ビースト

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ビースト(Beast)とは七つの人類悪。

概要

人間の獣性から生み出された、災害の獣どもの総称[出 1]
ビーストの形は一つではなく、獣性に親和・適合した存在がビーストになる。

そもそも人類悪とは、文字通り人類の汚点であり、人類を脅かし、人類を滅ぼす七つの災害を指している。
言うなれば人類史に溜まる澱みであり、人類が発展するほど強大な存在となって、その社会を内側から食い破る人類種の癌細胞のようなもの。
そして、「文明より生まれ文明を食らうモノ」「霊長の世を阻み、人類と築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身」とも言われる[出 1]

これは聖杯と由来を近しくする「救世主が持ち去った人類の七罪」ではなく、人が人であるが故の性質・知恵持つ生き物であるが故の切り捨てる事の叶わないモノである。
全人類が内包しているであろうこの大いなる悪に誰も克つ事はできず、知恵を人類が捨てられないのと同じく、悪もまた捨てることができない[出 2]
なぜならその在り様は敵意によって人類を滅ぼそうとしたゴルゴーンのような復讐者や、茨木童子のような人類に仇なす人外とは完全に逆だからである。彼女たちが人類「を」滅ぼそうとする悪(外的要因)なら、ビーストは人類「が」滅ぼす悪(内的要因)だといえる[出 1]
即ち「人類が発展する際に生み出される業」によって生まれる悪である[出 3]

人類「が」滅ぼす悪。その人理を脅かすものの本質は人間への悪意という一過性のものではなく、人理を守ろうとする願いそのもの。即ち、人類愛である[出 4]
曰く、より善い未来を望む精神が今の安寧に牙を剥き[出 4]、やがて、英霊召喚の元になった人類の自滅機構・即ち自業自得の死の要因(アポトーシス)となる[出 5][出 1]
実際、顕現したビースト達の思想は(形や方向性はどうあれ)慈しみと幸福への願いに溢れた眩いものとも見ることができる。

当然これも霊基として存在し、顕現するが[出 1]、全てが通常のサーヴァントでは到底太刀打ち出来ないレベルの強さを持つ。
これが地球上に完全に顕現してしまった場合、その打倒のために抑止力・人類の安全装置として七つの冠位クラスのサーヴァントが召喚される[出 5][出 1]

また、クラススキルである「獣の権能」「単独顕現」「自己改造」以外にも、
「ネガ・○○」などの名を持つスキルとして、ビースト毎に何かしらの特殊スキルを備えている。

そして恐ろしい点としては、一度ビーストが顕現した世界は他のビースト達が連鎖的に顕現する宿命となる[出 4]と言われており、
ギルガメッシュも、ビーストⅠが出現した段階で「終局のⅦは『Grand Order』の世界のどこかに出現している」旨を語った[出 4]
加えてビーストのうち何体かには『対』の概念があり、右と左、陰と陽のように複数に分かれたセットとして存在している[出 6]模様で、
その『対』となる片割れが顕現し打倒された場合、重りを取り除かれた天秤が傾く様にもう片割れが自然に目覚め顕現することになる。

一覧

これまで登場したのは以下の12体。

名称 キャラクター 固有スキル 演出 アイコン 登場作品
ビーストⅠ
「第一の獣」
ゲーティア 憐憫 ネガ・サモン 顕現 左上 Fate/Grand Order
ビースト¦ カマソッソ 忘却 Fate/Grand Order
ビーストⅡ
「第二の獣」
ティアマト 回帰 ネガ・ジェネシス 顕現[注 1] 右上 Fate/Grand Order
ビーストⅢ/R
「第三の獣」
殺生院キアラ
(ヘブンズホール)
愛欲 ネガ・セイヴァー 変生 右中 Fate/Grand Order
ビーストⅢ/L
「第三の獣」
カーマ/マーラ 愛欲 ネガ・デザイア 氾濫 右中 Fate/Grand Order
ビーストⅣ
「第四の獣」
キャスパリーグ
プライミッツ・マーダー
比較 Fate/Grand Order
ビーストⅣ:L
「第四の獣」
タマモヴィッチ・コヤンスカヤ 愛玩 ネガ・ウェポン
ネガ・セルフ 
生殖[注 2] 右下 Fate/Grand Order
ビーストⅤ
「第五の獣」
ビーストⅥ
「第六の獣」
ビースト (Prototype) Fate/Prototype
Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
ビーストⅥ/S
「第六の獣」
妖妃ドラコー
ソドムズビースト
堕落 ネガ・メサイヤ 喝采 左中 Fate/Grand Order
Fate/Grand Order Arcade
ビーストⅦ
「第七の獣」
異星の神
U-オルガマリー
Fate/Grand Order
不明 スペース・エレシュキガル ネガ・スペース Fate/Grand Order

タマモヴィッチ・コヤンスカヤが愛玩の理を持つビーストとして登場しており、当初はⅤと推測されていたが、光のコヤンスカヤのマテリアルにおいてビーストⅣ候補であることが明かされた。
その後、期間限定イベント『ツングースカ・サンクチュアリ』でビーストⅣとなる。

Fate/Grand Order』ではビースト毎にクラス相性の特性が異なっており、
ビーストⅠがセイバー、アーチャー、ランサーに対して有利、バーサーカーとは互いに弱点を突き、ライダー、キャスター、アサシンに対して不利、アヴェンジャーに対して与ダメージ不利という相性、
ビーストⅡがすべてのクラスに対して等倍という相性、
ビーストⅢ/Rがアルターエゴとムーンキャンサーに対して不利、他クラスは等倍という相性、
ビーストⅢ/Lがアルターエゴとフォーリナーに対して不利、他クラスが等倍という相性、
ビーストⅣ:Lが魔獣型に対して不利、ヒト科に対して有利、非ヒト科に対して等倍、非ヒト科のキャスターに対して与ダメージ不利という相性、
ビーストⅥ/Sが基本七クラスに有利、エクストラクラス全体に不利という相性、
ビースト¦がビーストⅠのものに加え、フォーリナーに与ダメージ有利、ムーンキャンサーに不利という相性を持つ。
また、副属性は共通して獣属性であり、星属性と相克する。

メモ

  • ビーストはそれぞれに「原罪」を持つ。
    • 原罪のⅠは「誕生の時きたれり、其は全てを修めるものアルス・アルマデル・サロモニス[出 7]、原罪のⅡは「■から離れ、楽園を去ったつみ[出 8]
    • キリスト教にいう原罪とは創世記第3章に記されたアダムとイヴが犯した罪のこと。
  • キアラとカーマはどちらも快楽の獣を名乗り、そして「快楽」から別れた側面である「愛欲」を理として持つため、『対』の概念が存在するビーストには共通の理と個別の記号を持つと思われる。
    • ビーストⅢのRはRapture(随喜)、LはLapse(堕落)を示す。
    • ビーストⅥのSはSodom's Beast(ソドムズビースト)を示す。
  • ジウスドゥラは「謂れのない憐憫は悪の一つであり、謂れのない慚愧も、また悪の一つ」と語っている[出 9]ため、慚愧もビーストの理であると思われる。
  • ビーストは共通して「ネガ・○○」というスキルを持つ。○○に入る呼称はそのビーストの在り様や経緯などで異なる。
  • 「単独顕現」はビーストのみが持つ特性とされている。「EXTRA世界なのでギリギリあり」という理由で単独で現界した『EXTELLA』のギルガメッシュ[出 10]、自力で「単独顕現」を獲得したとされるマーリンマーリン〔プロトタイプ〕などの例外もあるものの、「両儀式」の持つ「単独顕現」については「このスキルを持つものは、即ち――」という意味深な記述がなされている[出 11]
  • 2024年現在姿の判明しているビーストは共通して「角が生えている」という外見上の特徴がある。
    • ビーストⅠは枝角が多く本数を判別できないが、ビーストⅡ、Ⅳ、Ⅲ/R、Ⅵ/Sは2本の角を持ち、ビーストⅢ/Lは6本の角を持つ。
    • ヨハネ黙示録第13章に記される黙示録の獣のうち、第1の獣は「角が十本、頭が七つ」あり、第2の獣は「小羊のような角が二つ」あるとされている[出 12]
    • フォウに角が生えていないのはビーストの幼生であるためと思われる[注 3]
    • ビーストⅢ/Lは最終戦では角が無くなるが、これはビーストとして羽化寸前の状態になった為である。
    • スペース・エレシュキガル曰く「魔を示す角は、私たちビーストの証にして誇り」とのことで角があるのは公式設定の模様。なお彼女の角は一見髪飾りに見える部位全部である。
  • 人類悪と呼ばれる者、自らを人類悪と呼ぶは既に何名か出ている。生粋の人類悪と言われた沙条愛歌、自らを人類悪と称した玉藻の前の本体である金毛白面など。
    • 『CCC』ではギルガメッシュがBBのことを「まったく新しい“人類悪”」と評している。BBの所業は人間的でありながら、人間としての情を持たぬ排斥の宇宙(ソラ)だと英雄王が語っており、「人類愛」という情によって引き起こされる人類悪とは異なる性質であるところが「まったく新しい」と言われる所以か。
    • TVアニメ版『UBW』にてギルガメッシュが語るところによれば、汚染された冬木の聖杯も「人間を呪い殺すことのみに特化した人類悪の一つ」であるらしい。奈須きのこによれば、このギルガメッシュの発言と、FGOのクライマックス、そして「月姫R」の中でのとある言及がシンクロする予定であったという[出 13]
    • 『Grand Order』では太公望が金色白面はビーストであると語っており、彼女自身「傾国の獣」「災厄」などとビーストを思わせる異名を持つが、現段階では太公望が語るのみであり、彼女が人類悪ビーストであるかの真偽は不明。
  • 『Grand Order』でのエネミーとして登場する際のクラスアイコンは、赤黒く禍々しい花の様な造形。穴が七つ空いており、そのうちビースト毎に異なる一ヶ所が赤く灯っている。灯った箇所が自身の立ち位置及び該当する理を指し示している。
  • 『Grand Order』での戦闘突入時には魔神柱とも異なった専用の演出が用意されており、それぞれ異なる背景をバックにADVENT BEAST「人類悪 顕現」と表示される。
    • 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』でのBBとの初戦闘の際にもADVENT BEASTと表示されているようだが、桜色のノイズでかき消されており、「人類悪 顕現」とは続かない。
  • 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』における殺生院キアラは厳密に言うとビーストⅢ/Rになる一歩手前の状態であり、羽化前の蛹といったところ。地球の内核に到達し、溶け合った時が羽化となる[出 6]
    • この事情から戦闘時の演出ではADVENT BEAST「人類悪 変生」と表示される。
  • これに対し、『徳川廻天迷宮 大奥』のビーストⅢ/Lは擬似的な宇宙を発生させ、その内側に自身の分身を無数に作り上げて羽化に備えた。
    • この為、戦闘時の演出ではStarry Heavens「人類悪 氾濫」と表示される。
  • ビーストⅣはビーストの一体にカウントされているが、その在り様は他のビースト達と比較しても、ビーストの基本原則として公開されている情報に照らし合わせてもかなり異質である。
    • ビーストは「人類をより良いと感じた方向へ導くよう動く」=「人類愛を行動原理とした存在」であるとされるが、ビーストⅣに関してはこれが当て嵌まらない点。
      • 人が他人と比較する、言い換えれば「競争する」という事象の表れでもある「比較」という理そのものは、某直流交流の例に代表されるように人類文明の発展には絶対に必要不可欠な要素であることは間違いなく、これを「人類をより良い方向に導く方向性」と解釈すれば人類愛の一種であるとは言える。が、終局特異点の台詞から判断するに肝心のビーストⅣ当人には「人類をこうしたい」という明確な目的意識が全くなかったと思われ、自身の司る理であるにも関わらずそれを行動原理とはしていないという部分が他のビースト達とは一線を画している。
    • 他のビースト達が「各々の理念に従って人類を変革すべく能動的に動いた結果人類悪と化す末路を辿った」存在であるのに対し、現状彼一人だけが「現世に存在しているだけでいずれビーストに"なってしまう"」という受動的な形でビースト化する存在として登場しているという点。
    • 他にも、他のビーストが「サーヴァントやそれに類する霊的存在として顕現する」「活動継続不可能なダメージを叩き込まれる形で討伐される」「最終的に消滅する」中、彼のみが「現代に生きている生命体として登場する」「蓄えた魔力を他者のために使いつくして自ら倒されたと宣言する」「倒されたにも関わらず健在で、一個の生命体として未だ活動を続けている」等の点が差異として挙げられる。
  • 「人から生まれ人を滅ぼす」というのが人類悪の性質であると説明されているが、今のところそれを遵守した――というかキチンと人間であるビーストは殺生院キアラただ一人である。
    • ゲーティアは魔術術式、ティアマトとカーマ/マーラは神、タマモヴィッチは災害で死亡した動物霊の集合体、フォウくんに至っては人類という種そのものへ用意されたガイアの抑止力である。どうやら「人類をより良いと感じた方向へ導くよう動く」という条件さえ満たせば、無機物だろうがなんだろうが人類悪たり得てしまうということらしい。
  • 『Grand Order』のアンリマユにビースト特攻効果を付与する絆Lv10時の礼装「最後の欠片」においては、フレーバーテキストとして「それは人類悪を嗤う必要悪。ささやかな平和を築くための安全機構。」という文章がある。「人の世を今より善きものにしようとする」人類悪が「人の世を永劫呪い続ける」必要悪に弱いのは、ある種当然の帰結であるが皮肉極まりない因果である。
    • 生贄の青年と違い、聖杯によって受肉するであろうサーヴァント・アンリマユはあえていうなら「報復」の人類悪。それが桜と一体化していたらビーストになっていたかもしれず、その時は人類の半分ほどが汚染された頃にグランドが現れたかもしれないと語られている。[出 14]
  • 『蒼銀のフラグメンツ』と『Prototype』の戦いを終えたアーサー・ペンドラゴンは原種たるビーストⅠが目覚めたことを知らされ、『L』の瘴気と『R』の残り香を追跡している[出 15][出 16]
  • シオンによると、人類の滅びの原因として何度かアトラス院の演算結果に出てきていたらしい。
  • 逆に、「ビーストになることを望んだがビーストの条件に合致しなかったためになれなかった」例として蘆屋道満がいる。彼は多数のサーヴァントの魂や聖杯、空想樹まで取り込んでビーストに比肩する霊基を得たが、その行動原理がどこまで行っても「ただの我欲」であって人類愛とは無縁だったため、ビーストになることはなかった。
  • カマソッソ南米異聞帯でのみ成立するビーストであり、汎人類史では存在しない。
    • そのためか、「Ⅰ」という数字が「¦」と欠けている。
  • 『Fate/strange Fake』において、エルキドゥはビーストを「尊く慈愛に満ちたもの」とやや肯定的に捉えている事が明らかになっている。
  • ビーストⅠ〜Ⅶの座にはそれぞれ固有キーワードが設けられており、その固有キーワードを発生源にしたものがビーストまたはその候補となる。
    • ビーストⅣの場合、『自然』『動物』が固有キーワードとなる。
      • キャスパリーグは、別世界におけるプライミッツ・マーダーである「ガイアの怪物」。星の抑止力の一つともされる霊獣。「白い魔犬」。
      • ビーストⅣ:Lは、ツングースカ大爆発によって死んだ多数の動物の「痛み、訴え」が集まって産み落とされた自然霊。
    • その他の座の固有キーワードは不明。
      • ビーストⅢの場合、LもRも共通して『愛欲』『神』のキーワードを持っている。
  • 『Fate/Grand Order』及び『Arcade』では、主人公と戦ったビーストの内ゲーティアカマソッソ以外がサーヴァントとして主人公と契約している。
    • サーヴァントとして実装された現在、全て☆5で実装している。
    • 実装される際にはビーストそのままでは来れないためか、大半がそれぞれクラスを変質している。
    • 現在実装されていないゲーティアは、ビーストⅠでのクラス相性やソロモンと名乗り活動していたことなどもあり、実装された際のクラスは「プリテンダー」になるのではないかとプレイヤー間で囁かれていた。
      • が、上述のビーストクラスそのままで実装された先例が出たことから、彼もまたビーストとして実装される可能性も否定できなくなった。
        しかしその先例のみが「汎人類史において唯一介在できるビースト」ともされているため、現在の可能性としては五分五分程度である。

脚注

注釈

  1. 最終決戦においては「第二の獣 決戦」という演出となっている。
  2. 幼体時では「蒐集」。
  3. 実際、強化素材に使われる「太陽のフォウくん」「日輪のフォウくん」のカードにはより成長したと思しき姿が描かれているが、耳と思しき箇所のシルエットがどう見ても角である。

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 『絶対魔獣戦線 バビロニア』第16節「終焉」より。
  2. Type-Moon ACE Vol. 11「英霊伝承~ヘンリー・ジキル / ハイド~」より。
  3. 『Fate/Grand Order material ⅩⅢ』 P.174
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 『冠位時間神殿 ソロモン』第14節「Fate/Grand Otder」より。
  5. 5.0 5.1 『死界魔霧都市 ロンドン』第13節「そして、霧の彼方にて」より。
  6. 6.0 6.1 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』 -閉幕-より。
  7. 『Fate/Grand Order』ゲーティア プロフィールより。
  8. 『Fate/Grand Order』第6章より。
  9. 『Fate/Grand Order』第7章より。
  10. 『Fate/EXTELLA matelial』105ページ「ギルガメッシュ」より。
  11. 『Fate/Grand Order matelialⅢ』164-171ページ「両儀式〔セイバー〕より」。
  12. 『口語 新約聖書』日本聖書協会、1954年
  13. 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは - 4Gamer.net
  14. 「きのことたかしの一問一答」『Fate/stay night [HF] III. spring song Animation Material』
  15. 『Fate/Grand Order』アーサー・ペンドラゴン〔プロトタイプ〕体験クエスト
  16. 『Fate/Grand Order』アーサー・ペンドラゴン〔プロトタイプ〕幕間の物語「今も、追い続けるもの」

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