長尾景虎

2021年8月10日 (火) 03:42時点における2400:2410:a161:ea00:8d02:bfe9:cb01:4e01 (トーク)による版 (→‎メモ)
八華のランサー
真名 長尾景虎
読み ながお かげとら
本名 上杉謙信(うえすぎ けんしん)
異名 越後の龍
性別 女性
身長 167cm
体重 53kg
好きな物
苦手な物 兵糧攻め
出典 史実
地域 日本
属性 秩序・善
一人称
二人称 あなた/其方
三人称 ○○(名前および名称呼び)
声優 水樹奈々
デザイン 武内崇
レア度 ☆4
初登場作品 ぐだぐだエース(仮)
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概要

槍兵」のサーヴァント

略歴
ぐだぐだエース(仮)』最終話にて「八華のランサー」として登場。
人物
和風の服装をした、長い銀髪の女性。
『Fate/Grand Order』においてはいつも笑顔で義を大切にし、戦と酒が大好きな愉快なお姉さんに見えるが、その実態は一言で言うならサイコパス[注 1]
基本的に他の人間に対して本質的に共感する事もなく、また他者からも理解されない。いつも笑顔と書いたが本当にその通りであり、笑顔以外の表情が実装に存在しない[注 2]
義を大切にしているのも幼少期に預けられた寺で学んだ仏法に従っているからであり、社会に適応しているように見えているのも「普通の人間はこうするものだ」という知識に沿って演じているに過ぎない。
とはいえ、自分が本質的に「人間」と異なっている点に苦悩したり酒や戦に喜びを見いだしたりと、他者からの理解や他者への理解に代表される「人の心」は欠いているとしても、「心」は間違いなく存在している。
能力
生粋の戦国武将として、卓越した軍略を持って数十以上に及ぶ戦を制してきた、日本無双とも軍神とも謳われる戦上手。
戦場では常に先陣に立ち、圧倒的なカリスマと軍才によって軍団を統率する。
毘沙門天の加護を受けるサーヴァントであるため、戦場でのあらゆる行為に有利な判定を受けている。また「銃弾飛び交う敵の眼前で悠然と酒をあおるも、全ての弾は謙信を避けて通った」といわれる逸話による強力な弾避けの加護も持っているが、逆に自分が飛び道具を扱う分は苦手とする様子。
時にはライダークラスでのみ召喚できる愛馬・放生月毛を、毘沙門天の名のもとに強制召喚する無法振りも披露する。
景虎は常日頃悩んでいた。戦場では刀が良いのか、槍が良いのか。当たらないので使う必要のない鉄砲はともかく、如何な備えが最も強いのか。
そしてある日、八本の刀を構える異形の毘沙門天像「刀八毘沙門天」と出会い開眼する。「刀も槍も全部持っていけばいい」と―――。
次の日。八華の備えと称して八つの武具を振り回し、戦場を元気に暴れまわる越後の軍神の姿があった。
最強無敵の戦国武将「フルアーマー景虎ちゃん」の誕生である。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ランサー 主人公 (Grand Order) C C A D+ C+ B 対魔力:C
騎乗:C
神性:C
運は天に在り:A
鎧は胸に在り:A
手柄は足に在り:A

宝具

毘天八相車懸りの陣(びてんはっそうくるまがかりのじん)
ランク:B
種別:対人/対軍宝具
レンジ:1~50
最大捕捉:1~100人
長尾景虎が得意としたといわれる車懸りの陣を対人戦に転化した宝具。
本来は軍勢をいくつかに分け、入れ代わり立ち代わり敵陣に攻めかかる陣形。
真名解放時には完全武装騎馬形態の景虎が8体に分身し、代わる代わる襲い掛かる必殺の一人車懸りの陣となる。
本来はライダークラスでなければ召喚不能な愛馬「放生月毛」を毘沙門天の名の下に強制召喚するという無法振りも披露する。

真名:長尾景虎

ながおかげとら。戦においては日本無双の武将と謳われ、後年は軍神とも称された越後の戦国大名。
自らを「毘沙門天の化身」と称し、義をもって戦国の世を治めんと生涯戦い続けた。
内乱の続いていた越後の国を統一し、他国からの救援を受けては幾度となく出兵し、武田や北条などと数多の戦を繰り広げた。生涯に70数余の戦を経験するが、大きな戦いでの敗戦は一つもない。
生涯で幾度か改名しており長尾景虎、上杉政虎、最終的には上杉輝虎と名乗っている、最も有名な謙信の名は更に後に称した法号である。
毘沙門天の化身を称し、義という人の理を範として人を守護せんとした景虎であるが、人としてあまりにも強く生まれてしまった故に、か弱き人というものを解す事は生涯叶わなかった。
人の悲しみや怒りなどの感情の機微も理解できず、唯一笑うことでのみ周囲との折り合いをつけてきた景虎であるが、その超然的な振る舞いや言葉を受けた家臣達はやがては景虎を恐れ、それは転じて狂信的な信仰へと転化してゆく。
そうして景虎は、より人ならぬ神仏の如きものとしての生き様を強いられることとなった。
そんな景虎にとって戦場での命のせめぎ合い、相まみえる瞬間の生と死こそが人としての何かを感じる唯一の時でもあったのだ。
その超然たる生き様は死後、彼女を軍神として神の座へと奉ることとなった。
それは彼女にとって果たして本意であったのかどうか、もはや知る由もない。
―――毘沙門天ぞ是にあり。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
『オール信長総進撃 ぐだぐだファイナル本能寺2019』の開催に伴い実装。イベント報酬。
イベント終了と同時に立ち絵で変装に用いていた霊衣「行人包」が実装された。

Fate関連作品

帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline
聖杯戦争の説明の際に姿が登場。
前日譚にあたる『昭和戦国絵巻』に登場予定なので、「前回」に登場しているからの可能性もある。

その他

ぐだぐだエース
魔人アーチャーに続く新サーヴァントとして登場。
『帝都聖杯奇譚回顧録 昭和戦国絵巻』にて登場予定とのこと。ただし『帝都聖杯奇譚』同様、連載開始時期は未定。

人間関係

ぐだぐだエース

弓塚さつき
『帝都聖杯奇譚回顧録 昭和戦国絵巻』ではマスターになる予定の人物とのこと。

Fate/Grand Order

主人公 (Grand Order)
マスター。『ぐだぐだファイナル本能寺』では最初に出会った時から「弱いのに人頼みで皆を救いたいと願う変人」と気持ち悪く思っていたが、終盤に至って「人間そのものがそういうものだ」と納得した。
森長可
『ぐだぐだファイナル本能寺』にて共闘したサーヴァント。割とウマは合っていたようで、「その後腐れのない性格は嫌いではない」とのこと。
一方で彼からも「得点の高い強い女」と認識されており、互いにフルパワーで殺し合える日を期待している。
『見参! ラスベガス御前試合 水着剣豪七色勝負!』でもコンビを組んで活動していた。
摩玖主大僧正
『ぐだぐだファイナル本能寺』にて敵対した相手。
摩玖主本尊による救いのみを是として、毘沙門天を含む神仏に一切の敬意を払わない有様に対して激怒した。
牛若丸
武将として憧れであり、特に鵯越の逆落としは一度見てみたい、何なら一緒にやりたいと願っている。……本人は二度とやりたくないと言っているのだが。
アルトリア・ペンドラゴン〔ランサー〕
ランサーなのに常時馬に乗っているという点で言いたい事がある模様。
……実のところ「人の心がわからないと言われ続けた挙げ句、神に成り果ててしまった君主」という皮肉な共通点があったりする。
イスカンダル
上記の誤解があったためか、馬にいつも乗っている彼をランサーと見なすも外れてしまい、更に混乱する事に。

生前

長尾為景
父。幼少期からの奇矯な言動の為に愛されず、恐怖されていた。
長尾晴景
兄。最初は家督を継いでいたが、自らの病弱さや器量の不足を自覚して家督を景虎に譲る。父同様、彼からも恐怖されていた。
綾御前
姉。彼女からもやはり恐怖されていたが同時に憐憫もされており、せめて人の世で暮らせるようにと寺に預け、徳を積む事を教え込んだ。
武田晴信
「武田信玄」の法名で知られる戦国武将。
最大のライバルで、川中島で5回も激突した。かなり強い執着があるようで、絆礼装「刀八毘沙門天」では最高の条件であるライダーのクラスを彼に譲った上で完膚なきまでボッコボコに叩き潰すためにランサーになったとのこと。
その一方で彼が苦境にあった時にはエピソード通り塩を送るような事もしていたようである。……理由は「本気で殺し合いたいから」という酷いものであったが。
柴田勝家
織田信長の配下として侵攻してきた彼の事を手取川の戦いで散々に打ち破っている。
織田信長
上記の経緯もあって彼女からも恐怖されており、おべっかまみれの手紙をよく受け取っていたが、彼女としては胡散臭いと思っていたようである。
なお『ぐだぐだファイナル本能寺』にて、自身の神性が仇となり渚の水着信長が発動した第六天魔王波旬の炎で一時的に身動きもままならない程に弱体化したことから、現状のサーヴァント同士の場合、彼女との相性は悪化していると思われる。
北条氏康、北条氏政
景虎個人のライバルといえば武田信玄であるが、関東管領・上杉家としての宿敵は数代前にいきなりやって来て南関東をほぼ持って行った(後)北条家の方である。
景虎の時代には氏康・氏政親子の二頭体制で領国を統治しており、武田家や今川家その他も巻き込んでしょっちゅう戦ったり同盟したりしていた。
なお、北条家と同盟を結んだ際に、氏康の七男を養子に迎え入れており、景虎の名を彼に譲っている。
あまりFateで言及される事は無いが、五代目風魔小太郎が長年仕えていた事が有名。
宇佐美定満
上杉家の家臣。「うさみん」と呼んでおり、政治にあまり熱心でなかった事についてよく小言を言われていたとのこと。
加藤段蔵
景虎に仕官を申し出たことがある。
この時のエピソードこそ、彼女が絡繰人形そのものではなく人形使いであると、後世に伝えられるきっかけであったのだが、その時何が起きていたのかは、現状景虎の口からは語られていない。
豊臣秀吉
直接対面していないが、自分や信玄、信長の死後に天下を統一した事は評価するも、一方で茶々から聞かされた人物像などには呆れている。
『帝都聖杯奇譚回顧録 昭和戦国絵巻』ではサーヴァントとして敵対していたことが示唆されている。
上杉憲政
養親。関東管領を継ぐ資格を有した名族・山内上杉氏の当主として関東に勢力を張ったが、後北条の氏康に敗れて力を失い、景虎に匿われていた。景虎を養子に迎えて上杉氏の家督と関東管領の地位を譲った。

名台詞

Fate/Grand Order

戦闘

「死なんと戦えば生き、生きんと戦えば死す!
 要するに、考えてもしょうがないという事! 殺せぇー!」
戦闘開始時の台詞の一つ。途中まではいい事を言ってるのだが、最後の陽気な一言が怖い。
元ネタは生前の長尾景虎(上杉謙信)の格言「何死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり」。下記のスキル使用時の台詞はこの格言の前の段である。
「運は天に在り!」
「鎧は胸に在り!」
「手柄は足に在り!」
スキル使用時の台詞。ゲーム内で使用可能なスキルの名称は彼女の格言をもじったもので、スキルに対応する名を高らかに謳う。
「ちょっと失敬。…はぁ~、美味しい…」
スキル使用時の台詞(低確率で発生)。懐から取り出した盃で一杯。お虎さん、今戦闘中ですよ…。
最も、敵陣のド真ん中で酒をかっ喰らった逸話を持ち、それがそのままスキル「鎧は胸に在り」へと昇華している彼女からすれば、この状況も「余裕」なのかもしれないが。
「オン・ベイシ……むにゃむにゃ……ソワカ! いざ、参る!」
宝具選択。ちゃんと言えていないが、正しくは毘沙門天真言、「オン・ベイシュマンダラヤ・ソワカ」と言おうとしていると思われる。いいのかそれで、越後の軍神。
「駆けよ、放生月毛! 毘沙門天の加護ぞ在り! 『毘天八相車懸りの陣びてんはっそうくるまがかりのじん』!」
「刀八毘沙門天よ、我が身に宿り神威を奮え! 『毘天八相車懸りの陣びてんはっそうくるまがかりのじん』!」
「長尾景虎推参! ゆくぞ! 『毘天八相車懸りの陣びてんはっそうくるまがかりのじん』! ──成敗!」
「あははははははは! 退くは地獄か進むは楽土か──『毘天八相車懸りの陣びてんはっそうくるまがかりのじん』! にゃー!」
宝具解放。配布キャラにしてはとんでもなく異例な宝具台詞のバリエーションである。

イベント

「その話は結構ですので!」
『ぐだぐだファイナル本能寺』にて、信長の「厠で乙った」という話題について。
大抵のことは飄々と受け流す彼女も、さすがにこの件に関しては過敏な反応を見せており、一言でシャットアウトした。
カルデアに来た際に現代のウォシュレット機能を体験して「妖怪!?」と驚愕したり、厠の直後にオキタ・J・ソウジの奇襲を受けて敗北したりなど、厠絡みのオチは多い。
「あはははは! 姉上、虎千代にはわかりません! 虎千代にはわかりません!」
同上。幼少期の回想にて。
稽古内で全く加減をせず、馬乗りとなって兄を笑いながら殴り倒す様を見咎めた彼女の父は、その頬を張った。
「こいつの眼は人の目ではない、妖の眼だ」と父に罵られても笑い、心配する姉に「あなたは人の心がわからないのか」と問われても「わからない」と笑う。
その眼はひどく濁り、淀んでいた…。
「…………実の弟を攻めてよろしいのですか?」
同上。信長が織田信勝と対峙したときに信長に問うて。
「兄が弟を攻める」。戦国の世では決して珍しいことでも無かったが、実兄に理解されなかった景虎には思うところあったようで、複雑そうな表情で敢えて聞いた。
戦後に信勝が信長に懐いている様子を見た時もどこか遠い目をしながら生前の兄との関係を回顧するが…。
「あはは………、あはははははははは!」
同上。生前の回想にて。
人になれると信じ仏門に帰依したが、彼女の根本は変わらなかった。そして兄にもまた、かつて父に言われた事と同じ様に『怪物』と罵られた。
恐怖する兄の陰口を聞いた彼女は、月の下独り、淀みきった瞳で哄笑する。まるでそれは大泣きしている様にも見えて。
「毘沙門天よ、私には人というものがわかりません。」
「あのように弱く脆い人というものが。」
「強きに阿り、弱きを踏みつける人というものが。」
同上。生前の回想にて。人の身に人ならざる精神を、そして人ならざる強さを宿した彼女は理解が出来なかった。
弱いくせに強さを求めてあがき、自分より弱いものを踏みにじる『人間』という存在の意義が。
それでも彼女は信じ、死ぬまで人間を守り続けることにした。「そんな人間を守るために、自分にはこの強さが与えられたのだから」と。
―――心の何処かで「殺すことしか出来ない自分が、本当の意味で人を守れるのだろうか」と疑問を抱きながらも。
「そなたのように弱く哀れな人間は、見たことがありません! 実に無様で見苦しい!」
「何を成すにも人頼みですか!」
「己の弱さをさらけ出し、己に力なしと声高らかに宣言するその性根! あはははははは!」
「そのざまで目に見える全てを救いたいと!?」
「なんたる傲慢! なんたる不遜!」
同上。絶体絶命の危機にて、己が殿を買って出た際に主人公はそれを止めた。「犠牲に大も小も無い」と。
そんな言葉を聞き、彼女の中で何かが弾けた。正に「弱い人間」の代表である主人公の「不遜で傲慢」な言葉を嗤いながら罵る。
淀んだ瞳で彼(彼女)を見つつ、戦えないマスターである主人公の本質を次々と切り捨てていく姿を見て、カルデア一行は何も言い返せなかった。
このまま敵対してしまうかと思われたが…。
「そなたの成さんとする大業、我が身の全てを賭けるに些かの不足なし!」
同上。そんな主人公の理解できない行動に対しての回答。
主人公を嗤いながらも、最後は晴れ晴れとした表情で共に成すことを宣言した。
彼女は答えを得た。主人公の様な人間の為に、自分が生まれてきたのだと。この力は、そんな人間を守るためにあるのだと。
なお再契約後、マイルームで絆Lvを最大にした時の会話でもほぼ同じようなことを語っており、本人の中では大事な「区切り」らしい。
「……………兄上、景虎はようやく人の何たるかが分かった気がします。」
同上。答えを得た景虎の、積年の思いから出た言葉。
「姫鶴飛んで、山鳥遊ぶ……、
 谷切り結び、五虎退かば……、
 祭剣まつりて、七星流る……、
 松明照らすは、毘天の宝槍……、」
『ぐだぐだファイナル本能寺』の終盤、摩玖主大本尊に対して宝具を使用しながら。
挙げられている言葉はいずれも長尾景虎が所持していたとされる名刀の銘。おそらく、これが宝具の正式な真名解放であろう。
「はい、そちらですね、持って行っていいですよ。………え~と、ではそれが一つ減って、これが三つ増えて……えっ、帳簿はどこでしたっけ…?
 あぁ~もう! 毘沙門天の化身たるこの私が、何でこんな仕事をしなければいけないのですか!?」
ショップでのセリフ。史実でも領国経営があまり熱心ではなかったが…。
「ふぅ…。やっぱり酒は、越後のものに限りますねぇ。そして、くりやから拝借してきたこのお塩。これで一杯やるのが最高な…。
 ん? いつからそこに? え? こ、これは交易品を検分していただけです。だけでーす…。」
同上。酒と塩が自身の死因になったというのに、全く懲りていない。
「…………毘天の化身と謳われ、親兄弟や家臣にも畏れ敬われたこの私ですが、斯様に私とまみえる人間は見たことがありません。」
「…………。」
「……斯様に無力で弱きものでありながら、……斯様に前へと進み続ける、……理ではなく、己が意、ただそれのみにて。」
「…………。」
「あはは……、あははははははははははは!」
バレンタインイベントにて。傍らで眠る無防備なマスターを見守りつつ、小さく呟く。
しばらく見せなかった濁り淀んだ渦巻く瞳で、相変わらずの「弱い人間」である主人公への「不可解さ」を語るが……。
「あははははははははは! これでよい! これで!」
「あははははははははははは! ええ、これでよいのです!」
「毘沙門天よ! これがというものであるのなら、私は人が分からぬでも構いません。」
「――――ああ、分からぬでもかまわぬ。」
同上。マスター共々放生月毛の背に乗り、月下の雪原を駆けつつ。
未だ彼女には「人」が分からない。そして人もまたきっと「長尾景虎」を理解出来ない。わからないから人は彼女を畏れ、彼女も人を不気味に思うだろう。
けれどもそれでもいい。今の自分には守るべき「弱い人間」がいる。決して自分を理解しようとするのではなく、ただ傍にいて傍で笑ってくれる、どうしょうもなく弱く愛おしい人間が。だから分からなくてもいい、今この瞬間だけは。

メモ

  • 発表されて以降は読者から真名に対する推測も行われており、女性説もある戦国大名「上杉謙信」や、その上杉謙信の部下であり「風花雪月」の言葉で知られている「直江兼続」などが有力視されていた。
  • 後に公開された真名は上記の上杉謙信の別名である「長尾景虎」であり、予想した人間の多くが正解となった。
  • CVを担当する水樹奈々氏は今回が『Fate』シリーズ初参加で、一部ユーザーから「Fateにフェイト・テスタロッサ(『魔法少女リリカルなのは』シリーズのメインキャラ)が来た」と言われている。また『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのメインキャラ・風鳴翼が劇中で発した「防人さきもり」にちなんで「防人ならぬ酒盛りが来た」などとも言われている。
    • フェイト・テスタロッサは『プリズマ☆イリヤ』とのコラボ企画で既に登場経験があるのだが、水樹氏自身も以前に『空の境界』の黄路美沙夜役で型月作品経験済みであり、か細いながらも縁は存在していたと言えよう。
      • そして一年後のぐだぐだイベントにて、相方の高町なのはの中の人が声を当てているサーヴァントである卑弥呼も登場した。
    • ちなみに、水樹氏の誕生日は長尾景虎と同じ「1月21日」だったりする…のだが、実際には旧暦・新暦の違いがあるため約1か月のズレが存在し、新暦における景虎の誕生日は「2月18日」。これはスカンジナビア・ペペロンチーノ役の河西健吾氏と同じである。一方、新暦1月21日生まれの『Fate』シリーズ関係者としてはアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ役の原由実氏が存在する。
  • いつも通りの女体化というわけでもなく、上記のように上杉謙信にはトンデモレベルではあるが「女性説」も普通に囁かれていた。理由としては「生涯妻を持たなかった」「声が高いことが特徴」「月に一度は体調不良になっていた」などが挙げられている。
    • ......が、近年になって妻と婚姻していた史料が発見されており、現在では男性だとほぼ断定されている。
    • 本来、長尾家は関東管領・上杉家の家宰(主家の政務を家長に代わり取り仕切る役割。後の家老)職を代々務めていた家であり、景虎の三条長尾家は越後守護代として越後守護上杉家に仕えていたが、越後守護・上杉定実が後継ぎを遺さず死去したのち景虎が越後国を引き継ぐことを将軍・足利義輝に認められた。2年後、北条氏康との戦いに敗れた関東管領・上杉憲政が越後に逃れ、追撃してきた北条軍を景虎が撃退。同年の武田晴信(のちの信玄)の侵攻も退ける(第一次川中島の戦い)などして発言権を増し、この後も武田氏や北条氏との戦や和睦を繰り返した末に永禄4(1561)年、関東管領・上杉憲政の養子となる形で山内上杉家の当主および関東管領の地位を相続、名を上杉政虎と改めた。さらに同年、将軍義輝より一字を賜り、輝虎と改名する。有名な「上杉謙信」を名乗るのは元亀元(1570)年以降のことであり、謙信は僧としての法号である。
      サーヴァントとしての名を「長尾景虎」としたのは武将としての逸話の中核をなす川中島の戦い、天文21(1552)年の第一次から永禄7(1564)年の第五次までのうち、五分の三をその名で戦ったゆえに全盛期として設定されたものと思われる。
  • やたらとトイレに関わるネタシーンが多いが、これは彼女の死因として「死んだ場所が厠であった」という有力な説が原因。上杉謙信は大酒飲みで有名であり、つまみとして塩や味噌を好んでいたため「アルコールの過剰摂取と塩分過多で高血圧になり、気温の低い厠で過剰に力んだ結果脳溢血を起こしたもの」というものである。
    • 型月ではこのネタが採用されてしまっており、信長が語ったウォシュレットに興味を持っている他、酒盛りをした時は五時間以上も飲み続けて他の酒飲みのサーヴァント達を全員潰してしまい、サーヴァント界屈指の酒豪であることを証明している。バレンタインイベントでも主人公にチョコを渡す傍ら、自分は厨房からくすねてきた洋酒と塩で酒盛りをしていた。
      • なお、そんな彼女であるが酒を飲んでもまったく酔わないとのこと。単に酒が強いだけなのか、酒を飲んでも自分の思考を狂わせる「ことができない」のか、あまり考えたくない話ではある。
  • クラスはランサー、他にライダーの適正を持っていることが判明しているが、川中島の戦で武田信玄に軍配の上から斬り付けた逸話をはじめ、剣の武勇も多く伝えられている。信玄の死後、甲斐の僧・教雅が信玄の言葉として「おおかた太刀においては日本無双の名大将にて御入り候」と謙信を評していたと書状に残している。
    • 他にも、およそ常人からは理解が困難なパーソナリティを持つことからバーサーカークラスの適正を持っている可能性も指摘されている。
  • 『Grand Order』での彼女はなぜか度々「にゃー!」「にゃぁぁ」「許しにゃさい」と猫の如く鳴く。史実の長尾景虎に猫関連のエピソードは時に無く、ゲーム上の彼女も特段猫っぽいというわけでもない。虎=猫科故だろうか。まぁワンと鳴く猫もいることだし。
    • ちなみに歴史コメディアニメ『ねこねこ日本史』において、(謙信に限らずだが)猫になっていたりもする。
  • 上記のイベント(『ぐだぐだファイナル本能寺』)の台詞で名の挙がる刀剣は「姫鶴一文字(重文)」「山鳥毛(無銘一文字・国宝)」「谷切(来国俊との説あり・重美)」「五虎退吉光(重美)」「ば(ネに馬)祭剣(七星剣とも・重文)」「小松明の薙刀(長船近景作・現存せず)」であると思われる。毘天の槍については後継者である上杉景勝が選んだ『上杉家御手選三十五腰』などにも記載がなく、また上杉家が伝えた刀剣類の中でも特に槍は第二次世界大戦後、米沢に駐留した米軍により持ち去られたり損壊されたりしたものが多く、良好な状態での現存資料は少ない。
    • 意外にも、上杉謙信の武勇伝として有名な「川中島の戦いで武田信玄に斬り付けた太刀」は上記の中に無い。史料によって「粟田口国吉・二尺九寸」「典厩割国宗」「赤小豆粥」「小豆長光」「竹俣兼光」などまちまちの候補があり、うち何振かは同一のものの表記揺れとも言われていたりして絞り込み難かったのかもしれない。
  • 嫌いなものに兵糧攻めとあるのは、数少ない黒星である小田原城攻めの失敗が元ネタだと思われる。
    • 後北条氏の拠点であった関東地方の小田原城は戦国最大級の城郭で、総構と呼ばれる城だけでなく城下町そのものを土塀や堀で囲んだ城塞都市とも言える代物であった。
      • 要は中に田んぼも水源もあるので生半可な兵糧攻めが成立しないのである。その気になれば年単位の持久戦とか余裕。しかも陸路だけ塞いでも海路経由で悠々補給されてしまうという鬼畜仕様。無理ゲーにも程がある。
    • 景虎だけでなく武田信玄も攻略に失敗しており、正攻法で陥落することはついぞ無かった。
      • 最終的に秀吉の小田原征伐で陥落するが、この時も周囲の支城を片っ端から奪い尽くして包囲することで降服させている。やっぱり城を落とすのにかけてはサルの右に出るものはいない。
        ただこのときは、陸からは徳川、細川、大友、加藤、上杉、真田、黒田etc...さらには海上封鎖のための水軍として長宗我部、九鬼など瀬戸内の猛者たちという日本史をちょっとかじれば名前の出る有力大名を総動員した豊臣オールスターの全戦力投入でやっと包囲を完成させているので、いち大名の城としていかにとんでもない性能なのかがよくわかる。
      • この小田原の生存性の高さは他の戦国武将たちに絶大なインパクトを与えたようで、後の天下人たる徳川家康が興した江戸城と城下町をはじめ、日本各地の城下町が総構で造られるなど、後の都市のアーキタイプになったといっても過言ではないほどの影響力を持っている。
    • ちなみに『ぐだぐだファイナル本能寺』で鉄砲の弾丸が景虎に命中しない場面が出ているが、小田原攻めの時に小田原城の蓮池門の前で食事を始め、その時に北条方から10丁の鉄砲に2回撃たれるが一発も命中しなかった逸話が元ネタになっている。
      • この射撃が当たらない描写は、Fateにおいては彼女が持つ「鎧は胸に在り」というスキルによるものとされており、彼女が思わず認めてしまうような気迫が無ければ、事象が歪んで飛び道具を用いた攻撃は一切当たらなくなるとの事。言うまでもなく、上記の逸話が由来である。

話題まとめ

謙信死後の上杉家
上述のように謙信は厠で急死するのだが、具体的な後継者を定めていなかった為に、その死後、家督を巡って養子の上杉景勝と上杉景虎(北条氏康の七男)が「御館の乱」と呼ばれる激しい家督争いを繰り広げた。
当初は北条と武田の援助と上杉憲政の支持があった景虎が優勢であったが、景勝が春日山城を奪取した事で形勢が逆転。その後は武田勝頼の援軍を得た景虎が盛り返した事で一旦和睦するも、勝頼は景勝方に付いて撤退してしまい、景虎は孤立無援の状態になってしまう。
激しい戦いの最中、妻子と憲政を失った景虎は実家の北条家に戻ろうとするも、逃避行の途中で謀反に逢って無念の自害を遂げた。
上杉家の家督を掌握した景勝だが内乱の傷痕は非常に深刻で、謙信が鍛えた精鋭のほとんどが失われてしまった。
内乱の最中、これまで謙信に抑えられていた柴田勝家が北陸一帯を平らげて越後に侵攻を開始し、更に伊達氏なども越後を脅かすようになった。天正10年に唯一の同盟者であった武田氏が滅亡した後は周囲を敵対勢力に包囲され、崩壊寸前まで追い込まれてしまう。
しかし、本能寺の変で織田信長が討たれた混乱ではからずも危機を脱し、信長の後継者争いに勝利した羽柴秀吉から臣従を求められると上洛して秀吉の傘下に入る。秀吉にいち早く服従した景勝への信認は厚く、会津120万石への加増移封と豊臣五大老への就任という栄華を得る。一方で徳川家康への抑えと監視役という役割も与えられた事で家康と対立し、関ヶ原の戦いが発生する大きな要因となってしまう。
関ヶ原の戦いで敗北した後、景勝は米沢藩30万石に減増移封され、以後の上杉家は幕末まで(財政難と藩政の腐敗に悩まされながらも)米沢藩の藩主として継続する事となる。

脚注

注釈

  1. あまり他者を利用しようとしたり悪意的に騙そうとしない為狭義のサイコパスには当てはまらないという意見もある。アスペルガー症候群や高機能発達障害との類似も指摘されている。
  2. 比喩ではなく、実装されている立ち絵の差分がすべて笑顔の類。テキスト中では「あいつに人の心など無い」と実の兄からすら断言されていた。

出典


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