争のシステム的に不可能な「神」の召喚を試みようとしていた。触媒のはずの合成獣がマスターとして令呪を得たことに怒り、街にスペアの合成獣を解き放った混乱に乗じて合成獣から令呪を奪おうとしたが、ファルデウスに喉を掻き切られて死亡。
プレイヤーがゲーム開始の3日前にラスベガスで会った白い髪と白い肌の女性。プレイヤーに令呪を押し付けた。第5次聖杯戦争の結末を改変するために偽りの聖杯を奪おうと画策している様子。

用語

偽りの聖杯戦争
Fate/stay night本編から数年後。アメリカ政府の組織が第3次聖杯戦争に目を付け、そのシステムを模倣することに成功、冬木でも60年程度かかるのと同様に70年以上の時を経て聖杯戦争が可能になった。ただし模倣は不完全で、政府の魔術師もサーヴァントがセイバー抜きの6柱ということは把握しているが、未知数な部分もある。

メモ

  • 成田良悟氏はライトノベル作家で、代表作は『バッカーノ!』『デュラララ!!』など。
    奈須きのこ氏とは知人を介して知り合ったそうで、その当時はTYPE-MOONの作品に関してほぼ未プレイ状態だったとのこと。むしろ奈須きのこの方が『バッカーノ!』に関して熱心だったらしい。
    この辺りの詳細は『劇場版 空の境界第六章』パンフレットに寄せられた成田氏のコメントにて知ることができる。