概要
「暗殺者」のサーヴァント。
- 略歴
- 『Fate/Apocrypha』では聖杯大戦においてシロウ・コトミネに召喚され、彼と共に獅子劫を除いた赤のマスター達を傀儡とし、彼らのサーヴァントを使って暗躍している。
- ミレニア城塞攻略戦においては空中庭園からルーラーの妨害に当り、集中爆撃によってシロウの正体が露見しないよう努める。その後、赤のバーサーカーの宝具によって半壊したミレニア城塞から、大聖杯を首尾よく奪取した。
- 空中庭園での最終決戦では、王の間で赤のセイバーを迎え撃つ。領域内のアドバンテージを活かし、様々な魔術と毒により終始有利に戦いを進めるが、獅子劫が用意していたヒュドラ毒の血清と令呪による機転によって赤のセイバーの逆転を許す。しかし致命傷を負いながらも転移でとっさに離脱、最後の瞬間までシロウの援護を続けた。シロウの消滅を見届けると、自分も静かに笑いながら消えていった。
- 人物
- 暗闇のようなドレスを身に纏った美女。
- 美貌と英知を兼ね備えた、傲慢かつ好色で、派手好きな女性。女帝として君臨していただけに、気位が高く、王を王とも思わない豪放磊落な赤のライダーや、常に飄々としている獅子劫のような自分に靡かない男達を嫌っている。また、その退廃的な雰囲気から赤のセイバーやアーチャーから露骨に嫌われている。特にセイバーは彼女が自分の母に似ているために、完全に敵視している。
- 彼女にとって「男性」というものは「玩具」であり、企みに嵌った事で富も権力も何もかもを奪われた人間は数知れない。また女として振る舞い男を自由にして良いのは自分だけの特権である、という認識であるため、彼女にとって「女性」というものは「自分一人」だけ。生前母親に捨てられた事を根にもっており、男に弄ばれるような惰弱な女は神であろうと容赦しない。
- 彼女の根幹にあるのは、絶対的な他者への拒絶。孤独は好まないが、孤高を好む彼女にとって、全ての人間は「無心で使える者」でなくてはならない。赤のサーヴァント達が味方側でありながらことごとく彼女を嫌っているのも、その思想を敏感を感じ取っていた。
- 聖杯への願い、と言うよりシロウの『救済』が行われた後の世界で望むのは「唯一の王として、この世界に君臨する事」。
- シロウに対する感情は、色仕掛けにも権力への誘惑にも全く動じず、自分の人生観では計り知れない彼の生き方と願いに興味を持った事が切っ掛け。当初は彼が狂った理想を叶えるのも、志半ばで倒れ絶望するのも愉しめる、と利害の一致による同盟関係に近かった。
- だがシロウと接していく内に彼女も変わり始め、無意識に彼の身を案じるようになり、女帝として君臨する事を望んでいながらたった一人の男から目を離せなくなっていく。
- 能力
- 毒物と奸計の使い手であり、文字通りの「毒婦」。
- 極めて希少なスキル『二重召喚(ダブルサモン)』によって、「暗殺者」としての能力と「魔術師」としての能力を併せ持ち、魔術師ではない赤のキャスターの欠点を補っている。
- 鳩を使い魔として使役し、ルーマニア全土を監視している黒のキャスターと同等の索敵網を構築している。また他のサーヴァントとの連絡にも鳩が使われている。
- 戦闘方法はキャスターのスキルに拠る所が大きく、直接攻撃は魔術による雷撃や爆撃など。赤のアーチャー等から揶揄されるなどアサシンとしての能力は決して高くないが、キャスターとしては、「神代の魔術師」に匹敵する力を持つ。[1]
- 特に空中庭園発動時は、EXランクの魔力を引き出し、全方位に発生させた魔方陣からAランクの対魔力を無理矢理貫通するほどの砲撃を乱れ撃ちし、地上に爆撃を行う。また空中庭園の強化によって数千体の竜牙兵を生み出すことが可能で、空中庭園の警護として竜牙兵と妖鳥を融合させた「竜翼兵」を大量に有する。庭園内であれば、毒を帯びた無数の鎖の魔術、ヒュドラ以上の毒を持ち竜種と同格と言えるほどの階位にある巨大蛇バシュム等の幻想種の召喚、自由自在な空間転移、さらにはマスターのシロウから得た知識により相手の令呪の効果すら封じてみせるなど、サーヴァントとして規格外の能力を発揮できる。
- 基本的に近接戦闘は行わない為、武器は持たない[2]が、魔術で生み出した黒い鎖を武器代わりに使用する。主に拘束[3]や、絞首[4]などを行う。赤のセイバー戦では、相手の足に巻き付け、壁に叩きつけるなどの戦い方をしていた。魔術なのでAランク以上の対魔力を持っている相手は長く拘束できないが、それでも相手が対抗措置をとるまでは拘束できる模様。また、シリアの魚神デルケットの血を引いており、黒い神魚の鱗を装甲として展開する事で防御を行う。
ステータス
- 虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)
- ランク:EX
種別:対界宝具
レンジ:10~100
最大捕捉:1000人
由来:セミラミスが生前に作り上げられたと伝えられている空中庭園。
- 想像を絶する巨大な浮遊要塞。
- 規則正しく並べられた緑豊かな浮島と、大理石で出来た床や柱で構成されている。全体にあらゆる種の植物が絡んでおり、混沌の醜さと絢爛の美しさが同一化している。
- 魔力による顕現は不可能で、現実で作る必要がある。それは、セミラミスが実際は空中庭園など建設しておらず、セミラミスの伝説に何時の間にか組み込まれた「虚偽」は何時しか本物となってしまい、後付けの神秘として自身に刻み付けられた為。「虚栄」とは事実に反する紛い物である事を意味する。現実世界に虚偽の代物を持ち込むので、材料に関しては現実のものを使用せねばならず、セミラミスが生きていた土地(イラクのバグダット周辺)の木材、石材、鉱物、植物、水といった材料を全て揃える必要がある。お金を掛ければ掛けるだけ神秘が強くなり、庭園は強化される。
- また、三日三晩の長時間の儀式を行う必要がある。これは虚栄に真実という楔を打ち込むために必要な儀式であり、セミラミスの詠唱が七十二時間分必要。庭園を拡大すればするほど、あちこちに楔を打ち込む必要が出てくる。
- 真実よりも遥かに巨大かつ出鱈目で、浮遊に使われている『逆しまである』という概念を利用し大聖杯を格納するための機能がシロウの要望によって組み込まれており、宝具でありながら持ち主の意思で作り変えることが出来る。
- 巨大な戦略拠点であるのはもちろんとして、キャスターのクラス別スキル『陣地作成』における『大神殿』に相当する効果があり、どこへ行っても内部は彼女の領域として扱われる。ステータス全てが強化され、最高クラスの知名度補正を獲得、さらに魔法の領域に踏み込んだ魔術すら使用可能となる。
- 庭園周囲には十一基の迎撃術式『十と一の黒棺(ティアムトゥム・ウームー)』が設置されている。庭園を囲むように配置された全長20mを超える巨大な漆黒のプレートで、対軍級の光弾による魔術攻撃を行う。その威力は十一基全て合わせればバルムンクと拮抗すると推測されるほど。
- 移動可能宝具としては速度が遅く(ルーマニアを出国するのに数日かかっている)、隠密性にもやや欠けるが、一般人対策の認識阻害の効果や、最低限の魔力感知妨害は持っているようで、魔術協会の捜索の目を逃れている。何より、その防衛機構に加え、7500メートルと言うその高度自体が鉄壁の防御機構として働くため、攻略は非常に困難である。
- 強力な宝具ではあるが、発動するためには小国が買える金額の材料費と七十二時間の詠唱、庭園を隠すための潜伏場所が必要となるため通常の聖杯戦争で使用できることはまずない。
- 驕慢王の美酒(シクラ・ウシュム)
- ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:1~20
最大捕捉:10人
- 玉座の間にいる場合、発動できる第二宝具。周囲環境の毒化。あらゆる攻撃に毒属性を付与するだけではなく、空気や魔力そのものにすら毒を添加可能。毒に耐えたという逸話があれば抵抗力にボーナスが付くが、逆に毒で殺された逸話がある場合は、抵抗力がダウンする。
- それだけでなく、『虚栄の空中庭園』にいるセミラミスなら、毒に関する逸話を持つものであれば幻想種ですら召喚可能。イメージ的には、毒々しい色をした鎖という形で顕現する。
- 対黒のアーチャーに備えてギリシャ神話に悪名高いヒュドラ毒すら生成してみせた。その毒は極めて侵食率が高く、魔術師であれば使い魔を通して中の様子を覗き見ただけで目が溶けてしまうほど。宝具の兜である程度は毒を遮断できる赤のセイバーでさえも、徐々に神経が麻痺し、視界を喪失し、最終的には激痛に苛まれて行動不能に陥った。
- キャスターとの二重召喚ではなく単なるアサシンとして召喚された場合はこちらの宝具を主軸として聖杯戦争を戦うことになる。
- バシュム
- 『驕慢王の美酒』で召喚した大毒蛇。神々を産み落としたバビロニア神話の原初の母・怪物ティアマトが生み出した十一の魔獣の内の一つ。海中で創られたという、色鮮やかな二本の角と前肢を持つ巨大蛇。竜種と比較しても遜色ない階位に到達したおぞましき大妖。幻想種の到達点、神獣の一種。
- 掠っただけで致命傷になる、ヒュドラ以上の毒が詰まった牙と、顎を開いて吐いた瞬間モードレッドを即死させるほどの毒息を持つ。
- 流石に一瞬で召喚することは出来ず、『Fate/Apocrypha』本編では上半身のみが召喚されている。
真名:セミラミス
- セミラミス。アッシリアの女帝。世界最古の毒殺者であり、男を物にするために戦争を起こすなど、数十年に渡って暴政を敷いた。
- 母デルケットが男の誘惑に負けて姦通の末に自分を産み、その挙句に「お前は恥だ」と罵りながら水辺に捨てられたが、半分が神だったため、鳩たちが彼女を温かく包み、養育したと伝えられている。
- その後、老将軍オンネスに嫁いだものの、彼女の美貌に惹かれたニノス王によって強引に身柄を奪われてしまう。
- セミラミスはニノス王に献策を授け、寵愛を深めたものの、王妃となった数日後にニノス王を毒殺したとされている。
関連
- バビロンの空中庭園
- 世界七不思議の一つ。紀元前600年ごろにバビロニアで実際に建設されたと思われる巨大庭園。名称から空に浮かぶ庭園のように思われるが、実際は高台に造られた屋上庭園である。
- 実際に敢行したのは、ネブカドネザル二世であると史実には記録されている。
- 実在していたという記録はあるのだがどこに建設されたのかもわからず、バビロンの遺跡から見つかった資料にも庭園の存在をほのめかすものはなかった為、本当に実在していたかは不明である。
- なお、ルーラーによれば、ネブカドネザル二世はセミラミスの使うような紛い物ではない、「本物の空中庭園」を宝具として所有するらしい。
- 王を毒殺した動機
- セラスミスがニノス王を毒殺した理由は諸説あり、Fateシリーズでは夫の復讐だった説が採用されている。
- セミラミスにとってニノス王は2人目の夫で、最初の夫はアッシリアの将軍オンネスであった。オンネスは老人と言ってもよい年齢だったが、夫婦仲は良好だったという。しかし、セミラミスの美貌に目を付けたニノス王は無理やり2人を引き離して彼女を後宮に入れ、オンネスを自殺に追い込んでしまう。
- セミラミスは何気ない風を装って二ノス王に軍事などの献策を行う事で王の信頼を得ていき、遂に王妃となるも、婚姻の数日後に王を毒殺する。
- モデルとなった女性
- セミラミスのモデルとなったサンムラマートは紀元前9世紀~8世紀のアッシリア王妃で、シャムシ・アダト五世の妻であった。夫の死後、息子のアダト・ニラリ三世が王位に付くも成人していなかったので摂政になったとされる。摂政として統治を行ったのは5年程だが、関係が深い宦官を重要なポストに付けるなどしたので後にアッシリアが弱体化する一因を作ったと言われている。ただし、この時期のアッシリアは領土拡大戦争を繰り返し成功させて国力を高めており、アッシリアの黄金時代とも言える時代であった。
- 夫を毒殺する事や、1人の男の為に戦争を起す事はやっておらず、なぜセミラミスのような人物像が出来上がったのかは、よく判っていない。
登場作品と役柄
- Fate/Apocrypha (企画段階)
- 〔アサシン (キャスター)〕キャラクターデザイン:森井しづき / 設定制作:TYPE-MOON
- Fate/Apocrypha
- 「赤」のサーヴァントとして登場。
- ちびちゅき!
- 園芸部所属。当初は式の「安部」構成員候補として登場。隠れ忍ぶ気が全くなく、他のアサシンらしくないアサシンたちも合わせて、不採用。
- カプセルさーばんと
- マナ回収役として召喚場所から鳩を飛ばす。聖女から「どう見てもキャスター!」だのマスターの義弟からは「キャス…ではなくアサシン!」などちょくちょくキャスターよばわり。
- コスト200 戦闘力- 突破力- 移動力- 体力E- 忍耐力- リキャストA
人間関係
Fate/Apocrypha
- シロウ・コトミネ
- マスター。彼の理想を「面白い」と評し、己が望み同然と、全面的に協力している。
- 赤のキャスター
- 一応、同志。彼もシロウに協力しているが、「物語」を求めて、自陣の不利になるような行動を平気でするため、その存在に頭を痛めている。
- アニメ版では彼女の恋心を指摘するのが赤のランサーではなく彼になっているので苛立ちも倍加しており、指摘の返答が「死ね」となるほどであった。
- 赤のアーチャー
- マスターを傀儡として指令を与えている。だがアサシンの退廃的な雰囲気は「純潔の狩人」であるアーチャーとは相容れないもので、彼女たちに不信感と苛立ちを募らせている。
- ただ自分と同じ「捨て子」という境遇から思う所があるのか、アーチャーの願いを「気を悪くするなよ」と前置きした上で、「実現不可能なのではないか」と冷静な指摘をしている。
- 赤のライダー
- マスターを傀儡として指令を与えている。だがライダーは傲慢な上に王族であるアサシンを毛嫌いしており、本来の聖杯戦争なら真っ先に殺そうとすると評されるほどに相性は悪い。
- 後にライダーが彼女がシロウに向けている感情に気づいてからは、お互い徐々に打ち解けていったが、それをネタに弄られる羽目に。
- 赤のセイバー
- 自身の母に雰囲気が余りに似ていたため、即座に敵視され、「嫌な女」と評される。直感に優れる彼女はアサシンの性根を見抜いており、完全に敵と認めている。
- 獅子劫界離
- セイバーのマスター。初対面で誘惑するが、不吉な気配を感じ取った彼に拒絶される。彼の飄々とした態度と、誘惑されても全く反応しなかった所が気に障ったのか、彼らを消すべきだとシロウに提案するが、あっさり却下される。
ちびちゅき!
- ロビンフッド
- 園芸部の同僚。最初の遭遇時は大方の予想通り、毒談義で盛り上がる。ただ、生け花の席でやらかしたため周囲からはドン引きされた。
- 沙条綾香
- 園芸部の同僚。どちらも植物に縁がある上、鳩好きということで気が合っている。
- 清姫
- 彼女に依頼されて、マスターの部屋までトンネルを堀抜く。
- 静謐のハサン
- 何故か彼女がぐだ子に弁当を差し入れている場面に同席しており、ナンパがてら昼食をたかりにきたフィン・マックール&ディルムッド・オディナ主従に覚悟を問う。
名台詞
- 「―――ほう。まぁ、確かにそうだな。王というのは、基本的に誰よりも優れたもの、そして多くのものを求める。それは王たる者の宿命よな」
「それは権力という、何よりも必要なものを得ていたが故の戯れよ。王たる者は、基本的に暴虐だ。暴虐でなければならないのさ」
- シロウに「霊体化を嫌う英霊は、王族が多い」と言われて返した言葉。誰よりも優越であるがゆえの傲慢、自由であるがゆえの残虐性を説いた稀代の暴君の理論。
- 「何を――莫迦な、ことを」
- ライダーに試合中、シロウの為にずっと気を張り詰めて彼の姿を見守っていたことを指摘されて。
- 普段の余裕は欠片もなく、羞恥の余りに狼狽しており、それを追及されると光弾を放つほど。
- "―――見てみたい、と思う気持ちを否定はせん。
我は善良や寛容などに興味はなく、破滅や絶望を嗜好とする女だからな。我は権勢を誇る王が無様に失墜する姿も、勇将が恐怖に駆られて絶望する姿も見た。
だが、未だ聖人の絶望だけは見たことがない。故に見てみたい、それは疑いようもなく事実さ"
- キャスターからシロウの破滅を見たいのか見たくないのかと問われ、最初こそ残忍な微笑を浮かべ肯定する女帝だが……。
- "だが、もう一つ見てみたいものがある。あの男が見たいと、心から願った風景だ。
人類の救済。正気とは思えず、どんな英雄や聖人も諦めていた景色。
我とて、人の上に立つ者。非業、絢爛、醜悪、清廉、あらゆるものを見てきたが―――ついぞ、それだけは見たことがない。
もしかすると、退屈かもしれん。どうしようもない、無味乾燥としたものという下らぬ結末を迎える可能性もある。
しかし―――見なければ、始まらぬ"
- 上記の酷薄な物言いをする一方で、同時に聖人が目指そうとする世界に焦がれるような想いを抱く。
- "その通り。無論、我にも"支配"という望みはある。
だが、何より―――あの男がどこまで進むのか、どこまで見せてくれるのか、今はそれを期待している"
- シロウへの忠誠ではなく、純粋な好奇心からなのかという問いに対しての答え。キャスターからは内心で玩具をせがむ子供のようだと評した上に、念話を切った後に、「女帝の恋物語」とズバリ本質を指摘された。因みに、それをアニメ版にて当の本人の前でのたまった結果――。
- 「―――死ね」
- アニメ版にて上記の台詞の本質を「恋」と指摘した結果、キャスターは危うく縊り殺されかけた。
メモ
- オンラインゲーム企画版『Apocrypha』でのキャラクターデザインは森井しづき氏、設定制作はTYPE-MOON。
- ファンからの通称は「蝉」、もしくは「蝉様」。由来はそのまま名前の読み。あまり日本ではなじみの無い名前だからだろうか。
- 五巻発売以降は、モードレッドの悪態から「カメムシ」呼ばわりされるように。何かと虫扱いされることが多い人である。
- 後に『ちびちゅき!』でもモードレッドからセミ呼ばわりされた挙げ句、「カメムシだったっけ?」と煽られるハメに成った。
- 奈須氏一押しのキャラクター。ただ「運命はもう決まったようなものだな(笑)」「………ソラウ臭がする」と、額面通り受け取るには余りに危険なコメントがされている。
が、作中における描写ではソラウに似た印象は受け難く、むしろマスターに対する忠節はメディアに近い……どっちにしろ危険ではあるが。
- 結局危惧していたようなことにはならず、そう悪くはない最期だった。一安心(?)である。
- 東出氏によれば、シロウとの関係は「おしどり夫婦」。
- シロウに対しては「狂っているゆえに共にいるのが楽しく、成功しても破滅しても面白い」と感じている。が、それと同時に、シロウの不興を買ってでも彼を守ると言う意志も見せており、その態度を見たライダーから「忠実なサーヴァント」と思われるほど。明らかにデレている。他のサーヴァントとの会話を見ても、まさに「悪女になりきれない悪女」である。
- 付き合いが長くなってきた後は、他のサーヴァントとの距離感も少しずつ縮んでいった。だが今度はシロウに恋心を抱いている事を赤のサーヴァントのほぼ全員に見破られており、それを指摘される度に慌てふためいている。
- 『Apocrypha material』によると、セミラミスにとって「美貌」ではなく「能力」を純粋に評価されるのは初めてであり、最初はその態度に好感を抱き、次に妙な怒りを覚え、最後に生まれて初めて味わう感情切なさというべきものに胸を痛めた。
- 「仕える者」でなく「共に歩む者」でありながら、自分のことなどまるで顧みないで前に進むシロウこそ、彼女が真に好む人間だったが、それを自覚したときは既に遅かった。また、第三魔法が成就した際には世を統べる女王になるとシロウには言われていたのだが、実のところそこまで世界の支配に拘っていた訳ではない。
- 若奥様と同じくエルフ耳。彼女より長い。
- 彼女は魚の女神デルケトーとシリア人の間にできた娘であるとされ、幼くして捨てられ、鳩によって育てられたという。死後は鳩となって飛び去ったという逸話もあり、彼女自身が鳩の化身だといわれる。これが彼女が鳩を使役できる所以と思われる。
- その魔術に特化した能力や、暗殺者には相応しくない目立ち過ぎな宝具から、「魔術も使えるアサシン」と言うよりは「気配遮断も使えるキャスター」という表現がしっくりくる。
- メタ的な理由としてはやはり、キャスターとの兼ね合いによるものだろう。「キャスターらしからぬキャスター」の穴を埋める為、「キャスター以外のクラスでキャスターの役割を果たすサーヴァント」の存在が求められ、結果としてこのような設定になったのだと思われる。
- 特に、巨大な上に材料が現世由来の宝具は先述したように隠密性ゼロ。しかもミレニア城塞はトゥリファス中心地にあり、目撃者は少なく見積もっても数万人。後にユグドミレニアの認識操作を始めとした隠蔽工作でミレニア城塞での大規模な戦闘は「隕石の落下」ということで落ち着き、一応移動中は姿を隠している事が分かった。
だが大海魔の件で分かるように、例え隠蔽工作が上手くいくとしても本来は衆目に神秘を晒すような事は絶対に行ってはならない振る舞いである。また彼女のマスターは本来「神秘の秘匿」を担うはずの監督役なのだが、その職務を放棄して大聖杯を得る為に手段を選んでいない事がよく分かる。
- 彼女の宝具に限らず、英霊はその時代のイメージに大きく左右され、生前は持っていなかった能力を後付で所有する事は少なくない。聖杯大戦においても黒のランサーの鮮血の伝承は「後の口伝」を具現化するものだし、黒のアサシンに至ってはその能力のほとんどが死後の伝承によって形成されている。他作品でも、複数の英霊のイメージが統合されているロビンフッドなどがこれにあたる。
- 王ではあるが、「カリスマ」が足りないのか、赤の陣営で彼女を頼りにしているのはマスターであるシロウだけである。
- もっとも、モデルになったサンムラマートという女性は玉座には座らず、アッシリア王となった息子の摂政を務めていたので、王に比べて「カリスマ」が低いのは当然かもしれない。また、そもそもルーラー襲撃の指示など、やっている事がすでに「カリスマ」でどうにかなるレベルの不審さではない。
- 「メソポタミア系出身」「王側の半神半人」「宝具が~オブ・バビロン」「人類最古の~」「神父(しかも名字はコトミネ)がマスター」と、何かと某英雄王とは共通点が多い。まあ「イシュタルと同一視されることもある」と言う通り英雄王本人とは致命的に相性が悪そうだが…
- 初期プロットでは彼女が物語の黒幕になる予定だった。しかしオンライン企画の設定公開で既に周知の存在となっていた彼女をラスボスにするのはインパクトが弱いと判断され、新しくシロウ・コトミネが考案されることになる。もし初期のプロット通りになっていたら、彼女の内面やキャラクター性も今とは違ったものになっていたかもしれない。そのせいかは分からないが、原案イラストと小説版のイラストを比べると、彼女は一際顔つきが大きく変わっている。
- いわゆる、女帝系アサシンの先駆けとなった人物。
- アニメ版『Fate/Apocrypha』2ndクールのオープニングで発動している魔法陣は三輪清宗氏が考証。[1]
話題まとめ
- 土木系アサシン
- 本編でアサシンらしいことをあまりやらずにもっぱら現地材料で空中庭園を作成していることと、女王として国を建て直し、アッシリアにおける建築物建立の立役者であったことなどから、一部では土木系アサシンなどと呼ばれてある意味親しまれている。
- 工事現場の真っ黄色のヘルメットをコラージュした画像なども作成されているが、もともとが黒を基調とした衣装であるため異様なほどマッチしている。ただし、本編設定のような淫蕩で退廃的な雰囲気はどこかに消し飛び、健康的な雰囲気になってしまっているのだが。
- ……などと言っていたら、『Apocrypha/material』にて本当に土方ファッションの絵が掲載されてしまった。『ちびちゅき!』でも、玉藻の前&清姫がマスターの部屋へトンネルを繋げようとする工事に駆り出されている。
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