概要 編集

ユダヤ教およびそこから派生したキリスト教・イスラム教において、神によって生み出されて手足となって働き、時に人間に啓示を与えて導くとされる存在。
宗教上でも重要な存在であり、聖書では死後に天使となったり生前に天使の導きを受けた聖人が多数登場している。

翼を持つ人型として描写されることが多く、エジプトにおける有翼神に由来しているとされている。
聖書においては何十枚もの翼や複数の顔を持つ異形の姿として描かれており、上級天使になるほど人間離れした姿となる。『人類裁決法廷 トリニティ・メタトロニオス』においても低階位のものは翼の塊のような、高階位のものは首がなく背に翼を生やした人形のような異様な姿であった。

その一方で、魔術世界においては「あるけどないもの」「人格も意志も持たない一種の力の渦」でしかないとされており、一種の概念礼装と見なされている。
魔術の行使の際に力を借りるために天使の名前に準えたり、詠唱の際に決まった天使の名を潜り込ませる事で伴われた魔力を別方向に作り替えるケースもある。

関連人物 編集

天使 編集

ミカエル
大天使の一人。神の軍勢の長とされている。
ジャンヌ・ダルクに啓示を与えたのも彼であるとされている。
1~3世紀頃に成立したと言われる旧約偽典『ソロモンの聖約(ソロモンの遺訓)』では、ソロモンに悪霊を従える指輪を授けたとされる。
人物名としてもよく採用されており「ミシェル」「マイケル」「ミハイル」「ミケランジェロ」などは彼の名前に由来している。
メタトロン
「神の代理人」とも称される高位の天使。語源はギリシャ語の「メタトロニオス(玉座に侍るもの)」など多数の説がある。
メタトロン・ジャンヌが純粋な力としてジャンヌ・ダルクを外殻とする形で召喚されたサーヴァントとして登場している。
ケルビム
智天使とも称される天使。階級としては第二位にあたる高位の天使で、人、牛、鷲、獅子の四つの顔を持つとされている。
ノアの宝具を使用した際に変形した「箱舟」はこの天使を思わせる異形の姿になるとか。なお、『Grand Order』で変形した方舟はロボにしか見えない外見であったが、ゲオルギウスからは「翼を持つ天使の御姿」とされている。
ザバーニーヤ
イスラム教において、地獄を管理して罪人を苛むとされる天使。
全部で十九人おり、歴代のハサン・サッバーハ達が使用する宝具の名前の由来となっている。
アズライール
死を司る天使。「マラク・アル・マウト」(死の天使)の異名も持ち、イスラム教では四大天使の一人にも数えられている。
“山の翁”が使用する宝具の名前の由来となっている。
また、同じ名を持つ蒼きアズライールというサーヴァントが存在しており、彼の宝具にも上記の「マラク・アル・マウト」の名前が使用されている。
マーリク
イスラム教において、上記のザバーニーヤを統率するとされる天使。
蒼きアズライールのスキル「暗殺者の試練」によるステータス「マーリクの業火」の名前の由来となっている。
マルコシアス、クロケル、ウヴァル、カイム、ベリアル
ソロモン王の72柱の悪魔に数えられているメンバー。
堕天して悪魔になる前は天使だったと記されており、特にベリアルは天使の中で最初に堕落した存在とされている。

人間 編集

エノク
旧約聖書に登場する義人。死後に天使メタトロンとなったとされている。
ヤコブ
旧約聖書に登場する聖人。天使と格闘して勝利したとされており、彼の闘法がモーセマルタにも引き継がれている。
シャルロット・コルデー
「暗殺の天使」とも称された少女。
傍らに付き従う卵型のマスコットも「天使」と称されているが、正体が何なのかは2025年現在判明していない。
ダンテ・アリギエーリ
叙事詩『神曲』の作者。
同作内で彼は天使を登場させており、サーヴァントとして召喚された彼は物語に登場する天使の剣を宝具として所持している。
オグ
旧約聖書に登場する、人間と天使との間に生まれたとされる巨人であるネフィリム達の王。
あまりに堕落が酷かったためにノアの方舟に絡んだ大洪水で人間と共に絶滅させられたが、彼のみが方舟に載せられたとされている。

言及作品 編集

メモ 編集

  • デイビット・ゼム・ヴォイドが人生の転機を迎える事になった原因である「天使の遺物」についてはキリスト教的な天使との関連は2025年現在では言及されていない。
  • Fate/Prototype』世界における令呪は天使の羽をモチーフとしており、同時に天使の名を模すマスター階梯を示している。
    • マスター階梯は最上位の第一位が熾天使、第二位が智天使、第三位が座天使、第五位が力天使、そして最下位の第七位が権天使であり、明らかになっている名称はキリスト教の『天上位階論』における天使の階級と一致している。
    • ただし『天上位階論』では九つ階位が存在し、八番が大天使、九番が天使となっている。
      • 九つの階位は『トリニティ・メタトロニオス』における天使にも存在している。とはいえ、こちらは階級毎に名前が変わる訳ではない。
  • メタトロン・ジャンヌは本物のメタトロンではない。本物は魔術世界にはいないとされているが、聖堂教会の奥の方に行けば存在するかもしれないとか。
    • 同時に、TYPE-MOONにおける天使は一般的な意味での天使とは異なるとも語られている[出 1]
  • Notes.』においては、タイプ・ヴィーナスの端末として名前そのままの「天使」が登場しているが、こちらは翼が生えている人間という容姿だけで宗教的な天使との関係性は薄い。
    • なお、同作に登場する少女(V/V)は、タイプ・ヴィーナスが人々の持つ天使のイメージを参考に具現化した存在である。

脚注 編集

注釈 編集


出典 編集

  1. 『週刊ファミ通 2025年8月21・28日合併号』「奈須きのこ氏&武内崇氏『FGO』10周年インタビュー」P.121

関連項目 編集