Fate/strange Fake

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Fate/strange Fake

著者、成田良悟。
イラスト・漫画、森井しづき。

架空のゲームのキャラメイキング前の序章という形で、第五次聖杯戦争から数年後、別の街で起こる擬似聖杯戦争を描く『Fate/stay night』スピンアウト小説。
元々は成田氏が自身のウェブサイトに掲載した2008年エイプリルフール企画『Fake/states night』だった。
だが、後に『TYPE-MOONエース』Vol.2に別冊付録として加筆収録され、正式な外伝作品となった。
2014年7月27日の「Fate Project 最新情報発表会」にて、今冬から小説(電撃文庫)、コミックス(TYPE-MOON BOOKS)ともに始動する事が発表された。
小説版第一巻及びコミックス第一巻は2015年1月10日に発売。

登場人物

ティーネ・チェルク
現在「スノーフィールド」と呼ばれている土地と、古くから共生してきた一族を束ねる少女。
外来の魔術師たちに奪われた土地を取り戻すため、黄金の英雄王の助力を仰ぐ。
アーチャー
冬木の聖杯戦争にも現れたかの英雄王。唯一無二の『友』の参戦を感じ取り、珍しく本気となる。
フラット・エスカルドス
バーサーカーのマスター。ロード・エルメロイII世の最古参にあたる弟子。
バーサーカー
フラットのサーヴァント。声だけで姿が見えない。性格はバーサーカーとは思えぬほどに紳士的。
ジェスター・カルトゥーレ
アサシンのマスター。世に退屈する死徒
アサシン
ジェスターのサーヴァント。黒いローブを纏った女性の暗殺者。「聖杯戦争そのもの」を破壊するために行動する。
オーランド・リーヴ
キャスターのマスターにして、スノーフィールド市の警察署長。ファルデウス同様、この「偽りの聖杯戦争」を仕組んだ側に立っている。
警察官としての部下であり、魔術師としての弟子である「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」を率いる。
キャスター
オーランドによって召喚されたサーヴァント。
“伝説を上回る伝説を作り出す”能力を買われて、英雄王に対抗するための贋作宝具を造らされている。
二十八人の怪物(クラン・カラティン)
キャスター製の宝具を与えられた28人の魔術師兼警察官の集団のコードネーム。
クー・フーリンと戦ったケルト神話の28人合体戦士『クラン・カラティン』から命名。
剣、弓、盾、槍、鎖、鎌、棍、金色の火縄銃のようなもの、などなど与えられた宝具は様々。
繰丘椿
ライダーのマスター。病院で昏睡状態のまま眠り続ける10歳の少女。
ライダー
椿の夢の中に召喚されたサーヴァント。およそ英霊とは思えない異様な存在。
銀狼の合成獣
エジプトの『神』を喚ぶための召喚触媒として製造された合成獣。そのため厳密には狼ではない。
寿命と引き換えに、並の魔術師を遥かに凌ぐ質・量の魔術回路を組み込まれている。創造主である魔術師に追い詰められ、処分されようとした瞬間、『生きる』という本能に従った叫び声のみで魔術を行使、早急にサーヴァントの顕現を望む聖杯に応える形で簡易的な儀式を完遂し、ランサーを召喚した。
ランサー
英雄王の唯一無二の親友、エルキドゥ。
遥かな時を超えた現代で、かつての友と再び見える事に歓喜する。
アヤカ・サジョウ
1巻のラストで予告無しの登場。セイバーとの契約を頑なに拒む。
セイバー
とある劇場で召喚されたサーヴァント。目の前にいたアヤカに契約を持ちかけるが……。


ファルデウス
魔術協会に潜り込んでいたアメリカ政府のエージェントにして魔術師。この聖杯戦争の監督役的な立ち回りをしている。
真アサシン(Fake)
ファルデウスが召喚した、2人目のアサシンのサーヴァント。ハサンの名を受け継いでいる。
真アーチャー(Fake)
何者かによって召喚された、2人目のアーチャー。頭の先から宝具と思われる布を被っており、英雄王に匹敵する能力を持つ。
謎の英霊
「アーチャー」同士の戦いに乱入した謎の英霊。徒手空拳で戦う馬に乗った少女で、アーチャーに強い敵意を持つ。
フランチェスカ
偽りの聖杯戦争の黒幕と思われるゴスロリ衣装の少女。警察署長からは「老害」と呼ばれてる。
なぜか聖処女に執着している。
ランガル
魔術協会から、偽りの聖杯戦争を調査するために派遣された人形使い。自らは現地に赴かず、動作の不自然さを誤魔化すために老人の姿をした人形を操り、諜報を行う。
自らの人形を弟子ファルデウスとともにアメリカのスノーフィールドに送り込むが、正体を現したファルデウスが率いる軍の特殊部隊によって破壊され、この偽りの聖杯戦争を企てた者たちの「宣伝」を協会に伝えることとなった。
古臭い価値観に凝り固まっており、新興国であるアメリカに魔術師の悲願たる聖杯が降霊しようとしている事を好ましく思っていない。
ロード・エルメロイII世
時計塔の講師。フラットの師であり、彼に(そのつもりはなかったが)サーヴァント召喚の触媒を渡す。
デルミオ・セルバンテス
ラスベガスの一画、カジノの上に建てられているという奇妙な立地の、非常に慎ましやかな教会に所属する老齢の神父。
気苦労の多そうな見た目やぼそぼそと気弱な印象を与える喋り方とは裏腹に聖堂教会の監督官の資格を持ち、素手のみでコインを弾丸並みの速度で射出したり、また同じ速度で投げ返されてきたコインを苦も無く掴み取るなど、相当の荒事をこなすこともいまだ可能。
第八秘蹟会の指令を受け、弟子であるハンザをスノーフィールドへ派遣する。
ハンザ・セルバンテス
右目に派手な装飾の眼帯をした、精悍な顔立ちのスパニッシュ系の男。
師父と仕事の会話をする時も携帯電話を弄っていたり、出先でカジノに行く気満々だったりと性格は軽め。
聖堂教会のエージェントであり、「偽りの聖杯戦争」に出遅れた形だが介入する。
「カルテット」と呼ばれる四人一組の修道女を引き連れ、本人も「弾丸並みの速度のコインを、背中を向けたまま腕の関節をあり得ない方向にねじ曲げ、音もなく十六分割した状態で弾き返す」という人間離れした力を持つ。
繰丘夫妻
繰丘椿の両親。とある『蟲使い』の魔術を模倣して生み出した微小の蟲を娘に植え付け、痛みを伴う肉体改造によって魔力回路を増幅させる実験を行うが、調整が上手く行かなかったせいで椿を昏睡状態に陥れてしまう。
ファルデウスらの一派と共謀関係にあり、偽りの聖杯戦争においては『秦の始皇帝』を召喚する算段で、宝具としても有用な聖遺物を触媒に用意していたが、ライダーの力により昏倒させられ「椿が思い描く通りの理想の両親」を演じるだけの生きた死者と化す。
アーチャーを召喚した魔術師
緩やかに衰退しつつある己の血統に焦りを覚えており、この偽りの聖杯戦争によって一発逆転の栄光を掴むため、将来性のない息子や反対した妻などを全て「処分」した上で、先祖が入手した聖遺物「この世全ての財が納められた宝物庫の鍵」を手にスノーフィールドに乗り込んだ。
鍵剣の本来の持ち主である英雄王の召喚を成功させるも、直後にティーネの襲撃を受け、令呪の宿った腕を切り落とされて奪われる。怒りに任せて魔術での反撃に出るが、霊地の力を借りた高密度の術により反対に焼き尽くされ、何一つ残すことなくこの世から消滅した。
合成獣を製造した魔術師
狼型の合成獣を触媒に、聖杯戦争のシステム的に不可能な『神』の召喚を試みようとしていた。単なる触媒のはずの合成獣がマスターとして令呪を得たことに怒り、殺害して令呪を奪おうとするも、合成獣に召喚されたランサーに阻まれ逃走。街にスペアの合成獣を解き放ち、その混乱に乗じて令呪を奪回せんと目論むが、これ以上の不確定要素が増えることを嫌ったファルデウスに喉を掻き切られて死亡する。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ
オブザーバー、あるいはキャラクターメーカー。
スノーフィールドの事件についてよりよい到達点に至るため、介入(観測)を行う。
コーバック・アルカトラス
同上。
スノーフィールドの事件については彼も無関係ではないらしく、ゼルレッチに協力している。
アインツベルンのホムンクルス
スノーフィールド中央交差点の一角に現れた、艶やかな白髪に白い肌、そして燃えるような赤い瞳を携えた二十歳前後の美しい女。
周囲の注目を集めていることなど意にも介さず、まるでこの世のすべてを否定するかのような果てしない怒りを込めた目で、自分を取り囲む世界そのものを睨み付けている。
グレイ
ロード・エルメロイⅡ世の助手。フラットの行いに卒倒した彼を医務室まで担いで行った。
ロッコ・ベルフェバン
ロード・エルメロイⅡ世と「偽りの聖杯戦争」の経緯について協議した。

エイプリルフール企画版

「プレイヤー」
架空のゲームの主人公。欠けている「剣士のサーヴァント」を補完する存在。
年齢は10代後半から20代半ば。性別は男かもしれないし、女かもしれない。魔術師でも超能力者でもない。
かつて日本の冬木市に住んでいたが、何かから逃げた末にアメリカに辿りつく。ラスベガスにて「白い髪と白い肌の美女」と出会い、5つの令呪を押し付けられる。令呪を得た3日後、スノーフィールドに旅行者として現れる。
体中に分散して5画の令呪を持ち、令呪を消費することで一時的に英霊を呼び出すことができる。召喚するサーヴァントはペルセウス、ヒュドラ、イアソン、スカサハ、スキュラ、董白など十数種類の中から5体をキャラメイキングで選択できる。
ただし召喚時間は1つの令呪につき30分程度で、宝具などで魔力を過剰に消費すればその時間はさらに短くなり、逆に人喰いをさせるなどで魔力を補充すれば延長される。またこの範囲内でさえあれば、1つの令呪で5体のサーヴァントを6分間ずつ交代で召喚することや、まとめて5体同時に6分間召喚することも可能である。令呪を使って女性サーヴァントと一緒に温泉へ行くことも可能。
「エレベーターのある建物に入れない」「時折、血塗れの女の子の幻影を見る」という制約を持ち、『Fate/hollow ataraxia』冒頭の怪談話に登場したA氏と同一人物であるような描写がされている。
プレイヤーがゲーム開始の3日前にラスベガスで会った白い髪と白い肌の女性。プレイヤーに令呪を押し付けた。
「第5次聖杯戦争の結末を改変するため」、偽りの聖杯を奪おうと画策している様子。

用語

偽りの聖杯戦争
Fate/stay night本編から数年後。アメリカ政府の組織が第3次聖杯戦争に目を付け、そのシステムを模倣することに成功、冬木でも60年程度かかるのと同様に70年以上の時を経て聖杯戦争が可能になった。ただし模倣は不完全で、政府の魔術師もサーヴァントがセイバー抜きの6柱ということは把握しているが、未知数な部分もある。

メモ

  • 間違えやすいが、『strange Fake』。strangeは全て小文字だが、Fakeは文頭のみ大文字である。これは、「Fate」と「Fake」を掛けている事を強調するためだろう。
  • 小説版1巻の奈須氏解説によれば『同じ条件、同じ結末を迎えていながら、なぜか完全に違う世界』との事。「Fake(偽り)」の世界である事を強調するためと、『成田良悟らしさを出すため、制約を少なくした』と言うのがその理由。それゆえに『確かな整合性よりも細やかな類似性を楽しんでほしい』とも語っている。
    • 同箇所では他の作者が手がけた小説作品についても触れられており、Zeroは『stay nightと条件は同じだけど微妙に違う世界』。Apocryphaは『途中までは同じだけど今は完全に別の世界』。エルメロイの事件簿は『完全に同じ世界、ただし三田誠スパイスにより大気濃度がちょい違う濃密魔術もの』。と、それぞれ分類されている。
  • 成田氏はライトノベル作家で、代表作は『バッカーノ!』『デュラララ!!』など。
    奈須氏とは知人を介して知り合ったそうで、その当時はTYPE-MOONの作品に関してほぼ未プレイ状態だったとのこと。むしろ奈須氏の方が『バッカーノ!』に関して熱心だったらしい。
    この辺りの詳細は『劇場版 空の境界第六章』パンフレットに寄せられた成田氏のコメントにて知ることができる。
  • 成田氏がエルキドゥとギルガメッシュの関係について『strange Fake』で書きたかった事を奈須氏の『Fate/EXTRA CCC』で先にやられてしまったため、『strange Fake』では二人の過去にはあまり踏み込まず、最初に予定していた展開とはだいぶ違った流れになるという。
  • 「Apocrypha」や「EXTRA」同様、同じクラスのサーヴァントが複数登場しており、状況は聖杯大戦の様相を呈してきている。

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