アサシン (Fake)

アサシン
真名 -(英霊の資質を得る頃には既に名は捨てていた)
性別 女性
身長 163cm
体重 53kg
属性 秩序・善
声優 Lynn
初登場作品 Fate/strange Fake
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概要編集

偽りの聖杯戦争において、「暗殺者」のクラスで召喚されたサーヴァント
召喚直後、マスターであるジェスター・カルトゥーレを殺害し、これまでに何人もの「山の翁」たちを惑わせてきた聖杯戦争そのものを破壊するために行動する。

略歴
魔術師ジェスター・カルトゥーレにより、スノーフィールド郊外の別荘にて召喚される。伝え聞いていたアサシンのクラスのサーヴァント、髑髏の面で顔を覆っているはず「山の翁」とは異なる様相に当惑しながらもマスターとして名乗りを上げようとしたジェスターを即座に殺害し、周囲に立つ彼の弟子たちも一人残らず殺し尽くした彼女は次なる行動を開始する。
信仰篤く、敬すべき先達である歴代の「山の翁」――彼らを惑わせ、利用し、使い潰した「聖杯戦争」そのもの全てを打ち壊すべく、美しき暗殺者はスノーフィールドの闇夜を裂いて駆ける。
人物
黒いローブを身に纏った美しい女。その正体は中東における一大信仰の一流派、「山の翁」を長とする暗殺教団の一人。存在自体が狂信的な集団の中でさえ“狂信者”として周りから蔑まれるほどの苛烈で強い信仰心を持ち、19代目の「山の翁」ハサン・サッバーハを志しながらも、その力を認められる事も歴史に名を残す事も無く終わった女性である。
若い頃に信仰の証としてハサン・サッバーハを継ぐことを求めて苦痛を伴う修練を厭わず努力し、過去の「山の翁」が修めた奇跡、18の「ザバーニーヤ」を全て模倣し身に付けた鬼才の持ち主であるが、模倣と努力の才能はあっても新たな業を生み出す才能には恵まれていなかった事、通常なら一つ習得するのに一生の修練が必要なはずの業をたった数年で網羅してしまったその才能に教団の者達が畏怖の念を抱いた事、そしてあまりに愚直すぎる彼女の性格や在り方が「暗殺者」よりも「戦士」に偏っている事が組織全体の変質を起こしかねない、などと危惧された事、などが原因で周囲から認められる事はなく、そのまま歴史の闇に消えて行く事となった。だが彼女はそれすらも「己の信仰の不足」「模倣することしか出来ぬ未熟」と恥じるのみで誰を恨むこともなく、ただひたむきに己の業を磨き続けた。
ジェスターの召喚に応じスノーフィールドに現界した彼女は、聖杯から与えられた知識をもって聖杯が己の奉じる神とは相容れない異端の証であることを知り、また歴代の「山の翁」の幾人かが聖杯を求めたことを知って悲しみ、彼らを惑わせた聖杯戦争それこそを憎むようになる。そのため聖杯を欲する人物と手を組む事を頑なに拒んでおり、召喚された直後にマスターが「聖杯を求める魔術師」と知るや否やいきなり殺意を露わにして襲い掛かって来る。
一方、その狂信的で危険極まりない信仰心や行動原理に反して必要以上の人間を犠牲にする事はむしろ嫌っている。同胞はもちろん、同胞でない人間に対しても「今後心を改め同胞となり得る人間がいるかもしれない」という理由で無差別に殺そうとはせず、無関係な一般市民を殺害し回るようなことも当然しない。
また、相手が聖杯を求める異教の魔術師であっても殺意さえ向けなければ殺す事まではせず、場合によってはそれすらせずに「この街の儀式には関わるな」と警告だけして何もせずに去っていく事さえある。時間に余裕が無いため諦めているものの、できるならば改宗も勧めたいらしい。
能力
歴代の「山の翁」、18人のハサン・サッバーハの修めた奇跡「ザバーニーヤ」を全て模倣し、習得している。
様々な状況に対応し得る多彩な能力を持つが、マスターの魔力負担は極めて重い。
「暗殺者」よりも「戦士」としての側面が強いせいか、アサシンでありながら暗殺を狙わず、真っ向からの奇襲や捨て身覚悟の白兵戦で戦う。

ステータス編集

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アサシン ジェスター・カルトゥーレ C B A C D B+ 気配遮断:A- 狂信:A

宝具編集

幻想血統(ザバーニーヤ)
ランク:E~A
種別:対人・対軍宝具
レンジ:-
肉体を自在に変質させ、過去に紡がれし18人の「山の翁」の御業を再現する能力。
実際は肉体改造なども行われていたが、英霊化にあたり肉体を変質させる形となっている。
本人は「先達には及ばない」と考えているが、実際はオリジナルと同等の力を持つ業もあれば、勝っている業も劣っている業も存在している。
19代目の山の翁である百貌のハサン妄想幻像のみ使用できない。
全ての業を併用することで自己を自壊させつつ力を振るう切り札もあるようだが、詳細は不明。
以下はその一部。
妄想心音(ザバーニーヤ)
悪性の精霊シャイターンの腕により擬似心臓を作り上げて対象を呪い殺す。能力詳細はハサン・サッバーハ〔呪腕のハサン〕を参照。
呪腕のハサンは右腕をシャイターンの腕と取り替えているが、このアサシンは肉体を変質させ背から第三の腕としてシャイターンの左腕を出現させる。
使用時の詠唱は「苦悶を溢せ」。
空想電脳(ザバーニーヤ)
手で触れた相手の脳を爆薬に変え、頭部を爆破して爆殺する。『hollow』において部分的に再現された第三次聖杯戦争に登場する小人のようなハサンが編み出した業。
編み出したハサンもこのアサシンも左手で行う。
妄想毒身(ザバーニーヤ)
本来は、あらゆる体液、爪や皮膚、吐息すら含め、己の全てを猛毒とする業。また、自身の耐毒性を高める効果もある。能力詳細はハサン・サッバーハ〔静謐のハサン〕を参照。
このアサシンは無差別に被害が広がることを恐れたため毒の濃度は静謐のハサンより低下してしまっており、自身の血に毒を集中して一時的に使用する程度に留めている。
夢想髄液(ザバーニーヤ)
可聴領域を超えた歌声で相手を操る業。オリジナルの業を超えた力を持つ。
大人数を対象とした場合、脳を揺らし魔術回路を暴走させる等の効果を持つ。
一人に対象を限定すれば、並のサーヴァント程度であれば膝をつかせ、普通の人間であれば脳そのものを支配して操る事さえできる。
使用時の詠唱は「虚像を曝せ」。
狂想閃影(ザバーニーヤ)
髪の毛を自在に伸縮させて操る業。
本来は、髪の毛一本一本を蜘蛛の糸の如き細さまで変質させ、数里先から誰にも気付かれずに相手の首を飛ばせるらしい。
ただし、このアサシンができるのは髪を数十メートル程伸ばして自在に動く鋭利な刃にする程度。
使用時の詠唱は「夜影を巡れ」。
断想体温(ザバーニーヤ)
己の皮膚を『魔境の水晶』の如く硬質化させる業。その硬度は宝具の銃弾が当たっても直接的なダメージはないほど。
『魔境の水晶』はORTの能力である『水晶渓谷』によりクリスタル化された生物のことと思われるが、形容しているのが硬さのことなのか見た目のことなのか生体の変質のことなのかは不明。
使用時の詠唱は「裡を貫せ」。
非想巡霊(ザバーニーヤ)
幽精(ジンニーヤー)を使役する業。霧のような外見で、さまざまに姿を変えながら相手に襲いかかる。
使用時の詠唱は「黒剡を纏え」。
瞑想神経(ザバーニーヤ)
魔力・水・風・電気などのエネルギーの流れを感知し、周囲の地形構造を人工物だろうと自然だろうと我が身として完全に知覚する業。
このザバーニーヤのみ、『そのような業を使うハサンが居た』という伝聞があるだけで、本当に同一の能力なのか、そもそもこの能力は実在したのか等不明な点が多い。
元々の使い手はハサン・サッバーハ〔幽弋のハサン〕であり、能力の本質もまったく異なっていた。
使用時の詠唱は「暗獄に沈め」。
異想追憶(ザバーニーヤ)
自分と世界を煙で酔わせ、すべての境界を消し去って溶け込む業。能力詳細はハサン・サッバーハ〔煙酔のハサン〕を参照。
煙酔のハサンは七日七晩己を霧散させていたと伝えられているが、このアサシンでは数秒程度しか霧散できない。

登場作品と役柄編集

Fateシリーズ編集

Fate/strange Fake
スノーフィールドで行われる偽りの聖杯戦争に、アサシンのクラスをもって召喚される。
これまでに行われた聖杯戦争に幾人かの「山の翁」が参戦、異端の奇跡を求めたことを知り、諸悪の根源である「聖杯戦争そのもの」を滅ぼすために戦う。

その他編集

ちびちゅき!
生徒役。相変わらずのチャドル姿。騒がしく浮ついた文化祭を苦々しく見ていたが、長であるちびアサシンに誘われ、ダンスに参加する羽目に。

人間関係編集

Fate/strange Fake編集

ジェスター・カルトゥーレ
スノーフィールドの地に美しき暗殺者を招いた魔術師にして死徒。自身を魅了した彼女に極めて歪んだ感情を抱いており、彼女を絶望させようと執拗に追跡してくる。召喚直後に『妄想心音』で一度殺されたが、複数の人格と魂を持つ死徒である当人は姿を変えて復活している。その手には未だ令呪が輝き、マスターとサーヴァントとしての契約を正式に交わしていないながらも魔力のラインは繋がっている。
オーランド・リーヴ
聖杯戦争の参加者であること以上に、魔術師でありながら権力中枢に食い込んでいる事実に衝撃を受け、最優先排除対象として認定する。
シグマ
魔術師のジェスターの工房だった沼地の屋敷に居座っていた聖杯戦争の参加者。聖杯を求める魔術師であれば即座に殺そうと問いを投げかけるが、返ってきた思わぬ答えに戸惑ってしまい、セイバーの取り成しもあって停戦に応じることとなる。
人生の何に対しても意義を見いだせない彼のことを痛ましく思っており、ジェスターの事が無ければ信仰について導いてあげたかったと嘆いている。
セイバーアヤカ・サジョウ
十字軍を率いた王としての悪名を伝え聞いていたことから警戒するが、かつての山の翁と共闘したという事実、そしてジェスターを滅ぼすためには独力では難しいという事もあって共闘を承諾する。アヤカに対しては、マスターではあるが巻き込まれただけで聖杯を求めてはいないこともあって敵視していない。
ジェスターからの魔力供給を拒むため、セイバーの連れている魂たちの中の魔術師から魔力を分けて貰うことになる。
真アサシン
同じ聖杯戦争に参加していたサーヴァントの一人であり、尊敬するハサンの一人。
対面したことで「シグマ達は巻き込んだだけであり罰は私一人が受ける」と覚悟を決めるが「お前のような者がハサンが守りたかったものである」との言葉を受け、それが別離となった。

生前編集

百貌のハサン
同時代に生き、「山の翁」の座を競い合って敗れた相手。『妄想幻像』を駆使し、ありとあらゆる事柄をこなすその姿を見て、ハサンになれなかった少女はただ己の未熟をのみ恥じた。
煙酔のハサン
かつて存在していたハサンの一人。
「民を守るために無敵である自身の術を解き、命を落とした」という彼の最期を知ったことが、ハサンへの道を目指す切っ掛けの一つになったとのこと。

名台詞編集

「異端の魔術師は……排除する……」
苛烈な信仰心を持つアサシンにとって、歴代の「山の翁」たちを惑わせた聖杯戦争、そしてそれに関わる魔術師たちは誅戮すべき異端である。
「どんな生き方を……何を強制されて生きてくれば、幼子が自らそれを選ぶ!?
 貴様らは……貴様らはあの幼子に、自らの娘に何をした!?何をしてきた!」
繰丘椿の自己犠牲を目の当たりにした際に繰丘夫妻に放った咆哮。

メモ編集

  • 奈須きのこ氏に気に入られ、「男なんぞに渡してなるものか」という理由からジェスターは「本当はオンナノコ」という設定にされた。残り五つの概念核を使い切ったら、中から少女(もしくは幼女か熟女)が出てきてめくるめく百合の園になる予定。
  • 18代目までの「ザバーニーヤ」を習得しているという設定から、百の貌のハサンの『妄想幻像』は使えないと思われる。
    そもそもこの宝具は他のハサンの肉体改造とは違い、先天性の多重人格を発展させたものなので、模倣のしようがないだろう。それ以前に百の貌とはハサンの座を競い合った仲であるため、その機会すらなかったと思われる。
    • Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』の没サーヴァント「輝く星のハサン」の設定が生きているのなら爆殺タイプのザバーニーヤも使用できると思われる。あるいは爆発というキーワードが共通する『空想電脳』がそれに該当するのかもしれない。
    • 加えて、設定上はに登場した煙酔、震管、影剥のハサンの能力も習得していると思われる。
    • 『瞑想神経』については、真アサシン (Fake)との類似性が見受けられていたが、実際にそのハサンの御業であった事が後に判明した。ただ、彼の経歴にもあるように本来の『瞑想神経』は伝承の段階で本質が著しく失われているため、事実上彼女オリジナルの御業となっている。
    • また、ハサンを継いでいない以上、“山の翁”にまつわる伝承も教授されていないと思われるが、彼女の言葉をそのまま受け取るならば初代のザバーニーヤも習得しているはずである。そうと知らずに本当に習得しているのか、はたまたいずれかがダミーの伝承であるのか、それともまた違うのか、3巻時点では真相は不明である。
  • 様々なアサシンの使える奥義や特殊能力を総結集したような凄まじいスペックを誇る強力なアサシンで、エイプリルフール版の頃は「全てのザバーニーヤを使いこなすなど、歴代ハサンの立場がないのでは」と言われていたが、いざ本編が始まってみると様々な問題があったことが判明した。
    • 聖杯を求める人物とは共存不可能、巻き添えや魂喰らいなどの必要以上の殺戮もNG、など、そもそもの性格や価値観が聖杯を求めて聖杯戦争に参加する多くの魔術師と全く相容れない。その上、高ランクの気配遮断スキルがあるのに暗殺よりもリスクや消耗の激しい真っ向勝負を好む、本来温存するものである宝具を躊躇なく連発するなど、自分のクラスの特徴や基本戦術、魔力消費などを一切無視した戦い方ばかりするため、強力な魔術師でもなければまともに戦えるかすら怪しい。
      • つまり、「魔術師らしい人間は彼女と相容れない」「魔術師でない人間は彼女を万全に運用出来ない」と言う致命的な二律背反を背負っている。
  • 属性は秩序・善。 彼女以前に属性が明かされたアサシンは秩序・中立・混沌の違いはあっても全て悪の属性だったので、アサシンとしては初の善属性。また彼女以外で秩序・善の属性を持つアサシンは2019年現在、混沌・悪のバーサーカーに変身するヘンリー・ジキル大元の属性を引き継いだ水着ニトクリス、『FGO』実装に伴い属性設定されたグレイの3人のみ。
    • 実際、無関係な人間を戦いの巻き添えにしないよう配慮し、異教の魔術師であっても殺意を向けられなければ重傷だけで済ませ、相手が本気で聖杯を求めていないと見れば戦いから遠ざかるように勧めるだけで無傷で帰してくれるなど、危険な武装集団の狂信者である事を考慮しても暗殺者としては妙に良心的な性格をしている。聖杯を求めない善良な人物がマスターであれば、改宗をしつこく勧められたりはするものの、この上なく頼もしい味方になると思われる。まあそうした人物が聖杯戦争に参加するのか、参加したとして極めて悪い魔力消費をどうにか出来るのか、と言う問題はあるが。
  • 彼女がハサンを継げなかった理由の一つとして「組織自体を変質させかねないから」というものがあるが、暗殺教団そのものが「“山の翁”が在り方を定めた組織であり、その在り方に反したハサンは処刑される」というものである以上、継げないのはある意味仕方ないことだったのかもしれない。
  • 今はまだ『Fake』の世界でしか登場していない彼女だが、歴代『山の翁』が召喚された『Fate/Grand Order』第一部六章の舞台で召喚されていたとしたら、ずっと平伏してるか、それ以前に難民や他の山の翁を惨殺したトリスタンの殺害を最優先目標にして一人で真っ先に突撃するのでパーティーから離脱する、と著者から言及されている。[1]
  • 先述の通りハサンの名は継げておらず、かと言って世界と契約したわけでもない、また世に広く知れ渡った概念の具現化でもない…という、実は何故召喚できているかがそもそも謎の存在。
    • ファンの間でも様々な見解があるが、辻褄の合いそうな説として「元々座に入れるレベルの英雄であり、教団には後から関わった」というものがある。根拠としては「“暗殺者”より“戦士”寄り」の戦闘スタイルに加え、絵面では明らかに色白に描かれており、そもそも人種が異なるため宗教も含めた異文化圏の出身である可能性が挙げられる。
      • 一例としてブラダマンテの義妹・マルフィーザが挙げられるが、実のところ十二勇士の活動時代は十字軍よりずっと古く、生前にリチャードの逸話を聞く事自体が不可能。…そして何より、マルフィーザは後に本作のアサシンならば絶対に選択しないであろうキリスト教への改宗を果たしている。

話題まとめ編集

脚注編集

注釈編集


出典編集


リンク編集