Fate/strange Fake
著者、成田良悟。
架空のゲームのキャラメイキング前の序章という形で、第五次聖杯戦争から数年後、別の街で起こる擬似聖杯戦争を描く『Fate/stay night』スピンアウト小説。
元々は成田氏が自身のウェブサイトに掲載した2008年エイプリルフール企画『Fake/states night』だった。
だが、後に『TYPE-MOONエース』Vol.2に別冊付録として加筆収録され、正式な外伝作品となった。
2014年7月27日の「Fate Project 最新情報発表会」にて、今冬から小説(電撃文庫)、コミックス(TYPE-MOON BOOKS)ともに始動する事が発表された。
小説版第一巻及びコミックス第一巻は2015年1月10日に発売予定。
登場人物
- 「プレイヤー」
- 架空ゲームの主人公。欠けている「剣士のサーヴァント」を補完する存在。
- 年齢は10代後半から20代半ば。性別は男かもしれないし、女かもしれない。魔術師でも超能力者でもない。
- かつて日本の冬木市に住んでいたが、何かから逃げた末にアメリカに辿りつく。ラスベガスにて「白い髪と白い肌の美女」と出会い、5つの令呪を押し付けられる。令呪を得た3日後、スノーフィールドに旅行者として現れる。
- 体中に分散して5画の令呪を持ち、令呪を消費することで一時的に英霊を呼び出すことができる。召喚するサーヴァントはペルセウス、ヒュドラ、イアソン、スカサハ、スキュラなど十数種類の中から5体を選択できる。
- ただし召喚時間は1つの令呪につき30分程度で、宝具などで魔力を過剰に消費すればその時間はさらに短くなり、逆に魔力を補充すれば延長される。またこの範囲内でさえあれば、1つの令呪で5体のサーヴァントを6分間ずつ召喚することや、まとめて同時に召喚することも可能である。
- 「エレベーターのある建物に入れない」「時折、血塗れの女の子の幻影を見る」という制約を持ち、『Fate/hollow ataraxia』冒頭の怪談話に登場したA氏と同一人物であるような描写がされている。
- ティーネ・チェルク
- 現在「スノーフィールド」と呼ばれている土地と、古くから共生してきた一族を束ねる少女。
- 外来の魔術師たちに奪われた土地を取り戻すため、黄金の英雄王の助力を仰ぐ。
- フラット・エスカルドス
- バーサーカーのマスター。ロード・エルメロイII世の最古参にあたる弟子。
- バーサーカー
- フラットのサーヴァント。声だけで姿が見えない。性格はバーサーカーとは思えぬほどに紳士的。
- ジェスター・カルトゥーレ
- アサシンのマスター。世に退屈する死徒。
- アサシン
- ジェスターのサーヴァント。黒いローブを纏った女性の暗殺者。「聖杯戦争そのもの」を破壊するために行動する。
- 警察署長
- キャスターのマスターにして、スノーフィールド市の警察署長。ファルデウス同様、この「偽りの聖杯戦争」を仕組んだ側に立っている。:警察官としての部下であり、魔術師としての弟子である「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」を率いる。
- キャスター
- 警察署長によって召喚されたサーヴァント。
- “伝説を上回る伝説を作り出す”能力を買われて、英雄王に対抗するための贋作宝具を造らされている。
- 二十八人の怪物(クラン・カラティン)
- キャスター製の宝具を与えられた28人の魔術師兼警察官の集団のコードネーム。
- クー・フーリンと戦ったケルト神話の28人合体戦士『クラン・カラティン』から命名。
- 剣、弓、盾、槍、鎖、鎌、棍、金色の火縄銃のようなもの、などなど与えられた宝具は様々。
- 繰丘椿
- ライダーのマスター。病院で昏睡状態のまま眠り続ける10歳の少女。
- ライダー
- 椿の夢の中に召喚されたサーヴァント。およそ英霊とは思えない異様な存在。
- 銀狼(名前無し)
- エジプトの『神』を喚ぶための召喚触媒として製造された合成獣。そのため厳密には狼ではない。
- 寿命と引き換えに、並の魔術師を遥かに凌ぐ質・量の魔術回路を組み込まれている。創造主である魔術師に追い詰められ、処分されようとした瞬間、『生きる』という本能に従った叫び声のみで魔術を行使、早急にサーヴァントの顕現を望む聖杯に応える形で簡易的な儀式を完遂し、ランサーを召喚した。
- ランサー
- 英雄王の唯一無二の親友、エルキドゥ。
- 遥かな時を超えた現代で、かつての友と再び見える事に歓喜する。
- ランガル
- 魔術協会から、偽りの聖杯戦争を調査するために派遣された人形使い。自らは現地に赴かず、動作の不自然さを誤魔化すために老人の姿をした人形を操り、諜報を行う。
- 自らの人形を弟子ファルデウスとともにアメリカのスノーフィールドに送り込むが、正体を現したファルデウスが率いる軍の特殊部隊によって破壊され、この偽りの聖杯戦争を企てた者たちの「宣伝」を協会に伝えることとなった。
- 古臭い価値観に凝り固まっており、新興国であるアメリカに魔術師の悲願たる聖杯が降霊しようとしている事を好ましく思っていない。
- ファルデウス
- 魔術協会に潜り込んでいたアメリカ政府のエージェントにして魔術師。この聖杯戦争の監督役的な立ち回りをしている。
- ロード・エルメロイII世
- 時計塔の講師。フラットの師であり、彼に(そのつもりはなかったが)サーヴァント召喚の触媒を渡す。
- 繰丘夫妻
- 繰丘椿の両親。とある『蟲使い』の魔術を模倣して生み出した微小の蟲を娘に植え付け、痛みを伴う肉体改造によって魔力回路を増幅させる実験を行うが、調整が上手く行かなかったせいで椿を昏睡状態に陥れてしまう。
- ファルデウスらの一派と共謀関係にあり、偽りの聖杯戦争においては『秦の始皇帝』を召喚する算段で、宝具としても有用な聖遺物を触媒に用意していたが、ライダーの力により昏倒させられ「椿が思い描く通りの理想の両親」を演じるだけの生きた死者と化す。
- アーチャーを召喚した魔術師
- 緩やかに衰退しつつある己の血統に焦りを覚えており、この偽りの聖杯戦争によって一発逆転の栄光を掴むため、将来性のない息子や反対した妻などを全て「処分」した上で、先祖が入手した聖遺物「この世全ての財が納められた宝物庫の鍵」を手にスノーフィールドに乗り込んだ。
- 鍵剣の本来の持ち主である英雄王の召喚を成功させるも、直後にティーネの襲撃を受け、令呪の宿った腕を切り落とされて奪われる。怒りに任せて魔術での反撃に出るが、霊地の力を借りた高密度の術により反対に焼き尽くされ、何一つ残すことなくこの世から消滅した。
- 合成獣を製造した魔術師
- 狼型の合成獣を触媒に、聖杯戦争のシステム的に不可能な『神』の召喚を試みようとしていた。単なる触媒のはずの合成獣がマスターとして令呪を得たことに怒り、殺害して令呪を奪おうとするも、合成獣に召喚されたランサーに阻まれ逃走。街にスペアの合成獣を解き放ち、その混乱に乗じて令呪を奪回せんと目論むが、これ以上の不確定要素が増えることを嫌ったファルデウスに喉を掻き切られて死亡する。
- 女
- プレイヤーがゲーム開始の3日前にラスベガスで会った白い髪と白い肌の女性。プレイヤーに令呪を押し付けた。
- 「第5次聖杯戦争の結末を改変するため」、偽りの聖杯を奪おうと画策している様子。
用語
- 偽りの聖杯戦争
- Fate/stay night本編から数年後。アメリカ政府の組織が第3次聖杯戦争に目を付け、そのシステムを模倣することに成功、冬木でも60年程度かかるのと同様に70年以上の時を経て聖杯戦争が可能になった。ただし模倣は不完全で、政府の魔術師もサーヴァントがセイバー抜きの6柱ということは把握しているが、未知数な部分もある。
メモ
- 成田良悟氏はライトノベル作家で、代表作は『バッカーノ!』『デュラララ!!』など。
奈須きのこ氏とは知人を介して知り合ったそうで、その当時はTYPE-MOONの作品に関してほぼ未プレイ状態だったとのこと。むしろ奈須きのこの方が『バッカーノ!』に関して熱心だったらしい。
この辺りの詳細は『劇場版 空の境界第六章』パンフレットに寄せられた成田氏のコメントにて知ることができる。 - 完結の目途は未だに立っていない。だが成田氏がエルキドゥとギルガメッシュの関係について『strange fake』で書きたかった事を奈須氏の『Fate/EXTRA CCC』で先にやられてしまったため、『strange fake』の続きを書くことが有ったとしても二人の過去にはあまり踏み込まず、最初に予定していた展開とはだいぶ違った流れになるという。
- 公式イベントにて短編PVが公開された。そのPVの最後では謎の人物の独白がボイス付きで流れている。
- 「臓物が疼く」と楽しげに叫び、「君がここにいないのが残念だ」と言いながら「ジル」という人物を想っている。一人称は「僕」で女性声優である。
- 判断材料から、ジル・ド・レェの錬金術や黒魔術の師にして盟友であったフランソワ・プレラーティーではないかという予想が主流。
- 「臓物が疼く」と楽しげに叫び、「君がここにいないのが残念だ」と言いながら「ジル」という人物を想っている。一人称は「僕」で女性声優である。
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