概要
何らかの理由で反転状態にあるサーヴァント。オルタとも。
別側面、もうひとつの可能性みたいなものであり、善良な英雄の「血に塗れている」「冷徹に振る舞った」別側面の逸話や性質がメインとなっている[出 1]……とされているが、実際のところは画一的な定義ができない程度には多種多様な面々が揃っている。
今までに登場したのは24人。
メモ
- 英語のスペルは「Alternative」で、「代替の・二者択一の」等の意味を持つ。「別の自我」を意味する「アルターエゴ(Alter Ego)」と語源は同じ。
- 『Grand Order』のCCCコラボイベント『深海電脳楽土 SE.RA.PH』では謎のヒロインX〔オルタ〕がウォンテッドサーヴァント「HXO」として登場したが、上記の通りオルタのスペルは「Alternative」であり、「H(ヒロイン)X(エックス)O(オルタ)」と運営が勘違いしてしまった事はちょっとしたユーザー間の小話となった(なお、すぐに修正されて「HXA」となった)。
- 『Grand Order』第2部1章において、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのオルタナティブであるアマデウス・オルタを自称するサーヴァントが登場した……が、実際は当のアマデウス本人にかけられた暗示で自分をアマデウス・オルタと思い込んでいただけの別のサーヴァントだった。
- 「オルタ」と画一的な呼称こそ与えられているが、属するサーヴァント全員に当てはまる条件のようなモノは現状ハッキリしていない。というか元々『stay night』作中では「アルトリア・ペンドラゴン」と統一して表記されていた黒化セイバーを後に独立した一キャラとして扱うにあたり、便宜的に付与された一種のタグ的な呼称である(同作では他にも聖杯の泥に汚染されたサーヴァントが登場するが彼らも同じく専用表記無し)。初期はそのセイバーオルタの登場経緯から「英霊本来の霊基が反転している状態」「聖杯の泥で汚染された結果本来なら現れない別側面が表出したサーヴァントがオルタと定義される」「所謂悪堕ち・闇堕ち」といったような解釈が成されていたが、『Grand Order』以降の作品に置いては様々なオルタサーヴァントが登場し「同じ名を持つが既出の本人とは異質な存在」という比較的広い用途の名前となっている。
- アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕の幕間の物語「オルタの系譜」ではアルトリアオルタが「生前、理想に縛られた英霊ほど私たちのように乖離した人格を持つのだろうな」と推測している。
- 『Fate/Grand Order』の南米特異点では「イシュキックの解説」という形で初めて公式からその定義の部分に踏み込んでいる。同章では「異霊」にオルタとルビを振る表記で呼ばれており、「元の霊基の核となる部分の変化」により「その英霊の信念、人生そのものへの裏切りを自ら行う」ことが定義として挙げられた。具体例としては「聖女の英霊」をベースとして生まれながら「聖女である事」を投げ捨てたジャンヌ・オルタ、「王であることを忌避した英霊」が「嫌悪した王」になったクー・フーリン・オルタ、「冥界を良い世界にする」夢を失ったニンキガルといった具合。どうやら「変化することそのもの」ではなく「変化した結果どうなったか」がオルタ化の定義に関わる要素である様子。
- しかし下記の通り「変化するまでもなく元からその状態」「変化する元となる存在がいない元より別人」な英霊が紛れており、イシュキックの語った定義は「オルタがオルタ足る定義」の一つには違いないと思われるが、オルタ全てを包括できる定義でもないと考えられる。
- 既出のオルタ系サーヴァント達を「オルタとなった要因」別に大まかに分類すると以下のようになる。
- 「聖杯の力によって反転した」もの
- アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕は聖杯の泥に汚染されたことによりアルトリア・ペンドラゴンの性質が反転し誕生した。
- アルトリア・ペンドラゴン〔サンタオルタ〕は、アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕が自身について回る「悪役」等の悪い印象の払拭を目的として霊基を弄りサンタクロースとして活動を開始した姿。
- クー・フーリン〔オルタ〕は『Grand Order』第1部第5章において、女王メイヴが聖杯を使い『クー・フーリンを自らに並ぶほどの邪悪な王にして欲しい』という願望を叶えたことで誕生した[出 2]。
- ヘラクレスはバズディロット・コーデリオンが令呪を使い『取り繕うな』『お前が見てきた【人間達】を思い出せ』『
地上の衣 を受け入れろ』という命令と魔力結晶による膨大な魔力、東方の呪術、聖杯の「泥」を使うことによりアルケイデスに変質した[出 3]。
- 「聖杯以外の要因によって変化した」もの
- アタランテ〔オルタ〕はアタランテが宝具「神罰の野猪」を纏った姿がそう呼称されている。ただしアタランテは普通に召喚された場合、使用するに足る条件が整わねば「神罰の野猪」の使用法すら理解できず開帳には踏み切らない。彼女は生前この姿になる可能性こそあったもののついぞ変身したことは無く、サーヴァントになってから変身が可能となった姿である。
- 沖田総司〔オルタ〕はオリジナルである沖田総司が、生前抑止力と交わされた契約により抑止力の顕現として戦うためにとることになった姿。「ただ一度きりの顕現」を目的として調整されたため、基本骨子以外は元となる沖田の霊基とは別物ともいえるレベルに変質している。このため、『沖田総司』としての記憶も持っていない。
- また、そもそもが全く別設定の存在だったという事もあってか、既存オルタの「オリジナルに対して男性は色黒化、女性は色白化」という法則からも外れている。
- 元より別人である「別側面ですらない」もの
- 他のオルタたちは基本的に元となる存在ありきで成立しているが、以下二名は「オルタと付かない同名の存在とは元より別の存在」である点で大きく異なる。
- 謎のヒロインX〔オルタ〕はサーヴァントユニヴァースのヴィラン組織「ダーク・ラウンズ」が謎のヒロインXに対抗するために人工的に造り出した存在であり、ヒロインXが反転した結果生まれたわけでも、彼女の別側面でもない。誕生経緯に間接的に関わってこそいるが、完全に別人である。
- エミヤ〔オルタ〕は、生前辿ってきた歴史やサーヴァント化した経緯、戦法等、英霊としての基盤となる様々な情報がエミヤのそれとは殆ど異なる。言うなれば「違う世界、違う歴史、違う人生を歩んだ同一人物」であり、通常のエミヤが反転してオルタとなった訳でも彼の別側面でもない、ほぼ別人である。「平行世界の同一人物」というその関係性はむしろ無銘の英霊とエミヤのそれと同一と言っていい。
- が、当人たちが自分達を「反転してる方と普通な方」と認識していたり、「反転をきっかけとして生まれた」らしいスキルを所持している等、細かい部分の関係性には疑問が残る。一体どういうことなのだろうか……?
- 本来の歴史ではなることのなかった「ifの可能性の姿」として現れたもの
- アルジュナ〔オルタ〕は『Grand Order』第2部第4章においてとあるきっかけでアルジュナの内面に押し込められていた汚い手段や邪悪を良しとする彼の暗黒面の人格『クリシュナ』が反転・表出し、彼の夢想する正しい世界を創る目的のためにインド神話の神性を全て吸収した結果誕生した存在。アルジュナのifの姿であり、本来の歴史では彼はこの姿へ至る決定的な選択をとらず反転することも無く生涯を終えた。
- 本来の先代ブリトマートは愛に生きたものの、ブリトマート〔オルタ〕は夫と盟友の喪失によって芽生えた復讐心で怨の騎士となった有り得ざる姿。
- 以上のいくつかの複合
- ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕(ルーラー)は『Grand Order』第1部第1章においてジル・ド・レェが聖杯を使い「ジルの記憶にあるジャンヌ・ダルクをベースにした彼の望む理想のジャンヌ」として創造した存在[出 5]。このため、姿形や声などの要素は本物と全く同一だがそれ以外の諸要素が「ジル・ド・レェがこうあってほしいと考えたサーヴァント」として誕生した。また、ベースがジルの記憶であるため、農家の娘だった時代の記憶などジルと出会う以前の記憶は所持していない。「聖杯によって造られた」者であり、「元より別人の別側面ですらない」者。なお、特異点にて聖杯の力で一から創造された存在だったため英霊の座に本体が存在せず、下記の出来事が起こるまで召喚する事は不可能だった。
- ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕(アヴェンジャー)は『Grand Order』第1部第1章で敗北し消滅したジャンヌ・ダルク〔オルタ〕(ルーラー)が、正規のサーヴァントとして召喚されるために試行錯誤を重ねた結果誕生したもの[出 6]。人類史が不安定な状況であるからこそ生まれることができた存在であり、上記のルーラーとしての状態から更に民衆の想像する彼女の「本来の歴史ではなり得なかったifの可能性の姿」、「復讐心を抱いた聖女」という想像に依ることでサーヴァントとしての霊基の確立に成功している。
- ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕 (バーサーカー) は霊基を弄り水着姿になったジャンヌ・ダルク〔オルタ〕(アヴェンジャー)。霊基の変更によりクラスも変わっている。
- アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕 (ランサー)は聖槍を主兵装とした「ifの可能性」のアーサー王が「聖杯の泥を受け入れて変転した」姿。
- 詳細不明
- ウィリアム・シェイクスピアは『Grand Order』第1.5部1章においてオルタ化した状態で登場したが、何が原因でオルタとなったのか全くの不明。加えて属性が中立・中庸であった故か、台詞に自著からの引用を使わないといった細かい変化はあったものの、その精神性も含めて通常時と殆ど変化が見られなかった[出 7]。
- ギャラハッド〔オルタ〕は『Fate/Requiem』においてオルタナティブ状態で召喚されているが、何を持ってオルタ化したのかは明かされていない。作品内における「聖杯」の詳細もいまだ不明であり、今後の詳細解説が待たれる。
- アレッサンドロ・ディ・カリオストロは奏章Ⅱにて「カリオストロ〔オルタ〕」と名乗っていたが、これは霊基を偽造或いは自称していただけで実際にはオルタではない。
脚注
注釈