荊軻

2018年7月19日 (木) 15:50時点におけるイルステリア (トーク | 投稿記録)による版 (→‎メモ)
アサシン
真名 荊軻
読み けいか
外国語表記 Jing Ke
性別 女性
身長 159cm
体重 48kg
出典 史実
地域 中国
属性 混沌・善
一人称
二人称 貴殿/君など
三人称 彼/彼女
声優 田中敦子
デザイン 高橋慶太郎
設定作成 東出祐一郎
レア度 ☆3
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

暗殺者」のサーヴァント

略歴
Fate/Grand Order』第二特異点『永続狂気帝国 セプテム』でははぐれサーヴァントとして西暦60年のローマに召喚されローマ帝国の将となっている。
呂布と組んで「皇帝」のサーヴァントを既に3人葬っており、主人公たちにどちらが多くの「皇帝」を仕留められるか競争をしようと持ちかけている。
終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚され、他のサーヴァント達と共にⅡの座を統括する情報室フラウロスと交戦する。
人物
白装束を纏う東洋の美女。
鋭い目付きをした外見と裏腹に気さくで仕事人らしい性格で、マスターとの関係もまた友人関係として捉えている。
書物と剣術、友との語らい、そして何よりも酒を愛した風流の人であり、穏やかな日常を望むものの、生前では死を覚悟して強大な敵に挑んだ義侠の人と言われるとおり、自身の信条である「義」のためならば死をも厭わないし、死を間近にしても、笑っていける豪胆さを持つ。生前最後の刺客としての心的傾向を持つように最終手段には刺し違えてでも一殺を得ると、どこか自分の身に対しても顧みない姿勢を持つ。
アサシンとして召喚されていたが、本家の暗殺者のように暗殺を生業としていたわけではなく、むしろアサシンだからと邪悪な行為に手を出そうとした時は、背信も危ぶまれるほどに高潔な人間。
男の口調で話すが、酒が入るとやや素に戻り、酒に酔いつぶれると凛々しい外面はどこへやら、陽気でだらしない姿をあらわにする一面がある。
カルデア女子会があると、何故か高確率で参加していたり、王様系のサーヴァントを見かけると暗殺者の性なのか刺したくなるという意外な顔を見せる。
能力
暗殺用に使われたとされる毒を焼き入れた匕首(あいくち、ひしゅ)という暗器を以てして戦う。
「気配遮断」に加え、攻撃寸前まで殺気の一切を表に出さないスキル「抑制」、対象を暗殺するまでの戦術思考を張り巡らせるスキル「プランニング」を有している。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アサシン 主人公 (Grand Order) D E A E D B 気配遮断:B 抑制:A
プランニング:B
傍若無人:A

宝具

不還匕首(ただ、あやめるのみ)
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1
最大捕捉:1人
由来:秦王を殺めるために持ち込んだ地図と、それに隠した匕首。
始皇帝暗殺のために用意した匕首。地図に巻いて隠したという逸話により、隠匿面に非常に優れている。
対象に匕首を突き刺して仕留める。毒はかすり傷程度でも即死であるが、耐毒の逸話があるものは有利な判定を行える。しかしこの宝具の真価は別のところに有る。
この匕首を使うということは、「己が還らない」と覚悟するものであり、故に使用者は己の死を受け入れ、全力で暗殺を完遂しようとする。
己が還らないことを前提に任務を遂行する点において、回避が極めて困難な暗殺宝具。
『Grand Order』では単体にダメージ及び中確率で即死効果、加えてスターの大量獲得と高性能だが、自分のHPが減少するデメリットがある。

真名:荊軻

荊軻。中国戦国時代、秦代の人物。燕の太子の命を受け、始皇帝暗殺を企んだ刺客。暗殺を果たせば、中国の歴史は大きく違った形になりえた。
史実では男性として伝えられている。
暗殺を生業としていたわけではないが、友から始皇帝を暗殺する依頼を受けた荊軻は快く引き受け、用心深い皇帝を暗殺するために計画を練りに練った。
始皇帝に捧げる手土産を持ち、暗殺用に毒を焼き入れた短刀を手に入れ、計画実行まで後少しと迫った頃、暗殺の助手として命を捨てる友を待っている荊軻に、丹は「臆病風に吹かれたのではないか」と疑念を抱いてしまう。
疑念を抱かれた荊軻は、やむなく太子が推薦した男を助手として泰へと旅立ち、始皇帝の暗殺を実行する。
だが、暗殺の際に助力となるはずの男が恐怖で動けなくなり、荊軻は単独での暗殺に挑むも幾つもの不運が重なり、その一撃は始皇帝には届かなかった。
暗殺は失敗し、覚悟を決めた荊軻は始皇帝を嘲りながら臣下に殺されたと伝わっている。「暗殺者」でありながら、始皇帝の暗殺を果たすことなく露と消えた荊軻。


―――荊軻が決して生きて帰ることはないと知りながらも朋友のために暗殺に向かい、別れの際に詩を残した。


「風蕭蕭として易水寒し」
「壮士 ひとたび去ってまた還らず」

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
ゲーム開始時から実装されている。メインシナリオでは第二特異点に登場。

人間関係

Fate/Grand Order

マルタ
意気投合したのか、一緒に酒を飲んだり愚痴ったりとOL仲間のような間柄になる。
牛若丸
マルタと同様の吞み友達。彼女の若干引くような言動にも抵抗が薄いため、仲が良い。
呂布奉先スパルタクス
第二特異点で共闘した相手。
終局特異点でも共同戦線を張っていたが、ひたすら暴走する上に下手に刺激するとこちらに矛先を向けかねない有様に頭を痛めてばかりいる。

生前

政(始皇帝)
秦国の王。荊軻は最後に始皇帝を嘲りながら殺されたと伝えられている。
『Fate/Grand Order』での荊軻のキャラクエストは「シミュレーターを使って『王を討つ訓練』をする」という内容で、最後は当然彼を模した相手と戦うことになるが、その代役を務める「王」は……。
『英霊伝承』で明かされた設定によると怪しげな肉塊と一体化して不死身になっており、暗殺の際には彼の命を奪う事こそ叶わなかったものの不死身になっている根源を「殺す」ことには成功したとか。

名台詞

「ここより己の死は恐れず、生も求めず……『不還匕首ただ、あやめるのみ』!」
宝具使用時の台詞。決して生きて帰るという事はないと悟った決死の暗殺者、その覚悟の一撃。
「なーにー? 誰か、いま私のコト呼んだ―――?
 おっと、いつのまにかお仲間が増えてるじゃないか。なにマルタ、厨房に立つのかい?
 なら牛の叩きを追加してくれ。ウミガメのスープもいいな!
 マルタの料理はなんだって美味しいぞー! どうして世の男どもは放っておくのかなー!」
『ほぼ週間サンタオルタさん』第三夜「ハートブレイク☆ケーカちゃん」より、登場しての第一声。
偽サンタに騙されて家財を差し押さえられてしまってから傷心の酒宴を始めて早10日、完全に出来上がってキャラ崩壊してしまっていた。これには同じ被害者であるマルタからお叱りを受けることに。
とはいえ後述の通り、彼女が酒乱なのはある意味史実通りなのだが。
「ほははははははははははははははは!」
「素敵! このヒゲのおじさま素敵―――! あ。ちょっときた。キュンときた。
 私、この人暗殺してくる――! 後ろから刺したくなる顔してる―――!」
サンタオルタからのプレゼント――概念礼装「優雅たれ」を見ての感想。やめてあげてください。
「君は私を使え。そして私が消えて果てたとき、慟哭してくれ。」
「君の涙が、我が全て。」
「そうすれば、私は私が命を捧げただけの甲斐はあると思うのだ。」
幕間『風蕭蕭として易水寒し』にて、かつて失敗した王の暗殺をシミュレーションで成功させて。
ただし成功しても死ぬという結果は変わらず、それを悲しみ死んでほしくないと願う主人公に対しての言葉。

メモ

  • TYPE-MOONお約束の女体化英霊だが、特に女性であったなどの逸話は持ち合わせていない。
    • キャラクターデザインを担当した高橋慶太郎氏によると、脚を斬られたことが致命傷となったという逸話から転じて、脚を強調した服装としてデザインした。
  • 暗殺には失敗したものの、朋友のために己の命を賭けた荊軻は義士として人気が高く、詩や映画などの題材にもなっている。
    • 前述の通り彼女は決して暗殺を生業とした人物ではないが、そもそも「暗殺者」としての逸話があることすら珍しいのがアサシンというクラスなので、彼女がアサシンらしいのはある意味正しいかもしれない。
  • 荊軻の死は無残なもので、激昂した始皇帝は全身をズタズタに斬り刻み、荊軻が死んだ後も死体を斬り続けたと言われている。
    • 史実の時点でも十二分にもっともな怒りではあるが、『英霊伝承』で述べられた内容では、一度は手に入れた不死を彼女の手で台無しにされてしまったのだから、激昂するのも当然であろう。
      • なお、その際に使用した毒は、遥か西方の未開の森に生息した「九つの首を持つ蛇」、すなわちヒュドラのものであったが、商売人はそれを売りさばくために限界に薄めたようだ。宝具に記載されてあった「かすり傷程度でも即死」といった効果も、そこから来たのだろうか。
  • 『Fate/Grand Order』では強力なライダーであるワイバーンが多数出現する第一特異点攻略のためにアサシンが欠かせないのだが、中でもバランスの取れたステータスと即死効果の宝具を持つ荊軻は小次郎ハサンに並び、ワイバーンキラー・ファヴニールキラーとして大いに活躍できる。
  • クリスマスイベント『ほぼ週間サンタオルタさん』に登場した際にはこの戦闘限定のスキル「へべれけパワー」を引っさげて来ており、このスキルを使用すると宝具が即使用可能になるレベルでNPが溜まり、もちろんすぐさま『不還匕首』が飛んでくる。
    助っ人のサンタオルタがライダーなので、下手をすると最初のターンに宝具を叩き込まれて即死、という展開さえあり、「酔っている方が強い」とさえ言われることも。
    • なお、奈須きのこ氏が荊軻が酔っ払ったシーンを書いたものの肝心の立ち絵に酔っ払い差分がなかったため、イラスト担当の高橋慶太郎氏に打診したところ速攻で全表情の差分を書き下ろしたそうな。
  • 「暗殺を生業としていたわけではない」というのはゲーム中のプロフィールにもきちんと記されているのだが、なぜか「ハートブレイク☆ケーカちゃん」の中では思いっきり「暗殺を生業にしているため」と言われてしまっている。荊軻本人のサンタへのお願いを紹介した一節なので、作中における事実誤認であるとも考え難い。ただしこのクエストにおいて牛若丸主人公のことを主殿と呼んでいるので、キャラクターたちは皆カルデアへの召喚後であるとも考えられる。そのため、ここでの「暗殺を生業にしている」とはアサシンクラスで召喚されていることを指しているのかもしれない。
  • 上記のように始皇帝は「何か」と一体化したことにより不死身になっているが、「山海経」に登場する「視肉」という怪物がその候補と見なされている。伝承によると肉が寄り集まったような姿をしており、その肉をいくら食べても再生し、食べた者は不老不死になるとか。始皇帝も、その肉を体に移植でもしたのか、食べた事で自分の体が視肉化でもしたのであろうか。
    • 尤も、「立派な皇帝」としての側面を持っているがこのページでは書ききれないと判断し、「強大な敵」としての部分を強調するためにこのような形で描写していることに留意[出 1]。この立派な皇帝の側面について書くと、2002年の映画「英雄 Hero」の完全な物真似、模造品になる恐れがあったのも理由の一つだとか。ちなみに荊軻の幾つかの要素はこれを参考にしている[出 2]
      • 中国でトップクラスの英雄を怪物にする扱いに物議を醸してTwitterで炎上騒動となり、執筆担当だった東出祐一郎氏は謝罪している[出 3]。東出氏本人としては、自分の中では中国を支配しようとする「強大な敵」であり「格好良い怪物」として描いていたつもりで、ハリウッド的怪物趣味が炸裂してしまったとか[出 4]
      • また、単なる怪物であれば中国を統一できないとも言われ、あれは敵・刺客である荊軻の視点から見た場合らしい。荊軻は遊侠なので、怪物に関する知識は乏しので、どんな存在だったのかは、まだ確定していないと発言している東出祐一郎Twitter
    • 東出氏によると、「立派な皇帝」としての始皇帝は戦乱に明け暮れていた一国を統一した、という点で騎士王に匹敵し[出 5]、その功績は中国を最初に統一だけでなく、度量衡の統一、漢字の統一など数え切れないほど存在し、後々の王朝、皇帝が基本的に始皇帝をなぞった政治を行ったことから、間違いなく中国でトップクラスの大英雄と言える[出 6]。だが、その治政は騎士王を上回る完全かつ熾烈な独裁に支えられており、広大な中国を統一しながら、裏切りや暗殺を警戒する日々を送っていた[出 7][注 1][注 2]。その部分に東出氏は始皇帝の悲しみを見出したという。秦王であった時代から新しい制度を貪欲に導入し、革新を求めて保守を打ち破ろうとしたが、それは、保守を良しとする家臣との戦いと、常に死に脅かされる日々を送ってしまった[出 8]
      纏めると、「始皇帝は騎士王、征服王に匹敵する存在」「『Fate/Grand Order』に登場する王のサーヴァントと比べて、格下の存在ではない」という事らしい[出 9]
      • ブリテンと中国では、大きさは中国の方が圧倒的だが、ブリテンは神代の時代がまだ色濃く、中国には存在しなかった「竜種」や「妖精」などの幻想の存在が闊歩していた事と、肥沃な土地が存在する中国に対して、ブリテンが年を経るごとに衰えていた事から東出祐一郎Twitter、大きさは異なれど「統一する」という過酷さは一緒だったのでは、とのこと[出 10]。中国の戦国時代に、幻想種はいたかもしれないが、恐らく始皇帝にとっては取るに足らない敵だったのではとコメントしている[出 11]

話題まとめ

史実上の人物像
Fate上の彼女はどちらかと言えばクールな性格だが、史実上で伝られている彼女は現在の人物像とは若干ながらも異なっており、そこまでクールという訳でもない模様。
『傍若無人』という言葉の語源となった人物としても知られ酒を何よりも愛した荊軻はしばしば酒を飲んでは傍に人がいないかのように大騒ぎをしていた
という故事からこの言葉が生まれたとされる。
マテリアルでも「臆病風に吹かれたのではないか」と疑念を抱かれる場面があるが、史実でも臆病者と言われる面があり
蓋聶(こうじょう)という者と言い争って喧嘩になりかけたが、蓋聶が荊軻を睨むと荊軻はすぐに退散し。
双六の規定をめぐって魯句践(ろこうせん)という者と双六盤の道争いで喧嘩になりかけたが、魯句践が凄んで荊軻に対して大声を出すと荊軻はすぐに退散した。という逸話が残っている。
官僚を志して衛(荊軻の出生とされる国)の君主である元君に旅で学んだ遊説術に基づいた国家議論を大いに述べたのだが、全く聞き容れず、そうして荊軻は挫折し以来遊侠に身を投じていたとされている。
近年では始皇帝に対する評価が変化して「最初の皇帝」として尊敬を集める一方、荊軻の評価は「始皇帝の暗殺を計ったテロリスト」という具合に下降の一途を辿っている。
太平記によれば荊軻が用いた匕首は干将の矛先三寸を元にしたものだったという。出展が日本産ゆえ信憑性は低いが、もし本当ならばエミヤの得物と出展を同じくする武器を用いていたということになる。

脚注

注釈

  1. 『英霊伝承』では生前の荊軻が「社会では必然に生み出されるはずの悪が始皇帝の治める秦にはない」事に戦慄し、地の文でも道徳的教育が行き届いているか、もしくはあまりに執政が苛烈で悪に走れないと評していた。
  2. 参考を上げると、騎士王の国は最終的に崩壊し、征服王は死後間も無く帝国は崩壊し、英雄王は最初から孤高を望んでいた。

出典

リンク