死徒二十七祖
概要
死徒たちの大元である二十七の祖のこと。最も古い死徒のことではあるが、代替わりや消滅している祖もいる。中には厳密な意味での死徒ではないながらも、吸血種ということで名を連ねているものもいる。齢四千を超える神代連盟(エルダータイトル)の祖、教会によって封印中の祖、人知れず秘境にて時間を数える祖、五百年単位で後継者に座を譲る血族のような祖、と内訳は様々。
空席の祖の大半は教会によって封印中。聖堂教会にて柩に収納されているが、彼らでは滅ぼし切れないので半ば永久監獄となっている。現在空位の祖の席であっても基本的に派閥は健在で、教会に封印されている祖を奪還、あるいは祖の座を得るためにキッチリ消滅させるために力を溜めている。(派閥作りに興味を持たない、魔術師上がりのネロのような死徒もいて例外はある)
二十七祖はそれぞれ独自の方法で「不老不死」を定義しているとされ、ネロ・カオスは「混沌」、ロアは「転生」、ズェピアは「現象」と、そのやり方は多岐に渡る。なお、祖の中には預言者の役割を持ったものがおり、外敵や内紛で祖が滅ぼされそうになると、後継者を作るよう通達がされる。これは「薔薇の予言」と呼ばれている。
二十七祖は吸血鬼における冠位(グランド)であり、末端の死徒に吸われて成った最下層の吸血鬼さえも、いつかこの座に辿り着くことを目標としている。
英霊召喚を可能とする世界においては存在しない[出 1]。そのためか、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』にて言及されたアインナッシュやロズィーアンの家名を持つ死徒は「死徒二十七祖」ではなく「上級死徒」と呼ばれている。
二十七祖リスト
- 第一位 プライミッツ・マーダー
- 「霊長の殺人者」「白い獣」「アルトルージュの魔犬」「ガイアの怪物」
人類に対する絶対的殺戮権を有する故に最強の一角。アルトルージュの側に控えており、彼女の言うことだけは聞く。もともと吸血性はなかったのだが、主を真似て吸いはじめた。
- 第二位 the dark six
- 「最初の死徒」「闇色の六王権」
最古にして最高のシステムであるが未完成であるもの。現在蘇生中。蘇生した暁には死徒二十七祖を束ねるといわれるが、コレの正体を知る死徒はいない。
- 第三位 朱い月のブリュンスタッド
- 「タイプ・ムーン」「月のアルテミット・ワン」
かつて、星に招き入れられた月世界の王。陰で星の掌握を目指す自分がガイア・アラヤの両方から廃絶の対象となることを悟り、地球のシステムに合致した後継者を作ろうとする。それが、真祖であり、アルトルージュであり、アルクェイド。
現在空席
- 第四位 キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ
- 「魔道元帥ゼルレッチ」「宝石翁」「万華鏡(カレイドスコープ)」「宝石のゼルレッチ」
現存する魔法使いのうち、第二魔法の使い手。かつて朱い月のブリュンスタッドに喧嘩を売って倒してしまった猛者。この相打ちで血を吸われ死徒となってしまった。死徒でありながら真祖の協力者。アルクェイドのじいや。
- 第五位 ORT
- 「タイプ・マアキュリー」「水星のアルテミット・ワン」
西暦以前に南米に落っこちてきた。容姿は蜘蛛に近い。その存在に興味を持って無謀にもORTを捕獲しようとした当時の第五位を瞬殺し、吸血の性質があったことから現在の地位に就いた。侵食固有結界・水晶渓谷を操る。
- 第六位 リィゾ=バール・シュトラウト
- 「黒騎士シュトラウト」
最古参の死徒。
アルトルージュの護衛その1。殺人貴のライバル。時の呪いを病んでいるため、不死。真性悪魔ニアダーク。
- 第七位 アインナッシュ
- 「思考林」「腑海林」
全長50kmに及ぶ森林。二代目であり、初代アインナッシュの流れ出た血液を吸血植物が吸ったことで死徒化した。
- 第八位 フィナ=ヴラド・スヴェルテン
- 「白騎士ヴラド」「吸血伯爵」「ストラトバリスの悪魔」
アルトルージュの護衛その2。幽霊船団の船団長。美少年趣味で同性からしか血を吸わない。リタとは犬猿の仲。固有結界「パレード」を有する。
- 第九位 アルトルージュ・ブリュンスタッド
- 「血と契約の支配者」「黒血の吸血姫」
朱い月の後継者候補。アルクェイドにとっては姉にあたる存在。真祖と死徒の混血。死徒における吸血姫。プライミッツ・マーダーを従わせ、黒騎士・白騎士を含む数々の死徒を支配下におく、実質上の死徒の王。見た目は14歳の少女。
- 第十位 ネロ・カオス
- 「混沌」
魔術師上がりの死徒。
元々の名をフォアブロ・ロワインという。「永遠」を探求した結果、それを為すために自らを混沌の海とした。固有結界「獣王の巣」を有する。現在のネロとフォアブロは別の存在に等しい(もう混沌の群体に飲まれてフォアブロの意識は欠片ほども残ってはいない)
- 第十一位 スタンローブ・カルハイン
- 「捕食公爵」「街食うモノ」
第一の亡霊(スタンティア)。既に滅んでいるが、存在濃度がゼロになるまであと二百年ほどかかるとか。 - 第十二位
- 現在空席
- 第十三位 ???
- 「タタリ」「ワラキアの夜」「正体不在(アンノウン)」
魔術師上がりの死徒。
存在する、とされるが誰も見たことがない死徒。ズェピア・エルトナム・オベローンというアトラス院の錬金術師の成れの果て。「人類滅亡」を回避しようとして様々な策を練るも、全て失敗し発狂。死徒となって第六法に挑むが、肉体が消滅した。しかし、自身を「現象」とし、駆動式に応じて具現化することでこの世界に存在し続けている。
- 第十四位 ヴァン=フェム(ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム)
- 「魔城のヴァン=フェム」「財界の魔王」
最古参の一角で、魔術師上がりの死徒。
巨大なものを作ることにかけては最高の人形師。七大ゴーレム「城」を創像する。以前、白騎士ヴラドと戦争になったおり、第五城マトリを攻め落とされたため、アルトルージュ派を嫌っている。
死徒二十七祖であるとともに、人間社会においては世界的な財閥のトップ。
- 第十五位 リタ・ロズィーアン
- 自称、芸術家のお嬢様。退廃的な死徒の中でも、さらに特出した趣味を持つ。貴族的な吸血鬼の典型で、酒池肉林の地獄で甘美な堕落にふける毎日を送っている。親から正式に位を受け継いだ二代目。スミレとは殺し合うほど仲がいいという噂。
- 第十六位 グランスルグ・ブラックモア
- 「黒翼公」「鵬」「月飲み」
魔術師上がりの死徒。
巨大なカラスとの半人半鳥の姿。対死徒に絶大な威力を発揮する固有結界「ネバーモア」の術者。
- 第十七位 トラフィム・オーテンロッゼ
- 「白翼公」「最初にして高貴なる白い翼の君」
最古参の一角で、魔術師上がりの死徒。朱い月の最初の従者。
死徒の中で最大の領地と発言権を持つ現段階での死徒の王で、二十七祖を代表する死徒。実質上のトップであるアルトルージュとは反目しあっている。「真祖狩り」を提案した張本人。
- 第十八位 エンハウンス
- 「復讐騎」「エンハンス・ソード(片刃)」「死徒殺しの吸血鬼」
先代十八位を殺してその座についた。祖になってまだあまり時が経っていない。半人半死徒と蔑まれる。
他の祖を狩ろうとする裏切者で、先代から奪った魔剣アヴェンジャーと教会で作った銃で戦うも、教会製の銃は使うたびに死徒である左手を腐らせていき、魔剣は人間である右手の神経を破壊する。
- 第十九位
- 現在空席
- 第二十位 メレム・ソロモン
- 「フォーデーモン・ザ・グレイトビースト」
二十七祖の一角ながら、それと反目する埋葬機関の第五位でもある異端中の異端。そちらの通り名は「王冠」。古今東西の秘宝のコレクター。埋葬機関に所属しているのも、教会が封印している秘宝の近くにいたいが為とかいう。
- 第二十一位 スミレ
- 「水魔スミレ」「ウォーター・ボトル」
流水を克服した死徒(伝承にいわく、吸血鬼は流水を超えられないという)。その代わりに地上での活動が難しくなった。いつも酔っている。酔ってさえいなければ更に順位は上がる。地上に上がって水気を抜くと酔いが消えて実力を発揮できるとかできないとか。外見上はとっつきやすい酔っ払いのお姉さん。死徒の中で唯一、空想具現化を可能とする。リタとは殺し合うほど仲がいいという噂。
- 第二十二位
- 現在空席
- 第二十三位
- 現在空席
- 第二十四位 エル・ナハト
- 「屈折」「胃界教典」
一対一なら確実に相手を消去し、自身も死亡する心中のスペシャリスト。ただし蘇生に数十年を必要とする。現在は鏡面結界に封印され、埋葬機関の聖典として対死徒の切り札として利用されている。 - 第二十五位
- 現在空席
- 第二十六位
- 現在空席
- 第二十七位 コーバック・アルカトラス
- 「千年錠の死徒」
魔術師上がりの死徒。
聖典トライテンを守る迷宮をつくってみたが、自分もその中から出られなくなった。歌月十夜に曰く「二十七祖のお笑い担当」。
- 番外位 ミハイル・ロア・バルダムヨォン
- 「転生無限者」「アカシャの蛇」
元教会の司祭で魔術師。アルクェイドを利用し死徒になった「真祖の死徒」であるが、他の死徒からは祖として認められていない。
メモ
- リメイク版となる『月姫R』では死徒二十七祖の設定や序列が一新される予定。具体的には当時は新しいと思ったが今となってはやり尽くされていてつまらないと判断したものを削除したり、重要性が増したものにさらに手を加えたり等。
- 「薔薇の預言者」は「彼女」なので(現在発表されている設定上は)候補は三人。アルトルージュ、リタ、スミレ。「薔薇」なだけに、リタ・ロズィーアンあたりが順当か? ただし上述通り設定が変更されている可能性もある。
- 教会に封印されている死徒の内、三体がナルバレック、二体がバルトメロイ・ローレライによるもの。他は不明。また彼女らでさえ祖は倒せても殺せはしなかったあたり、二十七祖の不死身さ具合がよくわかる。
- 死徒二十七祖の順位は純然な強弱関係ではなく、発見された時期や後継者への順位継承などで色々と雑然としている。まぁ、それ位適当じゃ無ければそもそもORTやプライミッツ・マーダーなんかが二十七祖入りする筈が無い。
- 第十位以上は通常の概念では打倒し得ない、と言われているが、十三位のタタリは明らかに通常の概念では倒せない。
- 奈須氏曰わく二十七祖は軋間紅摩や蒼崎青子などと同じく平均的な宝具を持つサーヴァントとガチンコできる存在。また、五次サーヴァントと闘った場合は相性もあるものの基本的には二十七祖側がやや不利。特に三騎士であるセイバー、アーチャー、ランサーの三体の戦いは安心して見守れるという。具体的には物量や不死性を全面に出した者が多くを占める二十七祖には圧倒的な火力を誇るセイバーの「約束された勝利の剣」が天敵とされる。一方、「約束された勝利の剣」に耐える程のタフネスを誇る祖も居るが、そういった祖にはランサーの「刺し穿つ死棘の槍」が効果的だという。
- 後には「どっちもどっち」であり、互いに「なんとかして殺す手段」がある以上は状況次第とも発言している。(但し、霊長に対して超有利なプライミッツ・マーダーと地球上のルールが成立しないORTは別格)
- 魔術的な手段による死徒化の具体的な方法は出てきてなかったが、ネロは死徒となる際に決めた盟約に逆らえないと何らかの制限をほのめかしている。シャーレイは薬による不完全とはいえ死徒化を果たしたが、そのような制限などは見受けられていない。
- 『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』で登場したズェピア・エルトナム・アトラシアの発言によると、死徒二十七祖結成の芽が摘まれたのは西暦300年あたりとのこと。
話題まとめ
- コンマテ焚書(ふんしょ)事件
- 2010年11月に刊行された『Fate/complete material』(通称コンマテ)では死徒二十七祖のひとりが埋葬機関に在籍している旨が記載され[出 2]、当然Fate世界においても死徒二十七祖は存在するものと思われていた。
- 2015年5月に刊行された小説版『Fate/strange Fake』第2巻においても、ハンザとジェスターの戦闘の中で埋葬機関の対比として『二十七祖』と呼ばれる吸血種達の頂点に位置する者達がいるとされている。
- 2016年7月に刊行された『路地裏ナイトメア』第1巻では一転、Fate世界において死徒二十七祖は存在しないことが明かされ[出 1]、物議を醸す。
- 2017年4月に竹箒日記で補足説明が行われ、月姫世界では死徒二十七祖に数えられる人物が、Fate世界ではそこまでの力を持たない死徒であることが明かされた[出 3]。
- この設定変更は奈須氏監修のもとでFateシリーズ作品を執筆しているライター陣にとっても寝耳に水だったらしく、三田氏は「あれほどの衝撃が走った日はほかになかった」と述懐している[出 4]。
三田「コンマテーっ!?」
きのこ「それは人理焼却によって焚書になった。」
脚注
注釈