概要
イスラム教の伝承に残る「暗殺教団」の教主。通称「山の翁」。
ハサン・サッバーハという名前は教団の教主に代々襲名されてきたものであり、聖杯戦争においてはこの名前を襲名した複数のハサンの中から誰か1人が召喚される。
暗殺者の語源というべき存在であり、冬木の聖杯戦争ではアサシンというクラス(もしくはアサシンという言葉)が触媒となり、必ずハサンが召喚される。
歴代当主は19人いたとされ、彼らは誰が「最強のハサン」なのかを競っており、自らの秘伝を同じ「ザバーニーヤ」という宝具に隠している。
アサシンという名で群をなしているだけの亡霊、所謂「英霊に達してない英霊候補」であるとされ、正純な英霊と比較して能力が低くなっており、英霊未満故にサーヴァントなら誰しも持っている再生能力が無かったりする。しかし、他のサーヴァントに比べて能力が低いとはいえ人間よりは強く、言峰やバゼット相手に一方的な戦いを展開する実力はある。
『Fate/stay night』の世界においては、”ハサン・サッバーハ”という名は、己の鼻と皮とを削ぎ落とし無貌となった者に受け継がれてゆく、ニザール派内部での一種の”称号”であった[出 1]。
だが静謐のハサンはその暗殺の性質上、素顔が残っている。百貌のハサンも顔の皮が残っているが、素顔を見せている個体は『妄想幻像』で生み出された分裂体のため、本来の百貌のハサンが顔の皮を剥いでいるかは不明。
キャラクターとして登場したのは以下の9人。ただし、“山の翁”は他とは異なる在り方をしている。(後述)
名前 | 宝具 | 登場作品 |
---|---|---|
呪腕のハサン | 妄想心音 (ザバーニーヤ) | Fate/stay night Fate/Labyrinth Fate/Grand Order |
ハサン・サッバーハ (hollow) | 空想電脳 (ザバーニーヤ) | Fate/hollow ataraxia |
百貌のハサン | 妄想幻像 (ザバーニーヤ) | Fate/Zero Fate/Grand Order |
静謐のハサン | 妄想毒身 (ザバーニーヤ) | Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ Fate/Grand Order |
幽弋のハサン | 瞑想神経 (ザバーニーヤ) | Fate/strange Fake |
煙酔のハサン | 異想追憶 (ザバーニーヤ) | Fate/Grand Order |
震管のハサン | Fate/Grand Order | |
影剥のハサン | Fate/Grand Order | |
“山の翁” | 死告天使 (アズライール) | Fate/Grand Order |
メモ
- ハサン・サッバーハはそれぞれが特別な技を修めた達人であり、その秘技に応じて「○○のハサン」という異名で呼ばれることもある。実際に、多数のハサンが登場する『Fate/Grand Order』では異名で表記することで区別化されている。
異名が判明していないハサン・サッバーハ (hollow)とハサン・サッバーハ (Fake)、異名しか判明していない煙酔のハサン、震管のハサン、影剥のハサンについては同一のハサン・サッバーハである可能性もある。 - 「ザバーニーヤ」とはイスラムの伝承に登場する天使のこと。19人が存在し、地獄の管理をしているとされる。
ハサン・サッバーハが19人存在するという設定はこれをモチーフにしたものと思われる。 - 初代ハサンである“山の翁”は19人いるハサンの中でも特別な存在で、彼は歴代のハサンが治めた暗殺教団の本拠地にひっそりと生き続けている。代々の翁がその長としての役目を果たせないと判断されたとき、その長を殺す「山の翁にとっての山の翁」「ハサンを殺すハサン」である。静謐の最期の一つとして語られている「将軍がふと目を離した隙に何者かの手で斬殺されていた」説はおそらく彼によるもの。
- 『Fate/strange Fake』には「妄想幻像」を除いた18個のザバーニーヤを全て習得したアサシンが登場し、未登場のハサンのザバーニーヤ「夢想髄液」「狂想閃影」「断想体温」「非想巡霊」「瞑想神経」を使用している。また上記の宝具が判明していないハサンたちの中にこれらのザバーニーヤを使用するハサンが存在する可能性もある。
- 『Grand Order』では「山の翁」はその代の暗殺者達の頂点がなるもので、何か一つ、誰にも真似のできない『業』が必須となることが判明。
- 「空想電脳」のハサンはhollowに登場したアサシン(第3次聖杯戦争のアサシン)。武器に毒針を使用しており、見た目は他のハサン同様に髑髏の仮面をつけた大人の膝ほどもない小人。生前からそうだったのか、サーヴァントになったことで誇張されたのか、童話に現れるようなドワーフのような体型ではなく軽業師のように洗礼されたフォルムをしており、サーカスの道化師に例えられている。
- アサシンのマスターは自律人形(オートマタ)を扱う人形師。精密な殺人機巧を備えたフランス人形を何体も操り戦うのだが、その人形の中に小人のアサシンを紛れこませるという戦法を取っている。
- 「空想電脳」のハサンは時速80キロあるバゼットの拳によるカウンターを避けるだけで留まらず突き出した拳の上に乗り、その上を悠々と歩きバゼットの頭に触れ宝具を発動してみせた。その身のこなしはバゼットでは歯が立たないレベル。
- 『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』に登場する静謐のハサンはいくつかの候補設定の中から奈須氏が選んだものなのだが、その候補ハサンの中には「輝く星のハサン」という爆殺タイプのアサシンが存在したらしい。没キャラクターであるため設定として存在しているかは不明。
- 字面、及び宝具の効果から「震管のハサン」かつ「空想電脳」のハサンのことではないか、という考察がある。信管と震管、爆殺タイプの宝具という設定に対し、相手の脳を爆薬に変える「空想電脳」という宝具に共通点があるからである。
- 作者のひろやま氏が「プリヤの設定が原作側に反映されることはあり得ない」としている『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』には宝具「亡奏心音」を持つハサンらしきアサシンのクラスカードが登場している。
- 世界各地で亜種聖杯戦争が行われている『Fate/Apocrypha』の世界では、初期時代にはマスターの暗殺を行うハサンたちが猛威を振るい、召喚したハサンの能力を最大限に活用して3日で聖杯戦争を終わらせた強者も存在するなど俗に「暗殺者の春」と呼ばれるような状況だった。しかし、マスターたちは19人のハサンの能力を解析して対策を講じ、最終的にはハサンの召喚は「その対策をハサンが潜り抜けて聖杯を勝ち取るか、その対策にハサンが撃退されて死ぬかのどちらか」という一か八かのサーヴァントとして扱われるようになった。
- 初代“山の翁”が、亜種において召喚に応じたことがあるのか、もしそうだとしたら、あらゆるサーヴァントの中でも規格外の実力を持つ当人の対策はどのようなものだったのかは不明。
- 実際の所、「亜種聖杯戦争は大きく劣化しており、七騎揃わなかったりそもそも失敗するのが基本」と言う設定も鑑みると、「全てのアサシンが対策可能なほどに情報が広まる」ためには、少し現実的ではない数の膨大な聖杯戦争が試みられている事になる。また、『Apocrypha』作中では(メタ的には無駄になる事が分かっているとはいえ)マスター達はハサン対策を取っているようには見えない。“山の翁”の初出が『Apocrypha』以降である事も踏まえると、この設定が現在変更されていると言う可能性も大いに有るだろう。
- 初代“山の翁”が、亜種において召喚に応じたことがあるのか、もしそうだとしたら、あらゆるサーヴァントの中でも規格外の実力を持つ当人の対策はどのようなものだったのかは不明。
- どの代のハサンであるかは不明だが、獅子心王とその好敵手(おそらくサラディン)と共闘する形で第三次十字軍の戦場に襲来した死徒を討ち滅ぼしたハサンがいるとのこと。
- 『Grand Order』におけるアサシン教団はその発端こそ同じではあるが、以後の活動は史実とは異なっている。
発端となる教団の成立は、11~12世紀に生きた初代ハサン・サッバーハがイラン中西部のアラムート城砦を拠点に自らの教派を率いたところから始まっている。- 発端以後は史実と異なると書かれている通り、実際の教団(つまりイスラム教シーア派のイスマーイール派・ニザール派の宗教組織)とは活動内容も時代背景も異なっている。史実ではモンゴルのフレグなどによって拠点を全て失っているはずだが、1273年頃に呪腕のハサンが頭目を務めていることから19代目である百貌のハサンまで教団が存続していると思われる。
脚注
注釈
出典
- ↑ Fate/complete material III