サーヴァント
概要
魔術世界における最上級の使い魔[注 1]。聖杯戦争に際して召喚される特殊な存在。
使い魔としては最高ランクで、魔術よりも上にある。一般に使い魔という単語から連想される存在とは別格で、一線を画している存在。本来ならば、位が高すぎて人間が使役するには不可能な存在である。魔法使いであってもそれは同様のこと。聖杯の力という補助を得て、初めてマスターとなることが出来る。ただし、英霊を完全な形で召喚するのは聖杯の補助があっても容易ではなく、英霊を丸ごと霊体として再現するのは人間の魔術師ではリソースやメモリが足りない。「役割に即した英霊の一面」というものに限定、英霊が持つ側面の一部だけを固定化する事でその負荷を抑えている。それが七つのクラス。一人の英霊の様々な側面を利用できる反面、同じ英霊が争うこともあり得るので、英霊召喚システムの長所とも短所ともいえる。
その正体はあらゆる時代の英霊。神話や伝説の中で為した功績が信仰を生み、その信仰をもって人間霊である彼らを精霊の領域にまで押し上げた人間サイドの守護者。ただし、霊格が高い程ガイア寄りの存在になっていくため、霊長の守護者とは同じカテゴリーながら異なる立ち位置の存在でもある。時間軸の外にいる純粋な『魂』であり、無色の力。それが実在であろうとなかろうと、人類が存在する限り常に在り続けるもの。実在した英雄でも、実在しなかった英雄でも、英霊が“地球で発生した情報”である事は変わらない。英霊召喚は地球という星に蓄えられた情報を人類の利益となるカタチに変換するもの。サーヴァントはその英霊を現実に“在る”ものとして扱うもの、在るのか無いのか判らない存在にクラスという器を与えて“現実のもの”にした使い魔。
魔術概念における正式名称は「境界記録帯(ゴーストライナー)」。魔術師が作り出した使い魔ではなく、人類史そのものから召喚する使い魔であるため、「かつて記録された現象を呼び出す」という意味で境界記録帯と呼称される。
サーヴァントの召喚は本来、世界や神と呼ばれる人間以上の存在、超自然的な存在が行う権能の域で、「一つの巨大な敵」に対して「人類最強の七騎」を投入する用途の霊長の世を救うための決戦魔術「降霊儀式・英霊召喚」がサーヴァント召喚のオリジナル。
それを人間の都合で使えるように「格落ち」させたもの、元にあった魔術を人間が利己的に使用するためにアレンジしたものが、召喚システム「聖杯戦争」。冬木の聖杯戦争では「七つの力を一つにぶつける」という部分を捻じ曲げられ「召喚された七騎どうしを戦わせる」儀式となっている。
このことから「儀式・英霊召喚」と「儀式・聖杯戦争」は同じシステムだが違うジャンルのものと言える。
英霊を英霊たらしめるものは信仰、つまり人々の想念であるが故に、その真偽は関係なく、確かな知名度と信仰心さえ集まっていれば物語の中の人物や概念、現象であろうがかまわない。果ては馬や絡繰り人形であっても英霊になり得る。ただし、大抵のサーヴァントは虚構のみで成立するものではなく、基礎(ベース)となる神話、伝説、実在の存在がある。虚構だけで成立し得るには、絵本のように子供を守る概念(ユメ)が結晶化したものなど、それ相応の理由がなければならない。
サーヴァントは基本的には死亡時ではなく、その英霊が“最も強かったとき”である全盛期の姿で召喚されるが、技術や記憶などは死亡時のモノまで含めて持つ[注 2]。そのため若い全盛期の身体能力と年老いた晩年までひたすら鍛え上げられた技術を併せ持つサーヴァントや、全盛期の人間性と晩年の記憶を持ったサーヴァントとなることもある。ただし、強い呪い、ないし本人の執着があるのなら死ぬ直前の姿で現れることもあるとのこと。
複数のクラスに該当する英霊の場合、クラスによって顕現するサーヴァントの肉体年齢が違うということもある。このため同じ聖杯戦争に同一人物が別クラスで召喚され、直接対決することも起こりうるという。例えば、全盛期を異なる形で二度迎えた李書文などの場合、荒々しい拳を振るう若い時期で召喚されることも、合理的な拳を振るう老人の時期で召喚されることもある。
芸術家のサーヴァントは感性こそが才能であり、彼らの言う全盛期とはその感性が一番強い時である天才だった頃が召喚対象になる。召喚時において子供の姿で現れるか、大人の姿で現れるかの二つに分かれており、子供の姿は『成長したら節度のある正しい大人になった芸術家』、大人の姿は『大人になっても成長しない、死ぬまでクズだった変人』となっている。
サーヴァントの精神年齢は肉体に引き摺られやすく、若い頃の肉体であれば若い頃に引き戻り、老いた頃の記憶はどこか他人事のように感じることも多い。アレキサンダーやメディア〔リリィ〕のように全盛期ではなく、少年少女時代の側面として召喚されている場合では、大人になった自分の記録があるが記憶でないために実感は薄くなっている。
サーヴァントは一人の英雄の一つの側面を抽出して召喚するものであり、ヴラド三世のように祖国を護った領主としての面を抽出された場合と、狂信的な騎士や武人としての面を抽出された場合で同一クラスでありながら別人のような姿で召喚されることもある。
また、神話の双子、あるいは相棒と共に伝説を残した者たちのように二人一組で召喚されることもある。
後の口伝、伝承や形作られたイメージの結果、生前、実在の人物から歪められてしまったものや、
英霊はサーヴァントとして召喚された時点で元のカタチからは独立しており、契約が解除されて座に戻ると全ての体験は統合された記録として蓄積する[出 1]。サーヴァントは現世で霊基が消滅しても英霊の座にある本体記憶がある限り再召喚することができるが、再召喚された個体は基本的に前の召喚の記憶を持たないため、同一人物の別人となる。
エーテルでできた仮初めの躯であるため、水や食物、睡眠を必要とはしない。だが食べれば味は感じる。
サーヴァントの鉄則として、自分の時代以外の事情には深く関わらず、あくまで兵器として協力する。
この世の道理から外れながら、尚この世に干渉できる外界の力こそが英霊の本質とされ、その力を利用して外界にでようとしたのが聖杯戦争。英霊は第三魔法がなくても、依り代さえあれば実体化が可能。
『Fate/Grand Order』では、人理焼却という未曾有の災害が起きたこと、またカルデアの英霊召喚システムの未熟さによる「その隙間の多さ、曖昧さのおかげ」で、通常ならば例外・不可能・極低確率とされるサーヴァントの召喚も可能となっている[注 3]。その他、常夏の島に召喚された、ハロウィンやクリスマスの様に特別な時期になった、その場のノリ等の理由で、自ら霊基をいじって調整する、聖杯の力を使う、単純に着替えるといった手段を使い元になったサーヴァントからクラスチェンジが為される事もある。この場合普段と異なる服装、クラスにより多少性格が開放的になるなど変化は見られるが基本的には同一人物ではある。が、チェンジ前後の霊基が分離するのか、上記のように同一人物が別クラスで召喚されるようになる(実質分裂、あるいは増殖に近い)。ただしサーヴァントがきちんと水着に着替えるには、霊基を弄くらなければならない。
ガイアの怪物を御するためには七騎の守護者が必要になるとされており、それになぞらえて召喚されるサーヴァントは七騎である。
- オルタナティブ
- 何らかの理由で反転状態にあるサーヴァント。
- 詳細は「オルタナティブ」を参照。
- バーサーク・サーヴァント
- 聖杯の力により属性や伝説の有無に関係なく「狂化」を付与されたサーヴァント。
- 詳細は「バーサーク・サーヴァント」を参照。
- グランドサーヴァント
- 人理を護るその時代最高峰の七騎としてクラスの頂点に立つ「冠位」のサーヴァント。
- 詳細は「グランドクラス」を参照。
- トップ・サーヴァント
- 大英雄として広く伝わる英雄の中の英雄、または通常の七分類とは異なる特殊クラスで召喚された七騎の英傑。
- 詳細は「トップ・サーヴァント」を参照。
- 疑似サーヴァント
- 何らかの理由でサーヴァントとして召喚できない英霊を人の器に入れることによって無理やり召喚したもの。
- 詳細は「疑似サーヴァント」を参照。
- デミ・サーヴァント
- 人間がサーヴァントと憑依融合した存在。
- 詳細は「デミ・サーヴァント」を参照。
- 複製サーヴァント
- サーヴァントの霊基情報を、とある「素材」と、膨大な魔力量を用いて作成された、いわゆる「違法コピー」。本物とは遜色のない能力を有している。
- とある「素材」はサーヴァントを複製するのに必要なリソースを、例えば海の水ほどに「大量」であるところをプールの水程度の「大量」にまで減らすことができるという。
- 幻霊
- 英霊に至れなかった存在。虚構の存在であったり、成立するためのそれ相応の理由もなかったもの。
- 詳細は「幻霊」を参照。
- ハイ・サーヴァント
- 複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。
- 詳細は「ハイ・サーヴァント」を参照。
- 英霊剣豪
- “一切鏖殺”の宿業を埋め込まれて英霊本来の霊基を歪められ、変生して凶暴性の塊のようになったサーヴァント。霊基を砕かれ再構築されたモノ。
- 詳細は「英霊剣豪」を参照。
- うどんサーヴァント
- うどん生地を触媒にして生み出されたサーヴァント。
- 詳細は「うどんサーヴァント」を参照。
- 贋作英霊
- ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕に作られた贋作のサーヴァント。サーヴァントであるが純粋なサーヴァント、純粋な英霊ではない。
- 詳細は「贋作英霊」を参照。
- シャドウサーヴァント
- サーヴァントの残留霊基。英霊の霊基を模した偽物、影のようなもの。
- 詳細は「シャドウサーヴァント」を参照。
- 概念英霊
- 人間の創造物が意思を持ち、或いは人々からの幻想を集めて英霊になったもの。
- チョコ英霊
- 歴史に刻まれたチョコレートの英雄。独裁者の愛したチョコ、偉業を成した冒険家の命を救ったチョコ、数多の人を殺した反チョコなど。チョコレートの英霊が集う場所、『座』は確かに存在している。チョコラミスは術式を使い、その記録を座からダウンロードして七騎のチョコ英霊を召喚し、チョコ聖杯戦争を行った。
英霊召喚
英霊召喚システムの考案者は御三家のひとつ、マキリ・ゾォルケン。あらかじめ聖杯が用意した「七つの筐」に最高純度の魂を収める事により英霊をサーヴァントとして現界させている。
しかし、召還に応じるかは自由意思のため、英霊を召還するには代償が必要となる。彼等は望むものを与えてあげないとこちらの召還には応じてくれない。そのため欺瞞ではあるが聖杯を用意し、彼等の望みに応えるという理由でどうにか召還に応じてもらっている。 このことから、聖杯に頼る程の願いか否かは確かにあるが、英霊は全員「何かしらの理由・目的」自体は必ず持っている。理由・目的が無いものは、オジマンディアスのようにどんな縁のある触媒を使っても召還に応じてはくれない。(オジマンディアスは「妻の遺品を荒らしたことに対しての報復」という理由で召還される。これは「召還者殺害」という目的・理由が出来た為である。)
『Fate/Grand Order』の世界は言ってしまえば、人理修復という大義のある召還であるため比較的快く召還に応じてくれる。対して、聖杯戦争はただの魔術師通しのいざこざであるため、聖杯に掛ける望みも無く参加したがるのは、そもそもが戦闘好きか生前に果たせなかった未練があるかのどちらかとなる。
サーヴァントの願いが他愛もないときに召還者が異常に警戒し不和のきっかけとなってしまうが、魔術師としたら「自由参加にも関わらず進んで人間(格下の存在)の使い魔に成り下がるのだから、それ相応の願いが無ければおかしい」という考えからであり、裏があると疑うのも仕方ない部分はある。
召喚された英霊にも聖杯に掛ける望みがあるため、そのままではマスターを無視して独自の行動をする可能性がある。そのため、召喚時に英霊には現界の条件として命令権(令呪)への服従を背負わせている。またマスターは、本来この時代の存在ではない英霊が現世に留まり続けるための、時間軸への依り代であり、魔力の供給源でもある。これらの要素により、サーヴァントはマスターとの協力を余儀なくされている。
本来なら、英霊そのものではない「英霊としての側面も混じっている」程度のモノは召喚されないはずだが、冬木での第三次聖杯戦争を発端としてシステムに狂いが生じているため、現在は怨霊の類すら召喚可能。なお、「聖杯」は西洋の概念であるため、日本が舞台であっても日本の英霊は少ない[出 2]。
現世の魔術師が英霊を召喚しても本来はこの様英霊そのものを現界させることは難しく、精々が「その英霊にちなんだ現象を借りる」程度のもの。
召喚儀式
相応の霊脈に魔法陣を敷設し降霊の詠唱をすることにより、英霊にエーテルの肉体を与える。といっても英霊を実際に招くのは聖杯であり、そう大掛かりな儀式は必要としない。場合によっては魔法陣や詠唱、魔術回路の励起が無くとも召喚が為される場合もある。召喚の実行が可能なのは、基本的に令呪が与えられているマスターのみ。ただし、聖杯のシステムに介入できるほどの知識あるいは実力があれば、その限りではない。
召喚が可能となる時期については不明。理論上、大聖杯に魔力が満ちた段階での召喚となるが、作品として描かれた第四次、第五次共に、第三次で起こった影響や、過去数度にわたって聖杯に満ちた魔力が使われることなく聖杯戦争が終了していることから、本来想定されている聖杯戦争のシステムからは逸脱している部分が見られる。アインツベルン陣営などは、聖杯に介入することで、本来冬木市でしかできないはずの召喚をドイツで行ったり、第五次では聖杯戦争開始の数ヶ月前からバーサーカーを召喚したりしている。間桐臓硯は聖杯戦争が開始された後から、元々不正な形で召喚されていたアサシンの肉体を触媒として、真アサシンを召喚する特殊な召喚(『complete material』Q&Aによれば「外法」とされる)を行使している。
召喚がなされると、監督役の管理している「霊器盤」に情報が伝わる。伝わるのは召喚されたサーヴァントのクラスのみであり、サーヴァントの真名をはじめとする詳細なステータスや、マスターに関する情報は伝わらない。召喚されたサーヴァントの合計数は把握できるため、これをもって七騎のサーヴァントが出揃ったか否かを判断し、監督役は聖杯戦争の開催を宣言する(無論、形式上のものである)。
魔法陣
生贄の血液、水銀、溶解させた宝石などをもって描かれる。消去の中に退去、退去の陣を四つ刻んで召喚の陣で囲んだもの。
詠唱
基本的には以下の通りである。
素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ。閉じよ 。閉じよ 。閉じよ 。閉じよ 。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
詠唱にはマスターの起源や個性、系譜など様々な要素が組み込まれることがある。
例1)遠坂家はその出自から詠唱には「礎に石と契約の大公」の次に以下の一節を加えている。
- 遠坂時臣/凛:「祖には我が大師シュバインオーグ――」(「シュバインオーグ」は遠坂家の大師父キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグのこと)
例2)『Fate/Apocrypha ACT1 Unbirth』に登場する相良豹馬の詠唱は「礎に石と契約の大公」の次に以下の一節を加えている。
- 相良豹馬:「祖には我が大師■■■■■■■」
例3)『Fate/strange Fake』に登場する魔術師カーシュラの詠唱は「礎に石と契約の大公」の次に以下の一節を加えている。
- カーシュラ:「祖には我が大師××××××――――――」
例4)『Fate/Apocrypha』では「礎に石と契約の大公」の次に各陣営の色を宣言する一節が加えられている。
- 黒の陣営:「手向ける色は“黒”。」
- 赤の陣営:「手向ける色は“赤”。」
例5)『Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚』に登場する琥珀は「素にうんたらかんたら」の次に以下の一節を加えている。
- 琥珀:「遠野にまつろう巫浄のなんたら」
なお、バーサーカーに関しては、詠唱の「我は常世総ての悪を敷く者」の次に以下の一節を加える事でクラスを先決めすることも出来る。
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
また亜種聖杯戦争においてはアサシンにハサン・サッバーハ以外の英霊を召喚するための追加詠唱が存在するようだが詳細は不明。
Fate/stay nightのUBWルートで凛がセイバーと再契約する際の詠唱と返答。
- 遠坂凛:“―――告げる! 汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に! 聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら―――”
- 遠坂凛:「―――我に従え! ならばこの命運、汝が剣に預けよう……!」
- セイバー:「セイバーの名に懸け誓いを受ける……! 貴方を我が主として認めよう、凛―――!」
FGOコミカライズ版『-turas rèalta-』のオルレアン編で藤丸立香が特異点で召喚されたジャンヌと契約を交わした際の詠唱と返答。
- 藤丸立香:「告げる 汝の身は我の下に 我が命運は汝の剣に――― 聖杯の寄るべに従い この意 この理に従うならば――― 我に従え!! ならばその命運 汝が”旗”に預けよう!!」
- ジャンヌ:「ルーラーの名に懸け 誓いを受けます… 貴方を我が主として 認めましょう 藤丸立香…!!」
触媒
触媒とは、サーヴァントとなる英霊を指定して召喚する場合に必要となる物品のことを言う。
聖杯は基本、召喚儀式を実行したマスターに相応しいサーヴァント(相性の良いサーヴァント)を召喚する。これに際し、マスターが召喚の儀式の際、サーヴァントとなる英霊を指定して召喚しようとする場合、触媒を用いることでそれが可能になる。この場合の触媒とは、その対象となった英霊とゆかりのある何か。
触媒が英霊とゆかりの深いもの(例えば英霊の代名詞といっていいもの)であれば、マスターとの相性が悪い場合でも召喚ができる。触媒が英霊とゆかりの浅いもの(特定の英霊の代名詞とはいえないもの)である場合、触媒とマスターとの相性、双方が考慮され決定される。また、触媒が複数の英霊に対応したものの場合、その複数の中からマスターとの相性がよい英霊が召喚される。『complete material III』では複数の英霊に対応した触媒としての例にトロイ戦争のシンボルたる「トロイの城門」が挙げられている(この場合、トロイ戦争の英雄達から誰かが召喚される)。『Apocrypha』では獅子劫界離が「円卓の欠片」を用いてこの「複数の英霊からマスターと相性の良い者が選ばれる」特性を意図的に利用している他、例として「アルゴー船の残骸」を触媒にした場合には大英雄ヘラクレス、キャプテンであるイアソン、裏切りの魔女メディア、医術の神アスクレピオス等の中から、マスターとの相性を考慮して召喚されると示されている。
なお、触媒によって指定できるのは招かれる英霊のみであり、その英霊が複数のクラス資格を持っていた場合、触媒によってクラスを指定することはできない(単一のクラス資格しか持っていない場合は考慮する必要はない。またバーサーカーに関しては前述のように詠唱によってクラスを決定出来る)。『Fate/Zero』では遠坂時臣が、ギルガメッシュがアーチャーとして呼ばれたことを嘆く描写が見られる。
なお触媒はサーヴァントを召喚しても無くなりはしないため、呼び出したサーヴァントにより触媒が気に食わないとして破壊されたりせずに回収できれば、後の召喚儀式にて使用することも可能。
『Apocrypha』など亜種聖杯戦争が開催されるようになった世界では、冬木の聖杯戦争のシステムが知れ渡ったことで聖遺物が世界中に離散し、価格も高騰している。
第三次聖杯戦争
- アヴェンジャー
- アインツベルンが手にした古い教典。
第四次聖杯戦争
- セイバー
- コーンウォールから発掘された聖剣の鞘。
- アーチャー
- この世で最初に脱皮した蛇の抜け殻の化石。
- ライダー
- 生前身に着けていたマントの一片。
- ランサー
- ケイネスが触媒を新たに手配し入手したとはされているが、具体的な物品は不明。
- バーサーカー
- 詳細不明。小説・ドラマCD・漫画には触媒の有無も含めて描写がないが、アニメオリジナルのセリフとして雁夜に対する臓硯の「貴様に相応しい聖遺物を見つけておいたわ」というものがある。
- アサシン
- アサシンというクラスそのもの。
- キャスター
- 触媒なし。「殺人に耽溺する」という二人の精神の共通性。
第五次聖杯戦争
- セイバー
- 士郎の体内にあった聖剣の鞘。
- アーチャー
- エミヤが所持している、凛が士郎を救うために使ったペンダント。
- ランサー
- フラガ伝来の、オリジナル・ルーンの刻まれたイヤリング。
- ライダー
- エルトリアの神殿から発掘された鏡。
- この触媒自体とライダー自身のゆかりは浅いものであり、マスターである間桐桜との相性、「被害者でありながら加害者になる」「いずれ破滅する運命」という共通性から選ばれた。
- キャスター
- コルキスにあったメディアゆかりの文献。
- バーサーカー
- ヘラクレス神殿の礎である斧剣。
- アサシン
- 柳洞寺の山門。
- 真アサシン
- アサシンというクラスそのものと、マスターである間桐臓硯との「永遠を望む」という共通性。
聖杯大戦
- 赤のセイバー
- 円卓の欠片。召喚後に破壊された。
- 赤のアーチャー、赤のランサー、赤のライダー、赤のキャスター、赤のアサシン、赤のバーサーカー
- ブラム・ヌァザレ・ソフィアリによって集められた触媒。詳細不明。
- 黒のセイバー
- 血に染まった菩提樹の葉。
- 黒のアーチャー
- 古びた一本の矢。
- 黒のライダー
- 染みの残ったガラス瓶。
- 黒のバーサーカー
- 人体図の描かれた古紙。
- 黒のアサシン
- かの連続殺人鬼が愛用したといわれる六本の業物(四本の奇怪な形をした短刀と、二本の肉切り包丁)。
Fate/strange Fake
- アーチャー
- 黄金郷の蔵の鍵。
- バーサーカー
- ジャック・ザ・リッパーの銘柄入りナイフのレプリカ。
- ランサー
- マスターである合成獣そのもの。
- セイバー
- コーンウォールからの発掘時、エクスカリバーの鞘が納められていた箱。
- 真アーチャー
- フランチェスカによって用意された触媒。具体的な物品は不明。
- 真キャスター
- マスターであるフランチェスカそのもの。
- 真バーサーカー
- マスターのハルリによって用意された触媒。具体的な物品は不明。
Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
- ランサー
- 炭化した古き館の破片。
- ライダー
- ネフェルタリが最期に身につけていた首飾り。なお彼は自分自身のミイラのような、彼本人にいくらゆかりが深いものを触媒としても召喚されない例外。
- キャスター
- 複数の「石」。
Fate/Grand Order
- ジル・ド・レェ
- 漫画版『Fate/Grand Order -turas réalta-』での設定では、第一特異点における触媒は、生前のジル・ド・レェ自身。
- ハーゲン
- ラインの黄金。
- 坂田金時
- ニコラ・テスラの雷電。
- 玄奘三蔵
- 経典の巻物。
- ソロモン
- 十個目の指輪。
- キルケー
- シバの女王
Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿
- フェイカー
- 生前イスカンダルが身に着けていたマントの一片。第四次聖杯戦争でのイスカンダル召喚に使ったそれをドクター・ハートレスが所有者であるロード・エルメロイⅡ世から盗んだもので、魔眼蒐集列車での事件終盤に返却されている。
現界
サーヴァントとは英霊であり、現世では聖杯の力でエーテルで出来た仮初の肉体を与えられる。サーヴァントは血肉を備えた「実体」と、不可視で物理的に縛られない「霊体」の二つの状態をとることができる。基本的に、両者の行き来に制約はなく、サーヴァントの意思によって自由に行える。実体は物理的干渉力を持った状態であり、基本的には戦闘を行うための状態。霊体は物理的干渉力を持たない状態であり、基本的には非戦闘時の状態。
霊体の状態であれば、サーヴァントを維持するための魔力の消費が少なくて済み、敵からは目視されず、物理的に干渉されないため壁を抜けて移動できるなど、偵察行動などに向いている。ただし、この状態では相手から干渉されない代わりに自らも相手に干渉できないため、敵を攻撃する等の行動はとれない。しかもサーヴァントの持つ武装の多くは概念・魔術的特性を持っているため霊体にも干渉できる場合がある。自らは防御手段をとることができず、敵から一方的に攻撃される危険を孕むため、サーヴァント同士の戦闘中に霊体化することは安全とは言えない。唯一不可視化する利点はあるが、サーヴァント同士は(個人差はあるが)互いに気配を察知できるため、万全の安全策とはならない。また、霊体化は世界との繋がりを薄めている状態である故、「洗礼詠唱」等をこの状態で受けると、普段は問題無く耐えられる攻撃にも関わらず大ダメージを負う危険性もある。
サーヴァントの実体は、「霊核」と呼ばれる存在の周囲を、魔力で出来た肉体で包むことで成立している。肉体そのものは仮初のものでありサーヴァントは基本的に魔力が尽きない限り活動できるが、肉体の損傷は霊核の弱体化を招き、結果として通常の人間と同じくサーヴァントに対するダメージとなる他、心臓の喪失や首の切断などが起こればサーヴァントも死亡(霊体も含め現世でのカタチを保てなくなって霧散)する。敵から受けたダメージのみではなく、自身の宝具などで魔力を消費することでも霊核が消耗し、限界を超えた宝具の使用で自滅するケースもある。
サーヴァントは現世に留まること自体に魔力を消費するため、契約したマスターからの魔力供給がなければ、現界を保つことはできない。さらにマスターは英霊が世界に留まるための要石にもなっているため、マスターがいないサーヴァントはスキル「単独行動」を持たない限り、例え魔力があったとしても手足が重くなり、現界を保つために使用する魔力量も増える。 詳細に言えば魔力が「活動するためのエネルギー」、マスターとの契約が「現世に留まるための要石」。マスターを失うと「エネルギー」と「要石が失くなった負担」2つの魔力を自力で捻出しなくてはならなくなるので、すぐに消えてしまうということ。召喚に必要な触媒が概念ではなく遺物だった場合、この遺物も要石として機能するらしいが、触媒で召還されたサーヴァントもマスターが不在になると直ぐに消えてしまっているためどれくらいの効力があるかは不明。
『Fate/Grand Order』では、聖杯は聖杯戦争の最後の勝者が手にするものであるにも関わらず、特異点では勝敗が決まる前に既に所有者がいる、という矛盾を正すため、聖杯によってマスターを持たないはぐれサーヴァントが召喚されている。
冬木の聖杯戦争においてマスターを失ったはぐれサーヴァントは通常、「単独行動」のスキルがなければ魔力供給がなされずにすぐ消滅してしまう運命にあるが、運良く他のマスターと再契約するなどの手段があれば、復帰する可能性が残されている。一般人などと契約することも可能だが、魔力供給手段がないので魂食いなど別途魔力を供給する手段を確立する必要がある。『Fate/stay night』作中ではメディアが一時的にこの状態に陥っている。『Fate/Apocrypha』のジャンヌ・ダルクや『Fate/EXTELLA』のアルトリア・ペンドラゴンなどはマスター不在ではあるが、聖杯(ムーンセル)そのものが召喚者であるため、はぐれサーヴァントには該当しない。
受肉
通常、サーヴァントはマスターがいなければ存在を保つことができないが、肉体を得ることによって自力のみで現世に留まることができる。これを「受肉」と呼ぶ。受肉したサーヴァントはマスターやサーヴァント召喚システムの支援なしに魔力を生み出すことができるようになる。主な受肉の方法としては「聖杯に願う」というものがポピュラーであり、「受肉して第二の生を過ごす」などを目的に召喚に応じるサーヴァントも多い。
クラス
七騎のサーヴァントそれぞれに割り当てられる七つの「役割」。言ってしまえばRPG等における「クラス」「職業」「ジョブ」のこと。
クラスには大枠として基本の能力値や保有スキルといったクラス特性が(生前の能力値とは別に後付けされるものとして)存在し、どのような英霊なら該当するかの条件も加わって、そのクラスらしさのある能力のサーヴァントになっている。剣の英霊ならばセイバーに、槍を用いた英霊ならばランサーとして、召喚された英霊はそれぞれのクラスの特性に合わせた存在として顕現し、己の業をさらに研ぎ澄ましている。また逆に、生前有していた武装や能力も、クラスによっては発揮できなくなる可能性を持つ。
基本7クラスのうち、特に強力なクラスとされるセイバー、アーチャー、ランサーを総称して「三騎士」と呼び、残りのライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーを総称して「四騎」[出 3](または「四騎士」[出 4])と呼ぶ。
冬木の聖杯戦争では1回につき7騎召喚されるが、ぞれぞれが基本7クラスに対応するとは限らず、三騎士以外は代わりにエクストラクラスで召喚される可能性がある。また、同一のクラスのサーヴァントが二人現れるということはなく、必ず7クラスそれぞれに英霊が割り振られる[注 4]。既に特定のクラスの枠が埋まっている場合、後に召喚された英霊はそのクラスに就くことはできない。
『Fate/Grand_Order』ではクラス間の相性が設定されており、サーヴァントではない魔物や敵兵士といったエネミーにも便宜上のクラスが設定されている。
クラスは以下のようなものがある。
属性
各サーヴァントの精神的な傾向。ステータスで確認できる。秩序・中立・混沌からなる「重んじる方針」と善・中庸・悪からなる「性格」の2つの要素によって決定される。
属性間の相性については「性格」の不一致であれば大きな問題にはならないが、「重んじる方針」が違う場合は軋轢が大きくなる[出 5]。
隠し属性
英霊の由来における立ち位置を表す属性。英霊が「どのようにして誕生した」のかという分類。名称はTYPE-MOONエースの付録の小冊子「Fate/Grand Order Servant Storage」に準拠。
大きく分けた場合、『人』・『地』・『天』・『星』の4つに分類されるが、極めて稀に『獣』という5つ目の属性を持つ英霊が存在する。
- 人:いわゆる実在した英雄と偉人。西暦以後に人類へ貢献した偉人が死後に英雄視され共通認識となったものを指す。本当に生前から超人的な能力を所有している場合もあるものの基本的には死後に大衆によって神格化された英霊[出 6]。
- 地:土着の幻想伝承に語られる英雄。妖精や魔獣、神性のスキルを持たない英雄も含まれる[出 7]。
- 天:神霊が英霊にランクダウンしたもの。神性のスキルを持つ神の子や伝承の具現化もコレに入る[出 7]。
- 星:人類史の中で大きな希望を残した人間。「星の開拓者」に近いとされるが、単に偉業を達成しただけではなく、キラキラと光る星でなければならない。そういった概念的なものも含めている[出 8]。人類における希望、困難を打ち破る象徴[出 6]。天・地・人のどれでもなく、しかし天の下、地に在って、人から生まれたモノであるため、例外中の例外として扱われている[出 7]。
- 獣:公式には不明であるが、『Fate/Grand Order』に登場したビーストクラスおよび殺生院キアラ〔アルターエゴ〕が共通して持つことから、人類史から生まれ人類史にあまねく害を齎す存在であるビーストに関連する者であることが推察されている。
天・地・人の三すくみがあり、『人』は天に強く、地に弱い。『地』は人に強いが、自身を作り出した神には敵わないため天に弱い。『天』は地に強いが、人間に信仰されなければ「存在しないもの」になるため人に弱い[出 7]。 『星』は一見あらゆるカテゴリに対してマイナスを持たない万能属性だとされてきたが、実際は天・地・人の三すくみには一切関わりがなく、その本質は別で『獣』と相剋する所にあった模様[出 6]。
パラメータルール
サーヴァント自身の能力(筋力・耐久・敏捷・魔力・幸運・宝具の6種類)、及び所有スキル、所持する宝具の性能の評価を表すもの。いわゆるステータス表示。「英霊の固有能力」ではなく「サーヴァントの固有能力」なので、同じ英霊でもクラスやマスターによってランクは変動する。
A・B・C・D・Eの5段階評価であり、通常値を1とするとEが10で1段階上昇するごとに10上昇する[出 9]。E~Aに該当しない別格の能力値は「EX」と表記される。ただし、EXランクだからと言って必ずしも火力などの面でAランクを上回るわけではない。「+」表記は瞬間的に数値が倍加できる特殊能力の事を指す(+ならば2倍、++ならば3倍、という風になる)。例えば「C+」であれば通常時は30であるが一瞬だけならば60に跳ね上がり、ランクA(50)を上回る能力となる。基本的に+を持つサーヴァントは稀少であり、++は破格、+++ともなれば別格。「-」表記は判定上はそのランクだが実際の能力はそれ未満であるもの、また安定しない数値を表す。例えば「B-」である場合、各種判定はBであるが実際の能力そのものはC程度でしかなかったりB相当の能力を発揮できる機会が限られていたりする。
筋力と耐久の「A++」は人の身では絶対に不可能なランクだとされており、現在所有しているのはスキル「天性の魔」を持つアステリオスとスキル「変転の魔」を持つゴルゴーンのみとなっている。トーマス・エジソンの筋力「E」は、はちきれんばかりの肉体を戦闘向けにコントロールできない所為で、決して身体能力が低いわけではない。BBの「★」は計測不能で、カウントがオーバーしているのではなく数値にすることが出来ないパラメータを指す。
ステータス画面にあるサーヴァント能力の宝具ランクと、持ち物としての各宝具についているランクの違いについてだが、原作者曰く原則同じ。詳細な性能を表した数値化も可能だが、英雄の能力はある意味言葉遊び的な「~より強いが~には負ける」みたいなもので、数値よりも大まかな概念としてのA~Eのカテゴリー(+がつけば性能倍加)に分けてある。なので同じA〜Eで表されてはいるが、同じ基準での評価というより大雑把な指標である。また、宝具には「強さが数値化出来る宝具」と「特殊な宝具」というジャンルがあるようで、宝具のレベルはB(ランクBのことを言ってるのかは不明)、能力が数値で表せるものが平均的な宝具とのこと。例として、壊れた幻想、風王結界、突き穿つ死翔の槍があげられている。数値化出来る宝具の威力と筋力の威力の換算では、Cランク宝具の威力は筋力A〜A+に相当する(アルトリアの風王結界とヘラクレスの事例及び作中のアルトリアの言葉から)。 逆に効果が概念的なもの、運命干渉系が特殊な部類とされ、刺し穿つ死棘の槍といった数値で強さを表せられないものがこれに該当し、敵の性能を無視して勝利することが可能。
なお、登場人物の発言や用語辞典などで、サーヴァント自身を指して「ランクA以上の大英雄」などといった表現が稀にされる場合があるが、筋力などの個別の能力ではない、全ての能力を包括したサーヴァントの個体能力にランクがつけられているという話は、公式の設定として正式に示されたことはない。開示されていないだけで正式にそういうランクがあるのか、単に発言者の印象から出た言葉であるのか、詳細は不明。
パラメータが戦闘力の物差しとして考えられがちだが、基本的にパラメータはそのサーヴァントの本調子の状態に過ぎず、契約したマスターに応じてパラメータには補正がかかる。絶対不動の存在である宝具の威力でさえ、持ち主の魔力供給の程度で切れ味が変動するなど、マスターがコンスタントに魔力供給を行えるか否かが戦闘の情勢に大きく影響を及ぼす。
現に、マスターを失ったエミヤは魔力を消費する行動を多々行ったとはいえ、単独行動のクラススキルを持つにもかかわらず、半日で本来の1割程度の力しか発揮できなくなった。
クー・フーリンとディルムッドはパラメータの表記ではそこまで差がなく、技量自体もクーフーリンの方が上。しかし、マスターからの魔力供給量がクー・フーリンより優れているため、単純な火力勝負ならディルムッドに軍配が上がるとのこと。
パラメータ(能力値)は、奈須氏が昔遊んでいた自作のTRPGシステムの名残りで、A~Eの5種類を筋力、耐久、敏捷、魔力、幸運の5つにアルファベットが被らないように割り振っているとのこと[出 8]。中にはパラメータが被っているサーヴァントもいるが、それは特例として、Aがない代わりにBが2つや、Aが2つあるがCも3つなど、バランスが崩れない限りアリということになっている。宝具のランクはまた別で自由に設定していいことになっている。
アルトリア(士郎がマスター)はAランクがない代わりにCとBでバランスよく構成され凛がマスター時のときは全体的にワンランク上がるがその分魔力の消費が激しくなっている、クー・フーリンは敏捷を中心に身体能力が高く魔術の心得もあるため魔力も並にはあるが幸運で割を食っている、エミヤは総合値が慎二がマスターのときのメドゥーサと同じと低い、メドゥーサ(桜がマスター)は筋力、敏捷、魔力が高ランクな分耐久と幸運が低い、メディアは身体能力系が全て低めだがその分魔力と幸運が高い、小次郎はAが2つあるがEも2つある、ハサンはクー・フーリンと同じステータスだが、技量が低い。ヘラクレス(パラメータが狂化込みと仮定して)はパラメータの黄色ゲージを無くしても幸運C、筋力B+、他全てBと他のサーヴァントより高い、狂化込みでほぼAランクと破格ではあるが魔力の消費がアルトリア(凛がマスター)以上、狂化込みじゃない場合だとしても普通のマスターでは扱えないレベルの魔力消費量。ギルガメッシュは士郎がマスター時のアルトリアとほぼ同じであるが幸運がAと少し高めである。
ただ、Fateシリーズの場合はこうした能力値とは別のところで、Fateの世界観における総合的なサーヴァントの強さを奈須氏がランク付けしているため、能力値だけで強さが決まるわけではない[出 8]。例えばエルキドゥはAランクであると言われている[出 10]。
知名度と真名と強さ
サーヴァントのステータスを左右する要素には土地、知名度、マスターの魔力の3つがある。
サーヴァントの能力には知名度による補正がかけられる。 召喚された地域においてその英霊が非常に有名だった場合、それだけの信仰心を集めることになり、より伝説に近い能力と装備になる。 また逆に、伝承に記されている武装や能力があったとしても、召喚された地ではまるで知られていないようなマイナーな存在であった場合、サーヴァントとしてはその能力を備えないといったペナルティともなりうる。
- 例:クー・フーリンは、ゲッシュによってアルスターの戦士達が眠りにつく中、ただ一人その出自に起因する「不眠の加護」を持っていたため、それを免れた。しかし、サーヴァントとしてこのスキルは持っていない。
この知名度補正は「その時、その場所で、どれだけの人に、認知されているか」というものであるので、当然時期によっても左右される。「昔は有名だったが、この時代では忘れ去られている」、「未来では知られているが、今はまだ知られていない」等といった場合も例外なく弱体化する。
なお、この補正とは「伝説の再現度」と言う意味である。サーヴァント化したことによる最低限の肉体の強化、マスターからの魔力供給・令呪によるブースト・聖杯から与えられる知識とクラススキル、各自の伝承によって後天的に付加される固有スキルを除けば、知名度の補正によってサーヴァントが元となった英霊より強くなる事はない。
あまり知られていないが、土地にもこの知名度と全く同じ補正があり、知名度と関係なく英雄の伝説となった土地(文化圏)に近い程サーヴァントは強くなる。そのため、プロフィールに記される「地域」が広域なものも高名な英雄同様強くなりやすい。
真名は召喚された者の真の名前、いわば「正体」。基本的にこれは秘匿される。相手に正体が知れるということは、英霊の残した伝説・伝承が知られるということであり、その弱点につながる情報をさらすことにもなってしまうため。
- 例)『召喚されたのがアキレウスであると相手に知られる』=『アキレウスの伝承から、かかとが弱点であることが相手に知られてしまう』
彼らがクラス名で呼び合うのは、真名を使うことなく互いを呼び合うためである。
英霊の格
サーヴァントとしての能力は英霊の格によって変わる。「生前、どれくらい強かったか」というのもあるが、その能力を「知名度」がどれだけ支えられるかによって能力が決まる。 生前何をしたか、どんな武器を持っていたか、というのは不変のものだが、基本能力はその時代でどのくらい有名なのかで変わってくる。 英霊は神のような存在のため、人間に崇められれば崇められるほど強さが増し存在が濃くなる。信仰を失った神霊が精霊に落ちるのと同様、人々に忘れ去られた英雄にはそう大きな力はない。だが忘れられていようが知られていなかろうが、元が強力な英雄だったらある程度の能力は維持できる。 多くの人が知っている英雄で、かつその武勇伝も並はずれていたら間違いなくトップレベルの格である。 このことからヘラクレスは「Aランクのサーヴァント」と凛から称されている。 知名度が関わってくるため、召還場所や時代によってこの格は変動する(クー・フーリンは欧州であればヘラクレス、アルトリアと同格になるとされる)。
サーヴァントの強さ
攻撃能力においては「だいたい戦闘機一機分」、破壊力においては「近代兵器のほうが強力なものが多い」とされるが、霊体であるため通常攻撃が効かない。[出 11]。
――サーヴァントの強さとは、どれくらいなモノなんでしょう?
奈●これはですね、攻撃能力はだいたい戦闘機一機分なんですよ。戦闘機は個人で立ち向かうには強力すぎる力をもっているけども、ひとつの町を滅ぼすには何度も補給しなければならない。ただ連中(サーヴァント)が厄介なのは、奴ら霊体なので通常攻撃が効かないんですよ。破壊力においては近代兵器のほうが強力なものが多いんですけど、通常攻撃が効かないと言う時点でいまだ最強。で、戦闘機も核弾頭を搭載できたりするように、宝具をそれぞれ備えており、中にはとんでもない宝具を持ってる奴がいる。だから、強さは戦闘機ぐらいだと言うのがイメージしやすいかなと。
- 霊体に効果のある近代兵器を使うサーヴァントの強さ
- 第四次聖杯戦争の折、バーサーカーが戦闘機を宝具化してセイバーを襲撃した際は、セイバーはマスターを守らねばならず、戦闘機のバルカンは威力が大幅に向上していたとはいえ機銃だけでセイバーを防戦一方へと追い込んで、敗退直前まで持ち込んだ。
- 同じく第四次聖杯戦争時、同じくセイバーを、バーサーカーが宝具化させたサブマシンガンを用いて迎え撃ち、これまた同じく防戦一方へと追い込んだ。
- ただ、サーヴァントの間では「銃よりも剣のほうが強い」というのは共通認識のようで、銃器が大きな効果を発揮できるのは大火力での面制圧が中心となっている。
吸血鬼/死徒などとの比較
- (30%制限がかかっている通常時の)アルクェイドと比較して彼女の四分の一(アルクは強さが4倍であって、個体能力では2倍程度)。単独では勝負にならないが、二対一で、片方が防戦に徹してもう一方が背後を突くならば勝機はある。
- また、バックアップである星からの絶対命令として相手の強さよりやや上の出力しか許されないアルクェイドに対して、個体能力によらない強さを持つギルガメッシュはその特性上、非常に相性が良いサーヴァントとして名を挙げられている。
- ゲイボルク(刺し)の特性上、いかにアルクェイドが能力値的に凌駕していようと、クー・フーリンにも運次第でコロっと殺されるとのこと。
- 二十七祖と五次サーヴァントが戦った場合は相性の問題もあるが基本的にはサーヴァントがやや有利。特に三騎士と二十七祖の戦いは安心して見守れるという。
- 二十七祖のような物量と異質さで圧すタイプ相手にはエクスカリバーがめっぽう強いものの、中にはその火力で斃しきれないタフな祖もおり、そういった高HPを持つ相手に対してはクー・フーリンが強い。
- Fate以外のキャラが平均的宝具(ランクB。ただし運命干渉系を除く)を持つサーヴァントと一対一でやりあうと
- サーヴァントと二十七祖が戦った場合、どちらも神秘に生きるものでありお互いにお互いを殺す手段を持つため、どちらが強いかは「状況次第」「どっちもどっち」となる。ただし地球上のルールが成立しないORT、霊長に大して超有利を持つプライミッツ・マーダーは別格。
人食い
英霊は人間霊に性質が近いため、生きた人間の精神や魂を食うことで自身の魔力の強化・補充が可能である。スキル「自己改造」を持っている場合は他のサーヴァントを食らうことも可能。
とはいえ戦力を大きく変動させる程の能力ではないうえ、魔術師がおしなべて隠密行動を好むこともあり、聖杯戦争が人間狩り大会になるようなことはまずない。 一般社会を崩壊させるほどに破壊的な参加者には監督役や裁定者から討伐令が下されることもある。
また、英霊はかつての英雄達らであるが故に高潔な精神を持つ者も多く、そういった者達はそもそも人食いと言う行為そのものを嫌悪する。積極的に人食いを実施するのは反英霊や、殺人に抵抗の無い精神性、または「狂化」の持ち主である英霊くらいである。
英霊の分類
英霊の分類としては生前の偉業が称えられ英霊となった「英雄」、 そういった英雄たちに本来ならば打倒されるべき存在の「反英雄」、生前に英雄としての力の代償として死後の自分を星に売り渡した「守護者」が挙げられる。
反英雄
読んで字のごとく、英雄の反対、度し難い殺戮者を意味する。幼いままの願望を持つもの。綺麗ごとを信じ、そのために汚れ役を引き受けるもの。自らを強大な悪とし、有象無象の小さな悪を打ち消すもの。言ってしまえば、存在そのものが悪とされるものでありながら、その悪行が人間全体にとって善行となるもの。本人の意思とは裏腹に、周囲の人間が救い手と祭り上げたもの。端的に言えば人柱や生贄が該当する。例え極悪人だとしても、その人間を生贄にすれば村人全員が助かるならば、それは間違いなく英雄と呼べる。
反英雄は被害者でありながら、究極的な加害者でなくてはならない。人が生み出したモノでありながら、決して人の手が混ざらずに成長するモノ。その矛盾こそがあらゆる抑止の圧力を免除される“世界の敵”。英雄と称される生贄が食い殺されようが地中に埋められようが関係ない。貧乏クジを引かされた者、一方的に押し付けられた汚れ役が人々を救う偉業を成し遂げたのなら、それは罪人ではなく、英雄へと昇華される。大事なのは祭り上げる側の意識で、敬意や感謝、罪悪感などで祭り上げられて生まれるのはまっとうな英雄となる。ただ、純粋な反英雄はそうはおらず、存在しないモノ。そういうものがいてくれたら良い、という人間の願望。原罪を否定する為の生贄、人間の生み出した一つの終末(理想)。平穏と同義とされる、叶う事のない願いの一つが反英雄と呼ばれるモノ。
メモ
触媒について
- 『stay night』ではアーチャーが「触媒無しでの召喚など有り得ん」と言っているが、後の『Zero』や『Apocrypha』では、龍之介のような実例が現れたり触媒無しの召喚に対するメリットとデメリットの言及が為されたりしている。「触媒無しで通常の英霊ではない自分を召喚など有り得ない」といった意図と取れない事もないのだが、アニメ『UBW』ではこの台詞が変更されているので、おそらくは後から設定変更されたのだと思われる。
- 英霊の召喚には基本的に強い繋がりを持つ触媒が必要だが、下手に繋がりが強いと切嗣とセイバーのようにマスターと相性の悪いサーヴァントも呼べてしまう。一方、触媒の繋がりが薄い(無い)と桜とライダー、龍之介とキャスターのように相性の良いサーヴァントが呼ばれる事が多い。そのため、ファンの間では「触媒が無い方がいいのでは?」とまことしやかに囁かれる事があった。
- 事実、『Apocrypha』でも、触媒無しや繋がりの薄い触媒での召喚について「サーヴァントの信頼関係を築きやすい」とそのメリットを言われている。だがその一方、「一歩間違えれば、性質が似ているが故の嫌悪や不信感が表れる危険性がある」とも言及されており、「触媒無しの召喚は一か八かのギャンブル」として語られている。また、相性ばかり重視されて弱いサーヴァントが呼ばれる可能性もあるため、その点でもギャンブルである。
- 余談だが、この分析を行なっている獅子劫界離が触媒として使用したのは円卓の欠片。「どの円卓の騎士が呼ばれても英霊としては超一流」、「その超一流の選択肢の中から、自らと性質の似たサーヴァントが自動的に現れる」という事で、同族嫌悪の可能性を考えなければかなりベストに近い選択ではないだろうか。
- 事実、『Apocrypha』でも、触媒無しや繋がりの薄い触媒での召喚について「サーヴァントの信頼関係を築きやすい」とそのメリットを言われている。だがその一方、「一歩間違えれば、性質が似ているが故の嫌悪や不信感が表れる危険性がある」とも言及されており、「触媒無しの召喚は一か八かのギャンブル」として語られている。また、相性ばかり重視されて弱いサーヴァントが呼ばれる可能性もあるため、その点でもギャンブルである。
- 触媒が破損していた場合、どの程度触媒としての効果に影響するのかは不明。一応切れ端や欠片が触媒として機能しているケースもあるため、必ずしも完全な状態である必要はないようだが。
- 「触媒が無い方がいいのでは?」という認識が広まった原因の一つには、『Fate/EXTRA』における月の聖杯戦争の影響もあるだろう。月の聖杯戦争ではサーヴァント召喚のために触媒を用意する必要はないらしく、予選を突破したマスター達にムーンセルが「何らかの縁がある英霊」もしくは「相性の良い英霊」を当てがっている。その結果主人公達が出会うマスターとサーヴァントはその関係性こそ様々だが、ほとんどが深い信頼関係を結べている(このため、ムーンセルを「名仲人」と賞賛するファンも多い)。しかし月の聖杯戦争の仕組みは地上のものとは仕組み自体がいくらか違っているため、冬木の聖杯戦争との単純な比較は難しい。またマスターによる召喚ではなく、英霊が自らの意思でサーヴァント選定の場に参ずることが可能なことも分かっている(例:赤セイバー)。こういった点から、月の聖杯戦争におけるマスターとサーヴァントの相性の良さは、聖杯戦争のシステムの違いによるところも大きいものと思われる。
- そもそも、ムーンセルにおいても主を裏切り、殺害に及んだサーヴァントは皆無という訳ではない(例:エリザベート=バートリー)。更に言えば月の聖杯戦争はトーナメント制であるため、2回戦以降に出場するためには最低でも一回は勝ち抜く必要があり、致命的な相性問題を抱えたペアは最初にふるいにかけられただけとも考えられる。たまたま主人公や主人公の前に現れたペアの相性が良かっただけである可能性も否定出来ない。また、人格的には相性が良くとも、戦闘面の相性は良くないというケース(例:ロビンフッド)もおり、一概に「触媒無しの方がよい」とはいえない。
真名について
真名がバレる事は逸話に基づく弱点が看破される事になるので、可能な限り隠そうとするもの、とされている。真名の露見が直接的でわかりやすい弱点の露見になったサーヴァントは、ほとんど居なかったりする。それどころか、いずれの戦いでも真名を堂々と名乗った英霊が現われている有様である。
- 真名が知られれば、その能力も予測は出来るようになる(例えば、メドゥーサの真名を知っていれば、石化の対策を取る事が出来るようになる、など)のだが、それを有効活用した事例はほとんどない。特にクー・フーリンは様々なゲッシュ(誓い)に縛られており、生前もそれが死因となるなど真名露呈が致命的となるサーヴァントの筈なのだが、『stay night』作中において散々に真名を露呈させており、その癖これを突いた敵は存在しない。
- また、分かるのはあくまで表面上の情報でしかない。例えば、ヘラクレスは登場時に真名を名乗ったサーヴァントであるが、判明した後も当初はその宝具の内容と能力は余り知られておらず、セイバールートにおいて十二の試練の効果を勘違いした凛は絶体絶命の危機に陥った。そもそも能力が生前と異なるケースも非常に多い。
- こういった事情は、「相手の弱点を突いて倒そうとするのは、相手がよほど格上でない限り盛り上がりに欠ける」「致命的な弱点を持つサーヴァントを物語に出しにくくなる」と言うメタ的な事情が挙げられるだろう。実際、全員がクー・フーリンの弱点を狙い始めると、名シーンの多くが台無しになってしまう。また、それにも関わらず真名を隠そうとするのも、やはり「サーヴァントの正体を隠して読者の興味を引っ張る」と言うメタ的な事情だろう。
- 『EXTRA』ではシステム上、真名の看破が探索に占める比重が大きく、従来の作品以上に真名が重要な意味を持っている。ただこれも「真名の看破が手数の開示率を上げ、マトリクスの開示にもつながるから」と言う、どちらかというと収集要素的な理由にあり、真名自体を直接攻略の役に立てている訳ではない。
- 『Apocrypha』には数少ない「真名の露呈がサーヴァントの攻略に繋がった例」があり、アキレウスはケイローンに弱点である踵を宝具で射抜かれ、ウィリアム・シェイクスピアはフランケンシュタインやジャンヌ・ダルクの生前の記憶を利用して精神攻撃を仕掛けた。最もその露呈の原因は「生前の知り合い同士が出くわした」「シェイクスピアの仲間に真名看破スキルの使い手がいた」と言う、どうやっても不可避のものであったが。
- 『プリズマ☆イリヤ』の対ベアトリス・フラワーチャイルド戦では「敵の真名の看破と対策」が物語の焦点になっており、雷槌ミョルニルを使用する事からベアトリスのバーサーカーの真名を「トール」だと推定し「蛇の英霊を用意し毒を食らわせて九歩後退させて生前の死因を再現する」という周到な作戦を立てていた。……結局、正体がその息子である「マグニ」だったために作戦は失敗に終わってしまったが。
- 『Grand Order』の第六特異点にも、生前に毒で死んだ逸話を持つトリスタンを攻略するために毒を中心に用いる戦法を立てるシーンが有る。こちらはギフト「反転」によって完全に阻まれてしまったものの、その分真名から弱点を予測して狙うという重要性を裏付けたものと言える(逆に言えば、それだけ重要にも関わらず、実際に有効活用できていない不自然さ、と言う事実にも繋がる訳だが……)。
- 「反転」によって得た耐性自体が相当なもので、サーヴァントや幻想種すら殺し得る静謐のハサンの毒を受けても全く効果が無かったほどで、逆説的に「生前の逸話からくる弱点」が英霊にとってどれほど重いものかが分かる。
- 他にも、イベントでのギャグ混じりの時空ではあるが、チーズの直撃を受けて死んだ英霊を攻略するために投石機でチーズ砲弾の投射を試みるシーンが存在する。こちらはこちらで飛んでくるチーズ限定の反射神経を特訓で身につけるという文字通りの力技の前に打ち砕かれたが、やはりそんな"努力"をしてまで対策するほどの弱点だという事だろう。
- 冬木の聖杯戦争において「暗殺者」のクラスの真名自体は開戦当初で確定しているといってよい(ルール違反の例外はある)。だが、その真名から能力を判別する事が不可能に近いので、ある意味では最も深く秘匿された英霊とも言える。
- 『Apocrypha』では世界各地で小規模な聖杯戦争が多発しているため、19人のハサン・サッバーハ全員の宝具を含めた能力が魔術師に知れ渡ってしまい、マスターのハサン対策は当たり前になっている。
- 真名は必ずしもその英霊の生前の本名と一致しているとは限らない。
英霊の座について
- 英霊は死後、時間の軸から外れた場所「英霊の座」に招かれている。召喚される英霊は一部の例外を除けばあくまで座からコピーされた分霊であり、英霊本人が直接召喚される訳ではない。そのため聖杯戦争中にサーヴァントの身に何が起きたとしても、座の英霊本体にまで影響が及ぶ事はない。
- 一方で現世におけるサーヴァントの記憶は「消滅時に情報の記録として座に持ち帰る」という形で本体に反映される。複数回聖杯戦争に召喚された英霊は「他の時間軸の聖杯戦争の記憶」も記録として保持しているが、座には時間の概念がなく『今参加している聖杯戦争の結果を知っている』という矛盾が生まれる為に、通常は座が召喚される場に合わせて記憶をアジャストする。
- 『Grand Order』では人理焼却によって「人理があやふやな状態」に陥ったことで記憶のアジャストが適用されていないことがある。例えばマリー・アントワネットは一度遭遇した後に消滅し、再び別の現界時に会っても記録でしか過去に遭遇したということを知らないため、実感が無いという状態になっている。一方エリザベート=バートリーのように過去の召喚で出会った相手に対し普通に面識がある体で接してくるサーヴァントもいる。ロビンフッドに至っては特異点で唐突に並行世界の記憶を思い出している。これらの差が単に「情報の記録」に対するスタンスの違いから来るのか、はたまた記録の残り方からして違っているのかは不明。
- 人類史の中で功績を刻もうと、なんらかの事情で死ぬ間際、あるいは死ねなかった事で世界が終わる時まで生き続けなければならない者達は英霊の座に招かれない。この場合例え英霊クラスの実力を持っていても厳密には英霊ではない為、本来は召喚されることは不可能。
- 英霊の座は時間軸から独立しているのと同様、並行世界を跨いでも同一である。そのため例えば「衛宮士郎がエミヤになる前に死ぬ世界、あるいはエミヤにならない世界」であっても英霊エミヤが召喚されることがありうる。
- ただし『Fate/Grand Order』の中国異聞帯のように、人々の生活が完全に満たされて「祈り」を誰も抱かなくなった結果、英霊の座への接続が途切れて英霊召喚ができなくなることもありうる。
その他
- 人間でも魔力を付与した武器、神秘・年月の重みを纏った武器で殴ったり、斬りつければ一応ダメージはあるが、蚊が止まる程度のダメージしか与えられない。これは神秘はより強い神秘の前に無効化されるという法則があり、サーヴァントは霊体ということもあるが神秘そのもののため、人間とはそもそも"格"が違うためである。例えばアルトリアの鎧を生者が攻撃した場合、魔法か、神域に棲む幻想種、聖典クラスの武装、宝具でようやく傷つけられる。
- 同じサーヴァント同士であれば、ペーパーナイフでも傷つけられる。これは『同レベルの神秘を持っている者による攻撃("同格"からの攻撃)』となるためであり、サーヴァントじゃない魔術師がペーパーナイフに魔力を籠めようと一切傷つけられない。
- 生身の人間でも英霊の宝具を扱うのであれば話が変わる。これは『同レベルの神秘を持つ武器による攻撃』となるため人間が扱っても有効となる。宝具であるならば投影品でも構わない。
- この法則はサーヴァントが人間より格上だから優位性を保っているだけであり、サーヴァントもより強力な神秘を持つ相手の前では同じ状況に陥る。同じサーヴァント間の格の差くらいではならないが、霊基自体が格上のグランドサーヴァントが相手の場合は全くダメージを与えられなくなる。
- 同じサーヴァントという規格でも宝具により一定以上の"格"(ランク)の攻撃でなければ攻撃が一切通らない例外もいる。ヘラクレスの「十二の試練」は威力ではなく攻撃の神秘性を重視した守りでありAランクに達しない攻撃は全て遮断する。結果的にヘラクレスとまともに正面からやり合うには、英霊の中でも一流であることが要求される。ある意味擬似的にサーヴァントの中で"格"の優劣を再現している。
- サーヴァントの強さはマスターの魔力・知名度だけでなく、土地によっても変動する。これは知名度とは別に英霊の伝説の舞台となった土地(文化圏)に近ければ近いほど強くなるというものである。そのため母国での戦いは知名度・土地、両方の恩恵が受けられるため飛躍的に強くなることになる。西欧で同じくらいの知名度誇るアルトリアとクーフーリンが国境を跨ぐだけで強さが逆転するのは恐らくこのためである。
- 第七特異点では生前のギルガメッシュが魔術による英霊召喚に成功したが、これは紀元前2655年のウルクが神代の終わりである為、英霊召喚の難易度は低い。反対に神秘の薄い二十一世紀だと、ギルガメッシュやマーリンとて魔術による召喚は困難となっている。
- 本来、地上の聖杯戦争ではサーヴァントはその場限りのものであり、彼らに未来は存在しない。
- しかし限定条件として、例を挙げると霊子的な電脳生命として再現された場合や、聖杯戦争後もマスターと関係を保った場合、あるいは生命として受肉した場合、それらのサーヴァントは生前の軛から解き放たれ、“今を生きる”その時代の人間になる。
- なお、受肉した場合でも座の本体との関係は変わらないため、受肉後に死亡した際はサーヴァント時と同様に本体に記憶が反映される。そのためギルガメッシュや天草四郎時貞のように、受肉していた期間の記憶を引き継いだ状態で召喚されるサーヴァントも存在する。
- しかし限定条件として、例を挙げると霊子的な電脳生命として再現された場合や、聖杯戦争後もマスターと関係を保った場合、あるいは生命として受肉した場合、それらのサーヴァントは生前の軛から解き放たれ、“今を生きる”その時代の人間になる。
- 聖杯戦争の性質上、サーヴァントは聖杯に対する何らかの願いを持っている事が多い。ただし「強敵と死力を尽くして戦う」「戦いに勝利して主に聖杯を捧げる」など、必ずしも「最後に聖杯を使う必要のある」願いばかりという訳ではない。
- サーヴァントは実体化する術を持つ霊体ではあるが、第三魔法である「魂の物質化」とは全く別の現象である。サーヴァントはあくまで「降霊」によって呼び出されるものであり、依り代がなければ現世には留まれない。この時代のモノとして生きている訳ではないので、魂単体で存在できるようになる「魂の物質化」と比べれば不完全なものである(ただし、冬木においてサーヴァント降霊のためのシステムの基盤である大聖杯には第三魔法の一部を用いているので、間接的には関係あるとも言えなくはない)。
- サーヴァントは召喚された時、生前の記憶の他に聖杯からその時代・地域の基本的知識や言語能力などを与えられている。また、英霊の座においてはあらゆる時代の他の英雄の逸話をある程度学ぶことができる。
- 逆に召喚された年齢によっては生前の記憶にも一部制限がかかり、召喚された時代に適合しない知識は逆におぼろげになってしまう。実際、異聞帯で召喚されたサーヴァントには、その異聞帯には存在し得ない家族の記憶や、犬や猫のような「異聞帯には存在しなくなった動物」についての知識が不確かになってしまった例も存在している。
- 知名度補正はその英霊本人の物のみならず、その英霊がモデルになった何かを通して受ける事も可能。一例としてケイローンの補正には彼がモデルになった星座(射手座)による物が含まれている事が示唆されている。
一方「吸血鬼ドラキュラ」に浸食されてしまっているヴラド三世の様に、それが英霊の実像とかけ離れていた場合は「無辜の怪物」等の形で思わぬ影響が出てしまう可能性もあり、必ずしもメリットばかりとは言えない。 - 実体化している時と霊体化している時とでは、当然実体化している時の方が消費が大きくなるが、『hollow』でのライダーの発言から推察すると、「ずっと実体化している」よりも「実体化と霊体化をスイッチする」方が更に消費量が大きくなる模様。
- 血液ではなく魔力を主動力としているため、サーヴァントは出血多量で弱る事はあれど死ぬことはまずない。人間の戦闘であれば敵の手と足の付け根を切り落とすという戦術もあるが、サーヴァントは魔力さえあれば大動脈を欠損しても再生することからこの戦術の効果は薄い。四肢の切断となると話は変わるが易々と手足を刈り取られるサーヴァントはまずおらず、逆に相手の手を1本獲ったら自分の首を獲られていたということが起こり得る。
- 「人体研究」の特攻がサーヴァントに入らないのは恐らく上記の理由から。「人体理解」は単純に急所に当てやすくなる能力のためサーヴァントにも有効。
- ストーリー制作の上でマスターとサーヴァントの関係に焦点が当てられ、物語の中心的な役割を担うことが多い。
- 魔術師達にはサーヴァントを「所詮は過去の英雄の複製或いは傀儡」など魔術礼装の一種程度にしか見なしていない人物が多い。サーヴァントをただの使い魔と考えるマスターではサーヴァントとソリが合わず、トラブルが起きてしまう。我慢する者もいれば、一線を超えて手にかける者もいる。生前が高名な王だった為に敬意を持って接する魔術師もいるが、彼らも所詮はサーヴァントという認識の域を出ていない。他にも高名な英霊であるが故に真名の露見を恐れて相互理解を怠り、失敗するケースもある。
- しかし全ての魔術師がそういう人物というわけでもなく、若手のマスターたちを中心に生粋の魔術師であってもその生き方に影響を受けるなどの理由で、強固な信頼関係を築いたマスター、またマスターとサーヴァントの壁を越えて友情や愛を育んだ者もいる。彼らは結末に関わらず信頼面では他のマスターを遙かに凌駕するといえる。
- 反対に自分で喚びながら気に入らず始末しようとしたら返り討ちに遭う、他に興味を持ったマスターにサーヴァントが鞍替えしたケースもある。彼らの場合はマスターに不満を持つ前提事例が多い他に、元のマスターが根本的にわかり合えていなかった、本来のマスターが余りに迂闊で見捨てられたということもあった。
- 令呪で鞍替えに同意させられた場合は元のマスターと良好な関係だったサーヴァントによる逆襲も起こりうるし、偽臣の書によるマスター権の委譲も本来のマスターほどの相性がなかった場合あっさりと斬り捨てられる。
- 明確な仲間関係でこそ一貫しないものの、一時共闘関係のマスターと恋愛関係を築いたサーヴァントや、性格も方針もそれぞれ異なる数多のサーヴァントを繋ぎ止めたマスターもいる。
- マスターとサーヴァントの間では契約・魔力供給のパスが通っていることもあり、互いの過去を夢という形で記憶を共有して見る事がある。
- 『Fate/Grand Order』では召喚されるまで、サーヴァントたちは自由に行動する事ができる。イベントクエストなどでカルデアの外にサーヴァントが大量にいるのはそのため。
- なお、世界は「人間の道徳」ではなく「存続に有益」な方を採用し、人理継続のためならたとえ悪であっても有効に使い、人理継続を願わないのなら、たとえ義があろうと不要な英霊として召喚を不許可している[出 12]。
- 砲絡みでは人理に刻まれるのは難しいとされる。なお、近現代の銃を用いる英霊はエクストラクラス「ガンナー」への適性を持つことが作品の文中でのみ示唆されている(作品中で明確に登場したケースはない)。
- Fate/zeroのキャスターについて。虚淵「キャスターがあまりに苦しすぎて、中国の仙人とかにしようかな、と相談したんですが。そこで西洋縛り、というルールを聞いたので。」
- そもそも仙人は強すぎるので、どちらにしろ脚下とのこと。
- 「エクストラ」の聖杯戦争には、東洋の英雄がサーヴァントとして召喚されているが、きのこ氏曰く「禁じ手、解禁」。「エクストラ」は世界そのものがイレギュラーで、聖杯戦争のシステム自体がこれまでとは異なるので、東洋の英霊もアリにしようとのこと。
- 英霊は時間軸に関係なく召還されるが、近代兵器で身を包んだ未来戦士のようなサーヴァントが召喚されることはまずない。近代兵器の最たる利点は“鍛えれば誰でも使える”という事。だが、そうであるが故に“たったひとりの存在”にはなりづらい。それは顔のない英雄と同じ。近代兵器に身を包んだ英雄がいたとするなら、英霊として扱われるのは“鍛えれば誰でもなれるエキスパート”たる所有者ではなく、“その時代でもっとも優れた兵器”そのものが英霊として祭りあげられる、かつ兵器そのものに魂が宿らなくてはならない。
脚注
注釈
- ↑ 他の呼称として「“外部”からのマレビト」「人類史に残った様々な英雄、偉業、概念」「そういった星の
記録 を霊体として召喚したもの」「人類史を兵器とする画期的な存在」「歴史的英雄の召喚、神話の再現による圧倒的な力の実態化」「根源の座より来たる、死者の精霊」「死者の記録帯」「人類史に刻まれた影」「虚ろの人々」「人の世の歴史に刻まれて、現世へと降りてきた影法師」「英霊に昇華された者の擬似的再現」「ヒトの亡霊もどき」「人理の影法師」「世界への仮初めの客」「人類史の記録、成果」が挙げられる。 - ↑ ただし肉体に精神が引っ張られる為か、未来の記憶に実感がわかない事もある。
- ↑ 具体的には神霊に属するもの、本来は存在しないもの、全盛期以外の肉体年齢のもの、イフの可能性の存在などが該当する。
- ↑ 佐々木小次郎のように異常な召喚や、エーデルフェルト家のように同一の英霊を複数の側面から呼び出す魔術的特性を持つ場合は例外
出典
- ↑ 『Fate/Grand Order』幕間の物語「戦う理由」
- ↑ 『Fate/complete material Ⅲ』p.132-133
- ↑ 『Fate/Grand Order』曜日クエスト「種火集め<四騎編>」、「モンスター狩り<四騎編>」、「四騎と対決」
- ↑ 『Fate/Grand Order』FGO夏祭り2016~1st Anniversary~福袋召喚「四騎士召喚」、福袋召喚2018「四騎士+アルターエゴ+フォーリナー召喚」
- ↑ 『Fate/complete material Ⅲ』16ページ「サーヴァントのステータス」より。
- ↑ 6.0 6.1 6.2 『Fate/Grand Order』幕間の物語「マスターの条件」より。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 『死界魔霧都市 ロンドン』第3節「魔霧は嘲笑う」より。
- ↑ 8.0 8.1 8.2 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
- ↑ 『Fate/side material』Fate用語辞典「パラメータールール」
- ↑ 小説版『Fate/strange Fake』第2巻 あとがき
- ↑ 『Fate/stay night Premium Fanbook』p.47
- ↑ 『ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~』第十四節「歌を歌おう」。
関連項目
- サーヴァントの一覧
- サーヴァントが持つ固有の能力を概念化したもの。
- 彼らの持つ最終武装。生前の偉業を元に形を為した「物質化した奇跡」。